クマに遭遇したら、向き合う?背を向ける?静岡県内のクマ出没状況から、「もしも」の時に取るべき対応策まで教えます!


クマに関連するニュースが連日のように報道されています。県内でのクマの出没状況や対策について、県くらし環境部環境局自然保護課の斎藤剛さんに、SBSアナウンサー井手春希が聞きました。

令和5年秋以降、目撃が増加

井手:ニュースなどでは東北などでクマが出没したという情報が流れます。私達が住んでいる静岡県でのクマの目撃情報というのも最近ちらほら聞きますが、実際、今年はどんな状況でしょうか?

斎藤:県内では10月末までで106件の目撃情報が寄せられています。昨年、一昨年と比較しますと同じぐらいの目撃件数となっています。

令和5年の秋に全国的にクマの大量出没が話題となり、県内での目撃件数もそこから増加しています。それ以前の目撃件数と比較すると、件数は依然高いような状況です。ニュースなどでクマの出没が度々報じられている東北地方では、一つの県で数千件の目撃情報がありますので、そういった地域と比べると静岡県は目撃件数はまだ多くないような状況となっています。

井手:県内では、特にどのあたりでよく目撃があるんでしょうか?

斎藤:基本的に県内山間部にクマは生息はしていて、静岡市や浜松市の山間部と富士宮市の山に隣接した地域などで目撃があります。ただ県内では、ニュースで流れているような「市街地にクマが出没する」といった事例は発生はしていません。

井手:人的被害は確認されていないという状況ですが、過去にはそういった例もあるんでしょうか?

斎藤:過去10年では令和3年に2件、令和4年に1件、人身被害が発生しています。ただ、いずれもクマの生息域で偶然クマに遭遇してしまったことによる事故で、被害に遭われた方も軽傷でした。県内に、「市街地などでクマに遭遇して事故に遭った」という事例はないので、まずはクマが生息している山や目撃がある地域でクマに出会わない対策をしっかりしていただくことが重要となります。

嗅覚が優れていて、臆病

井手:本州だとツキノワグマの名前をよく聞きますが、クマそれぞれの特徴なども教えていただけますか?

斎藤:北海道にはヒグマが生息していて、本州以南はツキノワグマが生息しています。ツキノワグマはヒグマと比較すると体格は小さくて、立ち上がると140センチから大きくて170センチくらいあり、人間と同じぐらいの大きさになります。体重は、県内で確認されているのは40キロから60キロぐらいの個体が多いような状況ですが、100キロ超の個体もあります。

また、クマ全般の生態として嗅覚が優れています。甘い匂いや臭い匂いが好きなので、蜂蜜や生ゴミなど匂いが強いものがあると、引き寄せられてしまうこともあります。

クマは臆病な性格をしているので普段は人に出会わないように生活をしていますが、ふいに遭遇してしまうとクマ側がパニックになって人を威嚇したり襲ったりしてしまうことがあります。大型の野生動物なので、力が強く鋭い爪や牙もあり、遭遇すると非常に危険な動物だと言えます。

井手:静岡県は、山にも囲まれている地域であるため、山伝いにクマが移動してきたりということもありそうです。行動範囲や生息しやすい場所についても教えてください。

斎藤:生息に適した場所はドングリの実がなる落葉広葉樹林ですが、スギヒノキの人工林にもクマはいます。1日の移動距離は数キロぐらいだと言われていますが、10キロを超えて移動するような個体も確認されています。今年のように餌となるドングリ類が不作となった秋は特に行動範囲が広がるため、普段は出没しない地域で目撃されることがあります。

また秋以外に、初夏も注意が必要です。繁殖期や、子供が親離れする時期に当たるので、思わぬところにクマの出没があります。

まずは「遭遇しないための対策」が重要


井手:
静岡県の山間に暮らす方は、普段、クマと遭遇しないためにどういうことを対策としてやっておけばいいでしょうか?

基本的には、クマは人を避けて生活をしていますが、茂みの中を移動するうちに人里に出てきてしまったり、柿などが誘引物となってそこに出てきてしまったりすることがあります。ですから、不意なクマとの遭遇をしないように、▷山林と人の生活圏の間のやぶなどを刈り払いして見通しをよくする▷クマを寄せてしまう柿などの誘引物をしっかり除却する、などの対策が必要となります。

井手:では、実際にクマと遭遇してしまったらどうしたらいいですか。

斎藤:まずは、出会わないための対策をすることが重要です。▷山などに出かける際には鈴などで人間の存在を知らせる▷クマの活動活発になる朝夕の行動を避ける、などの対策があります。

その上で出会ってしまったら、まずはクマを刺激せずに、背を向けず後ずさりすることが重要になります。クマには逃げるものを追う習性があるため、背を向けて逃げるのは追われてしまうリスクがあり、非常に危険な行動となります。またクマが向かってきてしまった場合は​、​クマスプレーや棒を使うとクマが逃げていくこともあります。

かなり近距離に来てしまったときは襲われるリスクが非常に高いため、重傷を避けるためにうつ伏せになって、手やカバンなどで首や頭を守る防御姿勢を取ることが重要になります。

井手:東北のあたりは市街地などでもクマが出没するということで、ニュースを見るとドキッとします。静岡県でもそうした恐れはあるんでしょうか?

斎藤:東北と比べると、環境的な要因や、そもそもの生息数がだいぶ違いますので、市街地に頻繁に出ることは今のところはないと思っています。ただ、クマは単独で生活しているので、何かの拍子に出てきてしまうことはあり得ると思います。

静岡県は沿岸部に市街地が集中していて、その上にスギヒノキの人工林がある環境です。スギヒノキの林にもクマはいますが、生息に適した環境ではないので、そこで生息数が一気に増えることはないと思います。東北では市街地が山に囲まれていて、クマの生息適地となる落葉樹林などもその周りにあったりするので、どうしても市街地や集落付近で生息数が上がってしまう環境的要因があるのかなとは思いますね。

県はクマ出没マップを公開中!


井手:
県内でのクマに対する取り組みとして、どんなことをされていますか?

斎藤:県内でのクマの生息実態についてはまだわかっていないことが多い状況のため、県では今、実態調査を行っています。その調査内容も踏まえ、今後の対策を現在検討しているような状況です。また、人の生活圏に出没してしまうようなクマは静岡県でも確認されているのでそういった個体については地元の市町と連携をし、捕獲なども行っています。

井手:皆さんにとっても関心事だと思います。あらためてメッセージをお願いします。

斎藤:クマが冬眠に入る年内はやはり警戒が必要だと思っています。県のホームページでクマの出没マップを公開していますので、お出かけになる際にはご覧いただければと思います。

井手:斎藤さん、ありがとうございました。

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