NIE関連記事

「生活に記事活用」 新聞感想文コンクール 上位入賞者を表彰-静岡

2018年12月09日(日)付 朝刊


 しずおか新聞感想文コンクール(静岡新聞社・静岡放送主催)の表彰式が8日、静岡市駿河区登呂の静岡新聞放送会館で開かれた。小中高の3部門で上位入賞した16人を表彰した。
 今回の応募は計6677点。木苗直秀県教育長や江崎和明静新会会長が受賞者に賞状や盾を手渡した。最優秀賞は静岡城北小6年の元野陽斗さん、静岡南中1年の平野友結さん、浜松北高2年の坂神練丞さん。
 子どものネット依存の記事に着目した元野さんは「これからはネットの使い方に気をつけて生活したい」と話した。サッカーワールドカップで日本人がごみ拾いをした記事を読んで自ら海岸清掃をした平野さんは「遊びで出したごみを拾うのは当たり前。道端に落ちているごみがなくなってほしい」と語った。
 タイの洞窟救出劇に世界中の人が協力した記事を取り上げた坂神さんは「人々が国を超えて団結する大切さを伝えたいと思った」と振り返った。

 

20181209.jpg

小学生の部で最優秀賞の表彰を受ける静岡市立城北小の元野陽斗さん=8日午後、静岡市駿河区登呂の静岡新聞放送会館

山内さん(静岡聖光学院中3)奨励賞 中央特別支援学校も-新聞記事感想コンクール

2018年11月27日(火)付 朝刊


 日本新聞協会は26日、第9回「いっしょに読もう!新聞コンクール」の入賞者を発表した。県内からは奨励賞に山内敦仁さん(静岡聖光学院中3年)、学校奨励賞に県立中央特別支援学校が選ばれた。
 全国の小中高生が家族や友人と新聞を読み、意見を共有して感想を寄せた。国内外から5万2155点(県内89点)の応募があり、小中高各部門で最優秀賞1点、優秀賞10点を選定。奨励賞120点も選んだ。団体応募420校からは、小中高各部門ごとに優秀学校賞5校と学校奨励賞154校を決めた。
 山内さんは、京都大チームがパーキンソン病へのiPS細胞を利用した世界初の治験を開始したとの記事を題材にした。「祖父を難病で亡くし、医療関係の職に就きたいという思いから記事に引かれた。自分も将来、大勢の人の命を救うことに貢献したい」と語った。
 県立中央特別支援学校は、授業や宿題で生徒が気になった記事を切り取り、友人や家族と意見を交わしながら感想をまとめる活動が評価された。同校の田中裕子教諭は「新聞は生徒が社会情勢を知り、自分なりの考えを持つことに役立つ。今後も教育の一環で活用したい」と話した。
 各部門の最優秀賞は橋本隼人君(福井市立宝永小5年)、道源琴乃さん(名古屋市立志段味中3年)、小椋由貴さん(埼玉県立川越女子高1年)。

言葉の重要性 説明 矢沢さん(焼津市立豊田中校長)講話-藤枝順心中・高

2018年10月16日(火)付 朝刊


 藤枝市の藤枝順心中・高で15日、「言葉の魅力」をテーマにした講演会が開かれた。NIE(教育に新聞を)アドバイザーで、焼津市立豊田中校長の矢沢和宏さんが講話した。
 矢沢さんは順心中・高の全校生徒約600人を前に「言葉を意識すると人生が変わる」と切り出した。「人を傷つける言葉は自分を傷つけ、人を勇気づける言葉は自分も勇気づける。言葉は返ってくるからこそ大切にしたい」と強調し、前向きな言葉の重要性や言葉の伝え方のポイントなどを具体的な例を示しながら説明した。
 新聞記事の重要な部分を伝える「見出し」にも触れ、「言葉でも言いたいことの結論や核心から入ると伝わりやすい」などと紹介した。

 

