静岡県NIE推進協議会

実践指定校に14校 全小中高、報告書配布-県推進協 総会

2018年06月17日(日)付 朝刊


 新聞を学校教材に活用するNIE(教育に新聞を)の普及に取り組む県NIE推進協議会は16日、2018年度の総会を静岡市駿河区の静岡新聞放送会館で開き、実践指定校14校を選定した。
 安倍徹会長が「主体的で深い学びが新聞を活用した授業の中で展開されていく。本年度も実りある活動を」とあいさつした。NIEを広く発信することを目的に、取り組みの成果や課題をまとめた実践報告書を本年度から県内の全小中高に配布することを決めた。
 実践指定校の担当教諭は「新聞を効果的に活用できるよう工夫したい」などと一人ずつ活動への抱負を述べた。

 
 実践指定校は次の通り。
 新規 西伊豆田子小、静岡清水飯田小、菊川西中、清水西高▽継続 浜松西都台小、富士宮西富士中、静岡観山中、川根本町本川根中、遠江総合高、静岡聴覚特別支援学校、富士宮上井出小、静岡井宮小、三島南高、静岡聖光学院中・高

 

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【写説】実践指定校を選定した県NIE推進協議会の2018年度総会=16日午後、静岡市駿河区の静岡新聞放送会館

NIE=新聞の「5W1H」学ぶ 静岡聴覚特別支援学校で授業

2018年04月19日(木)付 朝刊


 教育に新聞を取り入れるNIE実践指定校の県立静岡聴覚特別支援学校(静岡市駿河区)は18日、NIEの公開授業を同校で行った。生徒たちが気に入った新聞を切り抜いて「いつ、どこで」など新聞の基本となる5W1Hを学ぶ様子を、県NIE推進協議会のメンバーが見学した。
 中学部2、3年生計8人が4班に分かれ、静岡新聞などの17日朝刊からそれぞれ関心のある記事を探した。5W1Hを書き出した上で、記事の感想について手話を交えて発表した。ワイヤレスイヤホンの人気上昇を伝える記事を選んだ生徒は「耳に関わる商品を多くの人に知ってほしい」などと述べた。
 指導した山根渉教諭は「聴覚障害者は情報を正しく入手するのが難しい。文字で読める新聞を活用する力を身に付けて」と呼び掛けた。
 公開授業に先立ち、同協議会は幹事会を同校で開いた。2017年度の決算案や18年度の事業計画などを承認した。

 

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生徒が気になった記事を選び、新聞の読み方を学んだ公開授業=18日午後、静岡市駿河区の県立静岡聴覚特別支援学校

月刊一緒にNIE@しずおか・第1土曜掲載=読む 聴く 発信 生きた英語 本紙「YOMOっと」活用-東海大静岡翔洋小

2018年04月07日(土)付 朝刊


 2020年度から小学校で正式教科となり関心の集まる英語。NIE実践指定校の東海大静岡翔洋小(静岡市清水区)は、14年度から英語の授業で、本紙の日曜別刷り新聞「週刊YOMOっと静岡」に掲載されている「今週の英語News」を活用している。テーマはアニメから世界情勢までさまざま。生きた英語教材として、児童の主体性を育む英語教育に取り組んでいる。
 

 1年生から英語を学ぶ同校では、英語授業の大半を英語のみで行い、6年生の16時限分で「今週の英語News」を扱う。テーマは、フェアトレードや自動運転車など教員が紙面から厳選し、3~4文で構成された30~40語のニュース英語を基に独自のワークシートを作り、使用している。
 2月上旬、6年生の授業では「若者よ、盆栽もクールだぞ」(17年2月5日付)の紙面を使った。高橋佑未子教諭と米国出身のエイドリーン教諭が、日本文化で思い浮かぶものを質問すると、児童たちは「茶道」「着物」「柔道」など意見を出し合った。エイドリーン教諭が「盆栽はクール」と例を挙げ、紙面に掲載された「小学校での盆栽授業」の写真をスクリーンに映し出した。
 児童らは「ハサミ」「おじいさん」など写真から読み取れる単語を確認。続いて教諭らは紙面の専用コードを読み取りネーティブの発音音声を流した。児童らは聴き取れた音や語句をグループごとに確かめたり、辞書を引いたりして英文を完成させ、発音。さらにその和訳も行い、日本文化を広める方法について考え、英語で意見交換した。
 高橋教諭は、自分の考えを持ち、仲間と考えを共有して英語で発表することを目標にしている。そのための情報源として新聞は有意義という。武田彩奈さん(12)は、英語を学びながらニュースを知る楽しさを感じ「自分の意見を英語で伝えることは難しいけど、異文化も知った」と話した。島田未徠さん(12)は「ネーティブの英語が少しずつ聴き取れるようになった」とし、「仲間と意見交換して、新たな考えを知ることができた」と手応えを感じている。
 高橋教諭は、英語学習は英語を学ぶのではなく、英語で学ぶことが大切と指摘。「題材が幅広くコンパクトな英語紙面は役立つ。他の教科とも連携を強め、子どもたちの視野を広げていきたい」と意気込みを語った。

 

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2017年度の授業で活用した「YOMOっと」を示す高橋佑未子教諭(左)とエイドリーン教諭=2月上旬、静岡市清水区

 

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積極的に英語で意見を言う児童

 

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 ■紙面授業=英語-自分なりの「幸せ」 清水国際高 漆畑夕子先生
 3月20日は、国連が定めた「世界幸福デー」。毎年国連は、「世界幸福度報告」を発表しています。今年もこのほど発表され、日本は昨年の51位から54位に下がりました。幸福度の調査はほかにもあり、新聞紙面でも時折、紹介されます。
 このような調査の中に「純粋幸福度」と言われている「世界幸福度調査」というのがあります。昨年1位を獲得したのは南太平洋の島国、フィジーです。授業でこの話をした時、「フィジーの人たちはなぜそんなに幸せなの?」と生徒が尋ねると、ALT(外国語助手)が「日本はどうなの」と尋ね返しました。「15~34歳の死亡原因の1位が自殺の国だよ。幸せじゃないんだよ」「みんなおしゃれもして、スマホも持って、何でもある。なぜ幸せじゃないの?」「日本は物がありすぎる」
 本校では毎年冬休みにフィリピンのセブ島で1週間の英語研修を行い、この生徒も参加した中の一人でした。「セブ島ではテレビもないし、Wi-Fi(ワイファイ)の環境も悪い。シャワーの水圧も低かったけど、幸せだった」。英語研修中、行く先々で会う現地の子どもたちの着ているものは、決して恵まれた暮らしをしているようには見えません。しかし、どの子も本当にまぶしい笑顔をしていました。
 現在、世界の約8割は発展途上国で、フィジーやフィリピンもそこに含まれます。しかし、調査や笑顔からは先進国である日本よりも幸せそうに思えます。明日の食事もあるか分からない子どもたちが、力強く生きています。さきほどの生徒も現地に行き、学校の勉強では学べない何かを発見したのでしょう。外の世界に飛び出してみると、自分の知らなかった世界が広がっています。コンピューターやスマホを離れ、自分なりの幸せを探してみませんか。

 ※県内の中学・高校の先生が、時事のニュースや話題を切り口にした授業を紙面で展開します。
 

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 ■NIEアドバイザーのワンポイント講座(13)=東大受験の新聞活用術
 国語の指導を担当した卒業生が今春、めでたく東京大理科2類に現役合格した。今回は、彼に聞いた、こうすればよかったという受験勉強中の新聞への関わり方を紹介する。
 ①毎日、志望分野の記事が掲載されているか斜めチェックし、あれば、記事の見出しを考えて付箋に書き、プロの見出しと比較する。時間がない時は切り抜かなくてよい。
 ②勉強に集中できない時期こそ、付箋のついた記事を読み返し、切り抜いてノートに貼り付ければよかった。目に見える厚みが、やる気の欠如を補ったのでは。モチベーション回復の一案である。
 ③東大の国語はとにかく時間との勝負なので、速読の訓練が絶対必要。大胆に要約する語彙[ごい]力を養うには、記事の読み込みが最も効率的だと思う。どうすれば短くまとめられるか、常に念頭において読むと学力アップが実感できるだろう。
 「今思えば、最悪の時期こそNIEが効果的だったのでは」とは、体験した者の言葉の重みであろう。スランプ脱却にNIEが効果的とは、これから受験に挑む後輩たちには金言たるに違いない。
 (静岡高・実石克巳)

