
こんにちは!編集局紙面編集部の遠藤竜哉です。
この記事を読んでくださる方々には、古参のクラシックファンから、普段あまりクラシックに馴染みのない方まで、いろいろな層の方がいらっしゃると思います。皆さんはどんな方法で音源を入手されていますか?
一口に音源と言っても、古くはSPレコードからLP、カセットテープ、CD、そして最近は配信まで、いろいろな形態がありますよね。
私は、時々レコードも楽しみますが、日常的に聴くのはCDです。
レコードに比べて上下の倍音が聴こえなかったり、音の立体感が感じにくかったりという面は否めませんが、再生時の安定感、録音時間の長さ、収納性、車でも聴ける利便性など、CDの優位性は今も健在だと思っています。
オススメは中古
そのようなクラシックのCDですが、おすすめはズバリ中古です。私の場合、買うCDの9割ぐらいがユーズド品。残りの1割は新譜を買う、もしくは、中古が手に入らず新しいリマスター盤を買う、というケースです。
新譜や新譜に準ずるCDが市中に多く出回っている場合は、新品も中古も内容に差はありませんが、価値が出てくるのは廃盤になっていたり、初期盤が手に入らなくなったりしている場合です。
「CDとは」の説明が必要だった時代
CDが一般的になってきたのは1980年代以降でしょう。当時CDは新しい技術として、とても貴重な存在だったようですね。いま手元に小澤征爾さんがフランス国立管弦楽団を指揮して1983年に録音したビゼーの「カルメン組曲」「アルルの女組曲」のCDがあります。
解説文の最後には「コンパクト・ディスク(CD)とは」という説明が丁寧に記され、レコードとの違い、音が再現される仕組みや保管方法まで、今の感覚だと「当たり前じゃん」と思える説明が尽くされています。そして「従来のLPのクリーナーで拭かないでください」などと注意書きもあります。
愛好歴ウン十年の大先輩にとっては、それほど昔の記憶ではないかもしれませんし、何を今さら言ってるの?とお感じになるかもしれません。一方で、こういうモノの一つ一つが、すでに歴史になりつつあるんですね。
めちゃめちゃ高価
しかも、ですよ。このCD、なんと当時、1枚で3800円!!!!!
「カルメン」と「アルルの女」。それぞれ第1組曲と第2組曲がありますが、全部合わせても1時間に満たない収録なのに!発売年記号などを見ると、これは国内最初期盤と思われますが、それにしてもナカナカのお値段…。
ちなみに、私はこの中古を数百円で買いました。
今では作られないCDも
貴重品だけに、初期にプレスされたCDは、盤はもちろん、解説、装丁なども丹念に作り込まれている印象があります。初期のCDって、持つとずっしりしていますよね。また、経済合理性(売れるものを作る)とは無縁だったのか、割とマニアックな曲まで積極的にCD化されていました。曲によっては、必然的に中古を探すことになります。
買うなら、質の良い盤を
普通、過去の名演・名盤というのは、技術が新しくなるたびにリマスターされ、再発売を繰り返します。もちろん音質がピカピカに向上するのですが、私はと言うと、レコードのふっくらした音をそのまま写しとったような素朴な音質が好き。例えば、ドイツ・グラモフォン社のようなメジャーレーベルの場合、西ドイツで作られた盤を選んで買います。ベルリンの壁崩壊後は「made in Germany」と表記が変わります。

特にオペラは中古が強い
オペラは長いため、全曲盤はCD2〜4枚組ぐらいが一般的でしょう。CDが出始めた頃は豪華な箱入りなどが多く、装丁を見ているだけでも楽しいものです。いまや中古で2千円以内で買えるオペラ全曲盤も、定価表示を見ると1万円近い、もしくは、それ以上のものがほとんどです。店舗でもネットでも買えます
東ドイツや旧共産圏のレコードにも、多くの名盤がありますよ。時代背景を考えながら膨大な中古CDの森を彷徨うのが私の至福の時間です。

店舗で中古を探すなら、やはり聖地は「ディスクユニオン新宿クラシック館」!宝の山。夢の国。上京ついでに訪れると、つい長居してしまいます。
ただ、CDは聴いてナンボ!買って満足してはいけません!
読書と同じで、最初は好きな楽章や曲からつまみ食いすればOK!
冒頭から全力で聴き通そうとしなくて大丈夫です!笑
まずざっと全体を聴いてみて、好きな部分をもう一度かけてみましょう!
さらに言えば、CDに収録された曲の全てを聴く必要もありません。何年もかかって、ようやく魅力が分かる曲も少なくないのですから!
皆さんも中古の魅力を
いまや、アマゾンなどネット通販でも簡単に中古盤を手に入れることができるようになりましたので、目星がついていれば東京へ行く必要もありません。ただし、書店を歩くのと同じで、実際に店舗へ足を運ぶと思いがけない出合い(セレンディピティ)があります。中古CDは宝の山であり、音楽を楽しむ時間を豊かにしてくれます。もし中古店でCDを手に取る機会があれば、あえて古びたジャケットを選んでみてください。帯は破れていても、新品とは違った魅力が見えてくると思います。

(日本フォノグラム 1994年)