NIE関連記事

"プラス言葉"使おう 御前崎・浜岡北小で新聞講座

2023年02月01日(水)付 朝刊


 御前崎市立浜岡北小(同市下朝比奈)で31日、新聞ワークシート活用講座「言葉の力」が開かれ、6年生が前向きな言葉を日常的に使う大切さを学んだ。
 元中学校長で静岡新聞NIEコーディネーターの矢沢和宏さんが講師を務めた。矢沢さんは「言葉は自分の分身。使う言葉は自分の行動を決める」と訴え、「ありがとう」「大丈夫」といった"プラス言葉"を使うことで友達を思いやったり、自らを元気づけたりできると説いた。児童は実際の新聞記事を題材に、前向きな言葉を使って見出しを付けるワークシートにも取り組んだ。

 

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矢沢さん(右)の問い掛けに考え込む児童ら=御前崎市下朝比奈の浜岡北小(写真の一部を加工しています)

 

 増田徠多(らいた)君(12)は「マイナスな言葉を使うと倍になって自分に返ってくると聞いた。サッカーやキックボクシングの練習で諦めそうなときは『絶対できる』と自分に言い聞かせたい」と話した。
 (御前崎支局・木村祐太)

第13回「いっしょに読もう!新聞コンクール」 県内2人3校奨励賞

2022年12月13日(火)付 朝刊


 日本新聞協会は12日、家族や友人と新聞記事を読んだ感想や意見を募る第13回「いっしょに読もう!新聞コンクール」の入賞者を発表した。奨励賞に沼津市立沼津高の宮崎隼乙さん(1年)と平野小雪さん(同)の2人、学校奨励賞には同校と浜松学芸中、静岡城北高の3校が選ばれた。
 宮崎さんは裾野市が市立中5校の制服を来年度から統一するとした記事に注目し、母親や姉とメリットやデメリットを話し合った。「制服の統一が県内、全国に広がれば、転校時に家庭の費用負担が軽減され、再利用にもつながる。地域の問題や課題に関心を持ち、自分ができることを考えたい」と語った。
 平野さんはニュージーランドで子どもが生涯たばこを吸えなくするための法改正案が国会に提出された記事を取り上げた。「喫煙を始めないようにしつつ、喫煙者を圧迫せず規制できて画期的。たばこを吸わない環境づくりが重要だと思った」としている。
 沼津市立沼津高(同市)は授業で生徒同士が意見を交わす機会を多く導入し、学びを高める指導を進める。原崎貴教諭は「限りあるスペースで簡潔に書かれる新聞記事を読み、文章力や語彙(ごい)力を養うきっかけになっている」と述べた。
 静岡城北高(静岡市葵区)は地学の授業で生徒が記事を選び、感想文を書いた。気象や火山、環境問題など幅広いニュースが注目を集めた。吉川契子教諭は「生徒の視点がユニークだった。地学の学びが社会に結び付いていると実感できたのでは」と振り返る。
 浜松学芸中(浜松市中区)は気になる新聞記事を取り上げ、家族や友人から感想を聞いて自分と違う視点を探し、夏休みの課題としてまとめた。大場裕幸教諭は「多様な意見に触れ、表現力などのステップアップができれば」と話した。
 コンクールには国内外から5万6998点が寄せられ、小中高の各部門で最優秀賞、優秀賞、奨励賞を選出。団体応募は475校あり、優秀学校賞、学校奨励賞を選んだ。

英字新聞活用記事熟読 静岡大成中で公開授業

2022年10月29日(土)付 朝刊


 NIE(教育に新聞を)実践指定校の静岡大成中(静岡市葵区)で28日、新聞記事を教材にタブレット端末を使った授業が公開された。県内の小中学校の教員ら約30人が参観し、教育現場での新聞の活用法について理解を深めた。

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新聞記事に対する意見を英語でまとめた生徒=28日午後、静岡市葵区の静岡大成中

 吉永光希教諭(48)は3年生約20人に対して、世界のニュースを紹介する英字新聞を活用した英語の授業を展開した。ペアになった生徒らはタブレット端末で「エリザベス女王国葬」「ロシアがウクライナ侵攻」などの記事を熟読。英語で関係代名詞を使うことを意識しながら意見をまとめた。
 生徒は今後、学習ゲームアプリを使い、記事に関するクイズを英語で作成する。吉永教諭は「楽しみながら新聞を読み、長文を速く読み解く力を身に付けさせたい」と話した。
 新聞の天気図と観測データを使った理科の授業も公開された。

