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【ホビーのまち・静岡】静岡発、世界へ! アニメやプラモデルが生み出す経済波及効果とは

静岡トピックスを勉強する時間「3時のドリル」。今回のテーマは「ホビーのまち・静岡」。先生役は静岡新聞ニュースセンター専任部長の高松勝です。 (SBSラジオ・ゴゴボラケのコーナー「3時のドリル」 2023年10月9日放送)

(高松)今日は10月6日に、静岡市葵区の旧静岡マルイ跡にホビー商材販売の駿河屋新本店がオープンしたという話題について解説します。国内ホビー商材販売店としては最大規模とのことで、静岡県の産業振興や雇用促進などさまざまな効果が期待されています。

(山田)今日のテーマはホビーのまち静岡ですね。オープンした駿河屋、人出がすごかったそうですね。

(高松)そうですね。土曜日の夜に立ち寄ってみたんですけども、かなりにぎわっていました。若い世代や親子連れだけでなく、鉄道模型やプラモデルの売り場には中高年の皆さんも多くいましたね。女性も非常に多かった。まだオープンしたばかりですが、集客力は高く、潜在力を感じました。

(山田)やっぱりホビーが好きな人は多いですね。高松さん、何か集めたりしてます?

(高松)子供のころはやっぱりガンダム直撃世代だったんで、ガンプラは集めてましたね。

(山田)本当に静岡がホビーの街になってきているんですね。

世界に誇る静岡の職人技

(高松)静岡市が近年、市の施策として「プラモデル化計画」を掲げ、プラモデルの街を強くアピールしています。静岡市の街中を歩くと、プラモニュメントって言うんですけど、人間の背の高さぐらいのプラモデルの部品のモニュメントが大きく飾ってあって、結構楽しめる形になっています。

今日はプラモデルを切り口に、ものづくり振興の側面と、ソフトとして海外も含めてどういうふうに展開していくのか、まちづくりの側面にも生かせるかなど、幅広い分野につなげてお話ししたいと思います。

プラモデルは、静岡県が全国の出荷額の9割ぐらいのシェアを占めていて、中でも静岡市が主力になっています。本社があったり主力工場があったりという意味なんですけども、さっき話したガンプラのバンダイ、それから有名なタミヤ、青島文化教材社、ハセガワなど、著名なメーカーが数多くあります。

各社はアニメキャラクターや車、船、飛行機などの模型を作っています。背景には長い伝統があるんですが、もともと静岡県に木工業、ものづくりの技術の蓄積があり、それがプラスチックに素材が変わってプラモデルが作られていく流れになっています。

(山田)単に工場があるだけじゃなくて、歴史的な流れがあるわけですね。


(高松)県内には著名なプラモデルメーカーだけではなくて、関係する取引先の企業も多くあります。例えば、プラモデルの金型を作っている企業に以前取材に行ったことがありますが、これもすごい高度な技術なんです。

最近のプラモデルは非常に精緻で、小さな部品もありますが、全部金型で作ります。全然「おもちゃ」じゃなく、工業製品の世界なんですね。現場を見ると、世界的にもすごく高い技術で作られていることがわかりますし、そこで働いている職人さんたちも含めて、本当に「静岡の宝」と言っていいと思います。

(山田)金型を作る技術も要は職人技だと。「ものづくり」ですね。

ホビーを観光誘客の起爆剤に!


(高松)これから静岡のプラモデルを担っていく技術者を、静岡にどう呼び込むのかというのもとても大事な話です。

そこから派生する話として、プラモデルと親和性が高いアニメーション、ソフト産業の話があります。最近はアニメーションスタジオを東京から静岡に誘致しようという動きもあります。ものづくりだけでなく、ソフトも静岡県の中でできないか、ということですね。

全国的に見ても、東京や京都はそうですが、静岡もそういうアニメーションの「聖地」になれるのではないかと。近年、県内が「ラブライブサンシャイン」とか「ゆるキャン△」など人気アニメの舞台になっていますが、スタジオやソフト自体を誘致するってのも一つあるのかなと思います。

アニメーションとかプラモデルなどの関連商材はすでに子どもだけのものではなくて、中高年など経済力のある世代が購入するものになっています。お金が動くという意味でもすごく地域経済にも波及しますし、これから、店舗やわかりやすい施設がもっと街中にできることで、間違いなく海外のインバウンド客も呼び込めると思います。ホビーの訴求力は非常に高いので、まちづくりにもっと生かしていくと、世界中から人が来るようになるんじゃないかなとは思います。

(山田)あえてオタクという言葉を使いますけども、オタクの聖地と言うと日本では秋葉原とか大阪の日本橋とかありますが、それを静岡でということもありえますよね。

(高松)そうですね。日本発のこうした商品や文化は確実に、国籍や性別、年齢を超えて「刺さる」と思います。あとは、技術や作っている人たちにもフォーカスが当たるような仕掛けをして、一般の方の目に触れるようにしていくと、もっと奥深さも理解されていくのではないでしょうか。

(山田)もはやオタクという枠にとどまる話ではない、と。

(高松)SNSで情報がすぐに世界中に広がる時代でもありますし、何より日本のコンテンツ産業やアニメ産業の市場はものすごい勢いで世界に拡大していますよね。それをものづくりの側面からどう支えるか、どのようにセールスプロモーションしていくのか、観光とつなげていかに人を呼び込むのかって考えていくと、ものすごい経済的な規模がある話だと思います。

(山田)今回の駿河屋さんの話もその起点になりそうですね。

(高松)電気自動車とかスマホとかいろいろな産業・技術分野で日本が海外に押されてきている中、日本のアニメーションやホビーのコンテンツは非常に高い競争力を持っています。日本のこれからの経済成長戦略、輸出戦略として生かせるものなので、ここをどう磨くのかっていうのは真面目に考えていい話であると思います。

(山田)その起点が静岡になることも、十分ありえますね。ぜひ皆さんも注目してみてください。今日の勉強はこれでおしまい!

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