新聞スクラップをしよう

スクラップをするとどんな力がつくの?

 新聞スクラップは、自分の気に入った記事を切り抜いてスクラップし、そこに自分の思いや考えを書きこんでいくものです。スクラップを継続することで自分から進んで新聞を読む習慣がつきます。

 そして興味・関心をもって記事を読んで感想を書いていく中で、記事の内容を自分自身と結びつけて、そこから見えてくるもの・考えられることを自分なりにまとめていく力がつきます。まさにここがNIEを行う上での基盤となる部分になります。

どんなふうにスクラップをすればいいの?

〈小学校低学年〉
写真を見て思ったことを書く

 たとえ記事が読めても語彙が豊富ではない1・2年生にとっては文章の内容を理解して感想を書いていくのは大変なことなので、きれいな写真を用いてスクラップを行うことが良いでしょう。新聞の中には鮮やかできれいな写真がたくさんありますから、季節の花、風景、動物などは特に興味をもって見ると思います。まさしく新聞に触れて「新聞に親しむ」学習です。

〈小学校中学年〉
記事を読んで思いを文章に表す(3年)
記事の内容について考えたり、疑問を持ったりしたことを調べる(4年)

 自由に文章を読み込むことはまだまだたいへんな3・4年生ですが、子ども新聞や大人のものでもルビのふられている記事を使うなどして、写真と併用して記事の内容を理解していきます。「新聞を読む」学習です。

 3年生では1日の中で一番印象に残った記事について思ったことを書いていきます。毎日スクラップを行っていくと、〇月〇日に起こった出来事であることがわかり日記がわりにもなります。

 4年生ではただ感想を書くだけで終わらせるのではなく、自分なりに考えたことや疑問点など、より発展させたものにしていきます。わからない場合は本などで調べることもしていきます。

〈小学校高学年〉
記事の中から追究したいことを決め、背景に見えるものを継続的に調べる(5年)
記事を取捨選択して追究したいことを絞り、長期的に深く調べる(6年)

 高学年になると、自分とそのまわりとの関係を相互に見ながら考えをもつことができるようになります。4年生あたりから、ひとつのことに絞って追究することができるようになるので、高学年では背景に見えるものについてまで継続的に調べていきます。6年生では、1つのテーマについてじっくりと長期的に取り組むことができたらいいですね。

 このように新聞スクラップを発達段階に応じて続けて取り組んでいくと、「どのような記事がいいのか(自分が求めている記事はどれか)」がわかるようになってきます。これがいわゆるメディアリテラシーであり、数多くの情報の中から自分に必要なものだけを選び取る力となります。そして、その選び抜いた記事に対してどのように感想を書いたらいいのかも自然と見えてきます。そうなれば、「新聞スクラップに書く」という行為をしなくても、テレビのニュースや身の回りで起こる現象を見た時に、すぐに自分なりの思いや考えをもつことができるようになります。

 新聞を切り抜く時に大事なのは、発行している新聞社の名前と発行された日付(朝刊か夕刊かも見ます。)です。切り取った時にいっしょに記事に記載されている場合はそのままでいいのですが、ない場合は余白に書き込んでおきます。記事は「鮮度が命」の場合が多いので、たくさん切り抜いて選ぶ場合は日付の新しいものを使う方がいいでしょう。

 スクラップするものは、自分がやりやすい方法が一番ですが、最初はワークシートなどを使ってそれに書きこんでいくほうがいいかもしれません。ここに2種類のワークシートをのせましたので、参考にしてください。

 低学年用はA4判、中学年以上用はA4判とB4判の2種類になっています。低学年は、基本的には自分の切り取った写真の感想を書くことが中心になるので、写真と感想を書くスペースだけとします。中学年以上については、記事の要約・感想・意見・疑問・提案などもしっかり書かせたいので紙面を大きくB4判を使用しています。でも、A4判でやりたいということでしたら感想等をしっかり書きこむスペースを作っておけば可能です。

こんな新聞スクラップを作っています

新聞コラージュを紹介

 低学年では「新聞に親しむ」ことに取り組んでいきますが、まさにこの活動を通して「新聞大好き」になれます。

 新聞コラージュは、写真や記事に注目するスクラップと違い、紙面の色に注目してコラージュしていくものです。新聞にはカラフルな写真や広告がたくさん掲載されており、1紙面からいろいろな色を探し出すことができます。そして、いわゆる「緑色」といっても絵の具にも色鉛筆にも存在しない微妙に違う様々な緑色を見つけることができます。その微妙な色を使ってコラージュしていく活動を通して子どもたちはいっぺんに新聞を身近なものとしてとらえることができるでしょう。

 それでは、新聞コラージュに挑戦してみましょう。

 準備するものは、新聞・画用紙(八切)・のり・はさみです。新聞のカラー版の写真・広告の部分を切り抜き、黄色の仲間・赤の仲間・緑の仲間というように色の仲間分けをした後、その中から自分の感覚に合った色を選択していきます。

 新聞コラージュは、たとえば自分の葉のイメージにあった色、形を連想して選び、自分で葉の形に切り取ります。場合によっては質感も考えて探す子もいます。形そのものを切り取って構成するわけではないので、従来のコラージュより場合によってはむずかしいかもしれませんが、「創作している」という意識で取り組めます。

 高学年では、「新聞に親しむ」という目的で新聞コラージュに取り組むことはないと思いますが、図画工作の目標で取り組めば十分に可能です。普段絵の具で描いている構想画(お話の絵)や、宿泊訓練の思い出などを八切の四分の一程度の大きさで挑戦してみるのもおもしろいでしょう。