
【タウンページ廃止】電話帳がなくなるのはちょっぴり寂しい⁉ かつては記者の取材活動にも役立った便利道具。歴史と廃止の背景を解説します!

(山本)NTT東日本とNTT西日本が、店舗や企業の情報をまとめた電話帳タウンページの紙の冊子の廃止を決めたことが、7月11日に分かりました。今日はこれまでの電話帳の歴史を振り返りたいと思います。
(山田)タウンページ廃止ですか。
(山本)そうですね。電話帳と言うと僕らはピンと来ますけど、皆さんはスマートフォンの中に入っているものというイメージなんですかね。
(山田)どのくらいの世代からピンと来なくなるんですかね。
(山本)おそらく最近は電話帳がないご家庭が多いんじゃないでしょうか。NTTが出している公式な電話帳は会社や電話ボックスに置かれていたりすると思いますが、タウンページは黄色いA4サイズの分厚い冊子です。それからハローページというものもありました。
(山田)ありましたね。
(山本)ハローページは緑色だったり青色だったりで、個人名や企業の連絡先が書いてありました。タウンページは半分ほどが広告だったりしますが、いろいろな店の連絡先がジャンルごとに載ってて、昔は非常に使い勝手が良かったです。
(山田)うちの実家も店をやっていたので載せたりしてましたよ。
(山本)ハローページは発行元のNTTが一足早く、2021年10月以降は新しいものを発行しないと発表してます。それに続いていよいよタウンページも近々廃止するということで、姿を消すことになります。大げさに言えば、一つの時代の終わりだなという思いがあります。
(山田)黄色で分厚くて、中は藁半紙っぽい質感でね。
(山本)それほど重たくはないけど、かなり分厚くて読みごたえがありますね。情報量としてはすごくたくさん載ってるので。
(山田)うちにもありましたよ。定期的に交換に来てくれますよね。
(山本)内容が更新されると、新しいものに交換してもらえますよね。自宅に固定の加入電話がある家庭には届けられていました。そもそも固定電話がない家庭も増えてきましたよね。そういうこともあって利用者や需要がかなり減っているというのが廃止に至った背景にあるようです。
(山田)でも、山本さんたちのような新聞記者やラジオのディレクター陣はよく使っていたんじゃないですか?
(山本)タウンページもハローページも使っていましたね。最近はインターネットがあるのでそうでもないようですが。ちょっと編集局内で探してみたんですけど、タウンページもハローページも見つけられませんでした。
(山田)そうですか。
(山本)いつの間になくなっちゃったんだろうという感じです。私の家にもなくて今日は持ってくることができませんでした。
昔の記者が行っていた電話帳の活用術とは?
(山本)先ほど申し上げたように、すごい情報が載っているんですよね。記者は人に会って話を聞くのが仕事なので、最初に連絡先を調べなくてはなりません。例えば、山田門努さんという方の連絡先を調べようと思うと、ハローページには電話番号だけではなく、その人の住所も載っています。なので、手がかりが薄い人に話を聞こうとする取材では結構使いました。名前の一部しかわからないときは、順番に電話をして「あなたは◯◯さんですか?」と聞いて回ることをやったこともあります。ほかにも、締め切り直前に火事などが起きて記者が現場に向かったのでは間に合わないような場合には、住宅地図で近隣のお宅の名前を調べ、電話帳で電話番号を探して様子を聞くというような取材をしたこともあります。
(山田)かなり使えたわけですね。
(山本)テレビの記者やラジオのディレクターも、タウンページを手がかりにしてお店を取材したりした世代はいると思います。電話帳は何が便利かと言うと、私は一覧で見ることができるというのがいいなと思っていました。
(山田)他にはどのような使い方をしていましたか。
(山本)昔はプチ世論調査のようなこともしましたね。今の時代では難しいと思いますが、20年ほど前はみんなで手分けをして片っ端から電話をかけ、選挙の情勢を聞いたりしていました。もちろん怪しい思って答えていただけない方もいますが、こちらの身元をきちんと明かして話を聞くと、割と応じていただけた記憶があります。
個人的には実家を出て独立し、初めて自分の名前が電話帳に載ったときには「一人前になった」というふうに思ったことを思い出しました。
(山田)へぇー。でも、確かにそうですよね。「山本淳樹」として載るわけですもんね。
(山本)しょうもないことですけど(笑)。
(山田)いやいやいや。
(山本)タウンページの方は、まだインターネットがない時代は便利でした。いきなりトイレの水が止まらなくなったというようなことがあった時に、まずタウンページが頭に思い浮かび、水道工事や水道修理の項目を探しました。
(山田)いざというときに使えたっていうことですよね。
(山本)はい。そうすると、業者の連絡先がずらりと載っていて、すぐに修理をお願いできました。インターネットがないときには、皆さんも頼りにしてたんじゃないかなと思います。
日本に電話が登場した1890年頃から電話帳は存在した!