新聞でSDGs理解 焼津港小 関連記事探す

2022年10月28日(金)付 朝刊


 焼津市石津港町の港小で27日、元中学校長の矢沢和宏さん(静岡新聞NIEコーディネーター)を講師に招いた授業が行われた。4年生の児童約100人が、本紙27日付朝刊を活用しながら、SDGs(持続可能な開発目標)について学んだ。

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朝刊からSDGs関連記事を探し出す児童たち=焼津市石津港町の港小

 児童はそれぞれに配られた本紙朝刊からSDGs関連の記事を探し出すことに挑戦した。与えられた時間内に見出しや記事の文章から「再利用」「二酸化炭素(CO2)」といった関連しそうなキーワードを拾い上げていった。
 矢沢さんは杉の木で作ったストローや古新聞を活用したエコバッグなどSDGs関連の取り組みを取り上げた本紙記事を紹介しながら「まず身近なところから始めてほしい」と呼びかけた。
 児童は海岸の漂着ごみについての記事を題材にしたワークシートにも挑戦。見出しを付けたり、記事に出てくる言葉の意味を調べたりして、内容を理解した。

言葉の大切さ学ぶ 牧之原菅山小 新聞見出し付け練習

2022年10月27日(木)付 朝刊


 牧之原市の菅山小で26日、言葉の大切さを学ぶ授業が行われた。元中学校長の矢沢和宏さん(静岡新聞NIEコーディネーター)が新聞記事を参考に友人との関係性を深めるコミュニケーション法を6年生25人に伝えた。


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 言葉の大切さを児童に伝える矢沢さん(左)=牧之原市の菅山小

 矢沢さんは人との関わり合いの中で言葉の持つ力の重要性を力説し、誰もが前向きになれる言葉「プラス言葉」を積極的に使っていくことを呼びかけた。短い言葉で効果的に気持ちを伝える力を養ってもらおうと、新聞記事の見出しを付ける練習なども行った。
 西川類菜さん(12)は「少し言い方を変えるだけでも、相手への伝わり方に違いが生まれるのだと知った」と話した。(榛原支局・足立健太郎)

新聞の読み方 こつ学ぶ 見出し作りも挑戦 西豊田小5年生140人-静岡

2022年09月07日(水)付 朝刊


 静岡市駿河区の西豊田小で6日、静岡新聞NIEコーディネーター矢沢和宏さんの新聞読み方講座が開かれた。5年生約140人が当日の本紙朝刊を開きながら、新聞の特徴や効率的な読み方について学んだ。

 

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新聞の読み方を学ぶ児童=静岡市駿河区の西豊田小

 
 矢沢さんは見出しや写真からニュースの内容を一目で読み取ることができると紹介した。「興味を広げるために、まずは新聞を眺めてみてほしい」と新聞の読み方のこつを伝えた。
 児童は「大きなニュースが急に起きた時、どうするのですか」などと質問を投げかけた。ワークシートで見出しを付ける作業にも取り組んだ。
 今後は学んだことを生かし、情報通信技術(ICT)を活用した新聞作りに挑戦する。鈴木愛美さん(10)は「見出しだけで内容が分かるように、力を入れて新聞を作りたい」と話した。
 (社会部・島田莉菜)

読解力向上に新聞活用を 浜岡中 ワークシート使い講座-御前埼

2022年09月01日(木)付 朝刊


 御前崎市立浜岡中(同市池新田)は31日、「新聞ワークシート活用講座」を同校で開いた。3年生約180人が読解力や思考力をつけるための新聞の読み方や、記事を題材に問題が設定されているワークシートの活用法を学んだ。
 元中学校長で静岡新聞NIEコーディネーターの矢沢和宏さん(63)を講師に迎えた。矢沢さんは新聞記事の特徴として、冒頭に要点が書かれている「逆三角形」の構成を紹介。見出しと冒頭部分を読むだけで大まかな内容を把握できると説明した。文章を基に見出しを考えるワークシートなども紹介した。
 殿岡弘一郎さん(14)は「新聞を読むことが国語の文章問題を解くことにつながると思った。普段はスポーツ欄を読んでいるが、他のページも読んでみたい」と話した。
 (御前崎支局・木村祐太)

 

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矢沢さん(左)の講話に聞き入る生徒たち=御前崎市池新田の浜岡中