月刊一緒にNIE@しずおか・第1土曜掲載=実践4校 成果と課題

2018年03月03日(土)付 朝刊


 県NIE推進協議会(安倍徹会長)はこのほど、2017年度NIE実践報告会を静岡市駿河区の静岡新聞放送会館で開いた。15年度に実践指定校の指定を受けた東海大付属静岡翔洋小、16年度に指定された森町立森小、裾野市立富岡中、浜松市立可美中の全4校の担当教諭が取り組みの内容と成果、課題を報告した。
 

■教育目標につなげる-東海大付属静岡翔洋小 松本傑教諭
 実践指定校に指定される1年前から職員が新聞の教育活用を自主的に始め、計4年間取り組んだ。実践指定校に指定されて生じた大きな変化は複数紙が届くこと。記事の内容や写真など、教室で子どもと比較することができるようになった。
 重要なのは新聞の教材化ではなく、教育目標を達成すること。国語の授業では好きな新聞記事をスクラップして要約し、感想を書いている。保護者からは「学年が上がるにつれて新聞を読む力の深まりが伝わる」との声が寄せられた。
 1年生は幸せを感じたニュースを探す「ハッピーニュース」に親子で取り組み、5年生の公開授業では新聞記事をテーマに学級討論を実施し白熱した。
 新聞は子どもと社会をつなぐ懸け橋。今後も効果的に扱い、国語力や情報リテラシーの育成とともに道徳心を養っていきたい。

 

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■地元の記事が身近に-森小 兼子万紀郎教諭
 実践校に提供される新聞の1面は印刷して昇降口に、森町に関する記事などは職員室前にスクラップして掲示した。毎日の更新は負担が大きいという課題はあったが、大きなニュースがあると子どもたちが食い入るように見ていた。
 図書室前には新聞閲覧スペースを設けた。1年目は読まれた形跡がなかった反省から、2年目は図書委員が読んでほしいページを開いて置いたところ、立ち止まる児童が見られるようになった。
 低学年は新聞を使って文字の読み方や見出しの付け方を学び、中学年は森町に関するスクラップや防災がテーマの新聞制作に取り組み、高学年は新聞社見学や朝の新聞スピーチを実践した。児童にとって新聞が身近なものとなり「楽しい」との反応があったのが成果。一方、本校は読書習慣が不十分なため、じっくり新聞を読む時間の確保が課題となった。

 

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■学校全体で取り組む-裾野富岡中 加藤りよ教諭
 本校では教員4人がNIE委員会を組織し、2年間学校全体で取り組んだ。毎月最終週にNIE週間を設け、朝の時間に記事を読んで感想を書き、グループで意見交換した。11月末には18歳選挙権や部活動週4日制度をテーマに全校で討論するNIE集会を実践。最初は恥ずかしがって意見が出なかったが、最終的には時間切れになるほど白熱した。
 NIEに関する校内アンケートをとったところ、7割の生徒がNIEを機に社会の出来事に関心を持つようになったと回答。「授業の新聞活用はいいこと」と答える生徒が9割に達するなど、前向きな意見を得られた。
 NIE週間のテーマは教員がこれまで選んでいたが、今後は記事を生徒自身が選ぶのも重要。生徒も教員も学校の勉強と社会の動きを切り離しがちだが、新聞がつなぐ役割を果たしていると感じた。

 

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■考えまとめる力付く-浜松可美中 村松聡一郎教諭
 昨年度は18歳選挙権が引き下げられたため、参議院選挙への関心向上を目標にNIEを実践した。政治への興味を深めるために、3年生有志によるNIE実行委員会を設置。朝夕刊を読めるNIEコーナーを図書室に設けたり、興味を引くニュースを生徒が校内放送で紹介したりした。
 3年生の社会科では、18歳選挙権施行日の各紙を比較して情報リテラシーを学んだほか、政治に関する記事のスクラップに意見文を書く取り組みを継続した。最初は感想だけだった内容が次第に意見文へと質が高まり、記事の内容を自分自身と結びつけてまとめる力が身に付いていった。
 今回の実践で、生徒がニュースを話題にする機会は確実に増え、教師の意識も高まるなどの効果があった。しかし部活や行事との両立が課題。今後は校区の小中学校でNIEを連携し効果を高めたい。

 

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■NIEアドバイザーのワンポイント講座(12)=春休み時事教材を準備
 もうすぐ春休みです。先生方は実践を振り返り、新年度への希望に胸を膨らませていることと思います。そんな今だからこそ、NIEを実践する上で取り組んでほしいことを紹介します。
 まず、いつ、どんな記事や写真が必要であったか整理しましょう。桜エビの天日干しの記事は4年社会科で、インフルエンザ関連の記事は保健や学級活動で使えたなど、思い当たる記事があるはずです。切り抜くことができた記事は貴重な財産になります。スクラップしておき、手に入らなかった物は備忘録などにメモをしましょう。
 次に、新しく指導する学年が決まったら、年間指導計画や教科書の最初から最後まで目を通しましょう。何を指導するかイメージがわいたら、どんな新聞記事があればいいか洗い出します。季節を伝える記事や身近な市町の動きなど、日々の新聞は、今を学ぶ学校教育にとって情報の宝庫です。より多くの情報をタイムリーに使うためには、それなりの準備が必要になります。
 (浜松与進北小・山崎章成)

 

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■紙面授業=英語-劇中にも移民問題 焼津高校 栗田裕三先生
 米国のトランプ大統領が1月中旬、移民制度に関する会議の席上、アフリカやカリブ海諸国からの移民を汚い言葉で中傷した、というニュースは新聞でも大きく報じられ、国際的な反発を呼びました。
 今年、生誕100年を迎えた20世紀を代表する音楽家、レナード・バーンスタインの代表作の一つに、ミュージカル「ウェストサイド物語」があります。二つの不良グループの対立を軸に、許されない恋を描いた名作です。この背景にあるのが、移民問題です。対立する不良グループは、古くからの移民のプアホワイト(ポーランド系)と、新興移民のプエルトリコ系。人種の違いなどにより対立は根深く、それが悲劇をもたらします。
 作品の中でも、この移民問題が分かりやすく表現されています。
 例えば「R」の発音。ポーランド系とプエルトリコ系で違うことがはっきりと分かります。プエルトリコ系が歌う名曲「アメリカ」では人種の違いを強調するためか、これでもかというほどの巻き舌の発音を聴くことができます。
 また、こうしたアメリカ社会が抱える問題が背景となっているため、舞台版では「Thebulletsflying(弾丸が飛び交う)」のように過激な単語も使われていますが、映画版では「Thenativessteaming(住民は暑さにうだっている)」と少し控えた表現になっている部分がいくつもあります。
 半世紀以上前に作られたものですが、こうした問題は現在でも深刻な課題のままです。このようなことを考えながら鑑賞すると、さらに深く楽しむことができます...と言いたいところですが、いったん始まるとバーンスタインの音楽の魔力で、たちまち物語の世界に引き込まれてしまいます。
 このように一つの作品でも、意識すればさまざまなことを学び、味わうことができるのです。

 ※県内の中学・高校の先生が、時事のニュースや話題を切り口にした授業を紙面で展開します。

NIE実践で成果 指定校が新聞活用例報告-静岡

2018年02月18日(日)付 朝刊


 教育に新聞を活用する活動に取り組む県NIE推進協議会は17日、県内の実践指定校による報告会を静岡市駿河区の静岡新聞放送会館で開いた。県内小中学校の教諭4人が実践内容を発表した。
 東海大付属静岡翔洋小の松本傑教諭は、NIE活動を保護者に紹介したことで家庭の新聞購読率が上がり、保護者から学校に新聞閲覧用の椅子の提供を受けるなど、協力を得られたと振り返った。
 森町立森小の兼子万紀郎教諭は、文字の読み方や防災学習など、各学年の発達段階に合わせた新聞の活用例を紹介。「授業だけでなく、児童に自由に新聞を読む時間を与えてもいい」と語った。
 裾野市立富岡中の加藤りよ教諭は、学校全体で日常的にNIEに取り組んだ結果、調査に対して「社会の出来事に関心を持てるようになった」と答えた生徒が7割に達したと説明した。
 浜松市立可美中の村松聡一郎教諭は、18歳に選挙権年齢が引き下げられた2016年の参院選で、選挙や政治への関心を深めることを目的にNIEを実践したと報告した。