20181016.jpg

新聞を使いながら「言葉の魅力」について講話する矢沢さん=藤枝市内

平昌の感動 もう一度 本紙記事で感想を共有-三島・山田小5年生 意見発表

2018年03月07日(水)付 朝刊


 三島市立山田小で6日、平昌冬季五輪を報じたお気に入りの新聞記事を取り上げ、感想を語り合う授業が行われた。

 同校では大会期間中、西島哲治教頭が静岡新聞に掲載された五輪関連のすべての記事を職員室前の廊下に張り出した。その量は高さ1・6メートル、幅15メートルに。この日は5年1組の児童が一つの記事を選び、6班に分かれて意見を発表し合った。
 とりわけ人気が高かったのは日本中を沸かせた羽生結弦選手、小平奈緒選手ら金メダリスト。「けがを乗り越えた演技はすごかった」「速くて格好良かった」などの声が飛んだ。
 一方で、スノーボード女子パラレル大回転5位の竹内智香選手を挙げ、「『やり切った』という言葉に感動した」とした意見もあり、受け止め方はそれぞれ。多数派も少数派も互いの思いを共有し、五輪を記憶に刻んだ。

 

20180307.jpg

お気に入りの記事を選ぶ児童=三島市立山田小

好きな新聞記事 集めて アドバイザーの大井川中・矢沢校長 駿河総合高で授業-静岡

2018年01月30日(火)付 朝刊


 静岡市駿河区の県立駿河総合高は29日、NIE(教育に新聞を)アドバイザーを務める焼津市立大井川中の矢沢和宏校長による特別授業を同高校で開いた。1年生285人が新聞の読み方や学習に活用する方法を学んだ。
 

 矢沢校長は新聞に触れる習慣化のこつについて「『読む』から『見る』へ意識を変えることが大事」と説いた。
 インターネットニュースにない新聞の長所として、地域に密着した明るい話題を取り上げる親密性や、一覧性、信頼性などを挙げ、「まずは好きな記事を集めてスクラップしてほしい。ニュースが自分のものになったという実感が持てれば、一生の宝物になる」と呼び掛けた。
 講座の後には生徒の代表10人を交え、タブレットやスマホを活用して矢沢校長への質問や講演の感想を共有する座談会を開いた。

 

20180130.jpg

新聞の読み方を解説する矢沢校長=静岡市駿河区の県立駿河総合高

学校図書館の役割考える-来月3日、都内で教育フォーラム

2018年01月22日(月)付 朝刊


 日本新聞協会は2月3日午後1時20分から、東京都千代田区のプレスセンターホールで第3回NIE教育フォーラム「読む力で育む学び」を開く。
 変化の激しい現代社会の中で、子どもたちが情報を読み解く力を身に付けるために、学校図書館が果たす役割について考える。日本図書館情報学会副会長の倉田敬子慶応大学教授の基調講演「大学生と情報リテラシー」はじめ、新聞記者や学校図書館長らの講演や実践報告が行われる。
 定員150人。参加無料。希望者は同協会NIEウエブサイト<http://nie.jp/forum/>から申し込む。締め切りは1月26日。問い合わせは同協会<電03(3591)4410>へ。

上井出小と人穴小児童 新聞活用授業で交流 記事選び意見交換-富士宮

2018年01月19日(金)付 朝刊


 富士宮市立上井出小と市立人穴小の全校児童が18日、フレンドシップデーとして上井出小で交流を図った。新聞を活用した授業などに一緒に取り組み、普段とは違った環境で学びを深めた。

 児童が同じ中学に進学する小規模校同士が連携し、良好な交友関係を築くのが目的。上井出小の80人と人穴小の22人が参加した。教育に新聞を役立てるNIE活動を推進する上井出小が、日頃の実践を伝えようと授業を展開した。
 両校の児童は学年ごとに分かれ、進度に合ったさまざまな学習に取り組んだ。新聞から写真を切り抜いて題名とストーリーを想像したり、記事を読んで見出しを考えたり、文字を消した四こま漫画のせりふを独自の視点で埋めたり。グループごとに気になる記事を探し出し、話し合った学年もあった。
 総合の時間「富士山学習パート2」の発表会に向けた事前プレゼンテーションをそれぞれの児童が行い、感想を伝え合った。

新聞の読み方手ほどき 言葉の大切さ強調-焼津で講座

2017年12月12日(火)付 朝刊


 焼津市大村公民館は9日、「人と和やかにお話をするコツ講座」を同公民館で開き、NIE(教育に新聞を)アドバイザーを務める矢沢和宏大井川中校長が講師を務めた。
 講座には市内から50~60代を中心に23人が参加した。矢沢校長は新聞を示し、核心部分から伝える逆三角形型の記事や見出しの役割などを紹介した。また、4コマ漫画を例に、起承転結の仕組みも説明した。ユーモアを交えて参加者を引き付け、「言葉を大切にすると、自分が変わり、人生が変わります」と呼び掛けた。
 

