
終戦から80年。戦争の悲惨さと平和の尊さを後世に伝えようと、静岡県は戦争体験者や遺族の話を映像に記録する取り組みを始めました。シベリア抑留を経験した100歳の男性は、「戦争がいかに無駄であったかを知ってほしい」とカメラの前で語りました。
<加藤源一さん(100)>
「ほとんど戦友は知っている人が亡くなってしまって、私もよくぞ今こうして生きているなと思うくらいでございます。内地へ帰る帰ると言って帰れなかった人たちのことを思うと、本当に何とも言えません」
静岡市葵区に住む加藤源一さん(100)は、戦後2年間、シベリアで抑留者となりました。戦争を体験した人が年々少なくなる中、静岡県は、体験者や遺族の話を動画で記録し、戦争の記憶と平和の尊さを後世に残す取り組みを始めました。
<加藤さん>
「寒さと重労働の中で戦友がどんどん倒れていく状況。戦争がいかに無駄であったかということを後世の人たちにも知っていただきたい」
静岡市清水区に住む深津芙美子さんは1944年7月、サイパン島で父・歳男さん(享年29)を亡くしました。まだ幼かった深津さんには、父親の記憶がないといいます。
<深津芙美子さん(82)>
「太平洋上にはアメリカの潜水艦戦団が待ち構えていまして、包囲され、1隻、また1隻と爆撃され沈みました。父の乗った高岡丸も一度は避けたものの、2発目、3発目が船腹に命中し、数分で沈んだそうです」
戦後80年となる今年、2人がカメラの前で語ったのは、平和への強い思いでした。
<深津さん>
「家族、祖母たちの苦労したことは見ているわけです。だから、そのためにはあたしたちが黙っていたら、おばあちゃんたちの苦労したことが無駄になっちゃうと思って」
<加藤さん>
「人間というのは殺し合いじゃなくて、話し合いをしていくということが大切」
撮影された動画は、8月から静岡県のホームページで順次公開される予定です。