 ※来月3日付朝刊「一緒にNIE」面に詳報
 
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新聞の教育活用の成果を報告する教諭=17日午後、静岡市駿河区の静岡新聞放送会館

月刊一緒にNIE@しずおか・第1土曜掲載=情報読み取り 社会に関心 新聞タイムと時事テスト-静岡・観山中

2018年02月03日(土)付 朝刊


 2017年度のNIE実践指定校となった静岡市葵区の市立観山中が、朝学習の時間を使って新聞の活用を進めている。教員が推薦した記事を読む「新聞タイム」と、新聞記事を基にした「時事問題テスト」の2本立てで、生徒が語彙[ごい]力や読解力を高めるだけでなく、社会に関心を持つ機会にもつなげている。
 

 11月下旬の午前8時。チャイムと同時に1~3年の全教室で恒例の新聞タイムが始まり、生徒は配られたプリントに黙々と目を走らせた。
 新聞タイムは、毎週火曜日に週替わりで教員が生徒に紹介したい新聞記事を用意する。生徒は約10分間で記事を読み、重要な情報に傍線を引きながら自身の感想を記入していく。この日の記事は広辞苑の編集者のインタビューだった。
 時事問題テストは本年度、2、3年生を対象に4回実施する。テスト直前の2週間に掲載された新聞記事の中から、ニュースのキーワードを解答する30点満点の小テスト。11月に行った第3回テストの設問は、上野動物園で生まれたパンダの名前や「忖度」の読み方、冬季五輪の開催都市名など多岐にわたった。
 家庭で新聞を取っていない生徒もいるため、学校は廊下に新聞を置き、生徒が気軽に新聞を手に取れる環境をつくった。
 3年生の高鳥玲さん(15)は「友達と一緒に新聞を読んで話をすることもある。テストがあるおかげで社会の話題に触れられる」と語る。担任の田村俊司教諭(47)は「新聞記事を読むには慣れが必要。生徒の情報処理のスピードが徐々に上がっている」と効果を感じているようだ。
 新聞タイムと時事問題テストを通じ、政治や社会問題に関心を抱く生徒も現れた。諏訪大貴さん(15)は「テスト勉強の中で、気になった人物について調べるようになった」と振り返る。杉山耀一朗さん(15)は少子高齢化の問題を解説した記事を読み、「自分の知識の少なさに気付き、社会のことをどう考えたら良いのか参考になった」という。
 記事を読んで自分の意見や感想を書くという新聞タイムの継続が、文章を読み解く力だけでなく、自分自身の考えを表現する力の育成にもつながっている。
 新聞タイムでは、毎回異なる教員が記事を選ぶこともこだわりの一つだ。各教員の担当教科や興味に応じた記事が選ばれ、生徒が多様な文章に触れる。教員側もニュースへの関心を高める機会になっているという。田村教諭は「教科書に掲載されている情報は少し前のもの。教員側が生の情報を仕入れなければ、子どもたちに社会のことを伝えられない」と強調した。
 

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新聞タイムで紹介された新聞記事を読み、感想を記入する生徒=静岡市立観山中

 

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時事問題テストに向けた予習について説明する3年生の生徒

 

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 ■紙面授業=地理・歴史-言語と文化 不可分 浜松日体中・高 内山純一先生
 新学習指導要領により、小学校での英語学習が2020年から教科化され、18年度からは現在5~6年生で行われている外国語活動が3~4年生にまで拡大されます。文部科学省がこれに合わせて、3~4年生用の英語学習の新教材を公表したことも最近、新聞で報じられました。
 英語学習の拡充は、英語が国際共通語として幅広く使われていることが背景にありますが、その歴史はイギリスが世界中に植民地を持ち、アメリカが国際的地位を向上させてきた19世紀後半以降のことです。
 世界史上ではさまざまな言語が国際共通語として使われてきました。最も古い国際共通語はアラム人のアラム語といわれています。
 アラム人は紀元前1000年紀前半より西アジア一帯で商業活動を行っていたため、彼らと交渉するのに多くの民族がこの言語を用いました。
 紀元前5世紀に成立したアケメネス朝ペルシアでも、支配民族のペルシア人の言語であるペルシャ語とともに公用語として使われました。
 最も長く使われたとされるギリシャ語は、紀元前4世紀後半に成立したヘレニズム世界でコイネーと呼ばれ、公用語となり、後にその地を征服したローマ帝国でも、ローマ人の言語ラテン語とともに上層市民の基礎教養として使われ続けました。そのラテン語は、中世の西欧世界で学術用語として知識人層に使われ、東欧世界ではギリシャ語が中心国家ビザンツ帝国の公用語として中世末期まで使われました。
 言語はそれを話す民族の文化と不可分です。言語を覚えるということは、その文化を理解し、またわれわれの文化を世界に紹介し、共有することを伴います。ただ話すことができる、というだけでなく、互いの文化を理解し尊重し合う姿勢をもって学ぶことを心掛けてほしいと思います。

 ※県内の中学・高校の先生が、時事のニュースや話題を切り口にした授業を紙面で展開します。
 

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 ■NIEアドバイザーのワンポイント講座(11)=家族と「喜」「楽」探して
 新聞には「喜怒哀楽」の記事が掲載されています。このうち、どの内容が一番多いと思いますか。1面記事の印象などから、多くの方は「怒」や「哀」と答えます。
 実際にどうかを確かめるため、「喜怒哀楽の記事探し」に取り組んでみます。4人グループで「喜怒哀楽」を一つずつ分担し、見出しを参考に各自の担当する内容の記事を探し、見つけた数を報告し合って比較します。 すると、意外なことに「喜」や「楽」が多いのです。「喜」「楽」に関係する記事は特に「地域版」に多く見られます。勇気や元気を与えてくれる行動や生き方の記事も多く、ぜひ子どもたちに触れてほしいと思います。
 私は『家族・新聞鍋』と名付けた「家族で一緒に新聞を読み、語り合うNIE」をお勧めします。家族で新聞を囲み、「喜」「楽」の記事を指さしながら(つつきながら)、共に味わう。そんな温かい時間を過ごせたらいいですね。
 きっと、予想していなかった子どもの関心や考えに驚いたり、子どもの成長を実感したりできるでしょう。
 (焼津大井川中・矢沢和宏)

月刊一緒にNIE@しずおか・第1土曜掲載=この記事どう思う? 全校生徒がパネル討論 全クラスで意見交換、考え深める-裾野・富岡中

2018年01月06日(土)付 朝刊


 NIE実践指定校の裾野市立富岡中は、新聞を活用した取り組みの成果を披露する「NIE集会」を開いている。新聞記事に取り上げられたテーマで、全校生徒が一堂に会して意見を交わすパネル討論が開かれた。
 

 2017年11月下旬、同校体育館に全校生徒が集まって17年度のNIE集会が開かれた。昨年に続き2回目。パネル討論のテーマは「部活動週4日制について」。同年9月9日付の本紙朝刊に掲載された「静岡市教委 部活ガイドライン策定」の記事について、生徒たちは1カ月間、クラスで意見交換を重ねてきた。
 討論は最初、全校生徒の代表5人が賛成・反対・その他の立場で意見を発表。自由討議に移ると、参加していた生徒たちが挙手して意見を述べていく。男子生徒が「学生の本分である勉強に集中すべき」と賛成意見を述べると、女子生徒が「もっと部活動で技術を伸ばしたい」と反対の立場で主張し、議論は大いに白熱した。
 討論会を仕切った学習委員会委員長で2年の斉藤岬希さん(14)は「NIEを通じて新聞を読む重要性に気付かされた。自分には関係ない話だと思っていても、新聞記事は何かを考える素材になると感じた」と感想を述べた。
 同校は「NIE集会」以外にも、毎月末の1週間を「NIE週間」と位置付け、新聞を題材に生徒同士が意見を交換する機会を設けている。題材はNIE委員会に所属する担当教諭が選ぶ。
 生徒たちはまず、新聞記事を読み込み、自分自身の意見を紙に書き込む。次は4人組のグループで、紙に書いた意見をそれぞれが披露し、意見交換する。他の生徒の意見を聞いた上で、どう思うかを改めて書き込む。
 紙は各クラスの文化委員の元に集められる。そのうち1枚がクラス代表の「優秀作」として選ばれ、校舎の一角に設けられた「NIE掲示板」に掲示して、全校生徒で共有化を図る。生徒が選んだ「ハッピーニュース」の新聞記事も貼り出している。
 一連のNIE教育で、生徒たちの間には変化が生じた。NIE委員会委員長の加藤りよ教諭(34)は「生徒たちが社会的な事象に関心を持つようになった。クラスに届く新聞を読んで、話題にする生徒の姿が多くなった」と効果を指摘する。
 NIE週間以外にも、記事を題材に使った授業や、日直が終礼で気になる記事を発表するなどさまざまな形で、新聞を活用している。加藤教諭は「社会へ出る前に、いろんな事を知ってほしい。新聞はそのための良い教材」と強調する。

