静岡県内交通機関の運転士、サングラス着用拡大 まぶしさ軽減、視認性向上 遠鉄や伊豆急、導入へ検討

サングラス(保護メガネ)を着用した遠州鉄道の運転士=3月下旬、浜松市中央区 静岡県内の鉄道やバスなどの公共交通機関で、サングラス(保護メガネ)の着用を運転士に認める動きが広がっている。まぶしさを減らして安全性を高めようと、遠州鉄道(浜松市中央区)は1月から電車の運転士について着用の実証実験を行った。「目が疲れにくくなった」「前方の視認性が良くなった」と好評だったといい、本格導入に向けて検討している。
 遠鉄は1月から3月まで25人ほどの運転士にサングラスを貸与した。日の出から日の入りまでの間で時間帯を変えて使ったところ、9割以上が視認性の向上や目の疲労感の軽減を実感した。直射日光だけでなく運転台などからの反射光を防ぐ効果もあったという。
 遠鉄の鉄道車両は運転席前面のガラスが他社の車両より比較的大きく「運転士がまぶしさに対してプレッシャーを強く感じていた」(鉄道営業所)。ガラス上部に色を付けたり、日よけ幕を設けたりしたが目立った効果はなかったという。山崎元秀運輸区長は「運転士が働きやすく健康でいられる環境を整えたい」と話し、サングラスの着用は安全性の向上に加え、日光の紫外線による白内障といった病気のリスクを減らす効果を挙げた。
 これまでに乗客から否定的な意見はなく、保線作業員への導入テストも進めている。今後、運転士が接客時にサングラスを外すかどうかといった細かな運用方法を検討する。
 伊豆急行(伊東市)も今年に入って検討を始めた。伊豆半島の東海岸を走る伊豆急行線は伊東駅から伊豆急下田駅までの45・7キロに31カ所のトンネルがある。担当者は「トンネルの出入りに伴う明暗差にどれだけ対応できるかよく考慮したい」と話す。サングラスの選定が終わり次第、試行するという。
 県内を走る鉄道会社ではJR東海と東日本、静岡鉄道(静岡市葵区)、岳南電車(富士市)が導入済み。天竜浜名湖鉄道(浜松市天竜区)は3月に試行して検討中。
 バスの運転士への導入も進む。伊豆箱根鉄道グループのバスは、目の病気などで申請があった場合に認めていた着用を4月から本人の意思で着用可に拡大した。ほかに遠州鉄道の遠鉄バス、しずてつジャストライン(静岡市葵区)などが着用を認めている。

「静岡新聞DIGITAL」は静岡新聞社が提供するニュースサービスです。静岡県内の政治、経済、事件・事故から地域の話題、高校野球、Jリーグなどのスポーツの最新情報を伝えます。

あなたにおすすめの記事

人気記事ランキング

ライターから記事を探す

エリアの記事を探す

stat_1