再審無罪の布川事件 水戸地裁「公示を失念」 静岡新聞社の指摘に

 茨城県利根町布川で1967年に発生した「布川事件」を巡り、水戸地裁が、再審法(刑事訴訟法の再審規定)で義務付けられた再審(やり直しの裁判)無罪判決の公示を10年以上にわたって失念していたことが28日、分かった。静岡新聞社の取材に対して「チェック態勢が不十分だった」と認めた。公示は名誉回復が目的とされるが、再審無罪判決が言い渡された男性2人はこの間に他界。地裁は「速やかに手続きを進めて公示する」としている。
 男性が殺害されているのが見つかった布川事件で、桜井昌司さん(2023年に死去)と杉山卓男さん(15年に死去)は無実を訴えながら強盗殺人罪などで無期懲役となった。09年に再審開始が決まり、水戸地裁土浦支部は11年に再審無罪を言い渡し、確定した。
 再審法は、再審で無罪判決を言い渡したとき、官報と新聞で公示しなければならないと規定している。
 袴田巌さん(89)の再審無罪判決が確定したのを受け、本紙が24年11月、日本弁護士連合会が支援するなどして再審無罪となった19事件の公示状況について調べたところ、布川事件のみ掲載されていなかった。問い合わせを踏まえ、地裁が確認作業を進めていた。
 水戸地裁によると、桜井さんと杉山さんの遺族に対し、失念していた事実を説明した。地裁は明らかにしていないが、謝罪したとみられる。今後の再発防止策として「事務手続きのチェック態勢を庁全体として整える」などとしている。

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