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女優・神田沙也加さん急逝。常に自分の居場所を求めていたよう

芸能リポーター菊池真由子さんに、旬な芸能ネタをご紹介いただくコーナー。今回は、女優の神田沙也加さんの急死について、SBSアナウンサー牧野克彦がうかがいました。
※12月21日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。

憧れだった舞台の公演途中での訃報

菊池:女優の神田沙也加さんが35歳という若さでお亡くなりになりました。まだ信じられないですよね。

牧野:菊池さんも取材された経験があるんですよね?

菊池:何度もインタビューをさせていただきましたが、目を瞑って思い出すのは、天真爛漫な笑顔ですね。常に表情がくるくる変わるような感じ。インタビューにも、この人は何を聞きたがっているんだろうかと、しっかりと考えて話す人でした。完璧というか、使えない言葉がないのでインタビュアーとしてはすごくありがたかったです。

牧野:全部使いどころなんですね。

菊池:以前、古田新太さんと沙也加さんのツーショットでインタビューをしたことがありました。古田さんはいつもやんちゃというか、とぼけた感じじゃないですか。そういう古田さんに対して沙也加さんがフォローしてくれるんです。当時まだ20代だったんですけど、なんて細やかな気遣いができる人なんだと思いました。

牧野:気遣いの人だったんですか?

菊池:そうなんです。最近では座長も務めてますから、一緒にいるみなさんに気遣って盛り上げようとしているのも見ましたし、そういうところもすごく印象的ですよね。

牧野:我々から見たら、憧れだった舞台に立って輝いていらっしゃるように見えたんですが、どうだったんですか?

自分の本当の居場所を求めていた……

菊池:俳優の神田正輝さんと歌手の松田聖子さんという偉大な親の元に生まれて、アイドルや歌手、俳優でもなく、ミュージカル女優という、両親とは違うジャンルの俳優を目指してらっしゃいましたよね。自分の本当の居場所、親の七光りではなく神田沙也加としていられる場所を、10代でデビューしたときからずっと探して、もがき苦しんできたという部分もあったと思います。

本当に今は、舞台女優として開花して、脂がのってきている状態だったんです。今年でいうと、舞台人の憧れでもある帝国劇場に2度も出ていますし、座長公演もありました。日本のミュージカルシーンを沙也加さんがこれから引っ張っていくのだろうと言われていました。

今回の「マイ・フェア・レディ」は、これまで20年近くずっと、大地真央さんがイライザ役を演じてきました。600回公演を越える、本当に当たり役だったんです。沙也加さんもファンで何度も観劇していて、台詞も覚えてしまうくらい大好きで憧れの役でした。それを2018年のオーディションで、沙也加さんがイライザ役を射止めたんです。それが本当に嬉しくて号泣したという話がありました。いつかイライザ役をやりたいと思い、ミュージカルを志すほどに思い入れのある役だったんです。

牧野:役を射止めるというのは、沙也加さんでもオーディションを受けて得るものなんですね。

菊池:最初はそうですよね。最近になって、「神田沙也加さんで」とオファーがたくさんくるようになったんです。イライザ役も2018年が初演で、今回が再演です。沙也加さんと元宝塚の浅夏まなとさんとWキャストで、もう一回いこうと。それはやっぱり、前回コケていたらそんな話はこないですよね。これから沙也加さんとしてのイライザ役を確立していく過程だったと思うんです。それだけやりたかった役は、それだけプレッシャーもあったと思います。

舞台に向かって生きるストイックさ

沙也加さんは、自分を追い込むストイックな人で、自分の舞台について減点方式をとっているんです。舞台が始まるときは持ち点は100点。そこから、「今の言い方は好きじゃなかったな」「今の歌い方はイマイチだったな」とか、そういうので点を引いていくんだそうです。最後のカーテンコールで挨拶したときに何点残っているかと、毎回の公演でやっているんです。減点方式って辛くないですか? 

牧野:自分が辛くなっちゃう気がします。

菊池:まだ0点で、これが上手くいったから10点とかの加点方式だったら、自分を盛り上げることができますけど、毎回100点をどんどん削り取っていく作業をずっとやっているのはすごいなと。

牧野:記事でちょっと見たんですが、記者が「沙也加さんは前向きですね」といったときに、えっ?という表情をされて、「自分ではそういう認識がなかった」というような反応をしたと載っていたんです。ご自身も前向き思考ではなく、どちらかというと減点方式だと認識されていたんですね。

菊池:「自分でも加点方式のほうが楽なのはわかるんですが、私はこのやり方しかできない」と言っていたそうです。自分に対してマイナスの評価しかできなくなるゾーンがあるそうなんです。これだけいろんなことができて座長を務めていても、「あれもできなかった」「どうして私はこうなんだろう」とマイナスの評価しかできなくなるときがあり、そこからかなり抜け出せないときがあると。

そういうときは、いろいろ紙に書いて吐き出すんです。自分から出す作業で、徐々に楽になってくるという話を以前されていました。相当ストイックに舞台に向かって生きている人だったんだなと本当に思いますよね。

牧野:芸能リポーターも周囲の人たちも、いったい何があったんだろうと落ち込んでいらっしゃる人が多いですよね。

菊池:母親の松田聖子さんも、23日からの大阪のディナーショー中止が発表されましたし、年末の紅白も辞退するんじゃないかと言われています。それどころじゃないですよね……。

牧野:非常に残念です。まだまだこれから歌声を聴きたかったです。
 
今回、お話をうかがったのは……菊池真由子さん
東京都生まれ、東京アナウンスアカデミー卒業。卒業後、ケーブルテレビ局のグルメ・旅番組のリポーターに。日本テレビ『レッツ!』でワイドショーリポーターとなり、その後も同局『ザ!情報ツウ』『スッキリ!!』などにレギュラー出演した。取材現場での積極的な姿勢と鋭い質問で、“現場の爆弾娘”の異名をとる。現在は1児の母として育児をしながら、取材や番組出演をこなしている。
 

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