【審判というお仕事】映像技術とネットの発達で受難の時代!? 誤審と批判浴びることも

静岡トピックスを勉強する時間「3時のドリル」。今回のテーマは「審判というお仕事」。先生役は静岡新聞運動部専任部長の寺田拓馬が務めます。
※SBSラジオ・ゴゴボラケのコーナー「3時のドリル」で放送したものを編集しています。

女子高生レフェリーが男子サッカー公式戦でデビュー!

(寺田)5月に行われた県高校総体サッカー西部地区大会で、浜松工業高校2年生の女子高生が高校生の登録審判「ユースレフェリー」として主審を務めました。県サッカー協会によると、女子ユースレフェリーが高校男子の公式戦で主審を務めるのは県内初とみられています。

(山田)すごいですね。女子高生の審判ってことですか。

(寺田)同僚が取材したんですけど、その女子高生は小学校1年生からサッカーを始め、中学生のときにはセンターバックを中心にプレーをしながら、日本サッカー協会4級の審判資格を取得したとのことです。高校に進学してからはサッカー部のマネージャー兼レフェリーとして活動してるそうです。

(山田)かっこいい。審判をやってみたいと思ったというところが個人的にはぐっとくるポイントなんですけど、こういう子たちは今増えてるんですか。

(寺田)女性審判は少しずつ増えていまして、4月にはサッカーJ1リーグで初めて主審と副審2人を全員女性が務めたということがニュースになりました。

静岡県サッカー協会もユース審判の育成に力を入れていまして、18歳以下の3級審判は全国2番目に多いんですよ。昔ですと、サッカー部の補欠が審判を務めるという感じだったんですが、本当に審判としてJリーグやワールドカップを目指すという高校生がいるんです。

(山田)とてもいいですね。どうしてもスポーツをやるとプロアスリートやオリンピック目指すとなりがち。でもそうじゃなく、スポーツに携わる方法はいろいろあるということが、世の中的にもわかってきてるということですね。

(寺田)サッカー関係者の間には「サッカー強豪国には良いレフリーがいる」という格言があります。良いレフェリーの下だと、選手は安心してプレーできますから、成長もしていくというわけです。

でも審判の資格を得るのって結構難しいんですよ。サッカーは1級から4級、その上に国際審判というものがあるんですけど、知識と経験はもちろん、年齢や性別を問わず体力テストもあるんです。

(山田)審判もずっと走り続けるわけですもんね。

(寺田)そうなんですよ。インターバル走と短距離走で選手並みの走力が求められるんです。しかも1回合格すればいいのではなく、定期的にその体力テストがあるんです。

(山田)体力も維持していかなきゃいけないってことですね。

(寺田)資格によって担当する試合のレベルも違ってきます。あまり皆さんは気にかけないと思うんですけども、Jリーグの試合に行くと審判を採点する審判がいるんです。J1で笛を吹いていても、もう少しJ2で勉強してきなさいとか、J2の中でいいレフェリーがいればJ1に上げようというように降格や昇格もあるんです。

(山田)そうすることでミスジャッジも減っていきますしね。

(寺田)しかも、J1で笛を吹く審判の方に伺ったことがあるんですけど、次にどの試合で笛を吹くかということは家族にも言えないんだそうです。

(山田)バスケットボールのBリーグの審判に聞いたことがあります。同じでした。直前まで担当する試合が伝えられないそうですね。

(寺田)公正を期すためですね。アンフェアなことが起きてしまってはいけないので、家族にも知らせないということになってるんですよね。

(山田)審判の皆さんたちは試合が終わった後も、今日のジャッジが正しかったかどうかチェックしたりするそうです。本当にプロの世界なんですよね。

ビデオ判定が招く厳しい時代 審判の努力にさらなる敬意を


(寺田)ただ、最近審判の方々にとっては受難の時代といいますか、映像技術とネット社会が同時に発達したために、誤審だったなどと叩かれてしまうことがあります。

(山田)これは本当に難しい問題ですよね。

(寺田)メジャーリーグの野球中継なんかを見ていても、画面にストライクゾーンが出てるじゃないですか。ゾーンから外れたボールをストライクなんて言うと「この判定は何だ」ということにすぐなってしまう。審判は正しく判定することが当たり前なんですけど、大変な時代になっていると思います。

(山田)そういう世界を目指そうという子たちが増えてるのはすごく嬉しいですね。

(寺田)サッカーのJ1ではVAR判定を導入しています。

(山田)審判が人差し指で四角を作ってビデオ判定をする仕組みですね。

(寺田)プロ野球でも同じようなリクエスト制度というものがあります。公正で正しい判定をするためには、最新の技術を活用するのが望ましいですが、全てのアマチュアスポーツでこれをやるのは現実的に限界があります。

そういう中で、今回紹介した女子高生のように頑張っている若い子もいるんだというお話をしたかったのは、資格を持った審判の方は相当な努力の上でそこに立ってるということなんです。誇りを持ってやっているわけなので、指導者の方々にはぜひ審判にも敬意を払う大切さを子供たちに伝えていただければと思います。

(山田)今回のように女子高生が公式戦で笛を吹くということもすごくいいですし、こういったスポーツの関わり方が仕事としても将来あるんだという部分も広がりがあっていいと思いました。今日の勉強はこれでおしまい!
 
シズサカ シズサカ

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