一緒にNIE

「一緒にNIE」は静岡新聞の「教育」欄で2011年4月にスタートし、2015年4月から「月刊 一緒にNIE」で連載しています。 日本新聞協会認定の県内のNIEアドバイザーたちが教諭や保護者に NIEをやさしく解説し、授業活用のヒントを示しています。NIEへの理解を広げるため、ご活用ください。

月刊一緒にNIE@しずおか=論理的思考力 新聞で育成 教科書と記事 両方読む習慣を-常葉大大学院 中村孝一教授

2018年07月07日(土)付 朝刊


 県NIE推進協議会の2018年度総会がこのほど、静岡市駿河区の静岡新聞放送会館で開かれ、常葉大大学院の中村孝一教授が「NIEと国語学力の形成―論理的思考力の育成と新聞活用」と題して講演した。中村教授は「国語教育に今求められている論理的思考力を子どもたちが身に付けるためには、新聞を教育に取り入れることが有効だ」と力説した。
 

 2020年に施行する新学習指導要領を念頭に、国語科で習得するべき力と新聞の活用の仕方について解説した。
 児童・生徒の論理的思考力に課題があるとした中央教育審議会(中教審)の答申に触れ、「具体と抽象の関係性に着目しながら、説明文を読み解くことを小中学校では教えている」と現在の指導内容を説明した。
 課題解決のために有効なツールとして挙げたのは新聞。記事を要約した「リード文」に抽象的な事柄が記され、2段落目以降に具体的な内容が書かれていることを紹介し、「授業で学んだ読み方を実践すれば、初めて読む新聞記事でもある程度は小中学生も理解できる。教科書の文章と新聞記事の両方を読む習慣を付けることで、論理的思考力を高められる」と強調した。
 急速に情報化が進展する社会では、多様な情報を的確に理解し、考えの形成に生かしていくことが求められる。新学習指導要領で「情報の扱い方に関する事項」が新設されたことにも注目し、「情報に慣れるには、複数の新聞の読み比べや、一つの記事の中から具体と抽象の関係、主張や根拠を読み取る授業が有効だ」とアドバイスした。
 新学習指導要領では「読書」の定義を「本に加え、新聞、雑誌を読むことを含む」としたことも紹介。小中高を通じて読書指導を充実させる必要性を示した中教審の答申を踏まえ、「読書の習慣付けに新聞を読むのもいい。指導のバリエーションが出て、NIEの発想が広がるはず」と新聞活用の創意工夫を呼び掛けた。

 

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論理的思考力を高めるための新聞活用について講演する常葉大大学院の中村孝一教授=静岡市駿河区の静岡新聞放送会館

 

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■新聞記事の感想文募集 児童生徒が対象-静岡新聞社

 静岡新聞社は、県内の小学生から高校生までを対象にした「2018年度しずおか新聞感想文コンクール」(県教育委員会など後援)の作品を募集している。同コンクールは、児童・生徒が新聞を通じて活字に親しみ、読解力と表現力を養うとともに、地域や社会への関心を高めることを目的としている。
 課題は、18年1月1日から8月31日までに新聞に掲載された記事の感想。応募対象は小学4年生以上で、小学生、中学生、高校生の3部門。賞は各部門で最優秀1点、優秀賞2~3点、奨励賞などを選んで表彰し、応募者全員に参加賞を贈る。
 応募方法は、応募要項で確認する。応募要項の請求と問い合わせは静岡新聞社読者部内「しずおか新聞感想文コンクール」事務局<電054(284)8984>(平日午前9時~午後5時)へ。

 

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■紙面授業-地歴公民 天守再建は大仕事(山崎典明先生/常葉大常葉中・高)

 本校のある常葉大学水落キャンパスは、徳川家康が晩年を過ごした駿府城の「外堀」、正確には「三の丸堀」の北東の角にあります。駿府城公園では、現在静岡市による天守台の発掘調査が進んでいます。その結果、天守台の規模が江戸城を超える大きさであるという調査発表が2月にあり、静岡新聞紙上でも報道されました。
 駿府城天守閣は、完成直後の1607年焼失、家康お気に入りの大工の棟梁中井大和守正清によって再建されながら、1635年の再度の火災でその姿を消した「幻の天守閣」です。その姿が描かれた静岡市所蔵の「東海道図屏風」も昨年修復が終わりました。県立中央図書館所蔵の「駿府城御本丸御天守台跡之図」などの史料もあり、7階建ての勇壮華麗な天守閣の実像が、鮮明になるかもしれません。
 3月の新聞報道によると、田辺信宏市長は石垣による整備も視野に「天守台広場整備計画」を見直す考えを表明しています。これが実現すれば、天守閣再建への期待も高まります。周辺地域の観光にも好影響が期待できます。
 ただし、問題はその費用です。石垣構造での天守台復元には、多い場合で100億円前後、さらに天守閣の再建に140億円程度必要という試算もあります。市の第3次総合計画の「五大構想」は「歴史文化の拠点づくり」を掲げていますが、平成30年度の当初予算でついた額は8億円です。天守再建は大事業だと分かります。
 さらに、天守を囲む「本丸堀」再建なども考えれば、工事には十年単位での期間を要します。つまり、現役世代だけでなく、中高生世代も関係ある案件で、若い世代の意見が大切となります。
 発掘調査は今後、今川期の段階に入ります。その成果にも期待したいと思います。

 

 県内の中学・高校の先生が、時事のニュースや話題を切り口にした授業を紙面で展開します。

 

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■NIEアドバイザーのワンポイント講座(16)「見出し比べ」のススメ

 私の学校では朝読書の時間に「新聞タイム」を始めました。記事を読み、自分の考えを書いたり、見出しを付けたりする活動です。
 記事を読む際、特に意識させているのが「見出し」です。子どもたちには、①少ない文字数で記事の内容を適切に伝えていること②読み手を引きつける表現になっていること-に着目して、見出しを読んだり、付けさせたりしています。
 見出しは新聞の命とも言える部分です。見出しによって、記事に対する読み手の印象は大きく変わります。
 例えば、水泳平泳ぎ五輪メダリストの北島康介選手が引退を決めたレースの記事は、「北島 五輪出場逃す」という見出しもあれば、「北島 涙の完全燃焼」というのもあり、新聞社の伝えたいことによって見出しは違ってきます。ですから、子どもたちには新聞の「比較読み」を勧めます。 また、自分の付けた見出しを仲間と比べさせ、見方や伝えたいことに違いがあることに気付かせます。
 記事に見出しを付けるNIEの活動はとてもやさしい取り組みですが、効果は絶大です。
 (焼津豊田中・矢沢和宏)

月刊一緒にNIE@しずおか=朝学習で学力効果 記事基に言葉探しや要約-富士宮・西富士中

2018年06月02日(土)付 朝刊


 生徒の思考力や判断力、表現力を総合的に高める-。富士宮市立西富士中は2016年度から、朝の時間帯に新聞を活用した学習に取り組んでいる。NIE実践指定校としては2年目。「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト)では、学力効果も出てきている。

 新聞を取り入れた学習を行う「新聞の日」は、毎週金曜日の午前8時からの10分間。同校NIE担当の大口拓真教諭(25)が選んだ記事を基にワークシートを作成し、それを全校生徒119人が読み、設問に答える。題材はスマートフォン、選挙、東日本大震災などさまざま。大口教諭は「その時期に合った、生徒に考えさせたい記事を取り上げている」と語る。
 5月25日の新聞の日。生徒たちは各教室で、ワークシートに真剣な表情で向かった。この日の題材は、大学生の半数以上が「読書時間ゼロ」の調査を踏まえた教育関連のコラム。設問は、▽見出しの空欄に当てはまる言葉を文中から探す▽ある言葉の説明をヒントに、文中から該当する言葉を探す▽記事の内容の要約▽考えたことや感じたことをまとめる-。重要なポイントにはマーカーで色付け。穴埋め問題はその場で答え合わせをし、記述の部分は回収して採点する。
 大口教諭によると、取り組みを始めた当初よりも生徒が答えや文章を早く書けるようになり、ポイントもつかめるようになってくるなど成果が出てきたという。全国学力テストでは、かつての3年生よりも無回答率が改善。記述式問題でも正答率が大幅に向上した。
 2年の渡辺吾留君(13)は「面白い記事に触れることができて楽しい」、3年の白川深愛さん(14)は「家でも新聞を手に取って読むようになった」と話す。今後は各教科の授業にも積極的に新聞を取り入れる方針で、その活用策を模索する。

 

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真剣な表情で設問に取り組む生徒たち=富士宮市立西富士中

 

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アドバイスを送る大口拓真教諭(左)

 

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 ■紙面授業-家庭 一針一針の温もり 静岡女子高 今戸伴子先生

 今年1月8日(成人の日)に突然休業した「はれのひ株式会社」により、晴れ着が着られなくなった新成人が相次いだ事件は衝撃的で、新聞紙面でも大きく報じられました。
 洋服文化がヨーロッパから入ってきても、和服文化は大事に受け継がれています。6月には「虫干し」「衣替え」という着物を大切に着る日本ならではの季節の言葉を耳にします。2020年東京五輪・パラリンピックのエンブレムやマスコットキャラクターに使用されている市松模様も、歌舞伎役者が袴に用い広く知られるようになり、今でも伝統模様として使われています。
 私の勤めている高校は、裁縫女学校から始まり、今年創立100周年を迎えました。現在も和裁の授業は手縫いで行われ、生徒が日々技術を磨いています。思うように針を動かすことができないで入学した生徒も、作品を仕上げていくごとに少しずつ製作が楽しくなっていきます。
 作品製作の一つでは、新生児をくるむ産着をまっさらなさらしから製作します。母となる日を想像しながら、クラスメートとともに一針一針刺しゅうをして仕上げます。生徒の表情には優しさや温[ぬく]もりを持った女性ならではの母性を感じることができます。どんな子を産み、この産着を着せて育てるのだろうと、想像しながら取り組む時間は、とても心地よい幸せな時間となっています。
 NHKの朝のドラマ「べっぴんさん」でも、主人公のすみれがウエディングドレスから産着を作り、その後、すみれの孫に受け継がれていく場面が温かく表現されていました。
 物作りには明るい未来を想像し、人に希望を抱かせる力があります。若い人々にも節目に着物を着ることで、日本の文化を大切に受け継いでほしいと願っています。

 県内の中学・高校の先生が、時事のニュースや話題を切り口にした授業を紙面で展開します。

 

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 ■NIEアドバイザーのワンポイント講座(15) 図表から情報読み解く

 大学入試センター試験に替わり、現在の高校1年生が受験する2021年に「大学入学共通テスト」が始まる。昨年12月に共通テストの試行調査の問題が公表され、知識の活用力を問う設問が多いことが話題となった。
 問題文が長く、これまで以上に読解力が必要となる。複数の図・グラフ・表から情報を読み解くことも求められる。さらに、抽出した複数の情報の関係性や傾向を見いだし、構造化して、新しい考えをまとめる思考・判断・表現の能力、考える力が求められる。
 新聞には、図表を用いている記事がしばしば掲載される。こうした記事で、生徒たちの思考力のトレーニングをすることをお勧めしたい。
 複数の図・表を示した新聞記事を探す。その記事の文章のうち、図表を読み取り分析している部分を隠して(消して)おき、生徒各自にあてはまる文章を考えさせて書かせてみよう。その後、新聞記事の本文を紹介する。
 教科や特別活動などの目的にかなう「使える記事」が掲載されたとき、見逃さないよう、毎日の新聞チェックも怠りなく。
 (清水西高・吉川契子)

月刊一緒にNIE@しずおか・第1土曜掲載=読者意識した新聞づくり 全国で大臣賞 企業広報紙も 韮山高 写真報道部

2018年05月05日(土)付 朝刊


 新聞での情報発信にこだわり、成果を挙げているのが、伊豆の国市の県立韮山高写真報道部。2015年の部発足以降、熱心な新聞制作活動を進め、17年度の全国高校新聞コンクールでは、最高賞の文部科学大臣賞を受賞。企業などが高校生と連携して手掛ける新聞やフリーペーパーの制作にも積極的に加わり、学校新聞の枠を超え活動の幅を広げている。
 

