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どうして人は失言してしまうのか? 失言しやすい人の特徴は?

今回のテーマは、「失言対策」です。日頃から気をつけてはいても「やってしまった……」ということはありますよね。どうして人は失言してしまうのでしょうか。今回は「失言をしないための対策」について、長崎大学准教授でスピーチコンサルタントの矢野香さんに、SBSアナウンサー牧野克彦がお話をうかがいました。
※12月2日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。
失言牧野:矢野さんは、NHKでキャスター歴17年。心理学の見地からスピーチ研究を行い博士号を取得。政治家、経営者、エグゼクティブからビジネスパーソン、学生まで幅広い層に「信頼を勝ち取る正統派スピーチ」の指導を続けていらっしゃいます。

実は私も失言しがちなんですよ……。はじめましてじゃないのに、はじめましてと言ってしまったりします。どうして、人は失言をしてしまうのでしょうか?

矢野:私たちは、日々タイムマネジメント(時間管理)をしますよね。そういう感じで、話すマネージメントをしていないからなんですよ。

そこで心がけていただきたいのは、「一挙手一投足、意図を持って話す」ことなんです。なぜ、今こういうコミュニケーションをとらないといけないのか ? というのを意図、狙いをもってから話すことです 。

失言してしまいやすい人の特徴

牧野:なるほど、無計画でやっているんですね。 失言をしてしまいやすい人に特徴はあるのでしょうか?

矢野:大きく分けて2つのタイプがあります。ひとつめが感情型です。つい気持ちでパーッと言ってしまう。調子に乗って口が滑りやすいタイプです。

ふたつめが迷子型です。話の着地をどこに持っていっていいのかが、わからない。何を話そうか考えながらしゃべっていたら迷子になってしまって、余計な言わなくていいことまで言ってしまったというタイプです。

牧野:でも、会話ってそういうことはありませんか? 突発的に始まった会話の場合は、着地点を考えて話しているわけではないので、自分で勝手に迷子になっちゃうこともありますよね?

矢野:自分が公の場で話しているのではなく、プライベートで話しているときはその迷子が楽しいですよね。

牧野:会話の楽しみは迷子でもありますもんね。でもそれが公の場になると、失敗に繋がりやすいということでしょうか。

矢野:はい。ですから今、自分はプライベートで話しているのか、公の場で話しているのかを忘れないことも大切です。

牧野:その場がどういう目的で話している場なのか、認識することが大切なわけですね。

失言をしないためのコツは?

矢野:ひとつはさきほど申し上げた「場」の認識、もうひとつは「間」をしっかりとることなんです。自分が話をするまえに「間」をしっかりとって、今から何の話をしようかなと、よく考えることですね。

牧野:口から先にいくのではなく、まずは脳を働かせて「間」をとって語るってことですか。アナウンサーは「間」が怖いので、ついペラペラしゃべっちゃいます。

矢野:「間」は誰でも怖いんです。「3分の1と3倍の法則」と私が呼んでいるものがあります。会話の「間」は、心理学の実験では、3秒の間が一番心地よいとされています。しかし聞いている人は1/3にしか感じない。つまり1秒くらいのほんのわずかにしか感じないんです。一方で話している本人は3倍に感じる。つまり9秒、10秒と長く感じることなんです。

牧野:自分ではずいぶん「間」を置いちゃったなと思っても、他人はそこまで感じていないのですか?

矢野:そうなんです。よくありませんか。次に言うことを忘れて、「あーどうしよう」と思ったけど、録画したのを見てみると「落ち着いて見えるぞ、いい感じだぞ」とか。

牧野:確かに私もラジオで話していて、今日はずいぶんと間を置いてテンポが悪かったかなと思っても、あとで聞いてみると、むしろその方がいいケースがあるんです。聞いている人も考えながら聞いているので、ちょっと間を置いてくれた方が聞きやすいということなんですかね。

矢野:ですから、恐れずに「間」はしっかりとる。その時間に「このあと私は何を話そうかな」「今言おうとしていることは、口にだした感情型じゃないかな」と、一回考えてほしいですね。

「間」をとるのが上手な有名人は?

矢野:今、注目しているのは、将棋棋士の藤井聡太さんです。ものすごく上手。私たちが見るのは、テレビやラジオで編集されたあとですが、それでも「間」をとって話すのが上手いなと思っていたら、こんな記事をSNSで見つけました。

藤井さんを4年前からずっと取材しているNHKの担当記者が、藤井さんの話し方の特徴は「間」があることだと言っているんです。インタビューでいつも思っていることを的確に言葉にして、余分な言葉がでてこない。記者が何か質問をしたら、必ず「そうですね」と言ってから、10秒くらい「間」があって、それから答えるんですって。

牧野:そうなんですね。意外な人の名前がでてきたのでびっくりしました。立て板に水の人が出てくるのかと思いきや、藤井聡太さんのあの「間」だとは!

矢野:「そうですね」って言葉で「間」をつなぐ。これは真似したいですね。

牧野:そうですね(笑)。今、自然と出ましたが、「そうですね」と言うことによって、考えることができますね。

矢野:そこで頭の整理をして、迷子にならないように感情のチェックをするといいですね。

仲間内での失言について

牧野:「間」を置くこと。そのときに、この「場」がどういう場なのか認識すること、このふたつが大きなポイントですね。コミュニケーションって公の場だけでなく、仲間内でも失言しちゃう人はどうしたらいいですか?

矢野:今はSNSで拡散されてしまう時代です。「ここだけの話というのはない」という意識が大事ですね。

牧野:今の時代ならではのリスク管理も必要ですかね。

矢野:「あの人が言ってたよ」と、いわゆる噂みたいな感じで尾ひれがつくと大変なので、ぜひ失言対策をなさってみてください。

牧野:まさに時代の価値観も変わってきていて、例えば10年前なら放送で言えたことでも、今は絶対ダメなこともある。社会の流れに敏感になっておくのも必要ですかね。世の中の価値観、相手の価値観も考えながら話していくことが大事なようです。どうもありがとうございました!
 
今回お話をうかがったのは……矢野香さん
長崎大学准教授・スピーチコンサルタント。NHK キャスター歴 17年、主にニュース報道番組を担当。在局中からスピーチ研究に取り組み、博士号取得。経営者、政治家などエグゼクティブに「信頼を勝ち取る正統派スピーチ」を伝授。著書に『その話し方では軽すぎます!』(すばる舎) 『一分で一生の信頼を勝ち取る法』(ダイヤモンド社) などベストセラー多数。
 

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