 

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全校生徒が集まって、新聞記事を題材にパネル討論が行われたNIE集会=2017年11月下旬、裾野市立富岡中

 

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生徒が選んだハッピーニュースやNIE週間の成果が貼り出されている「NIE掲示板」

 

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 ■紙面授業=英語-異文化理解 重要に 日大三島中・高 陶山健一先生
 2017年1月、インターネットの囲碁対戦サイトに突然現れて、日中韓のトップ棋士に無敗を誇った謎のアカウントは、米グーグルの子会社が開発するコンピュータープログラム「アルファ碁」の最新バージョンであったことが公表されました。5月には世界最強棋士とされる中国の柯潔九段と公開対局して、アルファ碁が3―0で完勝しました。
 このニュースは、AI、いわゆる「人工知能」が、今まで人間の方が有利だと思われてきたいくつかの分野で、圧倒的に人間を凌駕するようになったことを示しました。
 AIに大幅な進化をもたらした技術革新は、言語の機械翻訳の世界にも大きな前進をもたらしています。「ニューラル」は「神経の」という意味の英単語ですが、人間の脳のようにコンピューターが学習を繰り返して自分を強化していくニューラルネットワークの研究が飛躍的に進み、グーグルが開発したニューラル機械翻訳の技術は、おそらく学生の皆さんが使ったことのある「グーグル翻訳」の精度を驚くほど向上させました。以前は実用には程遠かった「グーグル翻訳」は、それほど遠くない将来に人間の通訳をしのぐでしょう。
 高いコストをかけて外国語を学ぶ必要が薄れた時、私のような英語教師はどのように仕事をしていけばいいのでしょうか。日本のようにやたらと英語のニーズが高い国はどうなってしまうのでしょうか。
 私は面白い時代になると想像しています。インターネットの普及が世界を狭くし、さまざまな文化や知識の接近や衝突を促したように、言語の障壁が矮小化されることで英語の一人勝ち状態は無くなるでしょうが、代わりに他の言語や文化との接触はむしろ増えると思います。バベルの塔の神話が逆進するのです。他文化への理解やコミュニケーションの重要性もより増大するはずです。
 外国語を学ぼうとする意思と能力は、そのまま新時代への適性ではないか、そんな期待をしています。

 ※県内の中学・高校の先生が、時事のニュースや話題を切り口にした授業を紙面で展開します。
 

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 ■NIEアドバイザーのワンポイント講座(10)=読み聞かせ 取り入れて
 一般的に教室には、新聞を読む経験が十分ある生徒も、少ない生徒もいて、記事を読む速さは生徒によって異なります。しかし、新聞の利点は、各自の読解力に応じて内容をつかむことが可能であるという点です。
 毎日、新聞記事を話題にしていると、多くの生徒が社会の出来事に興味を持つようになっていきます。NIEの初期段階はその程度で構いませんが、より深い考察に挑戦してほしい場合、個々の生徒が内容を十分に読み込んでいないと、授業で目標とする考察を深めるのに至らないことは自明です。そこで行いたいのが、新聞記事の「読み聞かせ」です。
 記事を満遍なく読み上げるのではなく、重要なポイントに絞って、かいつまんで紹介することが大事です。
 最初に、写真を見せながら見出しに注目してもらい、次に、リード文の冒頭を読み上げます。
 例えば、インタビュー記事で、特に生徒に考察してほしいところを部分的に読み上げ、その後、生徒たちにその記事を丁寧に読むよう声を掛けます。
 限られた授業時間で生徒に教師の目標を知らせ、考察のヒントを示すことができます。
 (清水西高・吉川契子)

月刊一緒にNIE@しずおか・第1土曜掲載=読まれる新聞作り議論 各紙比較や記者の講座参考-静岡井宮小・公開授業

2017年12月02日(土)付 朝刊


 NIE実践指定校の静岡市立井宮小(同市葵区)でこのほど、新聞記事を活用した公開授業が行われた。5年生36人が取り組むのは、興味のある問題をテーマにした新聞制作。記事の内容を分かりやすく伝える見出しの付け方などを熱心に議論した。
 

 新聞制作を通じ、自分と社会とのつながりを実感したり、コミュニケーション力を向上させたりすることが狙い。児童は、授業を受けたり新聞を読んだりすることを通して、交通事故や地球温暖化、犬や猫の殺処分など関心を持ったテーマを絞り込み、テーマごと3、4人のグループに分かれて、最終的に地域の人に読んでもらう新聞作りを進めている。今回の授業では、テーマについてそれぞれ課題や意見を400字以内にまとめ、その見出しを考えた。
 西田亮子教諭は授業の前半、上野動物園のジャイアントパンダの子ども「シャンシャン」について書かれた複数紙の記事を紹介。各紙の見出しの違いを示し、記事をより読みたいと思わせる言葉の選び方を考えさせた。同校で9月に開かれた本紙記者による出前講座の内容も振り返り、「見出しは短い言葉で分かりやすく」「文章の第一段落に大事な内容が含まれている」と学んだポイントを確認すると、児童は盛んにうなずいた。
 後半は、各自の原稿を持ち寄り、グループごとに「編成会議」を開いた。互いの原稿を読み合い、「これは分かりにくいかな」「この言葉の方が伝わると思う」など、適切な見出しについて話し合いは盛り上がった。
 次回以降はグループ内で記事を組み合わせ、ニュース価値を踏まえたレイアウトを検討し紙面を仕上げるという。
 児童の議論を見守った西田教諭は「新聞を題材にすると、子どもたちは楽しそうに夢中になって学ぶ。相手に分かりやすく情報や意見を伝えるという今回の趣旨も理解できていたと思う」と感想を話した。清水一磨校長は「出前講座で実際の記者の話を聞いたことで、子どもにいろいろな『はてな』が生まれた。教科書以外の経験も大切」と語った。

 

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適切な見出しの付け方を話し合う児童ら

 

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各紙の見出しの違いを紹介する西田亮子教諭(右)=静岡市葵区の市立井宮小

 

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 ■紙面授業=数学-新しい世界 挑戦を 浜松学芸中・高 松島義徳先生
 11月3日に文化勲章の親授式が行われ、光化学研究の東京理科大学長、藤嶋昭さんが受章されました。これに先立ち静岡新聞に掲載された記事の中で、藤嶋さんは「新しい原理の発見からしか(応用の)新しい芽は出てこない」と、基礎研究の重要性を主張しておられました。
 「新しい原理の発見」。これは決して簡単なことではありません。でも、未来を担う中高生の皆さんには、ぜひ将来チャレンジしてほしいと思います。なぜって、楽しいからですよ。固い常識の殻を破って新しい世界をのぞき見た瞬間の快感、これは何物にも代えがたいものです。ちょっと試してみましょうか。
 「0と1しか存在しない数の世界」というものをつくってみましょう。これは、普段何げなく使っている数の計算規則に「1+1=0」という新しい決まりを加えるだけで、簡単にできてしまうものです。まずは、足し算から。0+0=0、0+1=1、1+0=1、そして「1+1=0」。少なくとも、足し算については0と1だけで数の世界が完結できています。
 次に、1や0同士の掛け算や割り算ですが、(÷0は通常通り除外するとして)これはもともと答えが0か1にしかなりませんから、この時点で、数の世界が足し算と掛け算、割り算について0と1だけで完結していることが分かります。
 最後に、引き算について。1―1=0、1―0=1、0―0=0。ここまでは問題ないでしょう。では、0―1はどうなると思いますか? ポイントは、「1+1=0」であることです。言い換えれば「0=1+1」ですから、0―1=(1+1)―1=1となります。これで、0と1以外の数をいっさい用いることなく、足し算、引き算、掛け算、割り算を全て完結させることができました。「1+1=0」という新しい決まり事だけでできる「0と1しか存在しない数の世界」の完成です。
 見たことのない新しい世界に出合う楽しさ。一人でも多くの中高生がその楽しさに目覚め、将来「新しい原理の発見」に挑戦してくれることを期待しています。