 同校にはかつて新聞部があったが、約20年前に活動がなくなり、生徒主体での新聞発行が途絶えた。しかし14年、上杉剛嗣教諭の赴任をきっかけに、生徒による学校新聞が復活。15年に写真部を改称して写真報道部が発足した。以降、年3回発行のタブロイド判の「韮高新聞」と、週1~2回の頻度で発行するA4判1枚の「龍城学報」を制作している。
 そのほか、三島信用金庫が発行する企業紹介の新聞や、伊豆箱根鉄道の沿線自治体などで組織する協議会のフリーペーパーの制作にも、他校の生徒とともに参加。学校新聞では機会の少ない企業への取材など、貴重な経験を重ねてきた。
 同部が意識するのは「読者を大切にした新聞づくり」。生徒に興味を持ってもらえるテーマ設定、記事内容を考えている。中には、世間で議論されているテーマについて、生徒たちの考えを調査した特集も。その一つが、憲法改正に関する校内アンケートの結果をまとめた17年9月発行の韮高新聞の特集「韮高生の目で憲法を見る」だ。結果について同校の公民科講師による分析を加え、新聞記者や憲法学者のインタビューも載せて内容を深めた。
 中心となって担当した工藤奏多さん(2年)は、紙面作りに「一般紙が参考になった」と振り返る。新聞社が発表した改憲案を引用したり、改憲の論点を把握したりするのに活用。「新聞は情報の信頼度が高い」と語る。最高賞に輝いた高校新聞コンクールでは、この特集が審査委員長の講評で触れられ、評価を受けた。
 部をまとめる石井拓也部長(3年)の将来の目標は新聞記者。インターネットと比べ、新聞の利点を「自分が欲しい情報だけでなく、幅広い情報を得ることができる」と強調する。入部後、一般紙に目を通すようになるなど新聞との関わりが変化した。「これからも新聞を読み、知識を増やして目標に近づきたい」と力を込める。
 

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写真報道部が制作している「韮高新聞」や、企業との連携で発行された新聞

 

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紙面作りについて話し合う韮山高写真報道部の部員たち=伊豆の国市の同校

 

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 ■紙面授業=国語 文学「味わう」喜び 菊川南陵高 滝浪安則先生

 料理をするときには、まずメニューを決め、次に材料選定、下処理、調理、味見、盛り付け、提供となります。そして、いよいよ賞味(味わう)ということになります。この「味わう」というのは食に関することだけではなくて、実は芸術や文学の世界にもあることなのです。
 国語というと難解語句などの知識が必要だということから、厄介なものだと考えられる人もいるかもしれません。今、高校では2020年度から始まる「大学入学共通テスト」が大きな関心を集めています。3月には試行調査の国語の記述式問題で、正答率が0・7%と極端に低い問題があったことなどが公表され、新聞紙面でも大きく取り上げられました。こんな記事を見ると、なおさら国語が面倒なものに思えるかもしれませんが、決して難しく考える必要はないのです。
 料理の場合、個人差はありますが、おいしいと感じる時は口に入れてすぐだったり、咀嚼[そしゃく]を繰り返し、喉を通過する時だったりします。文学にもすぐに「味わう」ものから、何度も何度も読みを深めることで「味わう」ものまであるのです。含蓄のある食材(言葉)があると、ずうっと時間が経って、例えば数十年後に自らの経験やさまざまな思考過程の中でふと気付いて「味わう」こともあります。
 学校では学習の到達度を調べるために、定期的な試験があります。たとえその時理解できなかったとしても、安直に好き嫌いに結び付けずに、何度も咀嚼してもらえば自然と味わえるはずです。一度読み味わった作品でも、再読するとまた違った新たな味わいをすることもあります。「味わう」の先にある通じ合ったことへの喜びと感動というものにきっと出合えることでしょう。

 ※県内の中学・高校の先生が、時事のニュースや話題を切り口にした授業を紙面で展開します。
 

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 ■NIEアドバイザーのワンポイント講座(14)=考え、議論できる「まわし読み」

 「まわし読み新聞」は仲間づくりと学びの要素を兼ねた実践と言われます。各自が気になる新聞記事を持ち寄ってグループの中で回し読みし、記事についてプレゼンテーションした後、意見交換の場を持ち、それを材料にして自分たちの新聞を作るからです。
 仲間づくりの要素としての良さは、プレゼンで分かりやすく伝える必然性を実感し、コミュニケーション力をつける手立てとなることです。少人数での話し合いの場は、話し下手の子どもの口を開きやすくします。
 学びの要素としての良さは、事前に与えられているテーマに基づき新聞記事を選択しているため、子どもたちが一定レベルの知識をもって授業に臨むことができることです。同じような記事を選択した場合でも、その選択理由が異なると多様な見方や考え方を知ることができます。
 これらのことから、「まわし読み新聞」は、従来の教科だけでなく今年度からスタートした「考え、議論する道徳」でも十分に活用できます。今を話題にし、たとえ結論が出なくても話し合いができることが、新聞を使って道徳を行う最大の利点と言えます。
 (静岡井宮小・中村都)

月刊一緒にNIE@しずおか・第1土曜掲載=読む 聴く 発信 生きた英語 本紙「YOMOっと」活用-東海大静岡翔洋小

2018年04月07日(土)付 朝刊


 2020年度から小学校で正式教科となり関心の集まる英語。NIE実践指定校の東海大静岡翔洋小(静岡市清水区)は、14年度から英語の授業で、本紙の日曜別刷り新聞「週刊YOMOっと静岡」に掲載されている「今週の英語News」を活用している。テーマはアニメから世界情勢までさまざま。生きた英語教材として、児童の主体性を育む英語教育に取り組んでいる。
 

 1年生から英語を学ぶ同校では、英語授業の大半を英語のみで行い、6年生の16時限分で「今週の英語News」を扱う。テーマは、フェアトレードや自動運転車など教員が紙面から厳選し、3~4文で構成された30~40語のニュース英語を基に独自のワークシートを作り、使用している。
 2月上旬、6年生の授業では「若者よ、盆栽もクールだぞ」(17年2月5日付)の紙面を使った。高橋佑未子教諭と米国出身のエイドリーン教諭が、日本文化で思い浮かぶものを質問すると、児童たちは「茶道」「着物」「柔道」など意見を出し合った。エイドリーン教諭が「盆栽はクール」と例を挙げ、紙面に掲載された「小学校での盆栽授業」の写真をスクリーンに映し出した。
 児童らは「ハサミ」「おじいさん」など写真から読み取れる単語を確認。続いて教諭らは紙面の専用コードを読み取りネーティブの発音音声を流した。児童らは聴き取れた音や語句をグループごとに確かめたり、辞書を引いたりして英文を完成させ、発音。さらにその和訳も行い、日本文化を広める方法について考え、英語で意見交換した。
 高橋教諭は、自分の考えを持ち、仲間と考えを共有して英語で発表することを目標にしている。そのための情報源として新聞は有意義という。武田彩奈さん(12)は、英語を学びながらニュースを知る楽しさを感じ「自分の意見を英語で伝えることは難しいけど、異文化も知った」と話した。島田未徠さん(12)は「ネーティブの英語が少しずつ聴き取れるようになった」とし、「仲間と意見交換して、新たな考えを知ることができた」と手応えを感じている。
 高橋教諭は、英語学習は英語を学ぶのではなく、英語で学ぶことが大切と指摘。「題材が幅広くコンパクトな英語紙面は役立つ。他の教科とも連携を強め、子どもたちの視野を広げていきたい」と意気込みを語った。

 

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2017年度の授業で活用した「YOMOっと」を示す高橋佑未子教諭(左)とエイドリーン教諭=2月上旬、静岡市清水区

 

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積極的に英語で意見を言う児童

 

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 ■紙面授業=英語-自分なりの「幸せ」 清水国際高 漆畑夕子先生
 3月20日は、国連が定めた「世界幸福デー」。毎年国連は、「世界幸福度報告」を発表しています。今年もこのほど発表され、日本は昨年の51位から54位に下がりました。幸福度の調査はほかにもあり、新聞紙面でも時折、紹介されます。
 このような調査の中に「純粋幸福度」と言われている「世界幸福度調査」というのがあります。昨年1位を獲得したのは南太平洋の島国、フィジーです。授業でこの話をした時、「フィジーの人たちはなぜそんなに幸せなの?」と生徒が尋ねると、ALT(外国語助手)が「日本はどうなの」と尋ね返しました。「15~34歳の死亡原因の1位が自殺の国だよ。幸せじゃないんだよ」「みんなおしゃれもして、スマホも持って、何でもある。なぜ幸せじゃないの?」「日本は物がありすぎる」
 本校では毎年冬休みにフィリピンのセブ島で1週間の英語研修を行い、この生徒も参加した中の一人でした。「セブ島ではテレビもないし、Wi-Fi(ワイファイ)の環境も悪い。シャワーの水圧も低かったけど、幸せだった」。英語研修中、行く先々で会う現地の子どもたちの着ているものは、決して恵まれた暮らしをしているようには見えません。しかし、どの子も本当にまぶしい笑顔をしていました。
 現在、世界の約8割は発展途上国で、フィジーやフィリピンもそこに含まれます。しかし、調査や笑顔からは先進国である日本よりも幸せそうに思えます。明日の食事もあるか分からない子どもたちが、力強く生きています。さきほどの生徒も現地に行き、学校の勉強では学べない何かを発見したのでしょう。外の世界に飛び出してみると、自分の知らなかった世界が広がっています。コンピューターやスマホを離れ、自分なりの幸せを探してみませんか。

 ※県内の中学・高校の先生が、時事のニュースや話題を切り口にした授業を紙面で展開します。
 

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 ■NIEアドバイザーのワンポイント講座(13)=東大受験の新聞活用術
 国語の指導を担当した卒業生が今春、めでたく東京大理科2類に現役合格した。今回は、彼に聞いた、こうすればよかったという受験勉強中の新聞への関わり方を紹介する。
 ①毎日、志望分野の記事が掲載されているか斜めチェックし、あれば、記事の見出しを考えて付箋に書き、プロの見出しと比較する。時間がない時は切り抜かなくてよい。
 ②勉強に集中できない時期こそ、付箋のついた記事を読み返し、切り抜いてノートに貼り付ければよかった。目に見える厚みが、やる気の欠如を補ったのでは。モチベーション回復の一案である。
 ③東大の国語はとにかく時間との勝負なので、速読の訓練が絶対必要。大胆に要約する語彙[ごい]力を養うには、記事の読み込みが最も効率的だと思う。どうすれば短くまとめられるか、常に念頭において読むと学力アップが実感できるだろう。
 「今思えば、最悪の時期こそNIEが効果的だったのでは」とは、体験した者の言葉の重みであろう。スランプ脱却にNIEが効果的とは、これから受験に挑む後輩たちには金言たるに違いない。
 (静岡高・実石克巳)

月刊一緒にNIE@しずおか・第1土曜掲載=実践4校 成果と課題

2018年03月03日(土)付 朝刊


 県NIE推進協議会(安倍徹会長)はこのほど、2017年度NIE実践報告会を静岡市駿河区の静岡新聞放送会館で開いた。15年度に実践指定校の指定を受けた東海大付属静岡翔洋小、16年度に指定された森町立森小、裾野市立富岡中、浜松市立可美中の全4校の担当教諭が取り組みの内容と成果、課題を報告した。
 

■教育目標につなげる-東海大付属静岡翔洋小 松本傑教諭
 実践指定校に指定される1年前から職員が新聞の教育活用を自主的に始め、計4年間取り組んだ。実践指定校に指定されて生じた大きな変化は複数紙が届くこと。記事の内容や写真など、教室で子どもと比較することができるようになった。
 重要なのは新聞の教材化ではなく、教育目標を達成すること。国語の授業では好きな新聞記事をスクラップして要約し、感想を書いている。保護者からは「学年が上がるにつれて新聞を読む力の深まりが伝わる」との声が寄せられた。
 1年生は幸せを感じたニュースを探す「ハッピーニュース」に親子で取り組み、5年生の公開授業では新聞記事をテーマに学級討論を実施し白熱した。
 新聞は子どもと社会をつなぐ懸け橋。今後も効果的に扱い、国語力や情報リテラシーの育成とともに道徳心を養っていきたい。

