
フェンシングのまち沼津
牧野:フェンシングでまちを盛り上げようということなんですが、フェンシングに着目されたのはどうしてですか?杉澤:いろいろなまちが、いろいろなスポーツで「○○のまち」として売り出していると思いますが、サッカーや野球で日本一になるのは、なかなか難しいです。当時マイナースポーツであったフェンシングに着目し、将来性を秘めているフェンシングで日本一を目指す取り組みを始めました。
牧野:なるほど。まだまだ伸びしろがある競技ですもんね。実は、沼津市とフェンシングは長い歴史があるんですよね?
杉澤:そうなんですよ。1957(昭和32)年の国体開催時に、沼津西高校が会場となり天覧試合も行われました。国体に先立ち沼津西高校にフェンシング部が誕生し、その後市内で最大4つの高校にフェンシング部が創部されました。
牧野:そんな深い歴史があったんですね。じゃあ、優秀な選手が出てこられたんですか?
杉澤:日本代表に入るような優秀な選手を輩出しました。そんなつながりの中で、日本フェンシング協会の方と良好的な関係を築き、当時の日本フェンシング協会の地方に拠点を作りたいという思いと、「スポーツを通じたまちづくり」を目指す沼津市の考えが合致したのもあって、今の流れにつながっています。
牧野:そうなんですね。現在、フェンシングに関して沼津ではどういった動きがあるのですか?
杉澤:日本フェンシング協会と協定を結び地方に拠点を作ろうという流れの中で、沼津にはF3 BASE(エフスリーベース)という拠点を作り多くの合宿などを誘致しています。
牧野:最近選手たちも、SNSで沼津がフェンシングのまちと発信されていますよね。
杉澤:日本代表の選手たちにSNSで発信してほしいと伝えたところ、ハッシュタグ(#フェンシングのまち沼津)をつけて発信してくれています。SNSを利用することで多くの方に沼津のPRができるだけでなく、海外の選手にも沼津の良さが伝わっています。
牧野:施設としても良いものが沼津にはあるんですか?
杉澤:沼津駅北口の商業施設、BiVi沼津の中に拠点施設を作りました。様々な経験者の方にアドバイスをいただいているので、施設としてはほかの場所に比べて評価が高いです。
地元企業✕沼津で世界に活躍する選手を!
牧野:実際に選手と交流ができたりするのですか?杉澤:そうですね。実際にコロナ禍の前に日本代表の選手と体験会を開催しました。実はそこで対戦した選手が、五輪で金メダルをとったエペのチームだったんです。
牧野:そうなんですか!? そういった機会を沼津で持てるのはいいですね。
杉澤:F3 BASEのオープン時には、太田雄貴氏(北京五輪:男子フルーレ個人銀メダル、ロンドン五輪男子フルーレ団体銀メダル)から、沼津市は民間のサポートが素晴らしいと評価をいただいています。フェンシングで盛り上げようと、たくさんの企業の方がフェンシングの取組を推進する「フェンシングのまち沼津推進協議会」のメンバーになっています。
牧野:例えばどういった企業がどんなサポートをしていますか?
杉澤:ダイドードリンコさんが沼津で開催されている全国大会にドリンクを提供してくれています。
牧野:あとは、地元企業からの協力もあると聞いています。
杉澤:そうなんです。女子エペ日本代表の鈴木穂波選手を採用しているネッツトヨタ静岡さんをはじめ、今年は沼津信用金庫さんが、女子サーブル日本代表の脇田樹魅選手を採用したことも大きいですね。脇田選手は最近行われた全日本選手権で3位に入り次の五輪も目指しているので、ぜひ2024年パリ五輪に出場してほしいと思っています。
牧野:みんなで応援しようという動きができているんですね!そして、今年は新たな大会が開かれたりしているんですよね?
杉澤:昨年の10月からいろいろな構想を練って、野村證券さんなど大手企業の沼津支店の職員同士の対抗戦を行いました。
牧野:一般の会社の方たちが戦うんですよね? みなさんフェンシングできるんですか!?
杉澤:それが、本物のフェンシングではなく「スマートフェンシング」というチャンバラのような柔らかい剣を使って、「誰でも」、「どこでも」、「安全に」、「簡単に」、「本格的に」フェンシングの疑似体験ができるものなんです。
牧野:フェンシングのお手軽版があるんですね。それは面白い!
さらなる目標
牧野:これからも多くの方にフェンシングのまち沼津に注目してもらいたいですね。
杉澤:実は、来年沼津市に全日本フェンシング選手権を誘致しようと頑張っています。さらに、今後ワールドカップや世界選手権の誘致も目指しています。
牧野:すごいですね! これは新しいまちづくりの形ですね。
杉澤:そうですね。スポーツツーリズムを通じて地元の経済を盛り上げたり、沼津をもっと発信していければと考えています。
牧野:沼津と言うと魚のまちというイメージを持たれがちですが、今後はそれに加え、フェンシングのまちとしても売り出していこうという杉澤さんにお話をうかがいました。どうもありがとうございました!