
終戦から2025年で80年。戦争を体験した人たちや遺族の証言を後世に残すための取り組みが続いています。静岡県は8月5日、静岡県長泉町で戦争への思いを語る動画の撮影を行いました。
「長霊神社を軽く案内したいと思います」
これは県が戦後80年の2025年、戦争の記憶と記録を次世代に継承するために進めている取り組みで、8月5日は静岡県長泉町にある長霊神社で撮影が行われました。境内には、戦没者を弔うために建てられた「忠魂碑」があります。
長泉町遺族会の井口政美会長が戦後、この石碑を土の中に埋めて保存したという経緯を証言しました。
<長泉町遺族会 井口政美会長>
「忠魂碑の裏には、日中戦争の頃からの戦死された方々のお名前が234名、刻まれております。その人たちの名誉のようなものを、戦後まだアメリカに占領されてるような状態だったので、『破壊されてはいけない』とか、そういう思いがあったのかと思います」
静岡県御殿場市で暮らす佐藤とみ子さん87歳。父・武男さんは31歳の時、出征先の激戦地ガダルカナル島で戦死しました。
<父をガダルカナル島で亡くした佐藤とみ子さん>
「あと1週間から10日ほど生きていられたら、ガダルカナル島から撤退の形で生き延びられたかもしれません。それを思うと、それも運命かなとは思いつつも。ガダルカナル島からの生還者などほとんどいませんが…」
佐藤さんは、慰霊の旅で3回ガダルカナル島を訪れましたがまだ武男さんの遺骨は見つかっていません。
<佐藤さん>
「父の戦没地・ママラ川上流300メートル地先にてこの地のどこかに無念の死を遂げて眠っている父に会いたい。会いに来たよ、と。うちで作ったお米、御殿場の美味しいお水などを持参して供えました」
県は中部、西部でも証言記録や慰霊碑などを撮影し、県のホームページで順次公開していく予定です。
<県地域福祉課 小杉郁奈班長>
「戦争を知らない若い方達にも、戦争の悲惨さであるとか、命の大切さ、平和の大切さ、そしてかつて80年前に多くの方が亡くなったことで今の平和があるんだっていうことを1人でも多くの方に感じていただければ」