 

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■地元の記事が身近に-森小 兼子万紀郎教諭
 実践校に提供される新聞の1面は印刷して昇降口に、森町に関する記事などは職員室前にスクラップして掲示した。毎日の更新は負担が大きいという課題はあったが、大きなニュースがあると子どもたちが食い入るように見ていた。
 図書室前には新聞閲覧スペースを設けた。1年目は読まれた形跡がなかった反省から、2年目は図書委員が読んでほしいページを開いて置いたところ、立ち止まる児童が見られるようになった。
 低学年は新聞を使って文字の読み方や見出しの付け方を学び、中学年は森町に関するスクラップや防災がテーマの新聞制作に取り組み、高学年は新聞社見学や朝の新聞スピーチを実践した。児童にとって新聞が身近なものとなり「楽しい」との反応があったのが成果。一方、本校は読書習慣が不十分なため、じっくり新聞を読む時間の確保が課題となった。

 

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■学校全体で取り組む-裾野富岡中 加藤りよ教諭
 本校では教員4人がNIE委員会を組織し、2年間学校全体で取り組んだ。毎月最終週にNIE週間を設け、朝の時間に記事を読んで感想を書き、グループで意見交換した。11月末には18歳選挙権や部活動週4日制度をテーマに全校で討論するNIE集会を実践。最初は恥ずかしがって意見が出なかったが、最終的には時間切れになるほど白熱した。
 NIEに関する校内アンケートをとったところ、7割の生徒がNIEを機に社会の出来事に関心を持つようになったと回答。「授業の新聞活用はいいこと」と答える生徒が9割に達するなど、前向きな意見を得られた。
 NIE週間のテーマは教員がこれまで選んでいたが、今後は記事を生徒自身が選ぶのも重要。生徒も教員も学校の勉強と社会の動きを切り離しがちだが、新聞がつなぐ役割を果たしていると感じた。

 

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■考えまとめる力付く-浜松可美中 村松聡一郎教諭
 昨年度は18歳選挙権が引き下げられたため、参議院選挙への関心向上を目標にNIEを実践した。政治への興味を深めるために、3年生有志によるNIE実行委員会を設置。朝夕刊を読めるNIEコーナーを図書室に設けたり、興味を引くニュースを生徒が校内放送で紹介したりした。
 3年生の社会科では、18歳選挙権施行日の各紙を比較して情報リテラシーを学んだほか、政治に関する記事のスクラップに意見文を書く取り組みを継続した。最初は感想だけだった内容が次第に意見文へと質が高まり、記事の内容を自分自身と結びつけてまとめる力が身に付いていった。
 今回の実践で、生徒がニュースを話題にする機会は確実に増え、教師の意識も高まるなどの効果があった。しかし部活や行事との両立が課題。今後は校区の小中学校でNIEを連携し効果を高めたい。

 

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■NIEアドバイザーのワンポイント講座(12)=春休み時事教材を準備
 もうすぐ春休みです。先生方は実践を振り返り、新年度への希望に胸を膨らませていることと思います。そんな今だからこそ、NIEを実践する上で取り組んでほしいことを紹介します。
 まず、いつ、どんな記事や写真が必要であったか整理しましょう。桜エビの天日干しの記事は4年社会科で、インフルエンザ関連の記事は保健や学級活動で使えたなど、思い当たる記事があるはずです。切り抜くことができた記事は貴重な財産になります。スクラップしておき、手に入らなかった物は備忘録などにメモをしましょう。
 次に、新しく指導する学年が決まったら、年間指導計画や教科書の最初から最後まで目を通しましょう。何を指導するかイメージがわいたら、どんな新聞記事があればいいか洗い出します。季節を伝える記事や身近な市町の動きなど、日々の新聞は、今を学ぶ学校教育にとって情報の宝庫です。より多くの情報をタイムリーに使うためには、それなりの準備が必要になります。
 (浜松与進北小・山崎章成)

 

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■紙面授業=英語-劇中にも移民問題 焼津高校 栗田裕三先生
 米国のトランプ大統領が1月中旬、移民制度に関する会議の席上、アフリカやカリブ海諸国からの移民を汚い言葉で中傷した、というニュースは新聞でも大きく報じられ、国際的な反発を呼びました。
 今年、生誕100年を迎えた20世紀を代表する音楽家、レナード・バーンスタインの代表作の一つに、ミュージカル「ウェストサイド物語」があります。二つの不良グループの対立を軸に、許されない恋を描いた名作です。この背景にあるのが、移民問題です。対立する不良グループは、古くからの移民のプアホワイト(ポーランド系)と、新興移民のプエルトリコ系。人種の違いなどにより対立は根深く、それが悲劇をもたらします。
 作品の中でも、この移民問題が分かりやすく表現されています。
 例えば「R」の発音。ポーランド系とプエルトリコ系で違うことがはっきりと分かります。プエルトリコ系が歌う名曲「アメリカ」では人種の違いを強調するためか、これでもかというほどの巻き舌の発音を聴くことができます。
 また、こうしたアメリカ社会が抱える問題が背景となっているため、舞台版では「Thebulletsflying(弾丸が飛び交う)」のように過激な単語も使われていますが、映画版では「Thenativessteaming(住民は暑さにうだっている)」と少し控えた表現になっている部分がいくつもあります。
 半世紀以上前に作られたものですが、こうした問題は現在でも深刻な課題のままです。このようなことを考えながら鑑賞すると、さらに深く楽しむことができます...と言いたいところですが、いったん始まるとバーンスタインの音楽の魔力で、たちまち物語の世界に引き込まれてしまいます。
 このように一つの作品でも、意識すればさまざまなことを学び、味わうことができるのです。

 ※県内の中学・高校の先生が、時事のニュースや話題を切り口にした授業を紙面で展開します。

月刊一緒にNIE@しずおか・第1土曜掲載=情報読み取り 社会に関心 新聞タイムと時事テスト-静岡・観山中

2018年02月03日(土)付 朝刊


 2017年度のNIE実践指定校となった静岡市葵区の市立観山中が、朝学習の時間を使って新聞の活用を進めている。教員が推薦した記事を読む「新聞タイム」と、新聞記事を基にした「時事問題テスト」の2本立てで、生徒が語彙[ごい]力や読解力を高めるだけでなく、社会に関心を持つ機会にもつなげている。
 

 11月下旬の午前8時。チャイムと同時に1~3年の全教室で恒例の新聞タイムが始まり、生徒は配られたプリントに黙々と目を走らせた。
 新聞タイムは、毎週火曜日に週替わりで教員が生徒に紹介したい新聞記事を用意する。生徒は約10分間で記事を読み、重要な情報に傍線を引きながら自身の感想を記入していく。この日の記事は広辞苑の編集者のインタビューだった。
 時事問題テストは本年度、2、3年生を対象に4回実施する。テスト直前の2週間に掲載された新聞記事の中から、ニュースのキーワードを解答する30点満点の小テスト。11月に行った第3回テストの設問は、上野動物園で生まれたパンダの名前や「忖度」の読み方、冬季五輪の開催都市名など多岐にわたった。
 家庭で新聞を取っていない生徒もいるため、学校は廊下に新聞を置き、生徒が気軽に新聞を手に取れる環境をつくった。
 3年生の高鳥玲さん(15)は「友達と一緒に新聞を読んで話をすることもある。テストがあるおかげで社会の話題に触れられる」と語る。担任の田村俊司教諭(47)は「新聞記事を読むには慣れが必要。生徒の情報処理のスピードが徐々に上がっている」と効果を感じているようだ。
 新聞タイムと時事問題テストを通じ、政治や社会問題に関心を抱く生徒も現れた。諏訪大貴さん(15)は「テスト勉強の中で、気になった人物について調べるようになった」と振り返る。杉山耀一朗さん(15)は少子高齢化の問題を解説した記事を読み、「自分の知識の少なさに気付き、社会のことをどう考えたら良いのか参考になった」という。
 記事を読んで自分の意見や感想を書くという新聞タイムの継続が、文章を読み解く力だけでなく、自分自身の考えを表現する力の育成にもつながっている。
 新聞タイムでは、毎回異なる教員が記事を選ぶこともこだわりの一つだ。各教員の担当教科や興味に応じた記事が選ばれ、生徒が多様な文章に触れる。教員側もニュースへの関心を高める機会になっているという。田村教諭は「教科書に掲載されている情報は少し前のもの。教員側が生の情報を仕入れなければ、子どもたちに社会のことを伝えられない」と強調した。
 

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新聞タイムで紹介された新聞記事を読み、感想を記入する生徒=静岡市立観山中

 

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時事問題テストに向けた予習について説明する3年生の生徒

 

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 ■紙面授業=地理・歴史-言語と文化 不可分 浜松日体中・高 内山純一先生
 新学習指導要領により、小学校での英語学習が2020年から教科化され、18年度からは現在5~6年生で行われている外国語活動が3~4年生にまで拡大されます。文部科学省がこれに合わせて、3~4年生用の英語学習の新教材を公表したことも最近、新聞で報じられました。
 英語学習の拡充は、英語が国際共通語として幅広く使われていることが背景にありますが、その歴史はイギリスが世界中に植民地を持ち、アメリカが国際的地位を向上させてきた19世紀後半以降のことです。
 世界史上ではさまざまな言語が国際共通語として使われてきました。最も古い国際共通語はアラム人のアラム語といわれています。
 アラム人は紀元前1000年紀前半より西アジア一帯で商業活動を行っていたため、彼らと交渉するのに多くの民族がこの言語を用いました。
 紀元前5世紀に成立したアケメネス朝ペルシアでも、支配民族のペルシア人の言語であるペルシャ語とともに公用語として使われました。
 最も長く使われたとされるギリシャ語は、紀元前4世紀後半に成立したヘレニズム世界でコイネーと呼ばれ、公用語となり、後にその地を征服したローマ帝国でも、ローマ人の言語ラテン語とともに上層市民の基礎教養として使われ続けました。そのラテン語は、中世の西欧世界で学術用語として知識人層に使われ、東欧世界ではギリシャ語が中心国家ビザンツ帝国の公用語として中世末期まで使われました。
 言語はそれを話す民族の文化と不可分です。言語を覚えるということは、その文化を理解し、またわれわれの文化を世界に紹介し、共有することを伴います。ただ話すことができる、というだけでなく、互いの文化を理解し尊重し合う姿勢をもって学ぶことを心掛けてほしいと思います。

 ※県内の中学・高校の先生が、時事のニュースや話題を切り口にした授業を紙面で展開します。
 

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 ■NIEアドバイザーのワンポイント講座(11)=家族と「喜」「楽」探して
 新聞には「喜怒哀楽」の記事が掲載されています。このうち、どの内容が一番多いと思いますか。1面記事の印象などから、多くの方は「怒」や「哀」と答えます。
 実際にどうかを確かめるため、「喜怒哀楽の記事探し」に取り組んでみます。4人グループで「喜怒哀楽」を一つずつ分担し、見出しを参考に各自の担当する内容の記事を探し、見つけた数を報告し合って比較します。 すると、意外なことに「喜」や「楽」が多いのです。「喜」「楽」に関係する記事は特に「地域版」に多く見られます。勇気や元気を与えてくれる行動や生き方の記事も多く、ぜひ子どもたちに触れてほしいと思います。
 私は『家族・新聞鍋』と名付けた「家族で一緒に新聞を読み、語り合うNIE」をお勧めします。家族で新聞を囲み、「喜」「楽」の記事を指さしながら(つつきながら)、共に味わう。そんな温かい時間を過ごせたらいいですね。
 きっと、予想していなかった子どもの関心や考えに驚いたり、子どもの成長を実感したりできるでしょう。
 (焼津大井川中・矢沢和宏)

