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「マイクロアグレッション」という言葉を知っていますか?

最近話題になりつつある「マイクロアグレッション」について在日コリアンカウンセリング&コミュニティセンター センター長 丸一俊介さんにSBSアナウンサー牧野克彦がお話をうかがいました。
※12月19日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。

「マイクロアグレッション」とは

牧野:「マイクロアグレッション」という言葉の意味を改めて教えてください。
 
丸一:何気ない日常の中で行われるマイノリティに対する認識しづらい侮辱や見下しのことを意味します。一見、ほめ言葉のようでも、偏見や見下しを隠れたメッセージとして伝える言動が特徴的です。
 
また「マイクロアグレッション」は、心理的なダメージが大きいことがわかっており、日常の中で繰り返し受けることで心身への有害な影響があるため注意が必要です。
 
牧野:例えばどんな事例が挙げられますか?
 
丸一:日本では女性や高齢者の方、障害者の方、人種民族的マイノリティの方、同性愛などセクシュアルマイノリティの方などに対する事例が報告されています。
 
例えば女性がリーダーシップを発揮し、会議を仕切った際に「女性なのにすごいね」と男性が褒めるのも「マイクロアグレッション」になるんです。
 
牧野:その言葉の裏には、「女性は仕事ができないでしょう」という意味が隠れているということですね。
 
丸一:そうなんです。「女性はリーダーシップを発揮することが苦手だ」とか「支える役割が得意だ」といった偏見が含まれてしまうんです。
 
あとは、「ハーフ」と言われるミックスルーツの方でいうと、「日本語上手ですね」と褒められることも、それが常に繰り返されることで言われている側は「あなたは同じ日本人ではない」「よそ者である」というメッセージになってしまいます。

 差別との違いは? 

牧野:「マイクロアグレッション」は差別とは違うのですか?
 
丸一:差別というと「ヘイトスピーチ」のように露骨で差別的な考えを持った特殊な人が行うもので、多くの人が眉をひそめるものというイメージがあります。しかし「マイクロアグレッション」は友人同士、会社や学校、街中といった日常の中で、悪気や差別的な意図のない人が時には善意や褒め言葉のつもりで行ってしまうという特徴があります。これはマイノリティに対する偏見や見下しの意識が私たちの中でまだ潜在的にあるということにもつながります。

牧野:丸一さんが考える「マイクロアグレッション」の減らし方を教えてください。
 
丸一:”言葉”があることで認識が生まれ、減らすことにつなげることができると考えています。

例を挙げると、セクハラという言葉が浸透する前は多くの男性にとって問題ないものだとされてきた言動が、実は女性にとって不快で負担のある言動であることがわかってきたわけです。その過程では女性の本音や声が見える形、つまり可視化されたと言えます。同じように「マイクロアグレッション」という言葉が共通認識・共通言語となっていくことが大事なのではないかと考えます。

 今後の展望

牧野:私たちが日常生活の中で意識しておきたいポイントはありますか?

丸一:個人の人間性の問題だけではないということが大事なポイントです。ある言葉を発したから人間性が悪いとかでなく、私たちの社会の中にある偏見を土台にした言動が「マイクロアグレッション」になるので、マイノリティの偏見にはどういったものがあるのか気づくことが大事だと思います。

牧野:私たちの価値観は社会の当たり前の中で築かれてしまっているので、その色眼鏡を一度外してみることが大切ですね。自分が経験していない立場の人と接するときこそ、気をつけていこうと思います。
今回お話をうかがったのは……丸一俊介さん
精神保健福祉士/公認心理師 
個人的な交友関係をきっかけに在日コリアンの置かれた状況の切実さと心理支援の必要性を痛感。2020年在日コリアンの仲間と共に「在日コリアンカウンセリング&コミュニティセンター」を開設。カウンセリング活動、マイクロアグレッションについての調査研究、講演活動などを行う。

 

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