浜松に残る唯一のゴマ油の工場
隣には築120年の古民家をリノベーションした「古民家キッチン ゑふすたいる」が並び、古さと美しさがあるとても素敵な外観です。

70年以上の歴史のある機械が現在も稼働中
太平洋戦争で武器の材料となる鉄製品が全て接収されるという歴史や、伊勢湾台風と言った天災にも乗り越え、先人が守り続けてきた工場です。
また、電気がなかった時代には、この地域に流れる伊佐地川の水車の力を利用して機械を稼働させていました。

これは、モーターを買うのも高価だった時代に生まれた、工場を動かす為の先代の工夫と知恵だそうです。
工場内には、ねじ式の圧搾機をはじめ、当時から残る精選や乾燥、蒸煮の機械、更にはゴマを運ぶ為の木造のエレベーターなど、貴重なものが現在も稼働し続けています。

奥に見える横一本に繋がる太い柱は、よく見ると1本の木からできています。このような建築物が今の時代まで残っていることはとても貴重で、ベテランの棟梁さんも目を輝かせるほどだそうです。

貴重な機械なだけに、修理は手作業で行い、稼働中は従業員が常駐しています。

古き良き伝統を残しつつ、時代に合わせて安心を届ける
伝統製法を残しつつ、時代が求める安全安心の基準をクリアしていく、というバランスを大切にしているのも、村松製油所の素敵なところです。

赤と白のゴマ油。パッケージには花のイラストが
赤いゴマ油は、茶褐色のように色が濃く、焙煎して圧搾します。芳ばしいゴマの香りが特徴で、中華料理等にもよく使われるタイプのものです。
白いゴマ油は、色が透明で、蒸煮してから圧搾します。あえてゴマの風味を抑えているので、クセがなくどんな料理にも合い、素材の味を引き立たせてくれます。
また、工場内ではオリジナルのラー油をはじめ、いろいろな種類の油も販売されています。
村松製油所の油にはラベルにも特徴があり、ゴマ油にはゴマの花、ラー油には唐辛子の花のイラストが描かれてあります。

先人の想いや歴史を通して、地域を守り後世に伝えたい
不便だった時代だからこそ生まれる工夫と発想、苦労の上に生まれたアイディアが工場の至る所に垣間見れ、大切に残していきたい、と思いました。」
そうお話してくれるのは代表の木下さん。
もともと、大手自動車会社でサラリーマンとして働いていたところに、とある縁からこの村松製油所の後継者としての声がかかりました。
村松製油所の先人の想いや歴史を知り、地域を守り後世に伝えたいという想いから
「どこまで通用するかわからないけれどやれることは最大限にやっていこう!」
と食品業界に飛び込んだそうです。

古民家レストラン「ゑふすたいる」で村松製油所の味を知ることができる
そんな想いから、築120年の古民家をリノベーションして信頼のあるシェフを招き、2021年6月にレストランをオープンしました。
料理の全ての油は村松製油所のものを使用しています。
メニューには地元産ブランド食材をメインに、三ヶ日牛のローストビーフや、奥浜名湖竜神豚のローストポークが人気です。また、カレーはあえて辛さを控え、ラー油を加えることで自由に辛さを調節できる工夫をしています。
また、搾り終えたゴマ「ゴマミール」を衣に使った唐揚げは、製油所ならではのメニューです。ゴマの風味が中で広がり、いつもとは違う食感と風味の唐揚げを楽しむことができます。

そして、食べた後にほんのり白ごまの香りが残り美味しいです。」
そうお話してくれるのは「ゑふすたいる」のオーナーでシェフの藤田さん。
シェフも認める味の理由は、良質な材料と昔ながらの圧搾製法で丁寧に作られていることを十分に理解されているからだそうです。
古民家の良さを前面に出し、村松製油所の歴史を重んじる藤田さんだからこそ、一つ一つにこだわりを持って料理を提供されています。

子ども達にもゴマを通して伝統のある食の歴史を残したい
先人を敬い伝統製法を守るたくさんの人達の想いが、村松製油所の油には込められています。
歴史を繋ぐ人達がいるから、美味しい食事をすることができる、
そんな食に関わる感謝の気持ちを、村松製油所の油を通して、子ども達にも伝えていきたいですね!
