過去日本で開催された4つの国際万博が本編に登場する“万博大好き!?”サザエさん一家は、大阪・関西万博にも足を運ぶのか

SBSラジオ「TOROアニメーション総研」のイチオシコーナー、人気アニメ評論家の藤津さんが語る『藤津亮太のアニメラボ』。今回は「万博が出てくるアニメ」についてお話を伺いました。※以下語り、藤津亮太さん

あの有名一家、万博へ行っています!

実写では山田洋次監督の『家族』で、1970年大阪万博(日本万国博覧会)会場内でのロケが行われました。万博が開幕する前に内部で撮影をした『ガメラ対大魔獣ジャイガー』という実写映画もあります。

アニメでは、サザエさんが日本で行われた国際万博5回のうち4回、本編に登場しています。1970年の大阪万博、1975年の沖縄海洋博(沖縄国際海洋博覧会)、1985年のつくば科学万博(国際科学技術博覧会)、1990年の大阪で行われた花博(国際花と緑の博覧会)です。2005年の愛・地球博(日本国際博覧会)は、会場の風景がオープニングで描かれたのみでした。

そもそも1969年に放送が開始された『サザエさん』で、1970年3月に開幕したばかりの大阪万博を、同年6月14日の「サザエ万博へ行く」という回で放送するというのは結構スピード感があります。

開幕前に取材をしておいて、開幕後実際に現場を見に行き、反映させられる部分を反映して完成させたのだと思います。

まず、太陽の塔の前で記念撮影をするとき、太陽の塔を画角に入れようとしたサザエさんがエスカレーターを転げおち、アフリカ系の体の大きい男性に助けられるという展開があります。当時、「海外の人が万博に大勢来る」ということそのものが非常に大きなトピックだったので、このシーンがあるわけですね。ただ当時はアフリカ系の人には馴染がない人も多く、ここでサザエさんが何語で挨拶したらいいのか悩むというくだりをつくって、視聴者をクスリと笑わせます。

ほかにも動く歩道が出てきたり、作中では名称を言っていないようですが、フジパン・ロボット館を楽しむシーンもでてきます。このパビリオンは、いろんなロボットが楽器演奏をしたり、写真を撮ってくれるというサービスがあって、波平さんが「ロボットが何かしてくれるって漫画みたいだな」などと言う、ちょっとメタっぽいシーンもありました。

360度のマルチスクリーンがあった東芝IHI館は、劇場自体がエレベーターになっていました。劇場に着席すると、劇場がタワーの上部へと移動し上映が始まります。上映後は、今度は地下まで降りて、そこでライトアップされた噴水がある水の広場を楽しむという演出が用意されていました。

番組中でもそのとおりに描かれていて、実際にあったものの様子がちゃんと再現されていました。まあ、東芝は『サザエさん』のスポンサーだったので当たり前といえば当たり前かもしれません。この回は、2009年にサザエさん特番で再放送されたので、そのときに見たことがある方も多いかと思います。

今話題の場所にキャラクターが行ったり、特急や地方の電車がリアルに描かれるというのは、“聖地巡礼”というか、我々が生きている世界と同じものがそこにあるというのを感じられる面白い部分です。今回も、磯野家・フグ田家一同が大阪万博に足を運ぶかどうかは、大変気になるところですね。

SBSラジオTOROアニメーション総研(毎週月曜日19:00~20:30 生放送・毎週日曜日15:00~16:30 再放送)全国のアニメ好きが集まるラジオの社交場。ニッポンのアニメ文化・経済をキュレーションするラジオ番組。番組公式X(旧Twitter) もぜひチェックを!

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