20171209.jpg

NIEアドバイザーの矢沢校長(右)の話に耳を傾ける参加者=焼津市大村公民館

県高校新聞コンクール-10月1日から応募受け付け

2017年09月02日(土)付 朝刊


 県高文連新聞専門部は県内の高校を対象に、新聞作りを通して新聞の編集・技術の向上を図るために2017年度県高校新聞コンクールを開催する。

 

【応募規定】

①高校の先生の指導で編集、発行した、校名入りの学校新聞

②16年11月1日から17年10月23日までに発行した新聞

 

【受付期間】

10月1~23日まで(郵送で必着)

 

【応募方法】

 期間内に発行された新聞(外注印刷か、パソコン、手書き製作などの校内印刷新聞かは問わない)の中から1紙だけを選び、応募票(各校でA4縦置き横書きにて作成のこと。

 ①学校名②新聞名③部・委員会等の発行者名④学校所在地⑤電話⑥ファクス⑦顧問名⑧代表生徒名と学年⑨200字以内で応募新聞のアピールポイント⑩表彰式への出席の有無を明記)を記入の上、コピーした応募票を1枚ずつ新聞にクリップで添付して5部送付する。


【審査・賞】

①総合賞(最優秀賞、優秀賞)

②部門賞(記事内容奨励賞、取材力奨励賞、レイアウト奨励賞、見出し奨励賞、写真・図表等奨励賞、コラム賞、速報賞)

③特別賞(高校生の自転車事故防止部門賞)


【発表・表彰式】

県高文連新聞専門部大会(11月3日午後2時~静岡新聞放送会館)の席上を予定


【応募先】

〒422-8670(住所不要)静岡新聞社読者プロモーション局「県高校新聞コンクール」係

 

【お問い合わせ先】

静岡新聞社読者部

電話番号 054(284)8984(月曜~金曜、9時~17時 ※祝日は除く)

 

主催 静岡県高等学校文化連盟
共催 静岡新聞社・静岡放送

月刊一緒にNIE@しずおか・第1土曜掲載=名古屋・NIE全国大会 新聞から 広がる世界

2017年09月02日(土)付 朝刊


 名古屋市で8月3、4の両日、「第22回NIE全国大会」(日本新聞協会主催)が開かれた。「新聞を開く 世界をひらく」をスローガンに、教材としての新聞の活用に関する発表や意見交換を展開した。初日には2014年にノーベル物理学賞を受賞した天野浩・名古屋大教授=浜松市出身=の講演などが行われ、最終日には、県内からNIEアドバイザーの山崎章成・浜松市立与進北小教諭と、磐田市立城山中の萩田純子司書教諭がそれぞれ特別分科会に登壇し、NIEの裾野を広げる取り組みに向け意見を述べた。

 

2017090201.jpg

天野浩名古屋大教授も参加した「第22回NIE全国大会」=8月3日、名古屋市内

 

               ◇........................◇

 

 ■学校図書館 重要な役割 情報活用教育の中心に-萩田純子司書教諭(磐田・城山中)
 磐田市立城山中の萩田純子司書教諭は「学校図書館とNIE」に焦点を当てた特別分科会に登壇し、生徒の情報活用スキルを向上させる系統立てた指導法や、司書教諭の役割について考えを述べた。
 萩田教諭は「理想の学校図書館」として、各教科が関連し合い補い合いながら中心に図書館があるイメージを示した上で、互いの授業内容を知らない教科担任制、教科でばらばらに指導される情報活用スキルの学習-などをネックに挙げ、司書教諭が「つなぐ」ことの重要性を強調した。
 新聞について「社会で起こっている事実が載っている点で、それ自体が非常に重要な資料」と述べる一方、社説やコラムには意見が掲載されていることから「事実と主張のつながりを学習するのに適した教材」と語った。
 具体的実践として、世界遺産、AKB48、ディズニーランドの混雑度、地下鉄サリン事件-など知りたい情報の種類に応じ、図書、新聞、インターネットから最もふさわしいメディアを探る中学1年向けの授業を紹介。萩田教諭は「出来事の経過を詳しく知るには新聞」「概要を知りたいなら百科事典」など、指導内容を説明した。
 国語に関する世論調査の新聞記事を読み、自分の意見をまとめ、新聞各紙の社説や、友達が書いた意見文と比べる中学3年生向けの授業実践も紹介した。
 萩田教諭は「こうした実践は、現状では司書教諭である私が孤軍奮闘という感じ。全職員の共通理解としてできるようになったら、かなり変わってくると思う」と期待した。