月刊一緒にNIE@しずおか・第1土曜掲載=この記事どう思う? 全校生徒がパネル討論 全クラスで意見交換、考え深める-裾野・富岡中

2018年01月06日(土)付 朝刊


 NIE実践指定校の裾野市立富岡中は、新聞を活用した取り組みの成果を披露する「NIE集会」を開いている。新聞記事に取り上げられたテーマで、全校生徒が一堂に会して意見を交わすパネル討論が開かれた。
 

 2017年11月下旬、同校体育館に全校生徒が集まって17年度のNIE集会が開かれた。昨年に続き2回目。パネル討論のテーマは「部活動週4日制について」。同年9月9日付の本紙朝刊に掲載された「静岡市教委 部活ガイドライン策定」の記事について、生徒たちは1カ月間、クラスで意見交換を重ねてきた。
 討論は最初、全校生徒の代表5人が賛成・反対・その他の立場で意見を発表。自由討議に移ると、参加していた生徒たちが挙手して意見を述べていく。男子生徒が「学生の本分である勉強に集中すべき」と賛成意見を述べると、女子生徒が「もっと部活動で技術を伸ばしたい」と反対の立場で主張し、議論は大いに白熱した。
 討論会を仕切った学習委員会委員長で2年の斉藤岬希さん(14)は「NIEを通じて新聞を読む重要性に気付かされた。自分には関係ない話だと思っていても、新聞記事は何かを考える素材になると感じた」と感想を述べた。
 同校は「NIE集会」以外にも、毎月末の1週間を「NIE週間」と位置付け、新聞を題材に生徒同士が意見を交換する機会を設けている。題材はNIE委員会に所属する担当教諭が選ぶ。
 生徒たちはまず、新聞記事を読み込み、自分自身の意見を紙に書き込む。次は4人組のグループで、紙に書いた意見をそれぞれが披露し、意見交換する。他の生徒の意見を聞いた上で、どう思うかを改めて書き込む。
 紙は各クラスの文化委員の元に集められる。そのうち1枚がクラス代表の「優秀作」として選ばれ、校舎の一角に設けられた「NIE掲示板」に掲示して、全校生徒で共有化を図る。生徒が選んだ「ハッピーニュース」の新聞記事も貼り出している。
 一連のNIE教育で、生徒たちの間には変化が生じた。NIE委員会委員長の加藤りよ教諭(34)は「生徒たちが社会的な事象に関心を持つようになった。クラスに届く新聞を読んで、話題にする生徒の姿が多くなった」と効果を指摘する。
 NIE週間以外にも、記事を題材に使った授業や、日直が終礼で気になる記事を発表するなどさまざまな形で、新聞を活用している。加藤教諭は「社会へ出る前に、いろんな事を知ってほしい。新聞はそのための良い教材」と強調する。

 

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全校生徒が集まって、新聞記事を題材にパネル討論が行われたNIE集会=2017年11月下旬、裾野市立富岡中

 

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生徒が選んだハッピーニュースやNIE週間の成果が貼り出されている「NIE掲示板」

 

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 ■紙面授業=英語-異文化理解 重要に 日大三島中・高 陶山健一先生
 2017年1月、インターネットの囲碁対戦サイトに突然現れて、日中韓のトップ棋士に無敗を誇った謎のアカウントは、米グーグルの子会社が開発するコンピュータープログラム「アルファ碁」の最新バージョンであったことが公表されました。5月には世界最強棋士とされる中国の柯潔九段と公開対局して、アルファ碁が3―0で完勝しました。
 このニュースは、AI、いわゆる「人工知能」が、今まで人間の方が有利だと思われてきたいくつかの分野で、圧倒的に人間を凌駕するようになったことを示しました。
 AIに大幅な進化をもたらした技術革新は、言語の機械翻訳の世界にも大きな前進をもたらしています。「ニューラル」は「神経の」という意味の英単語ですが、人間の脳のようにコンピューターが学習を繰り返して自分を強化していくニューラルネットワークの研究が飛躍的に進み、グーグルが開発したニューラル機械翻訳の技術は、おそらく学生の皆さんが使ったことのある「グーグル翻訳」の精度を驚くほど向上させました。以前は実用には程遠かった「グーグル翻訳」は、それほど遠くない将来に人間の通訳をしのぐでしょう。
 高いコストをかけて外国語を学ぶ必要が薄れた時、私のような英語教師はどのように仕事をしていけばいいのでしょうか。日本のようにやたらと英語のニーズが高い国はどうなってしまうのでしょうか。
 私は面白い時代になると想像しています。インターネットの普及が世界を狭くし、さまざまな文化や知識の接近や衝突を促したように、言語の障壁が矮小化されることで英語の一人勝ち状態は無くなるでしょうが、代わりに他の言語や文化との接触はむしろ増えると思います。バベルの塔の神話が逆進するのです。他文化への理解やコミュニケーションの重要性もより増大するはずです。
 外国語を学ぼうとする意思と能力は、そのまま新時代への適性ではないか、そんな期待をしています。

 ※県内の中学・高校の先生が、時事のニュースや話題を切り口にした授業を紙面で展開します。
 

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 ■NIEアドバイザーのワンポイント講座(10)=読み聞かせ 取り入れて
 一般的に教室には、新聞を読む経験が十分ある生徒も、少ない生徒もいて、記事を読む速さは生徒によって異なります。しかし、新聞の利点は、各自の読解力に応じて内容をつかむことが可能であるという点です。
 毎日、新聞記事を話題にしていると、多くの生徒が社会の出来事に興味を持つようになっていきます。NIEの初期段階はその程度で構いませんが、より深い考察に挑戦してほしい場合、個々の生徒が内容を十分に読み込んでいないと、授業で目標とする考察を深めるのに至らないことは自明です。そこで行いたいのが、新聞記事の「読み聞かせ」です。
 記事を満遍なく読み上げるのではなく、重要なポイントに絞って、かいつまんで紹介することが大事です。
 最初に、写真を見せながら見出しに注目してもらい、次に、リード文の冒頭を読み上げます。
 例えば、インタビュー記事で、特に生徒に考察してほしいところを部分的に読み上げ、その後、生徒たちにその記事を丁寧に読むよう声を掛けます。
 限られた授業時間で生徒に教師の目標を知らせ、考察のヒントを示すことができます。
 (清水西高・吉川契子)

月刊一緒にNIE@しずおか・第1土曜掲載=読まれる新聞作り議論 各紙比較や記者の講座参考-静岡井宮小・公開授業

2017年12月02日(土)付 朝刊


 NIE実践指定校の静岡市立井宮小(同市葵区)でこのほど、新聞記事を活用した公開授業が行われた。5年生36人が取り組むのは、興味のある問題をテーマにした新聞制作。記事の内容を分かりやすく伝える見出しの付け方などを熱心に議論した。
 

 新聞制作を通じ、自分と社会とのつながりを実感したり、コミュニケーション力を向上させたりすることが狙い。児童は、授業を受けたり新聞を読んだりすることを通して、交通事故や地球温暖化、犬や猫の殺処分など関心を持ったテーマを絞り込み、テーマごと3、4人のグループに分かれて、最終的に地域の人に読んでもらう新聞作りを進めている。今回の授業では、テーマについてそれぞれ課題や意見を400字以内にまとめ、その見出しを考えた。
 西田亮子教諭は授業の前半、上野動物園のジャイアントパンダの子ども「シャンシャン」について書かれた複数紙の記事を紹介。各紙の見出しの違いを示し、記事をより読みたいと思わせる言葉の選び方を考えさせた。同校で9月に開かれた本紙記者による出前講座の内容も振り返り、「見出しは短い言葉で分かりやすく」「文章の第一段落に大事な内容が含まれている」と学んだポイントを確認すると、児童は盛んにうなずいた。
 後半は、各自の原稿を持ち寄り、グループごとに「編成会議」を開いた。互いの原稿を読み合い、「これは分かりにくいかな」「この言葉の方が伝わると思う」など、適切な見出しについて話し合いは盛り上がった。
 次回以降はグループ内で記事を組み合わせ、ニュース価値を踏まえたレイアウトを検討し紙面を仕上げるという。
 児童の議論を見守った西田教諭は「新聞を題材にすると、子どもたちは楽しそうに夢中になって学ぶ。相手に分かりやすく情報や意見を伝えるという今回の趣旨も理解できていたと思う」と感想を話した。清水一磨校長は「出前講座で実際の記者の話を聞いたことで、子どもにいろいろな『はてな』が生まれた。教科書以外の経験も大切」と語った。

 

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適切な見出しの付け方を話し合う児童ら

 

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各紙の見出しの違いを紹介する西田亮子教諭(右)=静岡市葵区の市立井宮小

 

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 ■紙面授業=数学-新しい世界 挑戦を 浜松学芸中・高 松島義徳先生
 11月3日に文化勲章の親授式が行われ、光化学研究の東京理科大学長、藤嶋昭さんが受章されました。これに先立ち静岡新聞に掲載された記事の中で、藤嶋さんは「新しい原理の発見からしか(応用の)新しい芽は出てこない」と、基礎研究の重要性を主張しておられました。
 「新しい原理の発見」。これは決して簡単なことではありません。でも、未来を担う中高生の皆さんには、ぜひ将来チャレンジしてほしいと思います。なぜって、楽しいからですよ。固い常識の殻を破って新しい世界をのぞき見た瞬間の快感、これは何物にも代えがたいものです。ちょっと試してみましょうか。
 「0と1しか存在しない数の世界」というものをつくってみましょう。これは、普段何げなく使っている数の計算規則に「1+1=0」という新しい決まりを加えるだけで、簡単にできてしまうものです。まずは、足し算から。0+0=0、0+1=1、1+0=1、そして「1+1=0」。少なくとも、足し算については0と1だけで数の世界が完結できています。
 次に、1や0同士の掛け算や割り算ですが、(÷0は通常通り除外するとして)これはもともと答えが0か1にしかなりませんから、この時点で、数の世界が足し算と掛け算、割り算について0と1だけで完結していることが分かります。
 最後に、引き算について。1―1=0、1―0=1、0―0=0。ここまでは問題ないでしょう。では、0―1はどうなると思いますか? ポイントは、「1+1=0」であることです。言い換えれば「0=1+1」ですから、0―1=(1+1)―1=1となります。これで、0と1以外の数をいっさい用いることなく、足し算、引き算、掛け算、割り算を全て完結させることができました。「1+1=0」という新しい決まり事だけでできる「0と1しか存在しない数の世界」の完成です。
 見たことのない新しい世界に出合う楽しさ。一人でも多くの中高生がその楽しさに目覚め、将来「新しい原理の発見」に挑戦してくれることを期待しています。

 ※県内の中学・高校の先生が、時事のニュースや話題を切り口にした授業を紙面で展開します。
 

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 ■NIEアドバイザーのワンポイント講座(9)=知るために考える
 新聞スクラップはNIEを進めていく上での基盤となる部分になりますが、「考える」ことの素地を作る場でもあります。
 哲学者・池田晶子氏は著書「知ることより考えること」の中で、「考えるとは、本当のことを知るために考えるという以外ではあり得ない。しかし、きょうび『知る』とは、外的情報を(できるだけたくさん)取得することだとしか思われていない。取得するばかりで、誰も自ら考えていない」と現在の情報化社会に警鐘を鳴らしています。
 新聞スクラップはまさしく「知るために考える」活動であり、主体性を育む手段なのです。自分自身が新聞と対話し、どの記事を選ぶかということが課題設定のスタートとなるでしょう。そして、答え探しのために試行錯誤する過程の繰り返しが、「考える」という行為につながるのです。
 11月に本校で行ったNIE公開授業の5年生も、日々の新聞スクラップから自ら課題を見いだし、友達と交流する中でさらに深い学びにしていきました。
 皆さんもぜひ新聞スクラップに挑戦してみてください。
 (静岡井宮小・中村都)

月刊一緒にNIE@しずおか・第1土曜掲載=主体性育む「新聞タイム」 手話で議論、互いに理解-静岡聴覚特別支援学校(静岡市駿河区) 