 ※県内の中学・高校の先生が、時事のニュースや話題を切り口にした授業を紙面で展開します。
 

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 ■NIEアドバイザーのワンポイント講座(9)=知るために考える
 新聞スクラップはNIEを進めていく上での基盤となる部分になりますが、「考える」ことの素地を作る場でもあります。
 哲学者・池田晶子氏は著書「知ることより考えること」の中で、「考えるとは、本当のことを知るために考えるという以外ではあり得ない。しかし、きょうび『知る』とは、外的情報を(できるだけたくさん)取得することだとしか思われていない。取得するばかりで、誰も自ら考えていない」と現在の情報化社会に警鐘を鳴らしています。
 新聞スクラップはまさしく「知るために考える」活動であり、主体性を育む手段なのです。自分自身が新聞と対話し、どの記事を選ぶかということが課題設定のスタートとなるでしょう。そして、答え探しのために試行錯誤する過程の繰り返しが、「考える」という行為につながるのです。
 11月に本校で行ったNIE公開授業の5年生も、日々の新聞スクラップから自ら課題を見いだし、友達と交流する中でさらに深い学びにしていきました。
 皆さんもぜひ新聞スクラップに挑戦してみてください。
 (静岡井宮小・中村都)

松下さん(中央特別支援学校高等部3)優秀賞 県内3人と1校入賞-新聞記事感想コンクール

2017年11月24日(金)付 朝刊


 日本新聞協会は23日、第8回「いっしょに読もう!新聞コンクール」の入賞者を発表した。県内からは優秀賞に松下星矢さん(県立中央特別支援学校高等部3年)、奨励賞に鈴木冴香さん(同)、山北裕介さん(静岡聖光学院高2年)、学校奨励賞に静岡市立城山中が選ばれた。
 全国の小中高生が家族や友人と記事を読み、感想や意見を寄せた。47都道府県から4万7699点の応募があり、小中高各部門ごとに最優秀賞1点、優秀賞10点、奨励賞120点などを選定した。団体応募386校からは優秀学校賞15校、学校奨励賞143校を決めた。
 松下さんは静岡新聞に掲載された「障害者の教育を受ける権利」に関する記事を題材に選んだ。生まれつき脳性まひがある松下さんは記事を読み、「自分と同じように普通学校で学びたい障害者がいることを知った。障害の有無にかかわらず、本人が行きたいと思った学校へ行けることが大切」と意見を記した。

見出しの付け方を議論-静岡・井宮小で公開授業

2017年11月23日(木)付 朝刊


 NIE実践指定校の静岡市立井宮小(同市葵区)で22日、新聞記事を活用した公開授業が行われた。5年生36人が興味のある問題をテーマにした新聞の制作に向け、読者に内容を分かりやすく伝える見出しの付け方などを議論した。
 西田亮子教諭はジャイアントパンダの子ども「シャンシャン」について書かれた複数の記事を示し、各紙の見出しの違いを紹介。「どのような見出しだと記事を読もうと思うか」と児童に質問した。児童からは「気を引くような言葉を入れる」「短い言葉で分かりやすく」「見出しだけで記事の内容が想像できるように」などの意見が上がった。
 児童は交通事故や地球温暖化、犬や猫の殺処分などそれぞれ関心のあるテーマで書いた記事に見出しを付けるため、グループを作り「編成会議」を開いた。100~400字にまとめた互いの記事を読み合い、見出しを検討した。西田教諭は「記事内容のキーワードを組み合わせてもいい」と助言し、議論を見守った。

 

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適切な見出しの付け方を話し合う児童ら=22日午後、静岡市葵区の市立井宮小

月刊一緒にNIE@しずおか・第1土曜掲載=主体性育む「新聞タイム」 手話で議論、互いに理解-静岡聴覚特別支援学校(静岡市駿河区) 

2017年11月04日(土)付 朝刊


 2017年度からNIE実践指定校に選ばれた静岡聴覚特別支援学校(静岡市駿河区)。耳の聞こえにくい生徒らが、視覚で情報を得られる新聞を活用して主体的に社会を知ろうと、取り組みを始めた。中学部の「新聞タイム」を訪ねた。

 

 同校中学部の1年から3年までの生徒が共有スペースに設置されたNIEコーナーから好みの新聞を選び、各紙の回し読みを始めた。9月から始めた「新聞タイム」は週2回、朝8時15分からの15分間を設定している。
 「見て。ドライブレコーダーの広告が大きい」と1人の生徒が声を上げると、池谷尚美教諭(51)は「なんでこんなに大きいと思う」と問題を投げ掛けた。生徒が「急に子どもが飛び出すと危ないから」「事故が多いから」と発言したり手話で示したりすると、池谷教諭は「あおり運転って聞いたことあるかな」と続け、6月に神奈川県の東名高速道で起こった追突死亡事故のニュースを解説した。
 本紙の県製茶指導取締条例に関する連載に関心を持った生徒がいると、山根渉教諭(28)が条例を簡潔に説明し、生徒は笑顔でうなずいた。
 耳から入る情報が限られると、情報を得ることに受け身の姿勢になりやすい傾向がある中、「テレビニュースで字幕を追うのは大変だけど、新聞は自分のペースで読めることが魅力」と3年の杉山実沙さん(15)。新聞を手に取る機会が増え、小さなニュースも知るようになった。1年の山野海斗君(12)は「言葉を知る機会になるし、分からないことは先生に教えてもらえる」と楽しそうにめくる。
 社会の動きにより関心を持てるように、新聞タイム以外にも、授業前の朝の会では毎日、当番の生徒や教諭が気になったニュースを紹介し合う。いつ、どこで、誰がなどニュースの要素を記したボードを見せながら説明や質問をして、お互いに理解を深める。一部の生徒には新聞記事をスクラップする宿題も課している。要約や感想をまとめるだけでなく、分からない言葉を抜き出して、語彙[ごい]力の向上や理解につなげるのが目的だ。
 山根教諭は、これまで主体的に情報を求める姿勢が薄かったことで語彙も増えにくかったと指摘。「生徒が記事の要素を整理できるようになってきた。社会の一般常識を知ることで、学習上の理解も高まるはず。新聞活用は主体性を磨く訓練になる」と手応えを感じている。一方、池谷教諭は、目から入ってきた一部の情報が全てになってしまう難しさにも触れ、「各紙を読み比べることで情報の取捨選択ができるようになっていけたら」と今後に期待し、「生徒に言葉の種まきをしたい」と意欲をみせた。

 

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新聞タイムで各紙を読み比べる生徒=10月31日、静岡市駿河区の静岡聴覚特別支援学校

 

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朝の会でニュ―スを紹介する生徒=31日午前、静岡市駿河区の静岡聴覚特別支援学校

 

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 ■紙面授業=社会-「食品ロス」やめよう 浜松開誠館中・高 杉山光輝先生
 読書の秋、スポーツの秋、芸術の秋...秋を形容する言葉はさまざまあります。「味覚の秋」もその一つ。秋は食欲をそそられる季節なのです。温暖な気候の静岡県は、一年を通して多くの農産物が生産されています。
 5月30日に2016年度版「食育白書」が公表され、新聞紙面でも大きく取り上げられました。その中で「食品ロス」(食べられる食品が廃棄されること)の実態と原因が報告され、食べないまま捨ててしまうことが「ある」と答えた人は33・1%でした。
 捨てた原因として最も多く挙げられたのが、「消費・賞味期限内に食べられなかった」で70・5%でした。
 日本では年間約1700万トンの食品が廃棄されており、そのうち食品ロスは年間約500万~800万トン。食品ロスの半分以上は家庭から出ており、1人当たりにすると年間約140キロになります。
 また、和食がユネスコの無形文化遺産に登録されてから4年になります。海外でも和食は健康に良いとされ、日本食レストランが増えています。食事の仕方はその国の歴史や伝統によって異なりますが、日本では食材をできる限り最後まで使い切ることを大切にし、用意された食事は残さず食べることを良しとしてきました。
 世界で和食が注目される中、「もったいない」精神を大切な文化として継承してきた日本で、大量の「食品ロス」が出ることはとても残念なことであり、恥ずかしくも思います。
 11月23日は勤労感謝の日。「勤労をたつとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう」日とされていますが、戦前までは「新嘗祭[にいなめさい]」と呼ばれる祭日で、農作物の収穫を神に感謝する大切な日でした。
 農家にとって新米が十分に収穫できるかどうかは死活問題でしたので、秋の収穫に感謝する風習はとても重要な意味を持っていました。
 実り豊かな秋、今年の勤労感謝の日は、食事ができることのありがたさや自分の食生活を改めて考えてみてもよいのではないでしょうか。

