
大阪・関西万博でひときわ目を引くハンガリーのパビリオンを、静岡県焼津市の建設会社「橋本組」が建てました。絶対に失敗できない国家プロジェクトへの挑戦は、新たな可能性を広げる仕事になりました。
連休が明けても多くの来場者でにぎわう大阪・関西万博。世界各国の特徴的なパビリオンが並ぶ中、連日行列ができるほどの人気を誇るのがハンガリーのパビリオンです。
<訪れた人>
「自然が感じられるような色合いで落ち着く感じ」
「新しい、未来な建物だなって思いました。どうやって造ったんだろう?なんなんだろうこれは?っていう感じ」
ハンガリーの自然を表現したという特徴的な構造のパビリオン。この建物を手がけたのが、焼津市に本社を置くゼネコン「橋本組」です。
旧知の設計事務所から声がかかったという今回のプロジェクトは、橋本社長にとって悲願でした。
<橋本組 橋本真典社長>
「自分は1970年の大阪万博、EXPO70でまだ子供だったんですけど、このとき万博にものすごい魅せられた。いつか機会があったら施行者として参加したいなと、きた時は心の中でガッツポーズ」
前回の大阪万博を見ていつか携わりたいと思っていた夢のチャンスが到来したといいます。これまで橋本組は道路や橋などの公共インフラのほか、学校などさまざまな建物の建築に携わってきました。ただ、万博という大規模な国家プロジェクトは未知の世界。
社内に提案した時には反対意見も強かったそうですが、社長が役員らを説得し、受注することになりました。実際にパビリオン建設に乗り出してみると、さまざまな困難に直面したと現場の責任者の1人、秋田さんは話します。
<橋本組 秋田泰史さん>
「海外の人と仕事をしたのが初めてでして、優秀な通訳がいても、日本語じゃなくて通訳を通すと倍かかる。白熱してくると専門用語が飛び交い、齟齬があることも多々あった」
パビリオンの現場は隣の敷地も建築現場のため、細い敷地の中での作業を強いられました。与えられた工期は10か月。橋本組は奥から順に建築を進め、昼夜2交代での作業で何とか期間内に工事を終え、開幕に間に合わせることができました。
世界中から集まる人たちの目に触れる万博のパビリオン。すでに予想を超える反響が橋本組には寄せられていました。
<橋本社長>
「私どもが建てたハンガリーパビリオンを見て、南米のとある国から『こんな素晴らしいもの建てられるなら、うちの国のプロジェクトに参加してみないか』とオファーを頂いた」
社長の長年の夢だった大舞台での挑戦は、会社に「経験」という財産と新たなチャンスをもたらしました。