NIE関連記事

新聞活用の事例を紹介
-県立中央図書館でNIE企画展

2013年04月28日(日)付 朝刊


 7月に静岡市で開催される第18回NIE全国大会静岡大会(日本新聞協会主催、県教委、静岡市教委、浜松市教委共催)をPRする企画展が27日、静岡市駿河区の県立中央図書館で始まった。5月30日まで。
 小中高生による新聞感想文コンクールの入賞作品や、県学校新聞コンクールの優秀作品などをパネルで展示した。教育に新聞を活用するさまざまな取り組みを紹介している。同図書館では40タイトルの新聞を読むことができる。担当者は「記事検索もできるので、新聞資料をぜひ活用してほしい」と呼び掛けた。
 展示は午前9時~午後5時。29日、5月3、4、6日は休館。
 5月19日午後2時からはNIEアドバイザー山崎章成さん(浜松市立曳馬小教諭)の講座が開かれる。定員は先着70人。申し込み、問い合わせは県立中央図書館<電054(262)1246>へ。
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新感文コンクールの入賞作品などを紹介する企画展=27日午前、静岡市駿河区の県立中央図書館

やさしいNIE全国発信
 7月の静岡大会 17校が授業・発表

2013年04月23日(火)付 朝刊


 7月に静岡市で開催される第18回NIE全国大会静岡大会(日本新聞協会主催、県教委、静岡市教委、浜松市教委共催)の第2回実行委員会が22日、静岡市駿河区登呂の静岡新聞社制作センターで開かれた。安倍徹県教育長、高木雅宏静岡市教育長、教育・新聞関係者ら委員約30人が出席し、大会スローガンやプログラムなどを承認した。
 大会のスローガンは「『学び』発見―ふじのくにから『やさしいNIE』」。誰にでも取り組めて長続きするNIEを発信し、実践者である教員や取り組む子どもたちの裾野を広げていきたいという思いを込めた。県立静岡がんセンターの山口建総長による記念講演、子どもや保護者が参加するパネル討論、小中高計17校の公開授業と実践発表などを行うことも決定した。
 角替弘志実行委員長は「最も身近な教材として新聞を使えるよう工夫していくために、大会に積極的に取り組んでいきたい」とあいさつした。
 大会は7月25、26の両日に静岡市駿河区のグランシップで開かれる。県NIE推進協議会と静岡新聞社が主管する。

 公開授業と実践発表を行う学校は次の通り。
 【公開授業】▽小学校 静岡安西、静岡城北、静岡中田▽中学校 静岡大付属静岡、島田金谷、浜松三ケ日▽高校 常葉学園、島田、川根
 【実践発表】▽小学校 沼津原、静岡東源台、浜松有玉▽中学校 御殿場南、静岡清水第五、浜松学芸▽高校 東海大翔洋、静岡中央
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NIE全国大会静岡大会のスローガンなどを承認した第2回実行委員会=22日午後、静岡市駿河区登呂の静岡新聞社制作センター

月刊NIE@しずおか(第6号)
=ニュースを積極活用

2013年04月06日(土)付 朝刊


 川根本町徳山の川根高(堀田英正校長、176人)は2012年度、新聞を使って時事問題と絡めた社会科の授業を展開した。一方、他科目では記事を活用する仕組み作りの難しさに直面している。13年度は複数科目で新聞を取り入れることを目標に、夏の静岡大会に向けての準備に本腰を入れる。

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 □授業拝見
 ■導入難しい教科 記事選び苦労も-川根高(VOL.2)
 衆院選が行われた昨年末、中園亮平教諭は現代社会の授業で、選挙関連記事が掲載された新聞を活用した。日々のニュースと学習内容をリンクさせ、高校生にはなじみが薄い「選挙」に対する関心を引き出した。3月に初の中南米出身のローマ法王が誕生したニュースでは、男子生徒は「世界史で何度も登場するローマ法王が、現在まで続いていると再認識した。歴史を身近に感じた」と新聞を読む意義を実感していた。
 だが、「新聞を指導に役立てやすい社会科と違い、ニュースが少ない数学などは新聞導入が厳しい。記事選びにも労力がかかる」と中園教諭は悩みを打ち明ける。生徒間の学力に幅があり、新聞の身近さも各家庭ごとに違いがある。中園教諭は「1クラスの全生徒に対して、一括で学習理解につながる記事を見つけ出すことに苦労している」と話す。
 2月には生徒たちに新聞への関心を高めてもらうことを狙いに、1年生(当時)を対象にした壁新聞作りを実施した。生徒は川根本町の基幹産業の「茶業」や、「原子力発電」「いじめ問題」などをテーマに、関連記事を探して模造紙に貼り、自らの意見や感想を書き添えた。
 13年度は、逆三角形構造や5W1Hなどの新聞の書き方を学ぶ国語の授業や、学外に出ての模擬取材や原稿執筆に取り組む総合学習などを検討している。茶や観光業が盛んな山間部ならではの特徴を生かし、地元について理解を深める新聞活用法も模索する。世の中の出来事に関心を持ち、社会性を育てることにつながる学習に期待が掛かる。
 (次回は7月6日)

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 新聞記事からニュースに理解を深める生徒=3月15日、川根本町徳山の川根高

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 □実践指定校教諭インタビュー=静岡安西小・沢田智之教諭

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 ■どんな授業
 3年生の国語では、記事から「こそあど言葉」を抜き出し、さまざまな指示代名詞があることを実感するための素材として活用した。文字を探す作業にとどまらず、記事の内容を読み始める児童もいた。
 また、子供向け新聞から長めの記事を教師が音読し、児童が5W1Hを探して見出しを付ける授業にも取り組んだ。

