
5月1日は労働者が権利を主張するメーデー。静岡市でも集会が開かれました。物価高や人手不足などから賃上げは全体的に進んでいますが、企業の規模による賃上げ幅の格差は続いています。
物価高や燃料費の高騰など、家計が圧迫され続けるなかで迎えた2025年の「メーデー」。静岡市で開かれた集会には、約220人が集まりました。
<県中央メーデー実行委員会 菊池仁委員長>
「いま、労働運動が試されている時でもあります。政府には労働者・国民を守る政策を積極的に進めることを求めていきましょう。賃金が下がり続ける国から上がる国へ転換を求めていきましょう」
集会では、物価高騰を上回る大幅な賃上げや、労働者の格差是正などを盛り込んだ「メーデー宣言」が採択されました。
静岡県内の労働組合でつくる連合静岡が公表した2025年の春闘の中間状況によると、平均賃上げ額は1万6587円と、前の年を1617円上回りました。一方、大企業と中小企業では平均賃上げ額に4000円近い差があり、「賃上げ格差」の是正は進んでいないのが現状です。
こうした状況の中、賃上げに踏み切る中小企業も出てきています。
静岡市駿河区に本社を置く部品加工会社「中原精密」では、2つの工場で約50人の従業員が働いています。
<中原精密 岩崎篤社長>
Q. この工場では何を作っている?
「半導体製造装置や医療機器の部品を主に製造している」
中原精密では、2025年2月に全社員を対象に約5%の賃上げを実施。さらに、7月にも5%ほどの賃上げを実施予定だといいます。1年間に複数回の賃上げはこれまででも異例の対応。大幅な賃上げに踏み切った背景にはとまらない物価高があるといいます。
<中原精密 岩崎篤社長>
「かなり物価高騰しているということで、働いている皆さんの生活の少しでも支えになればというところが一番ですね。(賃上げは)正直かなり勇気はいりますね。なかなか上げてやっぱ下げますとはいかないので」
従業員のモチベーションを高める給料の増加。中原精密では賃上げの原資をつくるため、職場の環境整備に取り組んでいます。働きやすい職場をつくり、生産性を上げることで利益の向上を目指します。
<中原精密 岩崎篤社長>
「やはり働きやすい環境をつくって、みんながモチベーションを上げて結果的に効率が上がる、みんなが頑張っていただく、それが良い循環を生んで、利益につながっていくかなということを考えている」
経済の専門家も、「生産性」は今後の賃上げの動きをめぐりキーワードになると話します。
<静岡経済研究所 田原真一研究員>
「生産性の引き上げ、これが一番重要な課題になるのかなと思います。企業のデジタル化やDXなどを通じて生産性を高めて、収益力を高めていく、そうした努力が必要になってくる」
製造業をはじめ多くの中小企業がある静岡。物価上昇を超える賃上げの実現は高いハードルですが、現場では懸命な努力が続いています。