 

2017090202.jpg

司書教諭の役割について語る磐田市立城山中の萩田純子司書教諭

 

               ◇........................◇

 

 ■販売店と連携 裾野広げて-山崎章成教諭(浜松・与進北小)
 NIEアドバイザーの山崎章成・浜松市立与進北小教諭がコーディネーターを務めた特別分科会「地域で支えるNIE-販売店との連携を考える」では、東海、関東地区の3人の新聞販売店主らが登壇し、地域や学校と協力したNIEの具体的取り組みを紹介した。
 店主の一人は、新聞を購読していない家庭が増加し学校の先生が新聞を使った宿題などを出しにくくなっている-などとNIE活動の障壁を挙げた上で、「学校と新聞社の2者によるNIEには限界があるのでは」と問題提起。別の店主は新聞記者との交流など地域に根差した活動として行っている「塾」の取り組みを挙げ、展開に期待を込めた。もう一人の店主は、オリジナルソングを使った新聞普及活動を紹介した。
 山崎教諭は「NIEを基盤として支えているのが新聞販売店だということを確認し、今後の実践に生かしてほしい」と呼び掛けた。
 

               ◇........................◇

 

 ■紙面授業=国語-駿遠線に願う平和 静清高 曽根正明先生
 郷土の作家、小川国夫の初期の作品に「動員時代」があります。戦時下に用宗の造船所に勤労動員された時の経験をもとに、暴力が肯定される時代と青年期の反抗的な感情を描いた短編小説で、その中に「駿遠線」が出てきます。駿遠線については今年3月、最後の駅舎跡「藤枝本町駅」の木材が万年筆やボールペンとしてよみがえった、とのニュースが新聞で報じられ、鉄道愛好家らの関心を集めたことが記憶に新しいところです。
 私は小学校まで千葉に住んでいましたが、夏休みになると親の実家のある相良まで電車を乗り継いで行きました。途中、藤枝駅を降りると、東側に静岡鉄道の新藤枝駅がありました。紺と黄色がかったクリーム色の小さな汽車。地元の人たちが「けーべん」と呼ぶ軽便鉄道。それが駿遠線でした。駅から左へ行くと「動員時代」に出てくる大手線方面。私たちが乗った小さな汽車は右の本線をゆっくりと約20キロ先の相良まで約1時間かけて進んで行きました。駿遠線は、1913年に前身の藤相鉄道の藤枝~大手間が開業し、スタート。その後、周辺鉄道との合併などにより48年には総延長64・6キロに及び、日本一長い軽便鉄道、駿遠線となりました。しかし、70年7月31日に最後に残った藤枝~大井川間が廃止となり、57年間の歴史に幕を下ろしました。
 本校では毎年8月に静岡新聞社の後援を得て、その廃線跡を訪ねる「駿遠線跡を辿ろう」という企画を催しています。私がバスの運転をし、「歴史に残す 静岡鉄道駿遠線-日本一の軽便鉄道」(静岡新聞社刊)の著者、御前崎市議の阿形昭さんにガイドをお願いして、廃線跡を巡って今年で10年となりました。当時を知る年配の方から、この企画で駿遠線を知ったという小学生まで毎年数々の出会いがあります。
 皆さんの街の近くにあった駿遠線を少しでも知っていただければと思います。また、戦後72年がたち、再び小川国夫の「動員時代」のような勤労動員がないように、平和な時代が続くことを願っています。

 ※県内の中学・高校の先生が、時事のニュースや話題を切り口にした授業を紙面で展開します。

 

               ◇........................◇

 