 ■手応え・課題 
 授業の中に無理なく組み込むためにはどうしたらよいか、指定1年目は試行錯誤が続いた。
 難しい漢字や表現を理解できない、文意をくみ取るまでに時間がかかるなど、児童の読解力には差がある。さらに、ニュースへの関心度や読書経験も影響する。決められた授業時間の中で活用することの難しさを感じた。
 一方で、新聞を取り上げた際、児童の反応が新鮮だった。普段なじみの薄いニュースや身近な話題への興味を導いていきたい。また、社会や総合学習など他の授業でも、活用の可能性を考えている。
 
 ■静岡大会に向けて 
 児童も教師も、家庭でも気軽に利用できる方法とは―。公開授業に向けて、無理なく自然なNIEの方法を模索していきたい。
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 静岡安西小 静岡市葵区安西。児童335人。鈴木淑弘校長。指定2年目。

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 □実践指定校教諭インタビュー=浜松三ケ日中・小川高明教諭
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 ■どんな授業 
 社会で何が起きているか知らない生徒が多いと感じていた。新聞はタイムリーで信ぴょう性は高い。読むことで、生徒たちに現在起きていることに目を向けさせたいと考えた。
 2年生のクラスで、二つの取り組みを行った。一つは、生徒が興味のある記事を読み、意見をノートにまとめる「論評ノート」作り。二つ目は、スクラップノート作り。当初は分野を定めず気になる記事を集めさせた。徐々に興味のある分野がはっきりしてくるので、二学期からは生徒それぞれが決めたテーマの記事を集めた。特定の問題がどのように変化しているか知ることができる。

 ■手応え・課題 
 授業中の投げ掛けに対し「新聞を読んだ」という反応が多くなった。授業で学んだ事象が、新聞でどのように取り上げられているか調べる生徒も増えた。
 3年生の公民の分野では、1票の格差やねじれ国会での予算案通過など、授業と関連して考えられるニュースが多い。

 ■静岡大会に向けて 
 新聞の中から、分からない言葉や世の中の疑問点を探し出して授業を展開していく。授業の導入に新聞が活用できることを紹介したい。
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 浜松三ケ日中 浜松市北区三ケ日町。生徒392人。青木篤郎校長。指定2年目。

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  ■小原友行・NIE学会長に聞く-社会とつながる教材

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 6日からの「春の新聞週間」に合わせ、教育現場での新聞活用に詳しい小原友行・日本NIE学会会長(広島大大学院教授)に聞いた。

 -NIEが教育現場に広がっている。
 小中学校に加え、4月からは高校でも学習指導要領に新聞の活用が導入される。現場は教室だけにとどまらない。記事を家族の会話のきっかけなどにする「ファミリーフォーカス」という考え方も広まっているし、地域コミュニティーが地域再生のヒントを得るのもNIEの取り組みの一環だ。

 -どのような効果が。
 リアルタイムの課題を教材とするため、学ぶことが今の社会とつながっていると分かる。思考力だけでなく、興味や意欲を育てる。
 ただし病気のときの風邪薬とは違い、即効性はない。新聞を読むことは、普段から健康な体をつくるようなもの。社会や人間への関心が高まれば、学習意欲も湧く。
 
 -新聞の強みは何。
 一番は、なぜ、どうしてを掘り下げること。ニュースの背景を分析し未来へのメッセージのこもった記事は、必ず心に響く。多くの授業を経て感じるが、子どもはたとえ漢字が分からなくても、記事は理解できている。
 また、私はよく「希望の物語を見つけ、希望の物語を届けること」と説明している。東日本大震災でも、石巻日日新聞の壁新聞や小学生が作ったファイト新聞が人々に希望を与えた。

 -NIEを充実させるには何が必要か。
 単なる資料として新聞を使うのではなく、生きる教材として読み解く力量が教師にも要る。そして、子どもにとって新聞が日常的に触れる環境にあること。良い時期に良い出合いをしていると、力になる。

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 ■京大iPS研特別賞に決定-HAPPY NEWS PERSON

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 日本新聞協会が募集した「HAPPY NEWS 2012」の「HAPPY NEWS PERSON特別賞」に、京都大学iPS細胞研究所(所長・山中伸弥教授=写真=)が決まった。「HAPPY NEWS高校生」を受賞した杉山七海さん(沼津東高3年)も山中教授のiPS細胞に関する研究成果を伝える記事(静岡新聞)を選んだ。山中教授のノーベル賞受賞が、多くの人を勇気づけ、たくさんのコメントが寄せられた。
 読者を幸せな気持ちにした人物に贈られる「HAPPY NEWS PERSON」は、長寿の双子として人気を集めた「きんさん・ぎんさん」の故蟹江ぎんさんの娘4姉妹、矢野年子さん(98)、津田千多代さん(94)、佐野百合子さん(91)、蟹江美根代さん(89)に決まった。姉妹のはつらつとした姿に、多くの人から、元気をもらったなどのコメントが寄せられた。

 ■医療応用一日も早く-京都大学iPS細胞研究所・山中伸弥所長のコメント


 このたびは、iPS細胞研究所がHAPPY NEWS PERSON特別賞を受賞することになり、大変うれしく思います。iPS細胞研究は、これからが正念場を迎えます。他の機関の研究者と協力して、一日も早い医療応用を目指して、研究所員一丸となり頑張りたいと思います。多くの方々のご理解、ご支援をよろしくお願いします。

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 □NIEワークシート

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