2017年11月04日(土)付 朝刊


 2017年度からNIE実践指定校に選ばれた静岡聴覚特別支援学校(静岡市駿河区)。耳の聞こえにくい生徒らが、視覚で情報を得られる新聞を活用して主体的に社会を知ろうと、取り組みを始めた。中学部の「新聞タイム」を訪ねた。

 

 同校中学部の1年から3年までの生徒が共有スペースに設置されたNIEコーナーから好みの新聞を選び、各紙の回し読みを始めた。9月から始めた「新聞タイム」は週2回、朝8時15分からの15分間を設定している。
 「見て。ドライブレコーダーの広告が大きい」と1人の生徒が声を上げると、池谷尚美教諭(51)は「なんでこんなに大きいと思う」と問題を投げ掛けた。生徒が「急に子どもが飛び出すと危ないから」「事故が多いから」と発言したり手話で示したりすると、池谷教諭は「あおり運転って聞いたことあるかな」と続け、6月に神奈川県の東名高速道で起こった追突死亡事故のニュースを解説した。
 本紙の県製茶指導取締条例に関する連載に関心を持った生徒がいると、山根渉教諭(28)が条例を簡潔に説明し、生徒は笑顔でうなずいた。
 耳から入る情報が限られると、情報を得ることに受け身の姿勢になりやすい傾向がある中、「テレビニュースで字幕を追うのは大変だけど、新聞は自分のペースで読めることが魅力」と3年の杉山実沙さん(15)。新聞を手に取る機会が増え、小さなニュースも知るようになった。1年の山野海斗君(12)は「言葉を知る機会になるし、分からないことは先生に教えてもらえる」と楽しそうにめくる。
 社会の動きにより関心を持てるように、新聞タイム以外にも、授業前の朝の会では毎日、当番の生徒や教諭が気になったニュースを紹介し合う。いつ、どこで、誰がなどニュースの要素を記したボードを見せながら説明や質問をして、お互いに理解を深める。一部の生徒には新聞記事をスクラップする宿題も課している。要約や感想をまとめるだけでなく、分からない言葉を抜き出して、語彙[ごい]力の向上や理解につなげるのが目的だ。
 山根教諭は、これまで主体的に情報を求める姿勢が薄かったことで語彙も増えにくかったと指摘。「生徒が記事の要素を整理できるようになってきた。社会の一般常識を知ることで、学習上の理解も高まるはず。新聞活用は主体性を磨く訓練になる」と手応えを感じている。一方、池谷教諭は、目から入ってきた一部の情報が全てになってしまう難しさにも触れ、「各紙を読み比べることで情報の取捨選択ができるようになっていけたら」と今後に期待し、「生徒に言葉の種まきをしたい」と意欲をみせた。

 

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新聞タイムで各紙を読み比べる生徒=10月31日、静岡市駿河区の静岡聴覚特別支援学校

 

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朝の会でニュ―スを紹介する生徒=31日午前、静岡市駿河区の静岡聴覚特別支援学校

 

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 ■紙面授業=社会-「食品ロス」やめよう 浜松開誠館中・高 杉山光輝先生
 読書の秋、スポーツの秋、芸術の秋...秋を形容する言葉はさまざまあります。「味覚の秋」もその一つ。秋は食欲をそそられる季節なのです。温暖な気候の静岡県は、一年を通して多くの農産物が生産されています。
 5月30日に2016年度版「食育白書」が公表され、新聞紙面でも大きく取り上げられました。その中で「食品ロス」(食べられる食品が廃棄されること)の実態と原因が報告され、食べないまま捨ててしまうことが「ある」と答えた人は33・1%でした。
 捨てた原因として最も多く挙げられたのが、「消費・賞味期限内に食べられなかった」で70・5%でした。
 日本では年間約1700万トンの食品が廃棄されており、そのうち食品ロスは年間約500万~800万トン。食品ロスの半分以上は家庭から出ており、1人当たりにすると年間約140キロになります。
 また、和食がユネスコの無形文化遺産に登録されてから4年になります。海外でも和食は健康に良いとされ、日本食レストランが増えています。食事の仕方はその国の歴史や伝統によって異なりますが、日本では食材をできる限り最後まで使い切ることを大切にし、用意された食事は残さず食べることを良しとしてきました。
 世界で和食が注目される中、「もったいない」精神を大切な文化として継承してきた日本で、大量の「食品ロス」が出ることはとても残念なことであり、恥ずかしくも思います。
 11月23日は勤労感謝の日。「勤労をたつとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう」日とされていますが、戦前までは「新嘗祭[にいなめさい]」と呼ばれる祭日で、農作物の収穫を神に感謝する大切な日でした。
 農家にとって新米が十分に収穫できるかどうかは死活問題でしたので、秋の収穫に感謝する風習はとても重要な意味を持っていました。
 実り豊かな秋、今年の勤労感謝の日は、食事ができることのありがたさや自分の食生活を改めて考えてみてもよいのではないでしょうか。

 ※県内の中学・高校の先生が、時事のニュースや話題を切り口にした授業を紙面で展開します。

 

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 ■NIEアドバイザーのワンポイント講座(8)=新入試へ対応力を磨く
 筆者が担任する高校1年生は、センターテスト最終世代。浪人すると、記述式の導入など受験環境が激変する年代である。大学側も改革の流れを見据え、教科知識の深度以外の評価を模索し始めた。
 対応策として、記事の比較検証が最も有効と前回断言した。今回は、東京大学と京都大学を例にとり、二つの大学が求める能力を醸成するためのNIE活用法を紹介する。
 まず、両校とも「積極性」を重視とうたう。これは生徒が自ら新聞記事を比較しての論文執筆や、教員に添削を依頼する意欲の喚起で育成できる。
 次に「多様」と「俯瞰[ふかん]」。言わずもがな、NIEの最も得意とする分野だ。ひと目で紙面全体を把握するリテラシーは、視覚情報を不断に、マクロな視点から入手する努力により伸長されるのだ。
 3番目に、「コミュニケーション」能力。「表現」とも称されるが、つまりは発信・受容・共感・創造・深化による協働を意味すると考えてよい。
 以上のような能力を獲得するためにNIEに取り組む、という到達基準目標を生徒に示すこと。さすれば、NIEの効果絶大であること間違いなし。
 (静岡高・実石克巳)

月刊一緒にNIE@しずおか・第1土曜掲載=新聞活用 学年ごと工夫 語彙、読解力 向上狙う-森小の取り組み

2017年10月07日(土)付 朝刊


 NIE実践指定校2年目の森町立森小では、学年ごとに趣向を凝らした新聞活用の取り組みが行われている。6年生を中心に同校の実践を紹介する。
 

 「日本と関わりある国の新聞記事や見出しを探して調べてみよう」。教室に、担任で同校NIE担当の兼子万紀郎教諭(32)の声が響いた。6年生は2017年度、総合的な学習の中で興味を持った国を調べ、文化などを学んでいる。
 児童は1人ずつ新聞を手にし、紙面から外国に関する情報を探し始めた。「沼津に住んでいるタイの女の人が囲碁のアマチュア6段になったんだって」「掛川でやった高校生のアーチェリーの全国大会に韓国の人たちも出場したみたいだよ」。本紙の記事中に国名を発見すると、互いに教え合って感想を発表した。
 「北朝鮮やアメリカのトランプ大統領のニュースが多い気がする」。ある児童の意見に、周囲もうなずいた。「新聞を見るといろんなことを知ることができる」と神田絢音さん。朝も自宅で新聞に時々目を通す。外国のニュースはもちろん、地元森町の話題も楽しみだ。
 兼子教諭がこの日の授業で新聞を使った理由に、国際や経済、地域欄など分野ごとに情報が整理されている点を挙げた。子どもたちが興味のある分野から読み始めるように促したいとの狙いもある。
 6年生では授業以外にも、担任の裁量で自由に使える昼休み直後の15分間の「スタディータイム」に、新聞記事や図表を8分間で読み解き、設問に回答する実践も。また、自宅では関心のある記事を探して要約し、独自の見出しづくりにも挑み、教室の壁に成果のプリントを張り出している。
 同様の取り組みは全校に広がる。16年度の3年生は総合学習で調査結果をまとめる際に新聞のレイアウトを参考にし、6年生は気になるニュースを毎朝当番が紹介、他の学年でも授業で新聞を取り入れた。本年度は5年生が図工で新聞紙面の写真を題材に絵画制作に挑戦するなどしている。
 これらの取り組みの背景には、児童の語彙[ごい]力や読解力の向上につなげる狙いがある。
 「日常の授業では児童が長い文章に慣れる機会が少ない」と兼子教諭。全国学力テストにおいても「そもそも問題で何が聞かれているか分からず、長文を目にしただけで抵抗を感じる子もいる」として、日常的に新聞を目にする有用性を強調し、分からない言葉があれば積極的に辞書で調べるよう呼び掛ける。
 児童には新聞を通じて知識を増やしながら興味の幅を広げてほしいと願っている。「自分たちの暮らすまちでどのようなことが起きているかも知ってほしい。新聞をどう使えば効果的なのか、私も考えていきたい」と兼子教諭は話した。
 

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本紙から外国に関する記事や見出しを探す6年生=森町立森小(写真の一部を加工しています)

 

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6年生の教室には興味を持った記事を児童が要約したプリントが並んでいる

 

 ■紙面授業=英語・家庭-モンゴルの食体験 城南静岡高・中 松下真弓先生
 歴史上、地続きで一番大きな国を造ったのはどこか分かりますか。モンゴルです。馬に乗って世界を席巻し、世界最強の帝国を造りました。紀元前から草原遊牧国家が建設され、人々は環境に適応した生活をしてきました。
 モンゴルの民の生活は馬と家畜に支えられ、それらの動物を育むのは大地の牧草であることから、モンゴル遊牧民は大地を尊重し、家を建てる時は地面に柱を刺さない、畑を耕さない、墓碑を立てる文化もないそうです。
 そのモンゴルをこの8月、川勝平太知事が訪れるのに合わせた訪問団に、私も私学教職員海外交流派遣事業の一員として参加しました。知事とモンゴル大統領との会談の内容などは新聞でも報じられましたが、ここでは「食」に絞ってモンゴルの様子を報告したいと思います。
 モンゴルの食の柱は、肉(赤い食)と乳製品(白い食)です。主食は19世紀末移住した中国人が自分用に栽培した小麦から作られた小麦粉です。
 「赤い食」は零下30度にもなるという冬の食で、私がモンゴルを訪れた8月は「白い食」が中心となります。モンゴル人は遺伝的に生乳を飲むとおなかをこわす「乳糖不耐性」ですから、生乳は飲まず加工されるのが特徴です。遊牧民のゲルを訪問した時に、朝搾りたての牛乳をまきストーブで沸かして、目の前でチーズを作って食べさせていただきました。
 また、夏の時期限定で作られる馬乳酒も頂戴しました。酒と言うもののアルコール度数は1~3%程度で、水分、エネルギー、ビタミンC補給源として赤ちゃんからお年寄りまで飲用され、ヨーグルトに近い乳飲料として1日0・5~3リットルくらい摂取しているそうです。結核やウイルス性肺炎、胃炎、胃潰瘍、さらには糖尿病や高血圧といった生活習慣病に対しても効果があるとされています。腸内環境の改善、老廃物の排せつといった効果もあり、私は馬乳酒を飲んでから約1週間、デトックス効果のためかほとんど飲食ができませんでした。農耕民族の日本人には、刺激が強すぎたのかもしれませんね。

 ※県内の中学・高校の先生が、時事のニュースや話題を切り口にした授業を紙面で展開します。

 