 ■NIEアドバイザーのワンポイント講座(6)=記事から考える道徳授業
 学校の道徳授業が「考え、議論する道徳」に変わろうとしています。現実に起きている、答えが一つではない道徳的な課題に対して、子どもが自分の問題として向き合い、実践的に考え、議論し、生き方を深めていく道徳です。その際、社会の今を反映し、生きた課題を提示してくれる新聞は道徳の優れた教材として役立ちます。
 例えば、航空機に搭乗する際、車いすの男性が航空会社の人から「歩けないと乗れない」と言われ、タラップを腕だけではって上ったという記事。この記事をそのまま使って考えさせることもできますが、男性役、航空会社社員役、周囲の人の役などの役割を決めてロールプレイを行い、各立場から考えさせるのも効果的です。
 また、プロサッカー選手のなくした財布が中身もそのまま手元に戻ったという記事も使えそうです。
 他にも、新聞にはニュースだけでなく、魅力的な生き方をコンパクトにまとめたコラムもたくさん掲載されています。あまり難しく考えずに、新聞を教材にした道徳に挑戦してみませんか。
 (焼津大井川中・矢沢和宏)

新聞読むほど成績向上 学力テスト 正答率に差-17年度

2017年08月29日(火)付 朝刊


 県教委の2016年度の学習状況調査の分析によると、「ほぼ毎日」新聞を読む児童生徒と「読まない」児童生徒では正答率に小6で8・1ポイント、中3で8・8ポイントの差があった。県教委は学力テストの正答率と新聞を読む頻度に相関関係が認められるとして、授業などでの新聞の活用を奨励している。
 「ほぼ毎日」新聞を読む小6の平均正答率は70・7%、中3では71・1%で、新聞を読む頻度と比例して平均正答率が高かった。県教委は17年度のデータについても今後、同様の分析を行う。
 17年度の学習状況調査では、新聞を「ほぼ毎日」「週に1~3回程度」読むと答えた県内公立の児童生徒の割合は小6が20・4%(16年度比2・4ポイント減)、中3が14・9%(同4ポイント減)で、私立も含めた全国の割合をやや下回った。一方、新聞を「ほとんど、または全く読まない」としたのは小6が57・5%(4・1ポイント増)、中3が66・8%(6ポイント増)だった。

 

20170829.jpg

月刊一緒にNIE@しずおか・第1土曜掲載=新規実践校が意気込み 積み重ね、深い学びに

2017年08月05日(土)付 朝刊


 日本新聞協会はこのほど2017年度のNIE実践指定校を決定し、県内では県NIE推進協議会が推薦した14校に決まった。実践校には、県内で発行される7紙が一定期間無料で提供され、NIE活動に活用される。新規実践指定6校の担当教諭に活動の抱負を聞いた。

 

 【2017年度NIE実践指定校】 
 ■新規 浜松西都台小、富士宮西富士中、静岡観山中、川根本町本川根中、遠江総合高、静岡聴覚特別支援学校
 ■継続 富士宮上井出小、静岡井宮小、森小、裾野富岡中、浜松可美中、三島南高、静岡聖光学院中・高、東海大静岡翔洋小

 

 ■良い文章のお手本に-川根本町本川根中・羽入健太郎教諭
 中学生の頃、父親によく「新聞を読め」と言われていたことを思い出します。当時はインターネットも普及しており「なぜ大人は新聞を読ませるのだろう」と疑問を感じていました。その答えは自分が教壇に立ってやっと分かりました。
 国語の授業を担当する私は生徒たちの文章力に課題を感じています。文章の組み立てが破綻していて何を伝えたいのか分からない文章や、語彙[ごい]が少なく表現力に乏しい文章などを目にする中で、新聞記事(特にコラムや社説)は生徒にとって「良い文章のお手本」になると考えています。
 NIE教育を通して社会に対する見方や考え方を広げていくとともに、文章力を伸ばす取り組みも実践していきたいです。

 

 ■全職員が記事を紹介-静岡観山中・滝志保教諭
 観山中生の約3分の1の家庭は、新聞を購読していません。長い文章、難易度の高い言葉に、意欲を失う生徒が多いように感じます。
 昨年度より週1回「朝の新聞タイム」を設け、全職員交代で新聞記事を紹介し、一つの記事を全生徒で読む機会を持っています。
 職員が腐心している点は、記事の内容と難易度です。親しみやすく、分かりやすい内容で、思考を深め、新しい知識が得られる、そんな記事を取り上げようと心掛けてきました。これまで生態系、政治、情報化社会などさまざまな分野の記事が選ばれてきました。
 本校の研修テーマは「語彙[ごい]力の育成」です。新聞を楽しめる生徒を育てることで、語彙力の育成につなげていきたいと考えています。

