
相続税の基礎知識と「もめない相続」のためにできること
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相続税がかかる「財産」は?
坂口:まず、「相続税」を簡単にいうと、亡くなられた方(被相続人)の財産を引き継いだ方が納める税金です。相続税がかかる財産は大きく4つに分かれます。1. 亡くなられた方(被相続人)が、亡くなった時点において所有していた財産
土地、建物、株式などの有価証券、預貯金、現金など、金銭に見積もることができる全ての財産が相続税の対象になります。日本国内だけではなく、海外にある財産、家族の名義となっている財産も課税対象になることがあります。
2. みなし相続財産
「生命保険金」や「退職金」などです。一定の金額(500万円×法定相続人の数)までは非課税となります。法定相続人が配偶者とお子さん2人のあわせて3人の場合、1500万円までは非課税です。
3. 生前に贈与を受け「相続時精算課税制度」を適用した場合
「相続時精算課税制度」とは、60歳以上の父母・祖父母などから18歳以上の子・孫への贈与した場合において選択できる制度。被相続人から生前に贈与を受け、贈与税の申告の際に相続時精算課税を適用していた場合、その財産は相続税の課税対象となります。
4. 生前に贈与を受け「相続時精算課税制度」を選択しなかった場合
被相続人から相続などによって財産を取得した人が、被相続人が亡くなる前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産は、相続税の課税対象となります。
相続財産から控除されるものは?
坂口:亡くなられた方の債務や葬式費用を、相続財産から差し引くことができます。債務には、亡くなられた方の借入金や、未払いの税金、クレジットカードの利用残高などがあります。控除できる「葬式費用」に含まれるのは、お寺や葬儀社への支払い、お通夜に要した費用などです。お墓の購入費用や香典返し、四十九日の法要に要した費用などは差し引くことができません。相続税の申告が必要なケースは?
坂口:「相続財産の合計金額から債務・葬式費用を差し引いた金額」が、「遺産に係る基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)」を超えた場合に、相続税を申告する必要があります。牧野:自分が相続税を納める必要があるか、簡単にわかる方法はありますか?
坂口:国税庁のホームページに「相続税の申告要否判定コーナー」があります。そこに相続人の情報や相続する財産の情報などを入力すると、比較的簡単に確認することができます。
牧野:相続税の納付期限はありますか?
坂口:相続の開始があったことを知った日(通常の場合は、被相続人が亡くなった日)の翌日から10か月以内に、亡くなられた方の住所地を所轄する税務署に申告・納付する必要があります。提出期限を過ぎると加算税や延滞税がかかります。
「争続」にならないために
牧野:遺産相続でもめる原因で、一番多いのは何でしょうか?坂口:私の感覚になってしまいますが、不公平を感じている場合はもめるケースが多いように思います。その場合は、よく話し合いましょう。
牧野:家族で相続について話し合う、うまい方法はありますか?
坂口:「知り合いの話だけど……」と切り出すのが話しやすいと思います。できれば、親が元気なうちに、お正月など帰省した時に話し合うのがいいでしょう。
牧野:お子さんがいない相続でもめるとも聞きます。
坂口:お子さんがいない場合、法定相続人は配偶者と、直系尊属(親)や兄弟です。遺された配偶者が交渉することになるため、疎遠になっている場合は大変です。
牧野:だから早めに対策をしておいて、元気なうちにみんなで話し合っておいたらいいですね。その他、相続税に関して私たちが知っておきたいことはありますか?
坂口:毎年12月、税金に関する改正(案)が公表されます。今年も相続税や贈与税の見直しが検討される予定ですので、その辺りの動きを追っていただいて、どのように改正される予定なのか見ておいた方がいいと思います。
牧野:10年前の知識で教えてもらったことは、今もそうだとは限らないんですね。専門家のアドバイスを受けることも大事かと思います。ありがとうございました。
今回、お話をうかがったのは……坂口猛さん
All About「初心者のための相続税・税金」ガイド。税務署や税理士事務所、中小企業の役員や大手上場企業Grにおいて現場実務を30年以上経験し、キャッシュフローコーチ(R)&CFP(R)の『非常勤経理部長』として、広くお金に関する支援を行っている。
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