「一緒にNIE」は静岡新聞の「教育」欄で2011年4月にスタートし、2015年4月から「月刊 一緒にNIE」で連載しています。 日本新聞協会認定の県内のNIEアドバイザーたちが教諭や保護者に NIEをやさしく解説し、授業活用のヒントを示しています。NIEへの理解を広げるため、ご活用ください。
「一緒にNIE」は静岡新聞の「教育」欄で2011年4月にスタートし、2015年4月から「月刊 一緒にNIE」で連載しています。 日本新聞協会認定の県内のNIEアドバイザーたちが教諭や保護者に NIEをやさしく解説し、授業活用のヒントを示しています。NIEへの理解を広げるため、ご活用ください。
2024年10月06日(日)付 朝刊
■紙面の感想発表し合う 縦割り朝活動 表現力育み「学びと成長」 熱海・泉小「ことばタイム」
熱海市立泉小は昨年度から、全校児童が参加する縦割り学習の一環として、新聞を活用し、表現力を身に付ける朝活動「ことばタイム」を展開している。新聞の記事や写真について感想を発表し合う取り組みで、自己表現力を育む場として徐々に定着しつつある。
9月中旬のある朝、登校してきた児童が一つの教室に集まり、一斉に新聞各紙を広げた。各自が持ち寄った新聞ネタは、パリ五輪で活躍した日本勢の話題や、花の見頃を伝える写真などさまざま。「気になる新聞ニュースを発表してみよう」。教諭の呼びかけに応じ、児童はグループごとに発表を始めた。
活動を好意的に受け止める児童は多い。小惑星りゅうぐうの記事を取り上げた6年の上野葵さんは「新聞で面白いことを見つけるのが楽しみ。みんなといろんな話をして、つながれる」と笑顔を見せる。台風10号の被害状況を伝える記事を選んだ6年の盛井祐宇さんは「自然の恐ろしさを学んだ。新聞を読むと、自分が知らないことを深く知ることができる」と話す。
自分や相手の発表を踏まえ、終了後に気が付いた点を語り合う時間を設けるのも、ことばタイムの大きな特徴だ。「自分の意見と記事の説明をうまくまとめていた」「大切な部分が詳しくて聞きやすかった」。児童の口からは、自身の発表の仕方を改善しようとする前向きな意見が相次いだ。
泉小は全校児童25人で、中学校が併設された小規模校。同校によると、ほとんどの児童同士が顔見知りの関係で、言葉を多く交わさなくても意思疎通を図れるという小規模校ならではの良さがある。一方で、中学卒業後に待ち受ける大人数の高校生活を見据えた時、自分の意見を人前で表現する力が課題になっていた。
同校児童は気になる新聞記事の切り抜きを紹介する掲示板を設けたり、見出しと記事の新聞形式で学習成果をまとめたりと、精力的なNIE(教育に新聞を)活動を実践する。岡部靖子教諭は「苦手とする自己表現を磨く良い機会。新聞の活用を通じた学びと成長を感じる」と手応えを語る。
(熱海兼伊東支局・鈴木文之)
新聞の切り抜きを紹介するコーナー
新聞を読んだ感想を発表し合い、表現力を身に付ける「ことばタイム」=9月中旬、熱海市立泉小
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■NIEアドバイザーのワンポイント講座(84)災害学習と温暖化問題
理科をはじめ多くの教科科目で、地球温暖化が取り上げられています。ただ教科書は事態の深刻さを知るには限定的な内容です。できるだけ新しい情報で、生徒が短時間で理解できる新聞記事は、自然災害と地球温暖化を関連させる学習に威力を発揮します。
7月7日に静岡市の最高気温が40度に達し、生徒も地球温暖化の現実を実感する中、7月の地学授業で地球温暖化の影響や対策など20種類の新聞記事を学んでもらいました。
8月、連日猛暑が続き、月末に台風10号が襲来。速度が遅く、遠方にあるのに本県も大雨による浸水被害や土砂災害を被りました。9月、台風報道の記事を読み、地球温暖化学習を踏まえた台風対策を書いてもらいました。
多くの生徒が、ハザードマップや避難経路の確認、非常持ち出し品の事前準備の重要性を挙げました。地球温暖化により同様の台風が増えることを懸念し、温暖化対策も重要と指摘した生徒もいました。単なる災害対策に止まらず、地球温暖化との関連に気付いたのは、7月と9月の学習の成果でしょう。地球温暖化学習は、このように気象災害学習とセットで学ばせると良く、その際、新聞は最適な資料になるのです。
(吉川契子教諭・静岡城北高)