 

 ■ひと手間掛け成長を-遠江総合高・小杉幸一教諭
 キャリア教育、生涯学習の観点から、毎週1回10分間「朝NIE」、毎日「スクラップノートリレー」を実施。1学期は3年生対象に取り組みました。2学期からは、1、2年生も実施予定です。
 「しずおか新聞感想文コンクール」には、全校生徒が参加予定。新聞を読んで記事にコメントできる力は、今日求められている能力です。国語科の協力も得て取り組みます。
 生徒も先生も多忙感から目の前のことにとらわれがちですが、NIEで、見えてくる世界が広がるに違いありません。「ひと手間掛ければ、ふた手間分育つ」「ひと手間掛ければ、ふた手間省ける」と関口修司氏(日本新聞協会NIEコーディネーター)。
 さあ今、NIEにひと手間掛ける時です。

 

 ■記事から共通点探す-富士宮西富士中・中嶋優貴教諭
 1年目の本年度は「NIE~新聞記事と自分を結ぶ~」をテーマとし、新聞記事から自分の体験や経験と比較したり共通点を見つけたりすることで自分の考えがもてるような実践に取り組んでいきます。
 本校では4年前から毎週金曜日を「新聞の日」と位置付け、朝の10分間で全校共通の記事を要約し、それに対する自分の考えを書く活動を行っています。また、新聞のコピーを校内各所に掲示したり、図書室に新聞コーナーを設けたりすることで、新聞がより身近に感じられる環境整備を行っています。
 新聞をきっかけとして自分の思いや考えを持ち、社会の動きを敏感に捉える生徒を育てるために、私たち教職員も新聞記事を生きた教材として活用させていきたいと思います。

 

 ■気軽に読める場作り-浜松西都台小・林裕一教諭
 インターネットが普及して、人々の情報を手に入れる手段が多様化している現在、子どもたちにとって新聞が遠い存在になっています。本校の児童も、新聞に目を通す習慣がある子が少なく、新聞をとっていない家庭も存在しています。
 まずは、子どもたちと新聞の距離を縮めたいと思いました。そこで、校内に新聞の立ち読み台を設置し、気軽に読める場を作りました。また、学年に応じて活用した活動を行っています。
 今後の実践を積み重ねることにより、新聞が子どもたちにとって身近な存在になるだけでなく、子どもたちが「気づく力」「調べる力」「伝える力」を成長させ、「深い学び」につながるように工夫していきたいと思います。

 

 ■情報に主体的な姿勢-静岡聴覚特別支援学校・山根渉教諭
 今回NIE実践指定校に選ばれたことで、NIE教育によって〝主体的に情報を求める姿勢〟を生徒に身に付けてほしいと願いました。耳の聴こえにくい幼児・児童・生徒には「受け身の姿勢になりやすい」という傾向があります。自ら気になったことを調べたり、情報を多角的に捉えたりすることが苦手です。それらの課題にNIEの実践によって取り組んでいきたいと思っています。
 まずは複数紙を読み比べることのできる環境を整えていただけるので、一つの記事について教室内で話し合う機会を設けることから始めようと思います。新聞という視覚情報を活用できるメディアを通して、社会を知ろうとする主体性が身に付くように尽力いたします。

 

20170622.jpg

本年度の抱負を語る実践指定校の教諭=6月、静岡市駿河区の静岡新聞放送会館

 

               ◇........................◇

 