実践校 県内14校 新聞協会 全国534校発表 22年度

2022年07月09日(土)付 朝刊


 日本新聞協会は8日、学校の授業など教育現場で新聞を活用する「NIE(教育に新聞を)」の2022年度実践校534校を発表した。内訳は、小学校212校、中学校179校、高校108校、小中連携6校、中高連携19校、特別支援学校9校、高専1校。実践期間は原則2年間で、22年度からの新規校は239校、継続校は295校となる。協会と各新聞社が購読料を補助する。県内の実践校は14校。新規校は伊豆土肥小中一貫校、富士見中、静岡清水飯田中、藤枝広幡中、浜松春野中、静岡北特別支援学校南の丘分校。
 協会とは別に、13県のNIE推進協議会が小中高校など56校を独自に認定した。
 今年のNIE全国大会は8月4、5日に宮崎市で開かれる。

新聞の読み解き方 実践 焼津・清流館高で講座

2022年06月22日(水)付 朝刊


 清流館高(焼津市上新田)で21日、元中学校長の矢沢和宏さん(静岡新聞NIEコーディネーター)を講師に招いた新聞講座が開かれた。生徒20人が参加し、新聞の役割や読み方について学んだ。
 矢沢さんは本紙掲載の記事を紹介しながら、新聞の特徴を解説した。記事の内容や重要性が一目で分かる見出しの重要性を強調し、「見出しを眺めるように読めば、効率よく情報収集できる」と読み方のこつを伝授した。

 

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本紙を使いながら新聞の読み方について教える矢沢さん=焼津市上新田の清流館高

 
 「大自在」を題材に、何を言おうとしているのかを読み解いたり、同じニュースを伝える二つの記事の違いを見つけたりして、新聞について実践形式で学んだ。
 地方版に掲載されている記事に触れ、「明るいニュースが載っていることが多く、読んでほしい」と勧めた。
 (焼津支局・福田雄一)

県内2人3校 奨励賞 新聞記事感想コンクール

2021年12月22日(水)付 朝刊


 日本新聞協会は21日、第12回「いっしょに読もう!新聞コンクール」の入賞者を発表した。奨励賞に勝又海音さん(御殿場南高2)、大出美歩さん(熱海中1)、学校奨励賞には御殿場南高、浜松学芸中・高、静岡城北高が選ばれた。
 勝又さんは、欧州連合(EU)がガソリン車の販売を禁止すると伝える記事を題材にした。父親と意見を交わし、ガソリン車に替わる電動車の課題を指摘した。「まさか受賞するとは。これからもニュースについて家族で話したい」と喜んだ。
 大出さんは、世界のさまざまな肌の色を反映した24色のクレヨンが米国で注目を集めているとの記事を取り上げた。「肌の色は一つとは限らないと認識し、人それぞれの違いを尊重することが大切だと思った」と話す。
 本年度からNIE実践指定校になった御殿場南高は新聞を読み比べできるコーナーを設けた。始業前に希望する生徒が記事を題材に意見を交わす時間をつくった。来年度は授業で活用するという。
 浜松学芸中・高は静岡新聞の「この人」など人物を題材にした記事から、中学2年を中心に関心のある記事を選んでリポートにまとめている。大場裕幸教諭は「地元にどのような仕事があるかを知り、将来の夢や目標を考えるきっかけになっている」と意義を語る。
 静岡城北高は地学の授業で熱海市での土石流災害関連の記事を取り上げ、1年が意見を寄せた。吉川契子教諭は、情報を読み込む活動を通じて、「生徒が端的にまとめる文章作成の力を伸ばしている」と手応えを語る。
 コンクールでは全国の小中高生から新聞記事をめぐる意見や感想など6万4513点が寄せられた。小・中・高の各部門で最優秀賞、優秀賞、奨励賞を選んだ。団体部門は小中高505校が参加し、優秀学校賞、学校奨励賞を選んだ。

新聞の読み方を解説 藤枝 朝比奈一小で授業

2021年12月10日(金)付 朝刊


 藤枝市の朝比奈第一小は9日、元中学校長で静岡新聞NIEコーディネーターの矢沢和宏さんを招いた授業を行った。5、6年生約20人を対象に新聞の特徴や読み方を解説した。
 矢沢さんは新聞の利点として信頼性の高さや、あらゆる情報を網羅できる一覧性を挙げた。見出しや写真には、分かりやすく発信したり目線を引き付けたりする効果があると紹介した。静岡新聞のコラムや、同校を取り上げた記事などを活用して授業を進めた。矢沢さんは「好きな記事をスクラップすることで自分事として感じられるようになる。ぜひやってみてほしい」と呼び掛けた。
 (藤枝支局・岩下勝哉)
 
