ふわり!浮かんだ「空飛ぶクルマ」 万博会場で実機初公開 ”磐田発”未来のマイカー スズキと提携のスカイドライブが開発

報道陣向けに初公開され、エキシビション飛行が行われた「空飛ぶクルマ」=9日午後、大阪市内 12基のプロペラが静かに回りだすと、無人の機体がふわりと浮かんだ―。大阪・関西万博開幕を目前に控えた9日、「空飛ぶクルマ」の開発を手がけるスカイドライブ(愛知県豊田市)が、空飛ぶクルマの実機を会場の人工島・夢洲で初お披露目し、デモ飛行した。スカイドライブはスズキと提携し、磐田市に拠点のある製造子会社が生産を担う。近い将来、市民の身近な移動手段として実用化できるか、未来のクルマに期待が高まる。
 万博の「メディアデー」に報道陣に初公開された機体は、3人乗り(操縦士1人、乗客2人)で全長約11・5メートル、全幅約11・3メートル、全高約3メートル(ローター含む)。電動で12基のモーターとローターで駆動させるのが特徴。最高時速100キロを目指す。
 製造子会社スカイワークスの社員の半数は、スズキからの出向で、軽量化や組み立てなど量産関連技術の経験や知見の提供で協力する。2023年9月から機体の試作など、準備を進めてきた。
 デモ飛行では、操縦士は乗らず、自動運転でポート内を上空5メートル程度まで浮上して約4分間、前進や旋回などを披露した。ヘリコプターとの大きな違いは静粛性と電動化。スカイドライブの福沢知浩最高経営責任者(CEO)は「音の大きさはヘリの3分の1程度。静かで環境に優しく自動運転もしやすい」と説明する。
 万博では13日の開幕日のほか、7月中旬~8月下旬に2地点間や周回飛行を検討している。将来的には大阪メトロと連携して28年にも空飛ぶクルマを使った航空輸送の事業化を目指す方針。JR新大阪駅から直線距離で約20キロ離れた万博会場まで電車では約1時間かかるが、飛行すれば15分程度に短縮が可能だ。
 福沢CEOは「新しいものを導入するには多くの人が待ち望んでいる状態が大事。数年後にあちこちで飛ぶんだと思ってもらえれば」と夢のクルマへの期待を語った。

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