LIFEライフ

静岡新聞運動部

サッカー日本代表のDF森下龍矢(名古屋グランパス、磐田ユース出身)が激白!「三笘薫を使うのではなく、三笘に使われる側に」

サッカー日本代表で名古屋グランパスの森下龍矢選手(磐田ユース出身)が母校の掛川市立桜が丘中を訪問。静岡新聞のインタビューで今季を振り返り、元日のタイ戦への意気込みを語りました。

リーダーの自覚芽生えたシーズン

-今季は優秀選手34人に選ばれた。33試合出場でフル稼働の1年だった。
総括したらジェットコースターのような1年だった。前半戦はチームとしてかなりいい出来だった。後半戦は夏の移籍ウインドーのあたりでガタッときて。ただ、そこを言い訳にしていた部分はある。下降線を解決する手だてを後半戦でつかめ、いい手応えだったが、結果が出なかった。結果上はジェットコースターだったが、後半戦の方が手応えがあった。

-ご自身のパフォーマンスは。
まさしくチームと比例した出来だった。最初は良かったけれど、後半戦でちょっとずつだめになった。プレーだけでなく、環境的な部分。自分を取り巻く外部からの刺激で僕のパフォーマンスが落ちてしまったのは要因としてあった。

プロサッカー選手として左右されない絶対的な自分を持つというところでもっともっと成長できることを思い知らされたシーズンだった。夏の移籍ウインドーもそうだし、日本代表に入って結果が出ないシーンがあって自分にかかるプレッシャーを感じていた。一生ルーキーみたいにやりたいというのがJリーグに入った時の抱負だったが。

-鳥栖で1年、名古屋で3年。年齢的には中堅に。
35歳になるまでルーキーというフレッシュな気持ちでやりたいと思っていた。Jリーグで優勝するのは簡単ではない。誰かが引っ張っていかなくてはいけない。

全員がルーキーでは優勝できない。人をまとめる力がないといけない。代表選手に選ばれたことで、リーダーとしてどういうふうに自分が成長していくか学ばないといけない。

-名古屋から優秀選手は3人。
うれしいが、グランパスがあってのこの賞。そこを忘れてはいけない。代表に選ばれるたびに言っているが、グランパスでプレーしているから代表に選ばれる。代表に選ばれたいからグランパスでプレーするのは僕は違うと思う。常にクラブが第一。その副産物として賞がある。グランパスでしっかりプレーできたという総括での評価だと思う。グランパスに感謝したい。

格別のデビュー戦「あまりに緊張して…」


-6月にエルサルバドル戦で代表デビューした。
YouTubeでどんな国か調べましたよ(笑)ギャングが多い国だけど、選手たちはナイスガイだった。(接触プレーについて)あれはびびりましたよ。Jリーグだと、なかなかないコンタクトで芯が硬いフィジカルの強さ。

デビューは格別だった。国歌斉唱で国民のみんなが見ているんだという気持ちになった。これがワールドカップになったらどれぐらいのプレッシャーとワクワクがあるのか体験してみたい、サッカー選手として。あまりに緊張して国歌の出だしを間違えた(笑)。板倉滉選手にめちゃくちゃ笑われた。

-元日のタイ戦へ意気込みは。アジアカップへ生き残りの場となる。
まさしく生き残りの場だと思う。僕は現状では当落線上の選手なので。そこでどれだけアピールできるか。試合に出られるのがベストだが、練習でどれだけ姿勢を見せられるか。出ればやれる自信はある。出られないから変な振る舞いをするのはよくない。人としてプレーヤーとして大事にしてやりたい。

アジアカップにもし入ったとしても現実的にスターティングメンバーでバリバリ出られるかといったら実力的にそうではない。アジアカップを戦う中で、サブやメンバー外になった時、どれだけチームにコミットできるかというところが大事になってくる。総合的にチームに影響を与える選手になりたい。

-名古屋とは役割が変わってくるのか。
同じだと思うが、代表になると試合に出られない期間も出てくる。引き出しの問題だと思っている。選手としてやるべきことはどのチームも同じ。テクニカルなところは違うけれど。

「俺は俺のスタイルを確立していく」


-テクニカルなところだと名古屋は3バックで代表は4バックが多い。
そもそも整合性がない。鳥栖時代は1年間右サイドバックで出ている。名古屋1年目は4−4−2で左サイドハーフで相馬君と争っていた。ただやるべきことは同じだし、サッカーを理解するのが大事。原理原則さえ理解すれば、右サイドバックでも左サイドバックでも当てはめればいいだけ。そこはできている。あとは左足。どれだけうまくできるか。右利きなんで。

-右利きの左サイドバック。
まあ長友選手とかいますから。右で蹴る場所にどれだけ置けるか。気持ち引き気味のポジションで受けないと前を向けない。そういうほんと細かいところをどれだけ詰められるか。

-伊藤洋輝、中山雄太とポジション争いは熾烈。
伊藤も中山君もポジショナルなプレーがうまい。安定的なところが評価されていると思う。僕は安定的な選手ではなく、カオスをつくる選手。例えば伊藤が評価されているから伊藤のような選手になりたいと思ってもなれない。

同じ選手になって監督にとって何のオプションになるのか僕はわからない。だったら伊藤はポジショナル、森下はカオスをつくれる。武器が違う選手を置いたほうがボス目線ではいいじゃないですか。

スタメンで出ている選手が優れているからそこに近づこうではなく、俺は俺のスタイルを確立していきたい。伊藤とポジションは同じでもプレーは違うよねでいい。

三笘薫をどう生かすかを代表として考えるじゃないですか、特に左サイドバックは。みんなうまいですよ、三笘を使うのが。僕は三笘に使われる側にならなきゃいけない。そこが全然違いますよね。

スプリントにこだわる

-来季の目標は。
自チームでの活動がメイン。そこでどれだけ自分の色を出せるか。特長で突き抜けられるか。

僕だったら特にスプリントが重要なキーファクター。時速35キロと1試合平均30本を目安にプレーしていきたい。今年は結果にこだわろうとしたが、こだわればこだわるほど点が取れない。スプリント回数とスピードに振り切って、ゴールは取れるときに取れればいい。楽観的な気持ちでプレーしたい。そっちの方が取れますから。

-応援する後輩や県民に向けて。
少し前に所属した掛川JFCに行った。2年前まで誰も知っている人がいなかったが、ありがたいことに僕のことを知ってくれる小学生がちょっとずつ増えてきた。自分と同じ出自でも代表にいけるんだと見せたい。そういう人たちが見てくれているからには、出し惜しみするとか、びびったプレーはしたくない。ミスしたら取り返せばいいだけ。

-ユース時代を過ごしたジュビロ磐田が来季J1。
昨年ヤマハスタジアムで対戦してアシストして勝ったと思ったら、大津選手の2得点で逆転負けした。またJ1でジュビロと対戦できるのは楽しみ。磐田西高出身なのでよく友達からLINE(ライン)がくる。地元の人たちはみんなジュビロが好き。楽しみだし、磐田で育ったので元気にやってますよというのを伝えたい。鳥栖に対する気持ちと同じです。
シズサカ シズサカ

静岡新聞社編集局運動部がサッカーや野球、バスケットボール、ラグビー、バレーボールなど、さまざまなスポーツの話題をお届けします。紙面では紹介しきれない選手たちの表情や、ちょっとしたこぼれ話をお楽しみに。最新情報は運動部の公式X(旧Twitter)でチェックを!

あなたにおすすめの記事

RANKING