再審制度見直しへ議論開始 法制審部会 証拠開示規定、検察官抗告の是非など

法制審議会専門部会の初会合に臨む村山浩昭氏(中央)ら=21日午前、法務省 刑事裁判のやり直し(再審)の在り方を議論する法制審議会専門部会が21日、始まった。初会合では再審請求審での証拠開示の規定や再審開始決定に対する検察官の抗告の是非など、法相の諮問事項を巡り意見を交わした。刑事訴訟法に具体的な手続きが定められていない中、審理を担う裁判官からは「悩ましい」と苦慮する声が上がった。
 議事は非公開。終了後に法務省の担当者が協議内容を報道各社に説明した。
 委員の現役裁判官は再審請求審での証拠開示について「事案に応じ裁判官が適切に対処しているが、非常に悩ましい問題」と発言。「規定が不明確だと(審理の)長期化につながりかねない」と懸念を示した。
 元静岡地裁裁判長の村山浩昭弁護士は証拠開示の重要性と、検察官の抗告が冤罪(えんざい)被害者の救済を遅らせている現状を指摘した。「手続き規定を設けることは、検察官や弁護人にとっても利益になるはず」と訴えた。
 日弁連再審法改正推進室長の鴨志田祐美弁護士は、超党派の国会議員連盟も議員立法による刑訴法改正を目指していることに触れ、「部会の議論が議員立法の動きを妨げてはならない」と指摘した。
 部会長には大沢裕・早稲田大法学部教授が就いた。次回以降は冤罪(えんざい)被害の当事者や再審事件を担当した弁護人らに意見聴取する方針。答申時期は未定。
 再審制度を巡っては、現在の静岡市清水区で1966年に一家4人が殺害された事件で、一度は死刑とされた袴田巌さん(89)の再審無罪が、最初の再審請求から43年を経て昨年10月に確定した。現行刑訴法は再審関連の規定が19カ条しかない。検察側に証拠開示を求めるかなどは担当裁判官の裁量に委ねられている。

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