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新聞の特徴や読み方を解説した授業=藤枝市の朝比奈第一小

生徒、新聞でがん考える 青島北中 矢沢さん(静新NIEコーディネーター)指導-藤枝

2021年11月11日(木)付 朝刊


 藤枝市の青島北中は10日、元中学校長の矢沢和宏さん(静岡新聞NIEコーディネーター)を招いた授業を行った。朝読書の15分間を活用し、新聞記事からがんについて考える学習を展開した。
 元御殿場西高の校長で、ぼうこうがんを経験した菊池基さんの講話に関する記事などを題材にした。生徒たちは文章中から答えを探したり、がんを学ぶ上で意識するべきことを考えたりした。矢沢さんは「記事の内容をかみ砕き、自分の言葉で表現することが大切」と呼び掛けた。
 同校は、文部科学省委託の「県がん教育総合支援事業」の研究指定を受けている。10月に菊池さんの講演会を開催するなど、「がん教育」に力を入れている。矢沢さんの授業には同校の教諭たちが見学に訪れた。今後は全校での展開につなげていくという。
 (藤枝支局・岩下勝哉)
 
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矢沢さん(中央)の指導の下、新聞記事からがんについて考える生徒=藤枝市の青島北中

家庭、教室結び新しい学び 札幌で全国大会 講演など配信

2021年08月17日(火)付 朝刊


 教育現場で新聞記事を活用する「NIE(教育に新聞を)」の実践報告をする第26回全国大会が16日、札幌市で開かれた。スローガンは「新しい学びを創るNIE~家庭・教室・地域をむすぶ~」。新型コロナウイルス対策で昨年に続いてのオンライン開催となり、講演などがライブ配信された。
 日本新聞協会の丸山昌宏会長は開会式で、真偽不明の情報があるインターネットと違い新聞記事は幾重ものチェックを経ており信頼できると指摘。全小中学生に1人1台のパソコン端末が配備されるなどデジタル化が進む現代社会では「正しい情報を読み解く力が子どもにも必要。新聞を読んで読解力を向上させることが学びの基礎になる」と強調した。
 講演したノンフィクション作家の梯久美子さんは「新聞には輪切りにされた世界の今が載っており、積み重ねると歴史になる。テーマを持って過去の記事を調べれば、いろいろなことが分かる」と話した。
 パネルディスカッションには、プロ野球日本ハムの元選手で、現在は学校法人理事長の田中賢介さんらが参加。来春、札幌市に私立小を開校する田中さんは「世界に挑戦する子どもを育てたい。新聞を活用した授業はやりたいことの一つ」と語った。
 小中高校教員らによる公開授業や実践発表などを行う分科会は、16日以降に順次オンデマンドで配信する。来年の次回大会は宮崎県で開催される。

 

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本紙「大自在」が教材 焼津で読み方講座 言葉の大切さ学ぶ

2021年07月31日(土)付 朝刊


 焼津市の大村公民館で30日、元中学校長の矢沢和宏さん(静岡新聞NIEコーディネーター)を講師に招いた講座が開かれた。参加した親子連れ15人は、本紙に掲載された記事を使いながら、新聞の読み方や言葉の大切さを学んだ。
 参加者は新聞の仕組みや記事ができるまでについてのクイズに挑戦した。昨年9月12日掲載の「大自在」を題材にした言葉探しでは、下の段を横に読むと文章が浮かび上がる仕掛けを見つけると、一様に驚きの声が上がった。
 記事や写真を題材にした問題でつくる「新聞ワークシート」にも取り組んだ。矢沢さんは「プラスの言葉を使えば、前向きな気持ちになる」と強調した。
 北部コミュニティ推進協議会が主催する「夏休み子どもフェスティバル」の一環で開催した。
 
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新聞ワークシートの問題に挑む参加者=焼津市の大村公民館

月刊一緒にNIE@しずおか・第1土曜掲載=記事で政策比較 自分なりの「一票」 メディアリテラシー育む 川根高生が知事選題材に授業

2021年07月03日(土)付 朝刊


 川根高(川根本町)の生徒が6月に行われた知事選に合わせ、新聞記事を活用して立候補者の政策を比較する授業に取り組んだ。情報を取捨選択し、自分なりの考えを持って一票を投じるには-。投票用紙を用意して模擬投票も行い、有権者として何が必要かを考えた。