 ■紙面授業=国語-近づく「終戦の日」 桐陽高 小池太一先生
 かつてロンドンを訪れたとき、帝国戦争博物館というところを見学したことがあった。戦車や戦闘機が展示されているフロアを漫然と歩き回っていたが、ある展示物の前で思わず足を止めた。本物の原子爆弾だった。それは深緑色に鈍く光る鉄の構造物であったが、他のどの兵器とも違っていて、なにか異様で、不気味な感じがした。こんなものを投下された日本という国の歴史を考えた。
 今年も「終戦の日」が近づいている。2016年8月15日付「静岡新聞」朝刊の社説にはこうある。「『二度と戦争はごめんだ』。戦後日本の平和国家の歩みは、71年前に国民が抱いたこの思いが原点だろう。...筆舌に尽くしがたい惨禍の歴史を問い直し、思いを引き継ぐ。終わりがあろうはずのない取り組みが揺らいでいないか」。
 何年も新聞を読み続けている読者には、もうすっかり慣れてしまって、決まり文句のように思えるかもしれない。しかし、日本が太平洋戦争で経験した惨禍と、失敗を繰り返すまいという決意はリアルなものだ。そのリアリティーを実感するには、自分が住んでいる地域が、当時どのように太平洋戦争をくぐり抜けたのかを調べてみるとよいだろう。
 桐陽高の地元、沼津市を例にとってみると、何度も米軍の空爆を受けている。爆撃、機銃掃射、焼夷[しょうい]弾といった攻撃で、300人以上の市民が亡くなっている。特に1945年7月17日の空襲は大規模なものであり、御前崎方面から沼津上空に侵入したB29爆撃機130機が行った9千発以上の焼夷弾攻撃によって、沼津市街は焼け野原になっている。戦前から沼津に住んでいる方なら記憶しておられるだろう。
 また、海沿いの地域には特攻兵器(「人間魚雷」と言われる「回天」、モーターボート特攻の「震洋」など)の格納庫があった。桐陽高がよく体育祭をしている愛鷹山には、帝国陸軍が本土決戦を想定した陣地を構築した。JR沼津駅北側には、レーダーなどの製造を目的とした広大な海軍工廠[こうしょう]があった。
 今年の「終戦の日」、「静岡新聞」の社説は、何を伝えてくれるだろうか。

 ※県内の中学・高校の先生が、時事のニュースや話題を切り口にした授業を紙面で展開します。

 

               ◇........................◇

 

 ■NIEアドバイザーのワンポイント講座(5)=習慣付ける題材選びを
 新聞を活用することで、子どもたちの学びが広がり、深まり、目標が効果的に達成される場合があります。そのために指導する側が、「新聞を活用して伝えたいこと」を明確にして指導することが大切です。
 子どもたちの実態に応じた適切な題材選びも大切です。最初から難易度の高い記事を取り扱うのではなく、新聞に慣れさせてから難易度を高めていくとよいでしょう。
 例えば写真には、多くの子どもたちが興味を示します。朝の学級活動や授業などの導入時に、その日取り上げたい新聞記事の見出しと写真を紹介して、一言添えます。「季節の写真」「行事の写真」「スポーツの写真」などは、さまざまな教科や特別活動の学習に関連づける展開が可能です。
 投書も使えます。静岡新聞の「ひろば」欄の10代の投書特集では、子どもたちに身に付けさせたいことが、同年代の子どもたちの素直な言葉で語られていることがあります。学級活動の時間に紹介すると、学校生活を考えて送るきっかけになります。
 最近は家庭でのNIEも注目されています。夏休みは取り組みのチャンスです。
 (清水西高・吉川契子)

新聞販売店 教育連携を 県内2教諭 分科会で意見-名古屋・全国大会閉幕

2017年08月05日(土)付 朝刊


 名古屋市で開かれた第22回NIE(教育に新聞を)全国大会は最終日の4日、テーマごとの分科会プログラムを行い、2日間の日程を終了した。県内からはNIEアドバイザーの山崎章成・浜松市立与進北小教諭と磐田市立城山中の萩田純子司書教諭がそれぞれ特別分科会に登壇し、NIEの裾野を広げる取り組みに向け、意見を述べた。

