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これが“本当の”ステンドグラス!あのおしゃれなランプシェードって実は.../掛川市ステンドグラス美術館

館内の作品

色とりどりの光を放ち、見る人の心を魅了する「ステンドグラス」。家のガラス窓やランプシェードとして日常に取り入れている方もいるでしょう。 今回は掛川市ステンドグラス美術館の事業部長兼収益事業担当・今井武史さんに、意外と知らないステンドグラスの秘密や、同館の見学がもっと楽しくなる鑑賞ポイントを教えてもらいました。

本当の意味での「ステンドグラス」とは?

ランプシェード※イメージ

今井さん:そもそもステンドグラス(stained grass)=錆びたガラスなので、絵付けをして焼いたものを指します。 「ステンドグラス」というと花があしらわれたようなランプシェードを思い浮かべる人も多いかと思います。

でも実は(館内にあるような)板ガラスを作るうえで余ったガラスを寄せ集めて作られたもので、「ステンドグラス」とは区別されています。

アールヌーヴォーの時代にはランプシェード用に作られたものもありますが、本来はステンドグラスの端くれで作られた「ステンドグラスアート」なんです。そのため、当館でもランプシェードの作品は置いていません。

ステンドグラスの作家はいない⁉

今井さん:ステンドグラスは絵画のように作者が明確ではないんです。例えば、ひたすらガラスを平たくする人、顔だけ、手だけを描く人、というように、1枚の作品の中でも工程ごとに職人がいます。制作時期が「1900~1910年」とぼんやりしているのも、そのためです。しかも、必ずしもこの期間で作ったと正確に証明できるわけでもないんですよね。

館内にあるキャプション例。制作時期は「1900年〜1910年頃」、制作者については個人名ではなく、工房名のみ記載されている

花島:これまたびっくりです...とはいえ、今でいう「ディレクター」のように、全体を統括する人はいたんですよね?

今井さん:そうですね。作品の構図を決める人がそれに当たります。ただ、明確な作家は特定できないので、当館で展示しているものも作家に当たる部分には工房名のみが記載されています。

ステンドグラスに描かれている人は皆、顔が長い⁉

正面からの見え方(左)と下から見上げたときの見え方(右)※館内の作品

今井さん:ステンドグラスは教会の壁面の上部に飾られていたので、基本的に人々は下から見上げていました。作品に描かれた人の顔は、下から見た時に丁度良い見え方になるように設計されていたんです。

そのため、当館にあるステンドグラスも正面から見るとちょっと面長です(笑)。なかなかしゃがんで見る人はいないですが、実は下から見た方がバランスよく見えるんですよね。

イギリス製とフランス製。風土の違いが作品に影響?

館内にあるステンドグラス。上部の丸窓がフランス製、下部の四角い窓はイギリス製

今井さん:当館のステンドグラスはほとんどがイギリス製ですが、一部バラ窓(丸い窓)のみフランス製です。両者の主な違いは明るさ。イギリス製のステンドグラスの方が暗い色合いで、フランス製の方が明るい鮮やかなのが特徴です。

花島:たしかに、言われてみるとかなり差がありますね。理由は何でしょうか?

今井さん:イギリスは“霧の町”と言われるように、日の光があまり強くないので、薄暗い明るさにマッチするような色付けがされています。一方でフランスは“農業の町”で、比較的強い光が当たるので、それに合った明るい色付けがされているのです。 暗い色の方が細かな描写も反映されやすいので、イギリス製の方が繊細な絵になっています。

100年後も色あせない!?

今井さん:絵画は年月が経過すると光で日に焼けて変色してしまうこともままありますが、ステンドグラスは元々光や熱を受けることが前提なので、何百年経っても色あせる心配はありません。 その証明として、入口扉のステンドグラスをご覧ください。中段のみ100年前のものですが、その上下は実は現代に作られたものなんです。意外と分からないものですよね(笑)。

画像左:下は約100年前、上は現代の作品。/画像右:中段のみ約100年前、上下段は現代の作品。※左右の画像で現代の作品はどちらも志田政人氏(ステンドグラス作家・同美術館顧問)が制作。


花島:えぇっ全然気づかなかった...!これはすごいですね!

今井さん:また、光の当たり方によって見え方も全然違うのが面白いところです。季節や天気、さらには一日の中でも時間によって光の当たり方が変わるので、来るたびに違った印象の板ガラスを楽しめるかもしれません。ぜひ、何度でも来ていただきたいですね。

<DATA>
掛川市ステンドグラス美術館
住所:掛川市掛川1140-1

(文・写真:アットエス編集部 花島瑞希)

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