
摘果で捨てられるたくさんの桃を有効活用したお菓子が誕生しました。「もったいない」を減らすため、静岡県富士市の生産者と和菓子店がタッグを組んだ新しい初夏の味覚です。
<桃の生産者 川島昇さん(87)>
「下に向いているやつ。上に向いているのは取っちゃう」
富士市鈴川町で、およそ120年続く桃農家です。川島昇さんは6月から始まる収穫を前に摘果作業に追われていました。
<川島さん>
Q. こんなにたくさんですか?
「たくさん。100個あったら95個は捨てちゃって、あと5つ残るか、1パーセント残るか残らないか」
桃はたくさんの花を咲かせて多くの実をつけますが、1つの甘い桃を作るためにいくつかの実を摘果しています。川島さんは、これまで摘果した実を捨てるしかありませんでした。捨てられてしまう桃の実を何とかしたい。協力を名乗り出たのが、富士市の和菓子店です。
<菓子処たかぎ 髙木智弘さん>
「『若桃大福』という大福を作る予定でいる」
和菓子職人の髙木さんが考えたのは、大福。桃の実を使った大福作りは初めての挑戦です。4回に分けて煮た実をシロップに漬け込み、さらに、煮てから寝かせる作業を繰り返します。実の甘さを引き立てて白あんで包みました。
完成した大福を桃の生産者の川島さんが試食しました。
<川島さん>
「おいしい。びっくりしている。桃は桃で終わると思っていたから、それがまさか大福になるとは想像もつかない。うれしい。ぜひ成功してもらいたい」
<髙木さん>
「みんなに食べてもらえるとうれしい。試行錯誤しなければいけないことがたくさんあると思うんですけど。初夏だったら桃の大福という感じになっていけばいいかなと思う」
摘果した桃の実を使った大福は、5月22日から髙木さんの店で販売されます。