【ジョナサン・グレイザー監督「関心領域」】自問自答を促す作品
ナチス支配下の欧州、1945年。ユダヤ人虐殺が実行されたアウシュビッツ収容所の隣に住む一家の幸せそうな日々に、ぞっとさせられる。夫婦と子ども4人が過ごす美しい庭園、瀟洒な家。観客の耳には、絶望的な叫び声や銃声がかすかに届くが、画面の中の人々には聴こえていないらしい。だが、不都合な事象に目と耳を閉ざしているのは彼らだけか。これは、各地の紛争や人道危機に目を背けがちな私たちに、自問自答を求める作品だ。(は)
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