 ※県内の中学・高校の先生が、時事のニュースや話題を切り口にした授業を紙面で展開します。

 

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 ■NIEアドバイザーのワンポイント講座(8)=新入試へ対応力を磨く
 筆者が担任する高校1年生は、センターテスト最終世代。浪人すると、記述式の導入など受験環境が激変する年代である。大学側も改革の流れを見据え、教科知識の深度以外の評価を模索し始めた。
 対応策として、記事の比較検証が最も有効と前回断言した。今回は、東京大学と京都大学を例にとり、二つの大学が求める能力を醸成するためのNIE活用法を紹介する。
 まず、両校とも「積極性」を重視とうたう。これは生徒が自ら新聞記事を比較しての論文執筆や、教員に添削を依頼する意欲の喚起で育成できる。
 次に「多様」と「俯瞰[ふかん]」。言わずもがな、NIEの最も得意とする分野だ。ひと目で紙面全体を把握するリテラシーは、視覚情報を不断に、マクロな視点から入手する努力により伸長されるのだ。
 3番目に、「コミュニケーション」能力。「表現」とも称されるが、つまりは発信・受容・共感・創造・深化による協働を意味すると考えてよい。
 以上のような能力を獲得するためにNIEに取り組む、という到達基準目標を生徒に示すこと。さすれば、NIEの効果絶大であること間違いなし。
 (静岡高・実石克巳)

11月22日、NIE公開授業 静岡・井宮小 参観者募集

2017年10月25日(水)付 朝刊


 県NIE推進協議会は11月22日午後1時55分から、静岡市葵区平和の市立井宮小で新聞活用の公開授業を行う。同校の西田亮子教諭が「井宮MKY(もっと環境豊かに)プロジェクト~よりよいくらしのために、自分たちのまわりの環境について考え、家や地域に発信しよう」をテーマに、5年生「国語と社会と総合的な学習の時間」の授業を披露する。授業後に意見交換会も開く。
 同校は日本新聞協会NIE実践校指定2年目。11月のNIE月間行事として行う。
 参観希望者は11月15日までに、県NIE推進協議会事務局<電054(284)9152>に申し込む。

月刊一緒にNIE@しずおか・第1土曜掲載=新聞活用 学年ごと工夫 語彙、読解力 向上狙う-森小の取り組み

2017年10月07日(土)付 朝刊


 NIE実践指定校2年目の森町立森小では、学年ごとに趣向を凝らした新聞活用の取り組みが行われている。6年生を中心に同校の実践を紹介する。
 

 「日本と関わりある国の新聞記事や見出しを探して調べてみよう」。教室に、担任で同校NIE担当の兼子万紀郎教諭(32)の声が響いた。6年生は2017年度、総合的な学習の中で興味を持った国を調べ、文化などを学んでいる。
 児童は1人ずつ新聞を手にし、紙面から外国に関する情報を探し始めた。「沼津に住んでいるタイの女の人が囲碁のアマチュア6段になったんだって」「掛川でやった高校生のアーチェリーの全国大会に韓国の人たちも出場したみたいだよ」。本紙の記事中に国名を発見すると、互いに教え合って感想を発表した。
 「北朝鮮やアメリカのトランプ大統領のニュースが多い気がする」。ある児童の意見に、周囲もうなずいた。「新聞を見るといろんなことを知ることができる」と神田絢音さん。朝も自宅で新聞に時々目を通す。外国のニュースはもちろん、地元森町の話題も楽しみだ。
 兼子教諭がこの日の授業で新聞を使った理由に、国際や経済、地域欄など分野ごとに情報が整理されている点を挙げた。子どもたちが興味のある分野から読み始めるように促したいとの狙いもある。
 6年生では授業以外にも、担任の裁量で自由に使える昼休み直後の15分間の「スタディータイム」に、新聞記事や図表を8分間で読み解き、設問に回答する実践も。また、自宅では関心のある記事を探して要約し、独自の見出しづくりにも挑み、教室の壁に成果のプリントを張り出している。
 同様の取り組みは全校に広がる。16年度の3年生は総合学習で調査結果をまとめる際に新聞のレイアウトを参考にし、6年生は気になるニュースを毎朝当番が紹介、他の学年でも授業で新聞を取り入れた。本年度は5年生が図工で新聞紙面の写真を題材に絵画制作に挑戦するなどしている。
 これらの取り組みの背景には、児童の語彙[ごい]力や読解力の向上につなげる狙いがある。
 「日常の授業では児童が長い文章に慣れる機会が少ない」と兼子教諭。全国学力テストにおいても「そもそも問題で何が聞かれているか分からず、長文を目にしただけで抵抗を感じる子もいる」として、日常的に新聞を目にする有用性を強調し、分からない言葉があれば積極的に辞書で調べるよう呼び掛ける。
 児童には新聞を通じて知識を増やしながら興味の幅を広げてほしいと願っている。「自分たちの暮らすまちでどのようなことが起きているかも知ってほしい。新聞をどう使えば効果的なのか、私も考えていきたい」と兼子教諭は話した。
 

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本紙から外国に関する記事や見出しを探す6年生=森町立森小(写真の一部を加工しています)

 

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6年生の教室には興味を持った記事を児童が要約したプリントが並んでいる

 

 ■紙面授業=英語・家庭-モンゴルの食体験 城南静岡高・中 松下真弓先生
 歴史上、地続きで一番大きな国を造ったのはどこか分かりますか。モンゴルです。馬に乗って世界を席巻し、世界最強の帝国を造りました。紀元前から草原遊牧国家が建設され、人々は環境に適応した生活をしてきました。
 モンゴルの民の生活は馬と家畜に支えられ、それらの動物を育むのは大地の牧草であることから、モンゴル遊牧民は大地を尊重し、家を建てる時は地面に柱を刺さない、畑を耕さない、墓碑を立てる文化もないそうです。
 そのモンゴルをこの8月、川勝平太知事が訪れるのに合わせた訪問団に、私も私学教職員海外交流派遣事業の一員として参加しました。知事とモンゴル大統領との会談の内容などは新聞でも報じられましたが、ここでは「食」に絞ってモンゴルの様子を報告したいと思います。
 モンゴルの食の柱は、肉(赤い食)と乳製品(白い食)です。主食は19世紀末移住した中国人が自分用に栽培した小麦から作られた小麦粉です。
 「赤い食」は零下30度にもなるという冬の食で、私がモンゴルを訪れた8月は「白い食」が中心となります。モンゴル人は遺伝的に生乳を飲むとおなかをこわす「乳糖不耐性」ですから、生乳は飲まず加工されるのが特徴です。遊牧民のゲルを訪問した時に、朝搾りたての牛乳をまきストーブで沸かして、目の前でチーズを作って食べさせていただきました。
 また、夏の時期限定で作られる馬乳酒も頂戴しました。酒と言うもののアルコール度数は1~3%程度で、水分、エネルギー、ビタミンC補給源として赤ちゃんからお年寄りまで飲用され、ヨーグルトに近い乳飲料として1日0・5~3リットルくらい摂取しているそうです。結核やウイルス性肺炎、胃炎、胃潰瘍、さらには糖尿病や高血圧といった生活習慣病に対しても効果があるとされています。腸内環境の改善、老廃物の排せつといった効果もあり、私は馬乳酒を飲んでから約1週間、デトックス効果のためかほとんど飲食ができませんでした。農耕民族の日本人には、刺激が強すぎたのかもしれませんね。

 ※県内の中学・高校の先生が、時事のニュースや話題を切り口にした授業を紙面で展開します。

 

 ■NIEアドバイザーのワンポイント講座(7)=ニュース発表 記事探しのこつ
 日々の社会の動きに興味を持たせ、自分が見つけたニュースを紹介することで情報活用の実践力を身に付けさせようと、多くの先生方が「ニュースの発表」に取り組んでいます。ぜひ気を付けて欲しいのが、次の2点です。
 1点目は、その日のニュースにこだわらないこと。先生方が、その日の新聞記事を授業に使おうとしても難しいと思います。「順番だから」と指名された子どもが戸惑うのも当然です。記事を探すのに数日余裕を持たせることで、「このニュースを皆に伝えたい」と意欲を高めることができます。
 2点目は、記事の一部の発表でも認めること。大きなニュースになると記事の量も膨大です。起承転結の文章表記に慣れた子どもは大切なことは最後だと信じ、文末に書かれているはずのまとめを探しがちです。新聞は、一番大切なことはリード文や第1段落に書かれています。見出しや写真、リード文などの紹介だけでも価値があることを教えましょう。
 1年を担任した時、切り抜き写真に一言添える取り組みをしたところ、子どもたちに好評で、成果も上がりました。
 (浜松与進北小・山崎章成)

