
2025年は昭和元年から数えて100年目。時代を超えて愛される名店を紹介します。今回はレバニラとラーメンが人気の静岡県小山町の食堂。100年続く老舗が伝統の味を守っています。
JR御殿場線駿河小山駅の近くにある「加冨登食堂」。昭和元年に創業し、今年、100年目を迎えました。
<加冨登食堂3代目店主 杉崎峰子さん>
「創業当時『カブトビール』がすごく人気で、その人気にあやかりたいと、この名前にした聞いている」
店の一番人気は、牛のレバーを大きく使ったレバニラです。40年前からの常連客も「ニラが豊富だし、本当に食べやすい。ここが一番おいしい」。
店を訪れる人の半分以上が注文する牛のレバニラ炒め。具材はレバーとニラのみです。
<峰子さん>
「他の野菜を入れると水っぽくなって、レバーの味が変わるので、うちではレバーにニラだけしか使わない」
50年以上変わらない、醤油ベースの秘伝のタレが食欲をそそります。
<峰子さん>
「ごはんをおかわりして、タレをごはんにかけて食べる人もいる。ひと言で言えば、また食べたくなる味。うちの子どもたちもみんな大好き。孫も大好きです」
峰子さんは3代目。45年前、この家に嫁ぎました。当時は峰子さんの義理の父・重信さんが2代目の店主として店を切り盛りし、杉崎さんも手伝っていました。
<峰子さん>
「亡くなる前は『60年経った。この店はもう75年目だ』とかお客さんに言う人だった。だから、長く続けてるってことがすごく自信なんだなと思い、もっともっと元気でやりたかったんだと思う」
その思いを汲み、重信さんが亡くなった2001年、店を継ぎました。
<峰子さん>
「こちらがお店をリニューアルした時に段ボールの箱の中から出てきたラーメンどんぶり」
多くのファンを持つ加冨登食堂のラーメン。どんぶりは昭和に作られたものです。
<峰子さん>
「これでラーメンを作るのが一番おいしいのかなと思った」
この器で提供する昔ながらの醤油ラーメン。先代達からの味を引き継ぎ、豚と鶏でダシをとった醤油ラーメンです。
ラーメンを食べた子ども「おいしい」常連客「おいしい。昔ながらの。飲んだ後は余計うまい」
<常連客>
「全部食べたよ。姉ちゃんの分もおかわりで食べちゃったね」
峰子さんは現在70歳。定年後に店を手伝ってくれた最愛の夫、順一さんが2025年4月、亡くなりました。それでも「元気をもらえる」と峰子さんは厨房に立ち、店の味を守り続けています。
<峰子さん>
「応援してくださるお客さんがいればね、私ももしかすると100歳まで頑張れるかもしれない」