インド輸入車「フロンクス」快走 スズキ、4カ月で8000台販売 1台ずつカバー装着で輸送入念に

「運転する人も同乗する人も楽しく快適なクルマ」を掲げる小型SUV「フロンクス」=3月、浜松市中央区(写真の一部を加工しています) スズキが昨秋、国内で販売を開始したインドからの輸入車「フロンクス」が、2月末までの約4カ月の累計販売が8千台を超えるなど販売目標の月千台を平均で大きく上回っている。インド工場での生産から、1台ずつカバーを装着して丁寧な輸送に至るまでグローバルでの品質管理を徹底。コンパクトさを感じさせないクーペスタイルの小型SUV(スポーツ用多目的車)で、車格が大きい車種からの乗り換え需要も取り込んでいる。
 最新鋭の設備を配して2017年に稼働したインド西部のグジャラート工場で生産している。日本発売に際し、開発担当者らが特に気を配ったのは輸送面だ。
 工場から最寄りのピパバブ港までは約400キロ。砂ぼこりなどを避けるため、1台1台フルカバーで包み、カーテン付きの大型トラックで輸送。各関門で人が触れがちな部分もラップで包み、極力汚れがつくリスクを排除している。
 定期的に日本から品質管理の担当社員が出向き、生産と輸送面の対応で「現地と意識のすりあわせを図った」(森田祐司チーフエンジニア)。豊橋港に到着後、全車両が湖西工場に入り、チェックを受け出荷される。
 16年にインドからの輸入車として初めて国内投入した「バレーノ」(20年に国内販売終了)は、輸送時に砂ぼこりの付着で傷がつくなど特有の課題があった。輸送のノウハウは4月上旬に発売した5ドア仕様「ジムニーノマド」、25年度に投入方針の量産EV(電気自動車)のインド生産の各輸入車でも生かされる。
 同社によると、フロンクスは新たな顧客層も呼び込んでいるという。小型さを感じさせないデザインや乗り心地でダウンサイズした運転者、最小回転半径4・8メートルの扱いやすさで小型車ユーザーの双方に訴求。「大きさや価格を含め、ちょうどいい、トータルバランスが受け入れられているのではないか」と森田チーフエンジニア。発売後も降雪地や長距離の試走を重ね「常に改善の姿勢でフィードバックを続ける」と話す。
 (浜松総局・山本雅子)
 <メモ>「フロンクス」は2023年4月のインドを皮切りに、日本を含む70カ国以上で販売されている。国内販売を終えた「バレーノ」の教訓を生かし、前輪駆動(2WD)に加え、降雪地などでも活用できる四輪駆動(4WD)を設定。安全装備を拡充するなど日本仕様のモデルを専用開発した。先行展示やSNS発信といった販促戦略も強化し、発売前に約9千台を受注した。4WDの比率は同社車種の中でも高い4割近くに上るという。

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