 現職川勝平太氏と新人の一騎打ちとなり、川勝氏が4選を果たした知事選。選挙期間中の6月14日、3年生16人が静岡新聞に掲載された両候補の対談や告示日の第一声、アンケートや特集記事などを基に「リニア水問題」「新型コロナ対策」「経済対策」「将来ビジョン」の4テーマで両氏の政策を表にまとめた。
 「あまり発言していない内容は優先順位が低いのかな」「この人は女性活躍を強調している」-。生徒は2人一組で記事を探し、活発に意見を出し合う。インターネットで情報を得ることが当たり前の世代だが、食い入るように記事を読む姿が印象的だ。投開票日直前の授業で模擬投票を行った上で、実際の選挙結果との比較にも取り組んだ。
 大森玲雄さん(17)は「意見を比べて自分にどう影響するか考えることの大切さが分かった」。コロナ対策に注目した高畑菜悠さん(18)は「公約の具体性、県民のためになるかが重要だと感じた」と話した。
 地歴・公民を教える池田哲朗教諭(40)が授業で選挙を取り上げるようになったのは、2016年の米大統領選から。「ネットは知りたい情報しか入ってこないという側面もある。新聞から客観的な情報を得る作業は視野を広げ、生徒の反応が思った以上に良かった」と振り返る。
 一連の授業後、生徒たちが静岡新聞「ひろば」へ投稿を行うことも特徴の一つ。池田教諭は「(投稿で)自分の意見に対する責任も生まれる。メディアリテラシーを身に付け、主権者としての力を高めていってほしい」と狙いを語った。

 

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新聞記事を見て知事選立候補者の政策を比較する生徒=6月中旬、川根本町の川根高

 

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考えた一票で模擬投票も行った

 
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■紙面授業 英語 文字以上の情報伝達を キラリ高 池谷光宏先生

 今年、静岡県を含む東海地方は統計開始以降2番目に早い、5月16日に梅雨入りしました。翌日の静岡新聞は色鮮やかなアジサイの写真とともに梅雨入りを報じました。
 さて、梅雨に当たる英語は何でしょう。
 答えは一つではないのですが、シンプルなのは「the rainy season」です。「あれ? 梅は?」という声が聞こえてきそうです。
 梅は英語でplum(またはJapanese apricot)。文字通りplum rainと表現しても、梅雨と同等の季節感を表現するのは難しいと感じます。これは「文化(culture)」の違いと考えることができるでしょう。
 英語のcultureはラテン語のcolere(耕す)という言葉に由来します。「耕す」対象は最初は「土」という具体的なものでしたが、だんだんと「心」や「感じ方」という抽象的なものにまで広がりました。言葉はまさに文化という畑に育つ作物と言えます。
 同じ文化を共有しているからこそ言葉を多角的に捉えることができ、文字以上の情報を読み取ることができるのでしょう。
 令和4年度から高校の学習指導要領が改訂され、外国語(英語)では、4技能5領域(聞くこと・読むこと・話すこと[やり取り]・話すこと[発表]・書くこと)の育成と発信力の向上が目標となっています。言語はあくまでも伝達手段の一つであり、大切なのは、話し手と受け手の間で情報が正しく共有されることです。言語の学習は、単語や文法、構文の暗記のように、表面的なものになりがちです。
 言語の土台となる文化や考え方にも目を向けることで、知識に奥行きが生まれます。文字以上の情報が伝わるコミュニケーションを目指してみましょう。

 県内の中学・高校の先生が、時事のニュースや話題を切り口にした授業を紙面で展開します。

 
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■NIEアドバイザーのワンポイント講座(51)社説でニュースを理解

 生徒たちは、社説を難しく感じるようです。そんな時は、「大事なことは興味を持ちにくいことの中にある」と伝えます。社説は、読むとニュースが理解しやすくなり社会情勢の理解に役立ちます。社説を読む上でのポイントを示します。
 1、筆者の意見を読み取る。記事が事実を伝えることを重視しているのに対して、社説は話題になっている出来事について「なぜ起きたのか(背景)」「どう考えたらいいのか(意見)」を提示します。ベテラン記者の中から選ばれた論説委員が議論を経て書いていますので、小論文を書く上で参考になります。
 2、社説を比較する。同じテーマの社説がある場合は、読み比べをしたいものです。切り口はどのように違うか、どのような視点、立場で書かれているかを考えることは理解を深める上で重要です。学校の図書館の新聞を利用してみてください。
 これからは、異なる視点の文章を読み比べ、自分の意見をまとめる力が求められます。ニュースを多面的・多角的にとらえ、関連記事も読んで関心の幅を広げましょう。
 (常葉大常葉中・高 塚本学)