月刊一緒にNIE@しずおか・第1土曜掲載=名古屋・NIE全国大会 新聞から 広がる世界

2017年09月02日(土)付 朝刊


 名古屋市で8月3、4の両日、「第22回NIE全国大会」(日本新聞協会主催)が開かれた。「新聞を開く 世界をひらく」をスローガンに、教材としての新聞の活用に関する発表や意見交換を展開した。初日には2014年にノーベル物理学賞を受賞した天野浩・名古屋大教授=浜松市出身=の講演などが行われ、最終日には、県内からNIEアドバイザーの山崎章成・浜松市立与進北小教諭と、磐田市立城山中の萩田純子司書教諭がそれぞれ特別分科会に登壇し、NIEの裾野を広げる取り組みに向け意見を述べた。

 

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天野浩名古屋大教授も参加した「第22回NIE全国大会」=8月3日、名古屋市内

 

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 ■学校図書館 重要な役割 情報活用教育の中心に-萩田純子司書教諭(磐田・城山中)
 磐田市立城山中の萩田純子司書教諭は「学校図書館とNIE」に焦点を当てた特別分科会に登壇し、生徒の情報活用スキルを向上させる系統立てた指導法や、司書教諭の役割について考えを述べた。
 萩田教諭は「理想の学校図書館」として、各教科が関連し合い補い合いながら中心に図書館があるイメージを示した上で、互いの授業内容を知らない教科担任制、教科でばらばらに指導される情報活用スキルの学習-などをネックに挙げ、司書教諭が「つなぐ」ことの重要性を強調した。
 新聞について「社会で起こっている事実が載っている点で、それ自体が非常に重要な資料」と述べる一方、社説やコラムには意見が掲載されていることから「事実と主張のつながりを学習するのに適した教材」と語った。
 具体的実践として、世界遺産、AKB48、ディズニーランドの混雑度、地下鉄サリン事件-など知りたい情報の種類に応じ、図書、新聞、インターネットから最もふさわしいメディアを探る中学1年向けの授業を紹介。萩田教諭は「出来事の経過を詳しく知るには新聞」「概要を知りたいなら百科事典」など、指導内容を説明した。
 国語に関する世論調査の新聞記事を読み、自分の意見をまとめ、新聞各紙の社説や、友達が書いた意見文と比べる中学3年生向けの授業実践も紹介した。
 萩田教諭は「こうした実践は、現状では司書教諭である私が孤軍奮闘という感じ。全職員の共通理解としてできるようになったら、かなり変わってくると思う」と期待した。

 

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司書教諭の役割について語る磐田市立城山中の萩田純子司書教諭

 

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 ■販売店と連携 裾野広げて-山崎章成教諭(浜松・与進北小)
 NIEアドバイザーの山崎章成・浜松市立与進北小教諭がコーディネーターを務めた特別分科会「地域で支えるNIE-販売店との連携を考える」では、東海、関東地区の3人の新聞販売店主らが登壇し、地域や学校と協力したNIEの具体的取り組みを紹介した。
 店主の一人は、新聞を購読していない家庭が増加し学校の先生が新聞を使った宿題などを出しにくくなっている-などとNIE活動の障壁を挙げた上で、「学校と新聞社の2者によるNIEには限界があるのでは」と問題提起。別の店主は新聞記者との交流など地域に根差した活動として行っている「塾」の取り組みを挙げ、展開に期待を込めた。もう一人の店主は、オリジナルソングを使った新聞普及活動を紹介した。
 山崎教諭は「NIEを基盤として支えているのが新聞販売店だということを確認し、今後の実践に生かしてほしい」と呼び掛けた。
 

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 ■紙面授業=国語-駿遠線に願う平和 静清高 曽根正明先生
 郷土の作家、小川国夫の初期の作品に「動員時代」があります。戦時下に用宗の造船所に勤労動員された時の経験をもとに、暴力が肯定される時代と青年期の反抗的な感情を描いた短編小説で、その中に「駿遠線」が出てきます。駿遠線については今年3月、最後の駅舎跡「藤枝本町駅」の木材が万年筆やボールペンとしてよみがえった、とのニュースが新聞で報じられ、鉄道愛好家らの関心を集めたことが記憶に新しいところです。
 私は小学校まで千葉に住んでいましたが、夏休みになると親の実家のある相良まで電車を乗り継いで行きました。途中、藤枝駅を降りると、東側に静岡鉄道の新藤枝駅がありました。紺と黄色がかったクリーム色の小さな汽車。地元の人たちが「けーべん」と呼ぶ軽便鉄道。それが駿遠線でした。駅から左へ行くと「動員時代」に出てくる大手線方面。私たちが乗った小さな汽車は右の本線をゆっくりと約20キロ先の相良まで約1時間かけて進んで行きました。駿遠線は、1913年に前身の藤相鉄道の藤枝~大手間が開業し、スタート。その後、周辺鉄道との合併などにより48年には総延長64・6キロに及び、日本一長い軽便鉄道、駿遠線となりました。しかし、70年7月31日に最後に残った藤枝~大井川間が廃止となり、57年間の歴史に幕を下ろしました。
 本校では毎年8月に静岡新聞社の後援を得て、その廃線跡を訪ねる「駿遠線跡を辿ろう」という企画を催しています。私がバスの運転をし、「歴史に残す 静岡鉄道駿遠線-日本一の軽便鉄道」(静岡新聞社刊)の著者、御前崎市議の阿形昭さんにガイドをお願いして、廃線跡を巡って今年で10年となりました。当時を知る年配の方から、この企画で駿遠線を知ったという小学生まで毎年数々の出会いがあります。
 皆さんの街の近くにあった駿遠線を少しでも知っていただければと思います。また、戦後72年がたち、再び小川国夫の「動員時代」のような勤労動員がないように、平和な時代が続くことを願っています。

 ※県内の中学・高校の先生が、時事のニュースや話題を切り口にした授業を紙面で展開します。

 

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 ■NIEアドバイザーのワンポイント講座(6)=記事から考える道徳授業
 学校の道徳授業が「考え、議論する道徳」に変わろうとしています。現実に起きている、答えが一つではない道徳的な課題に対して、子どもが自分の問題として向き合い、実践的に考え、議論し、生き方を深めていく道徳です。その際、社会の今を反映し、生きた課題を提示してくれる新聞は道徳の優れた教材として役立ちます。
 例えば、航空機に搭乗する際、車いすの男性が航空会社の人から「歩けないと乗れない」と言われ、タラップを腕だけではって上ったという記事。この記事をそのまま使って考えさせることもできますが、男性役、航空会社社員役、周囲の人の役などの役割を決めてロールプレイを行い、各立場から考えさせるのも効果的です。
 また、プロサッカー選手のなくした財布が中身もそのまま手元に戻ったという記事も使えそうです。
 他にも、新聞にはニュースだけでなく、魅力的な生き方をコンパクトにまとめたコラムもたくさん掲載されています。あまり難しく考えずに、新聞を教材にした道徳に挑戦してみませんか。
 (焼津大井川中・矢沢和宏)

月刊一緒にNIE@しずおか・第1土曜掲載=新規実践校が意気込み 積み重ね、深い学びに

2017年08月05日(土)付 朝刊


 日本新聞協会はこのほど2017年度のNIE実践指定校を決定し、県内では県NIE推進協議会が推薦した14校に決まった。実践校には、県内で発行される7紙が一定期間無料で提供され、NIE活動に活用される。新規実践指定6校の担当教諭に活動の抱負を聞いた。

 

 【2017年度NIE実践指定校】 
 ■新規 浜松西都台小、富士宮西富士中、静岡観山中、川根本町本川根中、遠江総合高、静岡聴覚特別支援学校
 ■継続 富士宮上井出小、静岡井宮小、森小、裾野富岡中、浜松可美中、三島南高、静岡聖光学院中・高、東海大静岡翔洋小

 