 ■NIEアドバイザーのワンポイント講座(7)=ニュース発表 記事探しのこつ
 日々の社会の動きに興味を持たせ、自分が見つけたニュースを紹介することで情報活用の実践力を身に付けさせようと、多くの先生方が「ニュースの発表」に取り組んでいます。ぜひ気を付けて欲しいのが、次の2点です。
 1点目は、その日のニュースにこだわらないこと。先生方が、その日の新聞記事を授業に使おうとしても難しいと思います。「順番だから」と指名された子どもが戸惑うのも当然です。記事を探すのに数日余裕を持たせることで、「このニュースを皆に伝えたい」と意欲を高めることができます。
 2点目は、記事の一部の発表でも認めること。大きなニュースになると記事の量も膨大です。起承転結の文章表記に慣れた子どもは大切なことは最後だと信じ、文末に書かれているはずのまとめを探しがちです。新聞は、一番大切なことはリード文や第1段落に書かれています。見出しや写真、リード文などの紹介だけでも価値があることを教えましょう。
 1年を担任した時、切り抜き写真に一言添える取り組みをしたところ、子どもたちに好評で、成果も上がりました。
 (浜松与進北小・山崎章成)

月刊一緒にNIE@しずおか・第1土曜掲載=名古屋・NIE全国大会 新聞から 広がる世界

2017年09月02日(土)付 朝刊


 名古屋市で8月3、4の両日、「第22回NIE全国大会」(日本新聞協会主催)が開かれた。「新聞を開く 世界をひらく」をスローガンに、教材としての新聞の活用に関する発表や意見交換を展開した。初日には2014年にノーベル物理学賞を受賞した天野浩・名古屋大教授=浜松市出身=の講演などが行われ、最終日には、県内からNIEアドバイザーの山崎章成・浜松市立与進北小教諭と、磐田市立城山中の萩田純子司書教諭がそれぞれ特別分科会に登壇し、NIEの裾野を広げる取り組みに向け意見を述べた。

 

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天野浩名古屋大教授も参加した「第22回NIE全国大会」=8月3日、名古屋市内

 

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 ■学校図書館 重要な役割 情報活用教育の中心に-萩田純子司書教諭(磐田・城山中)
 磐田市立城山中の萩田純子司書教諭は「学校図書館とNIE」に焦点を当てた特別分科会に登壇し、生徒の情報活用スキルを向上させる系統立てた指導法や、司書教諭の役割について考えを述べた。
 萩田教諭は「理想の学校図書館」として、各教科が関連し合い補い合いながら中心に図書館があるイメージを示した上で、互いの授業内容を知らない教科担任制、教科でばらばらに指導される情報活用スキルの学習-などをネックに挙げ、司書教諭が「つなぐ」ことの重要性を強調した。
 新聞について「社会で起こっている事実が載っている点で、それ自体が非常に重要な資料」と述べる一方、社説やコラムには意見が掲載されていることから「事実と主張のつながりを学習するのに適した教材」と語った。
 具体的実践として、世界遺産、AKB48、ディズニーランドの混雑度、地下鉄サリン事件-など知りたい情報の種類に応じ、図書、新聞、インターネットから最もふさわしいメディアを探る中学1年向けの授業を紹介。萩田教諭は「出来事の経過を詳しく知るには新聞」「概要を知りたいなら百科事典」など、指導内容を説明した。
 国語に関する世論調査の新聞記事を読み、自分の意見をまとめ、新聞各紙の社説や、友達が書いた意見文と比べる中学3年生向けの授業実践も紹介した。
 萩田教諭は「こうした実践は、現状では司書教諭である私が孤軍奮闘という感じ。全職員の共通理解としてできるようになったら、かなり変わってくると思う」と期待した。

 

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司書教諭の役割について語る磐田市立城山中の萩田純子司書教諭

 

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 ■販売店と連携 裾野広げて-山崎章成教諭(浜松・与進北小)
 NIEアドバイザーの山崎章成・浜松市立与進北小教諭がコーディネーターを務めた特別分科会「地域で支えるNIE-販売店との連携を考える」では、東海、関東地区の3人の新聞販売店主らが登壇し、地域や学校と協力したNIEの具体的取り組みを紹介した。
 店主の一人は、新聞を購読していない家庭が増加し学校の先生が新聞を使った宿題などを出しにくくなっている-などとNIE活動の障壁を挙げた上で、「学校と新聞社の2者によるNIEには限界があるのでは」と問題提起。別の店主は新聞記者との交流など地域に根差した活動として行っている「塾」の取り組みを挙げ、展開に期待を込めた。もう一人の店主は、オリジナルソングを使った新聞普及活動を紹介した。
 山崎教諭は「NIEを基盤として支えているのが新聞販売店だということを確認し、今後の実践に生かしてほしい」と呼び掛けた。
 

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 ■紙面授業=国語-駿遠線に願う平和 静清高 曽根正明先生
 郷土の作家、小川国夫の初期の作品に「動員時代」があります。戦時下に用宗の造船所に勤労動員された時の経験をもとに、暴力が肯定される時代と青年期の反抗的な感情を描いた短編小説で、その中に「駿遠線」が出てきます。駿遠線については今年3月、最後の駅舎跡「藤枝本町駅」の木材が万年筆やボールペンとしてよみがえった、とのニュースが新聞で報じられ、鉄道愛好家らの関心を集めたことが記憶に新しいところです。
 私は小学校まで千葉に住んでいましたが、夏休みになると親の実家のある相良まで電車を乗り継いで行きました。途中、藤枝駅を降りると、東側に静岡鉄道の新藤枝駅がありました。紺と黄色がかったクリーム色の小さな汽車。地元の人たちが「けーべん」と呼ぶ軽便鉄道。それが駿遠線でした。駅から左へ行くと「動員時代」に出てくる大手線方面。私たちが乗った小さな汽車は右の本線をゆっくりと約20キロ先の相良まで約1時間かけて進んで行きました。駿遠線は、1913年に前身の藤相鉄道の藤枝~大手間が開業し、スタート。その後、周辺鉄道との合併などにより48年には総延長64・6キロに及び、日本一長い軽便鉄道、駿遠線となりました。しかし、70年7月31日に最後に残った藤枝~大井川間が廃止となり、57年間の歴史に幕を下ろしました。
 本校では毎年8月に静岡新聞社の後援を得て、その廃線跡を訪ねる「駿遠線跡を辿ろう」という企画を催しています。私がバスの運転をし、「歴史に残す 静岡鉄道駿遠線-日本一の軽便鉄道」(静岡新聞社刊)の著者、御前崎市議の阿形昭さんにガイドをお願いして、廃線跡を巡って今年で10年となりました。当時を知る年配の方から、この企画で駿遠線を知ったという小学生まで毎年数々の出会いがあります。
 皆さんの街の近くにあった駿遠線を少しでも知っていただければと思います。また、戦後72年がたち、再び小川国夫の「動員時代」のような勤労動員がないように、平和な時代が続くことを願っています。

 ※県内の中学・高校の先生が、時事のニュースや話題を切り口にした授業を紙面で展開します。

 

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 ■NIEアドバイザーのワンポイント講座(6)=記事から考える道徳授業
 学校の道徳授業が「考え、議論する道徳」に変わろうとしています。現実に起きている、答えが一つではない道徳的な課題に対して、子どもが自分の問題として向き合い、実践的に考え、議論し、生き方を深めていく道徳です。その際、社会の今を反映し、生きた課題を提示してくれる新聞は道徳の優れた教材として役立ちます。
 例えば、航空機に搭乗する際、車いすの男性が航空会社の人から「歩けないと乗れない」と言われ、タラップを腕だけではって上ったという記事。この記事をそのまま使って考えさせることもできますが、男性役、航空会社社員役、周囲の人の役などの役割を決めてロールプレイを行い、各立場から考えさせるのも効果的です。
 また、プロサッカー選手のなくした財布が中身もそのまま手元に戻ったという記事も使えそうです。
 他にも、新聞にはニュースだけでなく、魅力的な生き方をコンパクトにまとめたコラムもたくさん掲載されています。あまり難しく考えずに、新聞を教材にした道徳に挑戦してみませんか。
 (焼津大井川中・矢沢和宏)

月刊一緒にNIE@しずおか・第1土曜掲載=新規実践校が意気込み 積み重ね、深い学びに

2017年08月05日(土)付 朝刊


 日本新聞協会はこのほど2017年度のNIE実践指定校を決定し、県内では県NIE推進協議会が推薦した14校に決まった。実践校には、県内で発行される7紙が一定期間無料で提供され、NIE活動に活用される。新規実践指定6校の担当教諭に活動の抱負を聞いた。

 

 【2017年度NIE実践指定校】 
 ■新規 浜松西都台小、富士宮西富士中、静岡観山中、川根本町本川根中、遠江総合高、静岡聴覚特別支援学校
 ■継続 富士宮上井出小、静岡井宮小、森小、裾野富岡中、浜松可美中、三島南高、静岡聖光学院中・高、東海大静岡翔洋小

 

 ■良い文章のお手本に-川根本町本川根中・羽入健太郎教諭
 中学生の頃、父親によく「新聞を読め」と言われていたことを思い出します。当時はインターネットも普及しており「なぜ大人は新聞を読ませるのだろう」と疑問を感じていました。その答えは自分が教壇に立ってやっと分かりました。
 国語の授業を担当する私は生徒たちの文章力に課題を感じています。文章の組み立てが破綻していて何を伝えたいのか分からない文章や、語彙[ごい]が少なく表現力に乏しい文章などを目にする中で、新聞記事(特にコラムや社説)は生徒にとって「良い文章のお手本」になると考えています。
 NIE教育を通して社会に対する見方や考え方を広げていくとともに、文章力を伸ばす取り組みも実践していきたいです。

 

 ■全職員が記事を紹介-静岡観山中・滝志保教諭
 観山中生の約3分の1の家庭は、新聞を購読していません。長い文章、難易度の高い言葉に、意欲を失う生徒が多いように感じます。
 昨年度より週1回「朝の新聞タイム」を設け、全職員交代で新聞記事を紹介し、一つの記事を全生徒で読む機会を持っています。
 職員が腐心している点は、記事の内容と難易度です。親しみやすく、分かりやすい内容で、思考を深め、新しい知識が得られる、そんな記事を取り上げようと心掛けてきました。これまで生態系、政治、情報化社会などさまざまな分野の記事が選ばれてきました。
 本校の研修テーマは「語彙[ごい]力の育成」です。新聞を楽しめる生徒を育てることで、語彙力の育成につなげていきたいと考えています。

 

 ■ひと手間掛け成長を-遠江総合高・小杉幸一教諭
 キャリア教育、生涯学習の観点から、毎週1回10分間「朝NIE」、毎日「スクラップノートリレー」を実施。1学期は3年生対象に取り組みました。2学期からは、1、2年生も実施予定です。
 「しずおか新聞感想文コンクール」には、全校生徒が参加予定。新聞を読んで記事にコメントできる力は、今日求められている能力です。国語科の協力も得て取り組みます。
 生徒も先生も多忙感から目の前のことにとらわれがちですが、NIEで、見えてくる世界が広がるに違いありません。「ひと手間掛ければ、ふた手間分育つ」「ひと手間掛ければ、ふた手間省ける」と関口修司氏(日本新聞協会NIEコーディネーター)。
 さあ今、NIEにひと手間掛ける時です。

 

 ■記事から共通点探す-富士宮西富士中・中嶋優貴教諭
 1年目の本年度は「NIE~新聞記事と自分を結ぶ~」をテーマとし、新聞記事から自分の体験や経験と比較したり共通点を見つけたりすることで自分の考えがもてるような実践に取り組んでいきます。
 本校では4年前から毎週金曜日を「新聞の日」と位置付け、朝の10分間で全校共通の記事を要約し、それに対する自分の考えを書く活動を行っています。また、新聞のコピーを校内各所に掲示したり、図書室に新聞コーナーを設けたりすることで、新聞がより身近に感じられる環境整備を行っています。
 新聞をきっかけとして自分の思いや考えを持ち、社会の動きを敏感に捉える生徒を育てるために、私たち教職員も新聞記事を生きた教材として活用させていきたいと思います。

 

 ■気軽に読める場作り-浜松西都台小・林裕一教諭
 インターネットが普及して、人々の情報を手に入れる手段が多様化している現在、子どもたちにとって新聞が遠い存在になっています。本校の児童も、新聞に目を通す習慣がある子が少なく、新聞をとっていない家庭も存在しています。
 まずは、子どもたちと新聞の距離を縮めたいと思いました。そこで、校内に新聞の立ち読み台を設置し、気軽に読める場を作りました。また、学年に応じて活用した活動を行っています。
 今後の実践を積み重ねることにより、新聞が子どもたちにとって身近な存在になるだけでなく、子どもたちが「気づく力」「調べる力」「伝える力」を成長させ、「深い学び」につながるように工夫していきたいと思います。

