2025年は昭和元年から数えて100年目。長年愛される名店の味を紹介します。静岡県島田市にある老舗の割烹旅館、お祝い事などにも使われる地域に根差した店を6代目の若夫婦が守り続けています。
島田市の街道沿いにある割烹旅館「魚一」です。食事は予約制で人数に応じて個室が用意されます。この日は家族での食事会。子どもの進級と入学のお祝いです。魚を主役に旬の食材を添えた懐石料理です。
<客>
「季節の物、地元の物をふんだんに使って下さって、とてもおいしい」
店の6代目、塚本一成さん。滋賀県内の寺で精進料理を学びました。
<魚一 塚本一成さん>
「ウルイ、春の山菜でウルイってあるが、湯がくとシャキシャキとさっぱりとした感じで。今の時期の物なので」
4年前に先代から引き継ぎ、妻の加奈さんと切り盛りしています。魚一の創業は1868年(明治元年)。鮮魚店から始まり、仕出し、旅館など商売の形を変えながら店を守り続けています。
<塚本さん>
「進級や入学祝いということだったら、お客さんのほうも『きょう、お赤飯だね』ってことで、話題になる。そういうことを気を付けながら」
おいしい食事に子どもたちも満足です。
<客>
「みんなが集まるのは久しぶり。こうしてお祝いできる店があるのはうれしい」
<若女将 塚本加奈さん>
「こここそ、江戸時代中期の建物。天井を見るとその名残が出ているかと思うが、時代の流れとともに昔は座卓だったものを掘りごたつにした」
歴史ある風情を残しながら、時代に合わせた店づくりをしています。
<塚本さん>
「今までが、とか、先代がこうで、とか、そのやり方を続けていくのは伝統じゃないと思っている。料理も同じだと思う」
一成さんと加奈さんは家族の行事や宴会に合わせて、きょうはどのような料理にするか考えています。
<若女将 塚本加奈さん>
「節目節目でどこにしようって悩んだ時に、うちを選んでもらえればいいと思う。お客さまに寄り添っていける、そういった料理屋でいければいいかなと」
今後は宿泊にも力を入れたいということで、塚本夫妻は風情ある部屋を外国人の観光客に向けて発信し、日本の文化を感じてもらいたいと話していました。