客船スカンジナビア「崩壊進み魚のすみかに」 ダイバーら沼津で講演、記憶後世へ

和歌山県沖に眠る客船「スカンジナビア」の現状を紹介した講演会=沼津市の内浦地区センター 沼津市西浦木負沖に係留され、ホテルなどとして使われた豪華客船「スカンジナビア」の記憶を継承する活動に取り組む地元有志は17日、講演会「スカンジナビア号の物語」を同市の内浦地区センターで開いた。2006年にえい航中、和歌山県沖に沈没した同船を調査するダイバーら4人が、船の現状や思い出について語った。
 3年前から同船を潜水調査するスティングレイ・ジャパン(神奈川県)の野村昌司代表は「一部のマストはしっかりと残っているが、少しずつ崩壊も進んでいる」と語り、水深約72メートルの海底に眠り、魚たちのすみかにもなっている現状を紹介した。幼魚水族館(清水町)の鈴木香里武館長は1990年代に自身が宿泊した際、家族が船内を撮影したビデオを上映。「船に泊まり、目の前の岸壁で生まれて初めて魚採集をした私の原点」と振り返った。
 沼津市在住の伊藤稔信州大名誉教授は元々、クルーズ船だった船の歴史を解説。沼津史談会の長谷川徹副会長は営業当時の沼津のにぎわいを紹介した。
 地元有志は同船を日本船舶海洋工学会の「ふね遺産」に登録しようと活動をしている。メンバーの朝倉一哉さんは「沼津のシンボルだったスカンジナビアを若い人にも語り継いでいきたい」と話した。
 スウェーデンで建造された同船は1926年に進水。1970年から2005年まで、沼津市沖でホテルやレストランとして親しまれた。売却後の06年に改修で中国へ向かう途中、えい航中に沈没した。 

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