 ■良い文章のお手本に-川根本町本川根中・羽入健太郎教諭
 中学生の頃、父親によく「新聞を読め」と言われていたことを思い出します。当時はインターネットも普及しており「なぜ大人は新聞を読ませるのだろう」と疑問を感じていました。その答えは自分が教壇に立ってやっと分かりました。
 国語の授業を担当する私は生徒たちの文章力に課題を感じています。文章の組み立てが破綻していて何を伝えたいのか分からない文章や、語彙[ごい]が少なく表現力に乏しい文章などを目にする中で、新聞記事(特にコラムや社説)は生徒にとって「良い文章のお手本」になると考えています。
 NIE教育を通して社会に対する見方や考え方を広げていくとともに、文章力を伸ばす取り組みも実践していきたいです。

 

 ■全職員が記事を紹介-静岡観山中・滝志保教諭
 観山中生の約3分の1の家庭は、新聞を購読していません。長い文章、難易度の高い言葉に、意欲を失う生徒が多いように感じます。
 昨年度より週1回「朝の新聞タイム」を設け、全職員交代で新聞記事を紹介し、一つの記事を全生徒で読む機会を持っています。
 職員が腐心している点は、記事の内容と難易度です。親しみやすく、分かりやすい内容で、思考を深め、新しい知識が得られる、そんな記事を取り上げようと心掛けてきました。これまで生態系、政治、情報化社会などさまざまな分野の記事が選ばれてきました。
 本校の研修テーマは「語彙[ごい]力の育成」です。新聞を楽しめる生徒を育てることで、語彙力の育成につなげていきたいと考えています。

 

 ■ひと手間掛け成長を-遠江総合高・小杉幸一教諭
 キャリア教育、生涯学習の観点から、毎週1回10分間「朝NIE」、毎日「スクラップノートリレー」を実施。1学期は3年生対象に取り組みました。2学期からは、1、2年生も実施予定です。
 「しずおか新聞感想文コンクール」には、全校生徒が参加予定。新聞を読んで記事にコメントできる力は、今日求められている能力です。国語科の協力も得て取り組みます。
 生徒も先生も多忙感から目の前のことにとらわれがちですが、NIEで、見えてくる世界が広がるに違いありません。「ひと手間掛ければ、ふた手間分育つ」「ひと手間掛ければ、ふた手間省ける」と関口修司氏(日本新聞協会NIEコーディネーター)。
 さあ今、NIEにひと手間掛ける時です。

 

 ■記事から共通点探す-富士宮西富士中・中嶋優貴教諭
 1年目の本年度は「NIE~新聞記事と自分を結ぶ~」をテーマとし、新聞記事から自分の体験や経験と比較したり共通点を見つけたりすることで自分の考えがもてるような実践に取り組んでいきます。
 本校では4年前から毎週金曜日を「新聞の日」と位置付け、朝の10分間で全校共通の記事を要約し、それに対する自分の考えを書く活動を行っています。また、新聞のコピーを校内各所に掲示したり、図書室に新聞コーナーを設けたりすることで、新聞がより身近に感じられる環境整備を行っています。
 新聞をきっかけとして自分の思いや考えを持ち、社会の動きを敏感に捉える生徒を育てるために、私たち教職員も新聞記事を生きた教材として活用させていきたいと思います。

 

 ■気軽に読める場作り-浜松西都台小・林裕一教諭
 インターネットが普及して、人々の情報を手に入れる手段が多様化している現在、子どもたちにとって新聞が遠い存在になっています。本校の児童も、新聞に目を通す習慣がある子が少なく、新聞をとっていない家庭も存在しています。
 まずは、子どもたちと新聞の距離を縮めたいと思いました。そこで、校内に新聞の立ち読み台を設置し、気軽に読める場を作りました。また、学年に応じて活用した活動を行っています。
 今後の実践を積み重ねることにより、新聞が子どもたちにとって身近な存在になるだけでなく、子どもたちが「気づく力」「調べる力」「伝える力」を成長させ、「深い学び」につながるように工夫していきたいと思います。

 

 ■情報に主体的な姿勢-静岡聴覚特別支援学校・山根渉教諭
 今回NIE実践指定校に選ばれたことで、NIE教育によって〝主体的に情報を求める姿勢〟を生徒に身に付けてほしいと願いました。耳の聴こえにくい幼児・児童・生徒には「受け身の姿勢になりやすい」という傾向があります。自ら気になったことを調べたり、情報を多角的に捉えたりすることが苦手です。それらの課題にNIEの実践によって取り組んでいきたいと思っています。
 まずは複数紙を読み比べることのできる環境を整えていただけるので、一つの記事について教室内で話し合う機会を設けることから始めようと思います。新聞という視覚情報を活用できるメディアを通して、社会を知ろうとする主体性が身に付くように尽力いたします。

 

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本年度の抱負を語る実践指定校の教諭=6月、静岡市駿河区の静岡新聞放送会館

 

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 ■紙面授業=国語-近づく「終戦の日」 桐陽高 小池太一先生
 かつてロンドンを訪れたとき、帝国戦争博物館というところを見学したことがあった。戦車や戦闘機が展示されているフロアを漫然と歩き回っていたが、ある展示物の前で思わず足を止めた。本物の原子爆弾だった。それは深緑色に鈍く光る鉄の構造物であったが、他のどの兵器とも違っていて、なにか異様で、不気味な感じがした。こんなものを投下された日本という国の歴史を考えた。
 今年も「終戦の日」が近づいている。2016年8月15日付「静岡新聞」朝刊の社説にはこうある。「『二度と戦争はごめんだ』。戦後日本の平和国家の歩みは、71年前に国民が抱いたこの思いが原点だろう。...筆舌に尽くしがたい惨禍の歴史を問い直し、思いを引き継ぐ。終わりがあろうはずのない取り組みが揺らいでいないか」。
 何年も新聞を読み続けている読者には、もうすっかり慣れてしまって、決まり文句のように思えるかもしれない。しかし、日本が太平洋戦争で経験した惨禍と、失敗を繰り返すまいという決意はリアルなものだ。そのリアリティーを実感するには、自分が住んでいる地域が、当時どのように太平洋戦争をくぐり抜けたのかを調べてみるとよいだろう。
 桐陽高の地元、沼津市を例にとってみると、何度も米軍の空爆を受けている。爆撃、機銃掃射、焼夷[しょうい]弾といった攻撃で、300人以上の市民が亡くなっている。特に1945年7月17日の空襲は大規模なものであり、御前崎方面から沼津上空に侵入したB29爆撃機130機が行った9千発以上の焼夷弾攻撃によって、沼津市街は焼け野原になっている。戦前から沼津に住んでいる方なら記憶しておられるだろう。
 また、海沿いの地域には特攻兵器(「人間魚雷」と言われる「回天」、モーターボート特攻の「震洋」など)の格納庫があった。桐陽高がよく体育祭をしている愛鷹山には、帝国陸軍が本土決戦を想定した陣地を構築した。JR沼津駅北側には、レーダーなどの製造を目的とした広大な海軍工廠[こうしょう]があった。
 今年の「終戦の日」、「静岡新聞」の社説は、何を伝えてくれるだろうか。

 ※県内の中学・高校の先生が、時事のニュースや話題を切り口にした授業を紙面で展開します。

 

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 ■NIEアドバイザーのワンポイント講座(5)=習慣付ける題材選びを
 新聞を活用することで、子どもたちの学びが広がり、深まり、目標が効果的に達成される場合があります。そのために指導する側が、「新聞を活用して伝えたいこと」を明確にして指導することが大切です。
 子どもたちの実態に応じた適切な題材選びも大切です。最初から難易度の高い記事を取り扱うのではなく、新聞に慣れさせてから難易度を高めていくとよいでしょう。
 例えば写真には、多くの子どもたちが興味を示します。朝の学級活動や授業などの導入時に、その日取り上げたい新聞記事の見出しと写真を紹介して、一言添えます。「季節の写真」「行事の写真」「スポーツの写真」などは、さまざまな教科や特別活動の学習に関連づける展開が可能です。
 投書も使えます。静岡新聞の「ひろば」欄の10代の投書特集では、子どもたちに身に付けさせたいことが、同年代の子どもたちの素直な言葉で語られていることがあります。学級活動の時間に紹介すると、学校生活を考えて送るきっかけになります。
 最近は家庭でのNIEも注目されています。夏休みは取り組みのチャンスです。
 (清水西高・吉川契子)