 

 ■情報に主体的な姿勢-静岡聴覚特別支援学校・山根渉教諭
 今回NIE実践指定校に選ばれたことで、NIE教育によって〝主体的に情報を求める姿勢〟を生徒に身に付けてほしいと願いました。耳の聴こえにくい幼児・児童・生徒には「受け身の姿勢になりやすい」という傾向があります。自ら気になったことを調べたり、情報を多角的に捉えたりすることが苦手です。それらの課題にNIEの実践によって取り組んでいきたいと思っています。
 まずは複数紙を読み比べることのできる環境を整えていただけるので、一つの記事について教室内で話し合う機会を設けることから始めようと思います。新聞という視覚情報を活用できるメディアを通して、社会を知ろうとする主体性が身に付くように尽力いたします。

 

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本年度の抱負を語る実践指定校の教諭=6月、静岡市駿河区の静岡新聞放送会館

 

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 ■紙面授業=国語-近づく「終戦の日」 桐陽高 小池太一先生
 かつてロンドンを訪れたとき、帝国戦争博物館というところを見学したことがあった。戦車や戦闘機が展示されているフロアを漫然と歩き回っていたが、ある展示物の前で思わず足を止めた。本物の原子爆弾だった。それは深緑色に鈍く光る鉄の構造物であったが、他のどの兵器とも違っていて、なにか異様で、不気味な感じがした。こんなものを投下された日本という国の歴史を考えた。
 今年も「終戦の日」が近づいている。2016年8月15日付「静岡新聞」朝刊の社説にはこうある。「『二度と戦争はごめんだ』。戦後日本の平和国家の歩みは、71年前に国民が抱いたこの思いが原点だろう。...筆舌に尽くしがたい惨禍の歴史を問い直し、思いを引き継ぐ。終わりがあろうはずのない取り組みが揺らいでいないか」。
 何年も新聞を読み続けている読者には、もうすっかり慣れてしまって、決まり文句のように思えるかもしれない。しかし、日本が太平洋戦争で経験した惨禍と、失敗を繰り返すまいという決意はリアルなものだ。そのリアリティーを実感するには、自分が住んでいる地域が、当時どのように太平洋戦争をくぐり抜けたのかを調べてみるとよいだろう。
 桐陽高の地元、沼津市を例にとってみると、何度も米軍の空爆を受けている。爆撃、機銃掃射、焼夷[しょうい]弾といった攻撃で、300人以上の市民が亡くなっている。特に1945年7月17日の空襲は大規模なものであり、御前崎方面から沼津上空に侵入したB29爆撃機130機が行った9千発以上の焼夷弾攻撃によって、沼津市街は焼け野原になっている。戦前から沼津に住んでいる方なら記憶しておられるだろう。
 また、海沿いの地域には特攻兵器(「人間魚雷」と言われる「回天」、モーターボート特攻の「震洋」など)の格納庫があった。桐陽高がよく体育祭をしている愛鷹山には、帝国陸軍が本土決戦を想定した陣地を構築した。JR沼津駅北側には、レーダーなどの製造を目的とした広大な海軍工廠[こうしょう]があった。
 今年の「終戦の日」、「静岡新聞」の社説は、何を伝えてくれるだろうか。

 ※県内の中学・高校の先生が、時事のニュースや話題を切り口にした授業を紙面で展開します。

 

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 ■NIEアドバイザーのワンポイント講座(5)=習慣付ける題材選びを
 新聞を活用することで、子どもたちの学びが広がり、深まり、目標が効果的に達成される場合があります。そのために指導する側が、「新聞を活用して伝えたいこと」を明確にして指導することが大切です。
 子どもたちの実態に応じた適切な題材選びも大切です。最初から難易度の高い記事を取り扱うのではなく、新聞に慣れさせてから難易度を高めていくとよいでしょう。
 例えば写真には、多くの子どもたちが興味を示します。朝の学級活動や授業などの導入時に、その日取り上げたい新聞記事の見出しと写真を紹介して、一言添えます。「季節の写真」「行事の写真」「スポーツの写真」などは、さまざまな教科や特別活動の学習に関連づける展開が可能です。
 投書も使えます。静岡新聞の「ひろば」欄の10代の投書特集では、子どもたちに身に付けさせたいことが、同年代の子どもたちの素直な言葉で語られていることがあります。学級活動の時間に紹介すると、学校生活を考えて送るきっかけになります。
 最近は家庭でのNIEも注目されています。夏休みは取り組みのチャンスです。
 (清水西高・吉川契子)

月刊一緒にNIE@しずおか・第1土曜掲載=環境づくり 司書と連携 新学習指導要領に「新聞活用」 「教員無理しないで」-NIEコーディネーター関口さん講演

2017年07月01日(土)付 朝刊


 県NIE推進協議会総会がこのほど、静岡市駿河区の静岡新聞放送会館で開かれ、日本新聞協会NIEコーディネーターの関口修司さん(61)が「新学習指導要領とNIEの授業」と題して講演した。関口さんは「教育が変わりつつある今こそ、NIEが求められている。新聞の学力向上効果を明らかにするとともに、新聞が身近にある環境づくりを組織的に取り組むことが今後の課題」と強調した。

 文部科学省は2020年に施行する新学習指導要領に「新聞活用」を盛り込んだ。関口さんによると、背景には子どもの読解力低下などがある。近年はフェイクニュース(偽のニュース)などの問題が浮上し、調べ学習をはじめとした「主体的・対話的で深い学び」の重要性が高まっているという。
 関口さんは新学習指導要領に触れ、「NIEの存在意義はある」と指摘した。一方で教員の多忙化や教育に新聞を取り入れるノウハウが具体的に示されていないなどの理由で、NIE普及が進まない学校現場の現状を憂慮する。
 新聞を身近に感じさせる環境づくりを「新聞の日常化」と呼び、「NIE浸透の鍵になる」とみる。学校現場で長年、NIEを推進してきた経験から、学校での「日常化」に向けた方法として学校図書館の活用を挙げ、「司書といかに連携できるかがポイント。新聞に触れられるようコーナーを設けたり、複数の新聞を読み比べたりする環境づくりが必要」と訴えた。
 また、週に1、2回、15分の朝学習の時間を使って新聞をスクラップし、ワークシートに感想を記入する「NIEタイム」を紹介した。「教員が子どもの感想を褒めることで、初めは難しいとぼやく子どもたちが『楽しい』と口をそろえるようになる」と効用を説き、継続のこつを、すき間時間の活用などで「教員が無理しないこと」と強調した。
 NIEのさらなる浸透に向け、「学校内での取り組みにとどまらず、教育委員会やPTA、地域、家庭まで広げる必要がある」と述べた。

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新聞が身近にある環境づくりの取り組みを強調する日本新聞協会NIEコーディネーターの関口修司さん=静岡市駿河区の静岡新聞放送会館

 

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 ■新聞記事の感想文募集 児童生徒対象、静岡新聞社
 静岡新聞社は、県内の小学生から高校生までを対象に、第10回記念「2017年度しずおか新聞感想文コンクール」(県教育委員会など後援)の作品を募集している。児童、生徒が新聞を通じて活字に親しみ読解力と表現力を養うとともに、地域や社会への関心を高めることが目的。
 課題は、①2017年1月1日~8月31日の新聞記事を読んでの感想②新聞について思うこと(小学生は①か②を選択、中学生と高校生は①のみ)。部門は、小学生、中学生、高校生の3部門。賞は、各部門で最優秀賞1点、優秀賞2~3点などを選び、応募者全員に参加賞を贈る。
 要項の請求と問い合わせは静岡新聞社読者部内「しずおか新聞感想文コンクール」事務局<電054(284)8984>へ。

 

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 ■紙面授業=社会-日常生活 環境に影響  不二聖心女子学院中・高 野村春美先生
 「環境問題」と聞くと自分の日常生活からは遠い世界のこと、と思ってしまいますが、毎日の買い物も「環境問題」に深く関係しています。
 信州大学が「生物多様性フットプリント」を利用して、日本の消費が世界の希少生物にどのくらい影響を与えているか分析した、との記事が2月、新聞に掲載されました。それによると、マレーシアなどでは日本での輸入木材の使用増加によりマレーグマの生息地が縮小し、エチオピアでは日本などへ輸出するコーヒー生産のための農地開発で、ヒョウやアフリカゾウの生息地が圧迫されています。
 ハウス栽培や生産地の多様化で季節を問わず野菜や果物が手に入れられるのは便利ですが、栽培で使われる石油ヒーターや照明、輸送用トラックのガソリンなどにより温室効果ガスである二酸化炭素が排出されています。この二酸化炭素によって温暖化が進み、自然環境の変化で絶滅危惧種となった生物もあります。またツバルなど太平洋の島国では、海面上昇や高波による浸水のため住民全員を別の島に移住させなければならない状況も生まれています。
 世界全体では、昨年11月に「パリ協定」が発効し、その直後モロッコで開かれた気候変動枠組み条約第22回締約国会議(COP22)で各国が温暖化対策の強化に取り組むことへ決意を示しました。
 日本も「パリ協定」を批准し、温室効果ガス削減に向けた計画を提出しています。一方、米国のトランプ政権は環境問題に懐疑的で、パリ協定から離脱すると6月に表明し、世界の温暖化対策に打撃を与えました。
 子どもたち、孫たちの世代も地球上の全ての生物と人々が安心して生きていけるよう、国際社会は今、「持続可能な社会」の形成に取り組んでいます。経済のグローバル化が進めば進むほど、買い物という私たちの小さな選択も世界のどこかに影響を与えます。商品がどこで作られ、どのように運ばれてきたかを考えながら買い物をすることで「持続可能な社会」をつくることに参加していきましょう。

 ※県内の中学・高校の先生が、時事のニュースや話題を切り口にした授業を紙面で展開します。

 

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 ■NIEアドバイザーのワンポイント講座(4)=感性を磨くコラージュ
 小学校低学年では新聞を使った活動ができないと思っていませんか。語彙[ごい]が少ない子どもたちでも、新聞を使って色や形、質感の感性を磨くことができます。新聞の写真や広告などに注目し、切り貼りしていく新聞コラージュを紹介します。
 新聞紙面には、カラフルな写真や広告がたくさん掲載されています。そこには、「緑」と言っても色鉛筆や色紙にはないさまざまな「緑」が存在することに気付くでしょう。その中から、例えば自分の葉のイメージに合った色や形を連想して選び、葉の形に切り抜きます。質感を考えて探す子もいるでしょう。白黒の素材を選んでも構いません。形そのものを切り取って構成する従来のコラージュとは異なり、本来の写真や広告とは全くの別物に大変身させてしまう新聞コラージュは「創作している」意識で取り組めます。静岡新聞の「週刊YOMOっと静岡」の新聞アート欄でも挑戦できます。
 新聞の情報は文字だけではありません。多くの写真や広告の中から必要なものを取捨選択していくことも、メディアリテラシーと言えます。
 (静岡井宮小・中村都)

月刊一緒にNIE@しずおか・第1土曜掲載=新聞「読まない」38人→0人 苦手意識を克服 学ぶ力サポート-浜松・与進北小 教室常備1年半 

2017年06月03日(土)付 朝刊


 新聞を常時読める環境があれば、子どもたちは新聞を身近に感じるようになるか-。1年半の間、教室に毎日、新聞を置いた結果、新聞を全く読まない児童がいなくなり、新聞への苦手意識が克服されたというアンケート結果を、このほど浜松市立与進北小がまとめた。

