
1.『秒速5センチメートル』(2007年)
1本目は新海誠監督の作品で、「桜花抄」「コスモナウト」そして最後が「秒速5センチメートル」、という3つのストーリーでできている作品です。「桜花抄」は、貴樹と明里という、はっきり付き合ってはいないけれど小学生のときからずっと一緒にいる2人の話。明里が引っ越してしまったために、中学生になってからは文通をしているのですが、今度は貴樹も鹿児島へ引っ越することが決まります。
スマホやSNSの普及前の時代です。なので、遠く離れてしまうともう会うことも難しいということで、貴樹は、鹿児島へと引っ越す前に、明里が住む栃木県へ会いに行きます。そのとき、大雪で電車が遅れてなかなか着かない。夜中にようやく栃木の岩舟駅へ到着し、そこで再会した2人は……というお話でした。栃木に、あんなに大雪が降ることはない、という話もあるのですが、静かに降る雪がとても叙情的に描かれている作品です。
2.『ジョゼと虎と魚たち』(2020年)
2本目は小説家の田辺聖子さんの短編小説を基に長編アニメにしたタムラコータロー監督の作品。2003年には犬童一心監督の実写版もあり、そちらもリスペクトされている作品です。原作が短編なので、この後2人はどうなっちゃうんだろうという感じで終わるんですよね。実写映画もアニメ映画もこの2人はどうなるのかという問いに対して、全く違う答えを出しています。
アニメ版でいうと、海洋生物の研究をしている真面目な苦学生である恒夫が、偶然出会った車椅子で暮らしている女性・ジョゼとだんだん心を通わせていくというストーリーです。車椅子のジョゼと立っている恒夫の視線が合わないというのがこの作品のテーマみたいなもので、この2人の視線がどうやって重なり合っていくのかが描かれます。
ただ物語の終盤で、ジョゼと恒夫の間に超えられない壁を感じるようになり、恒夫が待っているところにジョゼがやって来ないというシーンがあります。2人で行ったことのある場所を恒夫が探し回っていると、雪が積もったあとに車椅子の轍が残っていることに気づきます。2人がこの後どうなるのかという物語のクライマックスと、突然の雪がすごくうまく絡んでいて、ラストを盛り上げます。少しクライマックスにも触れてしまったのですが、それに行くまでの紆余曲折がすごく面白いので、こちらも見ていただければと思います。
3.『銀魂』(2006年〜)
最後に、思わぬドカ雪ということで忘れてはいけないのが、TVアニメの『銀魂』第38話Aパートの「雪ではしゃぐのは子供だけ」です。突然大雪が降り、「かぶき町雪祭り」をやるということで、主人公たちが賞金を狙って雪像を作ります。そこで坂田銀時たちが万事屋が作るのが、ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲。万事屋のツッコミ役・新八に「PTAに怒られるだろう」とか「プロデューサーが始末書を書かなくてはならなくなるだろう」とか言われるほど、どうしようもない形をしているのです。この回は、最後は作った雪像を巡って大騒ぎになり、「これはお祭りだ」というお登勢さんのセリフで終わるエピソードでした。とはいえ、雪となったらはしゃぐ気持ちは否定できないですよね。
ということで、独断と偏見で選ぶ、雪のシーンが印象的なアニメを3つ紹介いたしました。ぜひご覧ください。