(山田)NTT東日本と西日本が発行していたんですね。(山本)歴史をたどるとものすごく古いようです。新聞記事などで調べると、日本に電話ができたのが明治23年(1890年)。もうその頃に既に「電話加入者人名表」というのがあったそうで、それが電話帳の始まりだと言われています。
そこから130年ぐらいたち、電話帳はタウンページとハローページに分かれましたが、発行され続けていました。それがついに、インターネットが普及したことを背景になくなるというのが今回のニュースですね。
(山田)やはりインターネットで調べればいいからということですよね。冊子を作るのにもお金がかかるでしょうから、NTTもそんなに経費をかけていられないというところでしょうか。
廃止の背景にはインターネットの普及以外も

(山本)そうですね。ハローページについては、先ほど申し上げたように電話番号に加えて希望した人だけとはいえ住所まで出ていたので、悪用されることもありました。セールスやいたずらの電話がしつこくかかってきて、数十年前から問題にもなってきていました。
静岡新聞の投稿欄を紐解いてみたところ、23年前に30代の女性から「電話帳には全て、住所を載せないようにしてほしい」という提言がありました。「勧誘の電話があり、丁重に断っているのにもかかわらず何度もかかってくる。電話帳には住所も載っているので非常に心配」といった内容でした。
9年前には、「電話帳そのものを廃止してはどうか」という50代の男性の意見が載っていました。「昔は確かに貴重な情報源だったが、今はインターネットのほうが便利で、リサイクルをしているとはいえ全戸に配布するのは無駄ではないか。ペーパレス化が進む中で、電話帳だけが取り残されている」などと主張されていました。
このように、世の中の趨勢として「もう電話帳はやめたら」という感じになってきたのかなというように思います。
(山田)個人情報という側面を取っても当然の流れなのかもしれませんけど、その反面でタウンページ廃止というのを聞くとちょっと寂しいのは何なんでしょうね(笑)。
(山本)そうなんですよね。当たり前にありふれていたものが姿を消すというのはやはり寂しいものですね。
(山田)インターネット版のタウンページというのもあるんですよね?
(山本)「iタウンページ」があります。少し見てみたら、事業所や店の所在地がマップで表示されるなど、意外に便利なものだなと思いました。そういう意味では電話帳の機能が全くなくなったわけではありません。電話番号や関連する情報を知りたいという需要はあるでしょうから、そういう場合はこちらを使っていくことになるのだと思います。
ただ、やはり紙の形で辞書みたいな電話帳を使っていた時代を思い返してしまいますね。
(山田)今、番組の公式Xに「タウンページがなくなったら、プロレスラーはこれから何を破ればいいのでしょうか?」というコメントが寄せられました。そういうパフォーマンスもありましたもんね。
(山本)皆さんが知っているもので力の強さを示すというね。
(山田)「iタウンページ」は存続するので、今後はそちらで調べるということになりますね。時代を考えると当然の流れかもしれませんが、少し寂しいニュースでしたね。今日の勉強はこれでおしまい!
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