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第37回 東京国際映画祭(2024年10月28日~11月6日)アニメ特集

SBSラジオ「TOROアニメーション総研」のイチオシコーナー、人気アニメ評論家の藤津さんが語る『藤津亮太のアニメラボ』。今回は東京国際映画祭についてお話を伺いました(以下語り、藤津亮太さん)。

※SBSラジオで2024年10月28日に放送した内容をもとに再編集し掲載しています。情報は放送日時点のものです。

海外作品や貴重なトークが見られる東京国際映画祭が開幕!

東京国際映画祭(2024年10月28日~11月6日)は、大雑把にいうと、まだ日本で公開されていない作品を中心にした海外の話題作と、去年からこの夏にかけての日本の話題作、それと過去の重要な作品を取り上げるレトロスペクティブという3本立てでできています。

作品の上映にはできるだけ舞台挨拶やトークをつけるようにしていまして、『きみの色』では山田尚子監督が映画についてお話をしてくださいます。『ルックバック』や『化け猫あんずちゃん』でも監督たちのトークがあります。YouTubeにアーカイブされるものもあるので、東京国際映画祭のYouTubeチャンネルをチェックしてみてください。去年のものでもまだ見れるものはあります。なので地方にいる方でも貴重なトークを楽しめますね。

今回は、海外作品にも注目作が集まりました。一番はアヌシー国際アニメーション映画祭でグランプリを取った『メモワール・オブ・ア・スネイル』というオーストラリアの作品です。カタツムリ集めが心のよりどころである孤独な少女の人生を書くというもので、ビターだけれどもほんの少しスイートな瞬間があって、それが人生だというのを感じさせる作品です。今年の6月にアヌシーで注目を浴びて、それから世界中の映画祭などで上映されていくわけで、今回日本でも初上映できることになりました。

また、やはりアヌシーで注目を浴びた『Flow』という作品があります。クロネコが主人公でセリフがないのですが、水没した世界に動物たちがいて、船に乗って流されていく中で、1匹の黒猫がどうやって危機を乗り切るかというお話です。この作品を撮ったギンツ・ジルバロディス監督は、2019年に無人島をバイクで1人で旅している少年が出てくる『Away』という作品をほぼ1人で作った方です。世界的に注目を浴びたクリエイターが今度はネコを主人公にして作ったということで、話題となっている作品です。

ほかには今北米で大ヒットしているのが『野生の島のロズ』というアニメ作品を。最近だと『長ぐつをはいたネコと9つの命』などを手がけたドリームワークスの作品ですね。無人島にロボットを積んだ飛行機が落ち、動物とロボットたちの交流を書くというものです。この作品のクリス・サンダース監督は『天空の城ラピュタ』のロボット兵にインスパイアされて、人間のいない島で動作しているロボットの話を思いついたのだそう。続編が多い北米のアニメーション界で、久々に出たオリジナル企画ということで大ヒット、日本でも初上映することになりました。

国内作品では『数分間のエールを』と『クラユカバ』、『メイクアガール』という作品があります。これらの作品はどれもクリエイターが短編やミュージックビデオ出身です。普通にアニメ業界入るのではなく、短編を作ってそのまま長編を監督するようになった、新しい世代の人たちです。なので、『クラユカバ』の塚原重義監督と『数分間のエールを』のぽぷりか監督、『メイクアガール』の安田現象監督に集まっていただいて、「日本アニメの新世代」というタイトルでお話いただきます。

レトロスペクティブでは『宇宙戦艦ヤマト』50周年ということで、劇場版の4Kリマスター版を上映することになっています。ゲストにヒロインの森雪を演じた麻上洋子さんが登壇されるので当時の話を伺えればなと思っています。また、アニメ特撮研究家の氷川竜介さんに、『ヤマト』の放送前後で何が起きていたのか、なぜ『ヤマト』には価値があるのかというのをお話いただこうと思っています。

他にも、海外の監督さん3人に加えて、『アイの歌声を聴かせて』の吉浦康裕監督に登壇いただき、どういう風にして彼らが監督になったのかということを話してもらうシンポジウムもあります。世界にはいろんなアニメーションがあるので、いろいろなアニメの可能性をちゃんと拾い上げるアニメーション部門にできればと思っています。

SBSラジオTOROアニメーション総研(毎週月曜日19:00~20:30 生放送・毎週日曜日15:00~16:30 再放送)全国のアニメ好きが集まるラジオの社交場。ニッポンのアニメ文化・経済をキュレーションするラジオ番組。番組公式X(旧Twitter) もぜひチェックを!

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