
―見どころは。
「F1をイメージするフォーミュラカーは運転席とタイヤがむき出しで車体が軽く、スピード感と迫力は普段目にすることがない“別世界”の乗り物。レースを見たことがない人も楽しめる戦いになる。晴れの日の最高時速は230キロぐらい。タイヤからハンドルに伝わる感覚がダイレクトで、首や体幹への負荷が大きい。乗ってしまえば楽しさが大きいが、正直すごいものに手を出してしまったという印象はある。自分にとっても初の挑戦だ」
―子育てとの両立は。
「どうしても時間が取れないので、バランスボールに片足を乗せて料理を作ったり、手首に重りを付けて洗濯物を干したりと育児や家事にトレーニングを取り入れている。レースの合同テストも終われば他選手はホテルで休むが、自分はそこからが主婦としての仕事。大変な面はあるものの、頭を切り替える良いスイッチとして前向きに捉えている。同じレーサーの夫も子どもたちも支えてくれ、感謝している」
―女性ドライバーのレースをどう感じるか。
「男性社会のイメージが強く、女性はフィジカルでかなわない面もある。ただ、やりたい女性ドライバーも多く、同じ条件で競うカテゴリーができた時は素直に出たいと感じた。以前は自分がフォーミュラカーに乗れるとは考えもしなかった。他選手との駆け引きや一瞬の判断など、最も難しいスポーツだと思う。チームでレースに臨む」
―目標は。
「順位は読めないので、まずは自分の力を発揮して悔いのない走りをしたい。ただ、ビリは嫌ですね。年長者でも体力で負けたくない。見ている皆さんに気持ちが伝わるレースをして、その上で少しでも結果が付いてくればうれしい」