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SNSでトレンド入り「風呂キャンセル界隈」とは? 専門家が指摘する「メンタル不調」のサイン

4月30日にX(旧Twitter)で「風呂キャンセル界隈」という言葉がトレンド入りしました。お風呂に入らなくても済むドライシャンプーの話題に発展するなどネット上で盛り上がりを見せる一方、「メンタル不調」で風呂に入りたくても入れない人からの切実な投稿も相次ぎました。

お風呂に入れない人のメンタルについて、心理カウンセラー・公認心理師のイム・ソネさんに、SBSアナウンサー影島亜美が話を聞きました。

心が疲れていると入浴のハードルが上がる

影島:私は入浴しないと眠れないので、「風呂キャンセル界隈」という言葉を聞いて、お風呂に入るのが大変な人はこんなに多いのかと驚きました。メンタルが不調だと入浴のハードルが上がるんですか?

イム・ソネ:うつ症状のチェック項目として「入浴が面倒」との声は以前からあります。入る前に服を脱いで、出たら体を拭くとか、もう全てが面倒くさくなってしまうんです。

心が疲れている時は自己防衛機能が働いて、歯みがきなどいろいろなことをしたくなくなっちゃうんですよね。うつ症状を経験したことがある人なら分かると思います。

影島:「風呂キャンセル界隈」といっても、風呂嫌いとか清潔でいたくないのではなく、気持ちと行動が一致しないということなんですね。

イム・ソネ:クタクタになるまで働いたり、学校で頑張ったりして、帰宅後は脳が何もしたくない省エネモードになるんです。食事やトイレに比べると、入浴の優先順位は高くないので、お風呂をキャンセルするのは脳の構造上、自然な流れだと思います。

ヘアスタイルや服装の乱れはサインかも…

影島:自覚がなくてもメンタル不調になっていることも考えられますか。

イム・ソネ:十分に考えられます。頑張りすぎているサインなので、そこはキャッチしてほしいです。ヘアスタイルや服装を気遣うおしゃれが好きだった人が「もうどうでもいいや」となってきた時も、心が疲れているサインです。

影島:ほかにも面倒になることはありますか?

イム・ソネ:軽度のうつでは、食事や会話が面倒になることが多いです。人と接するのがしんどくなった結果、不調を周りに伝えられず症状が進んでしまうことがよくあります。

影島:うつ症状がひどくなるとどうなってしまうんですか?

イム・ソネ:その場から動けない、何もできなくなる、顔面神経痛になるなど、体の至る所で不調が起こります。専門医への相談をおすすめしています。

影島:家族や友達、周りの人は些細なサインを見逃さないようにしたいですね。

春から新しい環境になった人は要注意

影島:ゴールデンウィークが終わり「五月病」という言葉も聞かれるようになりました。メンタル不調に陥りやすい人の特徴はありますか?

イム・ソネ:完璧主義な人や責任感が強く仕事を多くこなす人は、「疲れてるよ」という自身のサインに気付けずうつ病になることがあります。出世して役職が付き、新たな仕事に取り組んでいる人は気を付けてください。

影島:春から新しい環境にいる人は心配ですね。うつ病にかかりやすい年齢や性別はありますか?

イム・ソネ:40〜50代の女性が多いというデータがあります。最近は20代や10代も大変増加しています。長時間労働で慢性的にストレスが溜まっているので、最近は年代が関係なくなってきたのかなと思います。

睡眠、運動、栄養、会話。4つの「不足」をなくす

影島:メンタル不調の回復するにはどうすればいいですか?

イム・ソネ:「4つの不足をなくす」ことです。まずは睡眠不足。睡眠は7時間以上取ることが大事です。睡眠の6時間までは「体の回復」がメインで、6時間以上の睡眠から「ストレスの軽減」が始まることが最近の研究成果で分かってきました。

影島:7時間以上の睡眠ですね。分かりました。

イム・ソネ:運動不足、栄養不足、会話不足をなくすことも大切です。仕事のことばかり話すと脳の疲れが癒えないので、わくわくしたり、キャハハと笑ったり、少しでも会話を楽しむとストレス解消になると言われています。

影島:リラックスできる場所を見つけるのが大事なんですね。

質の良い睡眠につながるストレッチ

イム・ソネ:運動不足解消のため、車ではなく電車や自転車で出かけるとか、日中に体を動かすのも大切です。

影島:太陽の光を浴びながら歩くと気持ちも明るくなりますよね。

イム・ソネ:日中に体温を上げておくと、夜寝るときに体温が下がりやすいんですね。質の良い睡眠にもつながっていくので、日中のちょっとした運動やストレッチはすごく大事かなと思います。

影島:4つの不足をなくすように意識していこうと思います。イム・ソネさん、ありがとうございました。

※2024年5月14日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。​
今回お話をうかがったのは……イム・ソネさん
心理カウンセラー・公認心理師。6才と3才の子を持つ、二児の母。十数年の教員経験を生かして、延べ2000人の子育て世代の悩み相談を解決へ。アメリカ発祥の感情コントロールメソッド「アンガーマネジメント」を専門とした講座を多数開講中。企業や学校教職員向けのマネジメント研修講師も務める。

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