 同校は、朝読書の時間や朝の会で新聞を活用する機会をつくってきた。そうした中で、新聞を自由に読める環境の有無が新聞の親しみやすさに影響するのではないか、ということにNIEアドバイザーの山崎章成同校教諭が着目。2015年9月から、5年生90人の全3教室に17年3月の卒業まで毎日、県紙や全国紙など複数の新聞を置き、昼休みや放課後などいつでも読めるようにして児童の意識の変化を追った。
 その結果、1年半で「週に3日以上読む」は5人から18人、「週に1、2日読む」は21人から32人と新聞に親しむ子が大きく増えた。また、「月に1、2日読む」は26人から40人に増えたものの、「読まない」は38人からゼロになり、ほとんど読まない子の総数が大きく減った。
 新聞を読む理由について(複数回答)は、「ニュースを知りたい」が18人から53人、「世の中のことが分かる」が14人から41人、「知らないことを知りたい」が13人から33人、「テレビ欄を見たい」が20人から38人と、新聞を情報収集ツールと理解して、社会への関心が広がり、情報アクセスに積極的になったことがうかがえる。その他にも、「一つのニュースが他のメディアより詳しく書いてあり分かりやすい」「広告で商品のことを知りたい」「地域であったことを知りたい」といった多様な声も出てきた。
 新聞があって良かったことは、「新聞を読んで文章を読む力がついた」「漢字や難しい言葉を覚えられた」「いろいろなニュースが分かった」「気になったことがすぐ読めた」「家族や友達に知らないことを教えることができた」「記事で友達と盛り上がった」など、話題探しから学力向上まで、子どもなりの〝収穫〟を実感していることが分かる。
 山崎教諭は「新聞を熱心に読む子もいれば、そうでない子もいたが、どの子もそれぞれに新聞から刺激を受けていたことは十分な成果。いつでも読める環境は、皆が読んでいるから自分も読んでみようという子のハードルを下げ、親しませるのに有益といえるだろう」とみる。
 新聞はただ置くだけでなく、教師が①最初は、新聞の読み方を教える②朝の会で記事を発表させるなど活用の場をつくる③習慣化してきたら、切り抜きなど子どものやりたいことに取り組ませる-よう指導すると、親しむ効果がより大きくなると山崎教諭は提案する。同校では現6年生にも5年次から教室に新聞を置き、本年度も継続して、子どもたちの学ぶ力のサポートに活用していく。

 

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朝読書の時間に新聞を読む児童ら=浜松市東区の与進北小

 

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グラフ=家や学校で新聞を読みますか?

 

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 ■静岡でNIE講演会-17日
 県NIE推進協議会(安倍徹会長)は17日、NIE講演会を静岡市駿河区登呂の静岡新聞放送会館で開く。2017年度総会後の午後3時からで、関口修司・日本新聞協会NIEコーディネーターが講師。演題は「新学習指導要領とNIEの授業」。講演会だけの一般聴講も受け付ける。問い合わせは同協議会<電054(284)9152>へ。
 

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 ■紙面授業=音楽-世界に私だけの楽器 キラリ高 河一球先生
 昨年末の国民的アイドルグループ「SMAP」の解散は芸能ニュースの枠を超え、一般紙の1面、社会面などでも報じられました。そのSMAPのヒット曲「世界に一つだけの花」は、個性の大切さを訴える内容でした。人は皆、親から多くの宝物を授けられ生まれてきます。髪の色や爪の形、気質や好みなど十人十色、人の声もそれぞれ生まれながらに異なります。きれいな声、きれいではない声と言いますが、私は皆、親から授かった「いい声」を持っていると考えます。
 しかし、歌おうとすると体が力んでしまい、自分の思うような声が出ないということはないでしょうか。歌う時に大切なことは、いかに息を自在に操れるかどうかです。声楽は体が楽器です。楽器である体全体に息を回すためには、余分な力を抜いて体をリラックスさせる必要があります。
 そして、無理のない深い息にそっと声を乗せるためには、その息を支える筋肉が必要となります。さまざまな筋肉に意識を注ぐだけでは筋肉が硬直してしまい、かえってしなやかに機能することができなくなってしまいます。そこで重要なことは、自分がどのような声を出したいのか、明確なイメージを持つことです。そうすれば、必要な筋肉がおのずと機能していきます。
 さらに歌の歌詞に込められた意味を理解し、その情景をイメージすることで歌の意味と世界が外へと広がっていきます。きれいな声と声量のみに意識が傾いた歌には、何の意味も感動も生まれません。無理のない息の流れと支え、歌の世界をイメージすること、これらがとても重要になります。柔らかくて温かい息に、思いが込められた自分の声を乗せることができれば、相手の耳と心に心地よく届けることができます。
 皆さんも時々、心を解放し、気持ちよく歌ってみてはいかがでしょうか。これまで隠れていた感情が、歌の歌詞やメロディーと共鳴し、心と体を浄化させていくこととなるでしょう。「世界に私だけの楽器」で、自分にしか描くことのできない歌声を、思いっきり響かせてみましょう。

 ※県内の中学・高校の先生が、時事のニュースや話題を切り口にした授業を紙面で展開します。

 

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 ■NIEアドバイザーのワンポイント講座(3)=東大推薦合格を狙う
 現在、難関大でも推薦入試が実施され、進学手段の一つとなっている。
 要求されているのは受験科目以上の見識であり、共通するキーワードは基礎的学力に立脚した「自ら学ぶ意欲・幅の広さと奥深さ」。
 この入試方法を選択するならば、高校入学直後の早い段階から、己の求めるテーマに対し、問題意識の醸成を図っていかなければならない。その知見獲得と深化の対応策として、長期的な新聞記事の比較検証論文が最も有効と断言できる。
 具体的措置としては、新聞記事とキュレーションメディア(情報整理系のウェブサイト)の同時活用が欠かせない。第1回東大推薦入試に合格した本校卒業生は、紙媒体の新聞を毎日チェックするのはもちろん、テーマに関するニュースサイトの確認や論文検索サービスを利用することで、テーマについての知識や理解を深めていたそうだ。
 つまり、どのように新聞を読み、利用すれば進路実現に結びつくのか。その明確な具体策をわれわれ教員は生徒に向けて発信し続けなければならない、と痛感している。
 (静岡高・実石克巳)

月刊一緒にNIE@しずおか・第1土曜掲載=新聞広告を教材に活用 自由な発想で効果分析-島田商業高の取り組み

2017年05月06日(土)付 朝刊


 NIEというと、ニュース記事の活用ばかり考えてしまいがちだが、新聞広告も格好の教材だ。2016年度まで3年間、NIE実践指定校だった県立島田商業高(島田市)では、総合ビジネス科3年の課題研究授業でNIEを展開した。担当の小平和美教諭によると、生徒はその中で、新聞広告を足掛かりに新聞に親しみ、理解を深めていったという。

 商業高校という専門性に加え、進学や就職活動に向けて時事力を磨くため、小平教諭は新聞を身近にさせようと考えた。授業で大切にしたのは「生徒の自由な発想」。講義形式は避け、生徒同士の意見交換を促すような授業にした。
 最初に生徒24人に、新聞を読んで思ったことを話し合わせると、「紙面の下部分は広告。他の新聞でもそうなのかな」「このサイズで、広告代はいくらかかっているんだろう」。多くの生徒が関心を寄せたのは記事ではなく、新聞広告だった。
 同校では、1、2年時に全員がビジネス基礎やマーケティングなどの商業科目で広告効果などを学ぶことから、「自然と目がいったのだと思う」と小平教諭は話す。
 小平教諭は生徒の関心を広げるため、授業ごと課題を設けて、関連する記事や写真など何でもスクラップさせながら、広告を題材にした生徒たちの会話に入り、学びの糸口を提供するようにした。
 例えば、米大リーグのイチロー選手を起用した栄養ドリンクの広告で盛り上がっていると、なぜ広告主はイチロー選手を選んだのか、なぜカラーで大きく扱うのかを考えさせた。
 生徒たちは「商品を買う人たちは、イチロー世代だから」「新商品の宣伝には、企業が投入する金額も多い。だからカラーで大きく掲載したのではないか」と感想を言い合うレベルから、広告の背景を探るようになった。
 こうした授業を積み重ねるうち、記事に興味を持つ生徒が小平教諭の助言で記事を理解する新たな取り組みを始め、それが広がっていった。米大統領選候補者の支持率に関する記事を読んでグラフ化したり、逆に記事中のグラフを文章化したり。また記事を視覚化しようと風刺画を描いたり、俳句にしたりとニュースへの接し方が積極的で多様になった。
 小平教諭は、自由な意見交換の場が後押しし、広告をきっかけに、新聞を"読める"から"深めていける"ようになったと実感したという。「学んできた商業科の知識を基に自分の意見を形成できるようになったのは、期待以上の成果。どの授業にも代えられない学びになったのでは」と振り返る。2017年度も新聞を使った授業は続け、新3年生の成長に期待を寄せる。

 

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生徒の取り組みを振り返る小平和美教諭=島田商業高

 

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興味を持った紙面について話す生徒たち=島田商業高

 

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 ■紙面授業=英語-リスニングの妙味 浜松聖星高 中村隆之先生
 文部科学省が2月に公表した次期学習指導要領の改定案に、英語教育の前倒しなどが盛り込まれました。中学校では授業を原則英語で実施するなど、「読む・書く」力とともに「聞く・話す」力を身に付けることを求める内容となっています。
 私は仕事柄ここ十数年、アメリカ西海岸に2週間ほど生徒を引率しています。10年以上前、アメリカ人の友人とお互いの趣味について話していた時のことです。彼が「あなたはアイサキは好きですか?」と尋ねてきました。「誰のことですか?」と聞いたところ、ゆっくりと「アイス・ハッキー(アイス・ホッケー)」と言い直してくれました。
 似たような話ですが、段ボールとガムテープを買いにホームセンター行った時のことです。店内は途方もなく広く見つからないのでレジに行って場所を聞いたところ、「ペカシッ」と答えが返ってきました。「すみません、もう一度」と何度も聞いたのですが、店員の答えは相変わらず「ペカシ」でした。
 後で「ペカシ」は「パック・アン(ド)・シップ」(梱包と運送)のことだと友人に教えてもらい、アルファベットが見事に音と重なりました。
 初めてアメリカを訪問した30年前には、レストランで食事を食べ残すと「ドギーバッグ」と称する「お持ち帰り用の箱」をもらったものでした。最近では犬をだしに使うのはいかがなものかということで、呼び名が変わってきました。
 それに気付いたのも友人の一言でした。「トゥガバッ」をいただけますかと、レストランの店員に聞いていました。「何だろう」「トゥガバッ?」。しばし考えた後、それが「To go box」だと分かりました。店内に「TO GO」(お持ち帰り)と書かれた看板があったからです。これもまさに文字と音が一体化した瞬間でした。
 英語の発音は国や地域によって異なり、アルファベット通りに聞こえないことがよくあります。私の場合、こうした体験が病みつきになってしまい、新たな「音」を求めて毎夏アメリカを訪問している次第です。

 ※県内の中学・高校の先生が、時事のニュースや話題を切り口にした授業を紙面で展開します。

 

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 ■NIEアドバイザーのワンポイント講座(2)=新聞読む楽しさ伝える
 小学生にとって、情報の宝庫である新聞を読めるようになるのは、とても大切なことです。その一方で、漢字が難しいなどの壁があるのも事実です。そんな壁を乗り越え、積極的に新聞を活用する子どもを育てるために、取り組み始める時期に、ぜひ教えてほしいことがあります。
 その一つが、新聞を読む楽しさ、大切さを教えること。情報が手軽に手に入るため新聞の必要性を感じていない子がいます。そんな子にこそ、新聞が社会的に価値ある情報を正確に伝える媒体であることを教えましょう。写真だけ見ても分かることはあるはずです。
 二つ目が、新聞特有の表記を教えること。新聞は、大事なことを落とさずできるだけ簡潔に伝えるために、「いつ」「どこで」など5W1Hを踏まえた表記をしています。また、最初に一番大切なことを書き、その後、補説をする逆三角形の文型も特徴的です。新聞記事を最後まで読み通そうと四苦八苦している子に、記事の最初を読むだけで概要が分かることを教えれば、新聞の読み方が変わるはずです。
 (浜松与進北小・山崎章成)