
シリーズ「現場から、」です。8月2日、静岡県沼津市のため池で高校生2人が死亡する事故がありました。悲しい事故を起こさないためにはどうすれば良いのでしょうか。
静岡県沼津市の門池公園です。一見穏やかに見えるこの場所で8月2日の夕方、男子高校生2人が溺れて亡くなりました。この場所は地元では危ない池として知られていました。
<地元の人>
「もう入ったら絶対助からないって有名です。ここら辺は高いけど、そっから先がものすごい深い沼なんですよ」
Q.一番深くて何mくらいある?
「何メートル?何メートルだろうね、ちょっと分からないけど」
事故が起きた門池は最も深いところで5メートル。農業用として人工的に作られた貯水池で岸から数メートルで急激に深くなる構造になっています。

<伊部桜輔カメラマン>
「消防やパトカーなどの姿が見えます。物々しい雰囲気です」
事故の当日、池ではボートの体験イベントがありました。高校生2人は手伝いに来ていてイベントの終了後、仲間と水遊びをしていたとみられています。
<イベント主催者の男性>
「水遊びしてた1人がそこの深みへのはまっちゃって、それを見たもう1人が手を差し伸べたら一緒に引きずり込まれて2人沈んじゃった」
ため池の事故では助けようとした人が溺れて亡くなってしまう「救助死」のリスクがあります。ため池での水難事故を想定したデモンストレーションです。落ちた人を助けようと手を差し伸べましたが、引っぱられて2人とも溺れてしまいました。
<水難学会 斎藤秀俊理事>
「川とか海の場合は落っこちた人に手を差し伸べても届かない場合が多いが、ため池の場合は届いてしまう。沈んでしまったら、これは素人に引き上げるのは無理ですから、早く119番通報をして救助隊を呼んで、沈んだ場所をしっかり覚えておいてください」
溺れた人を見かけたらペットボトルやクーラーボックスなど、浮くものを投げて救助隊の到着を待つのが有効です。

静岡県内には市民の憩いの場や水に親しんでもらうなどの目的で農業用のため池に公園が設置されている場所が21か所あります。静岡県伊豆の国市や静岡県三島市でも、いずれも▼柵で池を囲う、▼「入らないでください」、▼「危険」などの注意看板を立てる対策をしていますが、十分ではありません。
「ここ、直してもらわなきゃ」
高校生2人が亡くなる事故を受けて、静岡県沼津市は門池の緊急点検を実施しました。
<沼津市緑地公園課 堤尚児課長補佐>
「まずは事故が起きた場所を中心に、危険の注意喚起をしたいのと、出入口のところに看板を設置して公園の利用者が池に入っていけないことが伝えられるようにしていきたい」

ため池における月別の死亡事故は7月、8月に最も多く発生します。涼を求めて水辺に足を踏み入れてしまう人に向けたもう一段階上の対策が必要です。
<斎藤理事>
「その人たちが最後、思い留まるためには具体的にここの水深何mとか、何が危険なのかというのをしっかりと看板で示す必要があると思います」
<東部総局 竹川知佳記者>
高校生2人が亡くなる事故を受けて今回、静岡県内の公園の中にあるため池をいくつか見に行きました。「危ない」など注意を促す看板はありましたが、ため池の構造のイラストや水深が書いてあるものは私が見た中ではありませんでした。
より水の中をイメージしやすい工夫をすることでその場所の危険がより立体的に理解しやすいんじゃないかと感じました。
<水野キャスター>
もう少し夏休みが続きますので、お子さんを連れて水辺に行く際には遊んでよい場所なのか十分に確認するようにしてください。