
JR富士駅(静岡県富士市)の周辺では、5月から北口の再開発工事が始まります。駅前のビルなどが解体されるのを前に、街全体を会場にして思い出作りをしようというイベントが開かれました。
懐中電灯を持った親子連れが探検している場所は、近々解体されるビルの中。出店が並ぶ場所はタクシーの配車場だったビルです。これすべて、JR富士駅の北口で行われている「エキキタまちおくり」という催しの一コマです。
このイベントは、学生など100人以上のボランティアが準備を進めてきました。
<エキキタまちおくり実行委員会 山岡祐貴事務局長>
「今までの駅前、駅北がどんな地区だったのかというみなさんの記憶をこう振り返って共有してみなさんで分かち合える場にできたら」
富士駅北口は、いまある建物を取り壊し、分譲住宅や専門学校、イベント広場などを建てる再開発工事が5月から始まります。
今回の催し「エキキタまちおくり」では、住民が北口の街並みの記憶を振り返り、この景色を心に刻んで「まち」の移り変わりを「見送ろう」というのです。
<富士市民>
「昔の思いがよみがえってきますね。前はパピーとかイトーヨーカドーとか、あの時代はよく来てましたけど、今そういうのも無くなっちゃって、商店街がちょっと寂しくなっちゃったなと思って」
<富士南中学校美術部 渡邉咲弥さん>
「私たち富士南中学生がこのシャッターアートを書かせていただきました」
こどもたちは、取り壊される建物に、葛飾北斎の富士山「凱風快晴」をアートとして描いたり、街をめぐって集めた花びらを貼って飾りつけたりしました。
<富士駅北口第一地区市街地再開発組合 森佑司事務局長>
「(きょうの)賑わいを見ると、やはり目的がはっきりしてれば、人はそこへと集まってくるというのが、もう実証できてるんじゃないか」
『この景色はもう見られない』。6日夕方には、再開発に向けた解体作業の始まりを告げるセレモニーも行われました。
<山岡事務局長>
「まずは街への愛着とかを再認識する機会になったらと思っていて、その上でこれからの市民が主体のまちづくりっていうものが推進する『終わりであり、始まり』、そのきっかけになったかなと思っている」