
12月下旬、静岡県掛川市や菊川市など県西部で、ツキノワグマとみられる動物の目撃情報が相次いでいます。
その一方、実際にはクマではなく、ニホンカモシカなど別の野生動物だったというケースも増えています。
掛川市でクマの目撃情報→実は”カモシカ”だった
12月24日、掛川市入山瀬で、クマのような動物を見たという情報が寄せられました。
これを受けて掛川市が調査したところ、目撃された地域はカモシカの生息が多い場所で、周辺にクマの足跡などの痕跡も確認されなかったことから、「目撃された動物はニホンカモシカである」と判断しました。
市の担当者によりますと、ツキノワグマとニホンカモシカは、見た目が似ているため見間違えやすいということです。
10月には島田市でも誤情報が拡散
静岡県島田市川根町の宿泊施設「川根温泉ふれあいの泉」では、10月、予約のキャンセルや問い合わせが相次ぎました。
その理由は…クマの目撃情報。
10月下旬、島田市川根町にクマが出没したという情報がSNSで拡散されました。投稿された映像には、大井川の土手を駆け下りる黒い動物のようなものが映っていました。
しかし、この情報…実は間違い。
キャンセルや問い合わせが相次ぎ...
目撃情報が大井川鉄道の線路付近だったことから、島田市が大井川鉄道に照会した結果、映っていたのはツキノワグマではなく、ニホンカモシカだったことが分かりました。
それでも、この目撃情報が拡散した後、「ふれあいの泉」にはキャンセルや問い合わせが相次いだといいます。

<川根温泉ふれあいの泉 早尻浩樹支配人 11月7日取材>
「(全国で)盛んにクマの被害が報告されている中で、やはりお客様もご心配だったのではないか。目撃は今のところないので、その分は安心かなとは思います。ただ、今後、冬場に向かって食料がないとかっていうと、クマがやってくる可能性もあるので、うーん、なんとも…」
「一瞬では判断は難しい」クマとカモシカの見分け方
静岡県自然保護課の担当者は、「クマもカモシカも見たことない人にとっては、一瞬見ただけの動物を判断するのは難しい」と話します。
県は、市町から集められた目撃情報を集計していますが、個体数が多いカモシカのほうが人里に出やすく、見間違いが起きやすいといいます。
これまでには「木の切り株」や「ネコ」をクマと勘違いした可能性が高い情報もあったということです。
では、どう見分ければよいのか?
掛川市や静岡県の担当者は、「写真や映像で正しい特徴を知ることが大切」とした上で、次のポイントを挙げています。

・ツキノワグマは全身が黒く、胸の一部に白い毛がある。歩くときに頭を上下に動 かす。

・カモシカはクマより足が長い。黒っぽい毛の個体もいるため、朝夕や夜など暗い時間帯は特に見分けにくい。
2025年度の目撃情報は過去最多
2025年度のツキノワグマの目撃件数は168件に上り(12月22日時点)、過去最多だった2024年度の156件を12月の段階で上回りました。
ただ、人身被害は今のところ確認されていません。
県は「クマの個体数が急増したわけではなく、県民の関心が高まり、通報が増えた結果ではないか」としています。
<静岡県自然保護課 担当者>
「目撃情報の集計や公表は、注意喚起を目的としています。見間違いの可能性もあるため、参考程度に受け止めていただき、日頃の行動に生かしてほしい」
その上で「被害を防ぐためにも、クマかどうか判断に迷う場合でも、積極的に市町に連絡していただきたい」と呼び掛けています。







































