 新聞販売店との連携を考える分科会で、NIEに力を入れている販売店の代表者らが出前授業など学校と新聞社をつなぐ具体的な活動例を紹介した。コーディネーターを務めた山崎教諭は「学校側は全国津々浦々の新聞販売店が持っているノウハウを教育に生かしてほしい。新聞社も学校にアプローチするのは大変かもしれないが、間に入る販売店をいかに活用するかということ」と述べた。
 萩田司書教諭は「情報活用能力を育てる学校図書館活動とNIE」と題する分科会に登壇した。学校図書館を基盤に、情報収集や整理、分析を行う技術を系統的に指導する大切さを強調した。「各教科がそれぞれ補い関連し合い、中心に学校図書館がある姿」を理想とする一方で「互いの教科の授業内容を知らない教科担任制などがネック」と指摘し、仲立ちになる司書教諭の役割を重要視。出来事の経過を詳しく知ることができる新聞など複数媒体から情報収集することの意義や、授業の流れを説明した。
 閉会式で大会実行委員長の土屋武志・愛知県NIE推進協議会長(愛知教育大教授)は「多くの先生方に参加いただいた。学校現場に帰ったら、普段の授業から取り組めるアイデアを他の先生方に提案していってほしい」と呼び掛けた。

 

2017080401.jpg
コーディネーターを務めた分科会で登壇者の話に耳を傾ける浜松市立与進北小の山崎章成教諭(右)

 

2017080402.jpg
学校図書館を基盤とした情報活用スキルの系統的指導について考えを述べる磐田市立城山中の萩田純子司書教諭(左)=4日午前、名古屋市

ノーベル賞受賞「渡航中で知らず...」-天野浩教授講演

2017年08月04日(金)付 朝刊


 名古屋市で3日開幕したNIE全国大会の記念講演で、ノーベル物理学賞受賞者の天野浩名古屋大教授(56)=浜松市出身=が、2014年に同賞を受けた際の"秘話"を語った。受賞決定時に海外渡航中で自らの受賞を知らず「経由地ドイツで見た『おめでとう』というたくさんのメールの意味もよく分からないままフランスに到着し、現地で待っていた記者から受賞を知らされた」と苦笑した。
 帰国後にノーベル財団からメール連絡が来ていたことに気付き、読んでみると「電話やファクス、メールであなたに連絡しているが返事がない。このままだと賞を取り消す可能性がある」と記されていて、ひやひやしながら財団に連絡を入れて事なきを得た-との逸話で会場を和ませた。
 授賞式が行われたスウェーデンのストックホルムでの記者会見で海外記者から、現在の大学や研究所での基礎研究を取り巻く状況を聞かれたが「研究ばかりしていたので、全然分からなかった」と話し「新聞を読んでおけばよかったと思った」と当時を振り返った。

 

2017080302.jpg

ノーベル物理学賞受賞時の秘話を披露する天野浩・名古屋大教授=3日午後、名古屋市

NIE=新聞で世界ひらく 名古屋で大会開幕 「情報に触れ、自分の意見に」 児童ら交え座談会-教育実践報告

2017年08月04日(金)付 朝刊


 学校の授業など教育現場で新聞を活用する「NIE」(教育に新聞を)の実践報告をする第22回NIE全国大会が3日、名古屋市で始まった。「新聞を開く 世界をひらく」をスローガンに4日まで、教材としての新聞の活用に関する発表や意見交換を行う。

 県内からは県NIE推進協議会の安倍徹会長と、NIE実践指定校の教諭やNIEアドバイザー、新聞関係者ら約20人が参加した。
 初日は、2014年にノーベル物理学賞を受けた天野浩名古屋大教授(56)=浜松市出身=が「世界を照らすLED-未来を照らすことの大切さ」と題し記念講演を行った。
 天野教授は幼少期の新聞との関わりや、恩師である赤崎勇名古屋大特別教授との出会い、青色発光ダイオード(LED)実現までの試行錯誤などを振り返り「特別な才能がなくても、一心不乱に頑張れば人々のためにできることがある」などと語った。
 「頭の知識 体の知識」をテーマに据えた座談会では、大会実行委員長の土屋武志・愛知県NIE推進協議会長=愛知教育大教授=が進行役を務め、天野教授や女子レスリング五輪メダリストで至学館大副学長の吉田沙保里さん、愛知県内の高校生や小学生らが新聞に対して普段感じていることなどを述べ合った。土屋会長は「子供の頃からいろいろな記事や情報に触れ、自分の意見にしていくような、NIEがやっていることは、まさにこれから必要なこと」と議論を締めくくった。
 最終日の4日は、公開授業や実践発表、特別分科会などを行う。

 

2017080301.jpg

「頭の知識 体の知識」をテーマに議論を交わしたNIE全国大会の座談会=3日午後、名古屋市