新聞をつくろう

 新聞は、感想文や説明文、日記など、子どもたちが書く一般的な作文とは違う独特の表現方法をとります。

 分かりやすい新聞を作るために、右のような手順をお勧めします。この手順の全てをマスターするのは、小学校高学年になってからです。小学校低学年、小学校中学年の段階では、どんな点に注意すればいいのか、説明します。

小学校低学年の新聞作り
小学校中学年の新聞作り
小学校高学年の新聞作り

小学校低学年の新聞作り

 小学校低学年では、「新聞作りの手順」のうち、1「テーマ」、2「書きたい内容」、4「本文・見出し・写真(イラスト)」を重点的に指導し、新聞作りの基礎、基本を教えましょう。

1. テーマを決めよう

 何についての新聞を作るのか、だれに読んでもらうのかなどを決めましょう。テーマをきちんとおさえないと、何を書いていいか分からず短い文章で終わってしまったり、だらだらと長い文章を書きながら何を一番伝えたいのか分かりにくい文章になってしまいます。

2. 新聞に書きたい内容を考えよう

 伝えたいことを正確に、分かりやすく文章に書きましょう。実際に起きたことや見たことなどの事実を中心に書き、思ったことや意見などと区別するようにしましょう。文章の終わりを「です・ます」にするか、「だ・である」にするかを決めましょう。

3. 本文・見出し・写真(イラスト)を考えよう

 本文を読みたくなるような、見出しを付けたり、写真を使ったりしましょう。写真の代わりに、絵やイラストを描くのもいいと思います。

 デジタルカメラを使って写真に撮ると、言葉では伝えられない情報も手軽に発信することができます。写真を撮る場合は、指導しないと「画面の中央にピースをした子供が笑顔で立つ」構図が多くなってしまいます。一番伝えたいことが一目で分かる写真を撮るように声をかけ、できれば練習をさせたいものです。

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小学校中学年の新聞作り

 小学校中学年では、「新聞作りの手順」のうち、2「書きたい内容」、4「本文・見出し・写真(イラスト)」、5「読み直す」を重点的に指導しましょう。

1. 新聞に書きたい内容を考えよう

 読み手に分かりやすい文章を書くために、5W1Hを意識しましょう。

 限られた紙面で事実を正確に伝えるために、新聞記事は右の要素を踏まえて書かれています。子供たちの取材も、5W1Hを落とさず質問をしたり、見学や調査をしたりするように指導しましょう。書く場合も、5W1Hを意識し、大事なことを分かりやすく表現するよう指導しましょう。

2. 本文・見出し・写真(イラスト)を考えよう

 読み手に大切なことを確実に伝えるために、新聞記事は「逆三角形の文型」で書かれています。

 その記事で最も伝えたいことを第1段落で書き、それ以降の段落では補説する文型です。こうした文型で表現すると、紙面に一番書きたいことを紙面に盛り込むことができず用紙が足りなくなったり、文字の大きさを小さくして読み取りにくい新聞を作ってしまったりする危険がなくなります。

 「1枚の写真は100行の記事に勝る」という言葉があります。スポーツ記事の写真を見ると、誰が活躍したか、どのチームが勝ったかなど一目で分かります。子供たちが写真を撮る場合も、一目で分かる写真を撮ることを意識させましょう。

3. 書いたものを読み直そう

 伝えたいことや感動したことを、何も知らない人に伝えるケースが多いのが新聞記事です。そこで、記事の書きぶりを注意しないと、記事を書いた人は理解できても、読んでいる人は何のことかうまく理解できない文章になりかねません。

 書き上げた文章をそのまま清書するのではなく、一度その記事について何も知らない人が読むつもりで読み返してみると、どこを直せばより分かりやすい文章になるか分かります。

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小学校高学年の新聞作り

 小学校高学年では、低・中学年の学習を踏まえ、「新聞作りの手順」の全てをマスターさせましょう。「新聞作りの手順」のうち、3「レイアウト」、4「本文・見出し・写真(イラスト)」、6「清書」について説明します。

1. レイアウトを考えよう

 新聞では、最も大きなニュースがどれか分かるように、記事の配置場所、記事の量、見出しの大きさなどで区別しています。

 「一番重要なことが一番最初に分かる」原則をもとに、一番重要な記事は、紙面の一番最初に書きましょう。題字の横の記事が最も重要ということになります。記事の量は、書きたいことが多くなるにつれて多くなるので、一目瞭然です。ただ、いくら大きなニュースでも1つの記事が何面にもわたってしまうと読み辛くなってしまいます。記事の内容を整理して、それぞれに見出しを立てると、その一つ一つを記事とすることができます。大きなニュースかどうか読み手が最も分かりやすいのが見出しの大きさです。東日本大震災の報道では、各社ともに今まで見たことがないような大きな活字を使っていたことは多くの子供たちも気付いたことと思います。同じ見出しでも明朝体をゴシック体に変えたり、地紋を付け黒抜きにすることでよりインパクトを強くすることができます。

2. 本文・見出し・写真(イラスト)を考えよう

 新聞記者が見出しを付ける時、最も伝えたいことを5W1Hにまとめ、その中でも重要なことを2つ以上盛り込むように努めています。その一方で、文字数が長くなると読み取りにくいため、長くても10文字程度にとどめるようにしています。一般的な作文の題は、結論がすぐに分かってしまうと味気ない文章になるため、「何が書かれているのだろう」と興味を引いたり疑問を沸き立たせたりするように工夫することがあります。その一方で、新聞記事の見出しは、「見出しを読めば、その記事で何を言いたいか分かる」ように付けることが大切になります。

3. 清書しよう

 事実や思いを正確に伝える記事では、読みやすく、誤字脱字のないことが大切になります。読み手が分かりやすい紙面を書き上げましょう。

 分かりやすくしようとフルカラーの紙面を目にすることもありますが、全てを強調すると何を言いたいか分かりにくくなってしまうこともありますので留意しましょう。

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