【静岡県が抱える経済課題】静岡県知事選は各候補の経済政策にも注目!「誰がやっても同じ」ではない!投票前に主張をチェック!

静岡トピックスを勉強する時間「3時のドリル」。今回のテーマは「静岡県が抱える経済課題」です。先生役は静岡新聞の高松勝ニュースセンター専任部長です。(SBSラジオ・ゴゴボラケのコーナー「3時のドリル」 2024年5月13日放送)

(山田)現在、静岡県知事選の最中ですが、今日は静岡県の経済にどのような影響を与えるか、という話ですね。

(高松)今、各候補が経済政策についても活発に論戦を展開しています。リニア中央新幹線の問題や野球場の問題も大事ですが、いつもこのコーナーで話をしているように県内の経済がどのように活性化され、皆さんの給料や暮らしがどのように良くなっていくかという点はとても大事な部分です。大前提として、県知事が変わると、静岡県の経済政策は変わることになります。

(山田)誰が県知事になるかによって変わるんですね。

(高松)県知事が静岡県の経済や産業のあり方を打ち出し、それにどのような政策に予算を付けてくるかということになるので、知事が変われば経済政策も大きく変わると言っていいと思います。

(山田)だからこそ、そこをきちんと見極めて投票する必要があるということですね。

(高松)はい。景気が良くなる、ならないというのはトップの政策によるところがあります。過去に「アベノミクス」で為替環境が変わっていったように、どの経済政策を柱に立てるかによって国の経済は変わります。なので、誰がやっても同じということはまったくないということを、まず理解しておいてほしいと思います。

今回の静岡県知事選の候補も、企業を誘致する、女性の経営者を増やす、もっと産業力を高める、中小企業こそ支えるべきだ、ベンチャー企業を多く取り入れて若い会社経営者を増やす、というような政策をそれぞれ主張しています。ぜひ、各候補の演説を聴くなどしてチェックしてほしいと思います。

ポイントは新産業育成と人材確保

(高松)そもそも静岡県はどのような産業課題があるかという話にも触れます。静岡県は農業などの第1次産業、ものづくりの第2次産業、観光やサービスなどの第3次産業がまんべんなく揃っているとよく言われます。「産業のデパート」と称されるように非常にバランスが良いとされていますが、それぞれに課題があります。

まず、農林漁業の第1次産業は高齢化が進んでいます。海外の人たちに提供する輸出や、デジタルなど新しい技術への対応が問われています。また第2次産業で言えば、静岡県は「ものづくり県」でもありますが、そこに代表される自動車産業は電気自動車の分野、つまりEV化への対応をどのように進めていくかが最も大きな課題です。さらに、製薬、食品、光関連などものづくりにはさまざまな産業があるんですが、これをどのように高めていくかということも課題になっています。

(山田)材料費の高騰とかもありますよね。

(高松)もちろん材料費のこともあります。半導体生産をはじめ、グローバル競争が激しいので、海外との競争にどう備えていくかという面もあります。

観光・サービスの第3次産業については、やはりインバウンドをどのように取り込むかが課題です。静岡空港がありますけど、世界の人たちを静岡にどう呼び込むかが大事です。また、この分野は人手不足の問題も大きいです。

(山田)そうですよね。コロナ禍で人手を減らした分がそのままになってしまっているという状況がありますよね。

(高松)どのように立て直すかですよね。このように各産業に課題があります。静岡県は産業のバランスがいい分、逆に政策の目配せが大変になります。

(山田)どこかの分野だけ伸ばせばいいというわけではないということですね。

(高松)ポイントは新しい産業をどう育てるか、次の儲ける柱をどこに持っていくかという点です。それと、人手不足の問題です。これは目の前の職場をどう回していくかということに加え、これからを担う若い世代をどのように呼び込むかという側面もあります。新産業と人材、この2つの課題への対応が重要です。

(山田)よく見ると、各候補に違いがあるということですか。

(高松)各候補にはそれぞれ強みがあります。経歴や支援する政党のカラーなどの違いもありますので、少し大変かもしれませんが、演説を聴き比べたり、メディアを通じて発信される発言をチェックしたりして、どの候補が言っていることが皆さんの考える豊かな静岡県に最もしっくりくるかということを、他の政策と同じように見てもらいたいと思います。

(山田)どこから手を付けるかという優先順位もありますよね。

若者定着には尖った発信が必要

(高松)そうですね。静岡県は人口減少が進んでいます。ひと昔前は370万人と言われていましたが、今は350万人台となっています。いろいろな産業の現場を取材していると、社長さんたちからは、研究開発の分野も含めて次代を担う若者、特に学生たちがどうしても東京に行ってしまうという話をよく聞きます。

中小企業は働き手の確保がとても大変な状況です。大学誘致のようなことも含め、静岡県で人材を育てる、あるいは外国の優秀な人材に静岡に来てもらうなど、どうやって静岡で働く人を確保していくか。手を打たねば、長期的に大きな影響が出てしまいます。

(山田)確かにそうですね。若い人たちが活躍できる静岡県にしていくことは重要ですよね。そして、それは候補者が主張していることはすべて同じではなく、選ぶ人によって変わってくるということですね。

(高松)ちなみに、山田さんはどのような経済政策が気になりますか。

(山田)僕は今日の話に出ている若い人が活躍できるという部分で、やはりベンチャー企業などが気になります。周りにも自分で独立した若い経営者もいます。そういう人たちが東京に行かなくても、静岡で自分の会社を経営していけばいいじゃないかと思えるようになることが重要だと考えたりします。

(高松)そうですね。コロナ禍のときにデジタルを活用すれば地方にも可能性があるという考え方が出てきたんですが、景気が戻ってきたらやはり大都市偏重にベクトルが戻りだしてしまっていますね。

住みやすいということも大事ですが、こんな働き方ができる、世界や首都圏に負けない仕事ができるというような、少し尖った部分をもっと出していくべきではないかと思います。

(山田)なるほど。「東京まで1時間だよ」というだけではだめだということですね。

(高松)好奇心が刺激されるような新しい産業だとか、首都圏に負けないような産業があるといった打ち出し方をしていくことが大事なんじゃないでしょうか。

1兆円予算の使い道は新知事次第!


(高松)最後にもう一つ、県知事の権力ということについて話したいと思います。2024年度の静岡県の当初予算は1兆3000億円あります。もちろん社会を維持するために必要なお金もあるのですべてを自由に投資的に使えるわけではないですし、県議会の承認も必要ですが、それでも1兆円のお金の使い道を決められる権限があります。静岡県は川勝平太前知事時代に産業成長戦略というものを作っていて、50ページほどの冊子にまとめています。

(山田)今日は手元に持ってきてくれていますね。「静岡県産業成長戦略2024」ですか。

(高松)官民での協議を経て県としてこういうものをまとめ、県が向かうべき経済の方向性を打ち出しています。県のホームページでも公開されているので、有権者の皆さんにも目を通してもらって、例えば自分が働いている業界について県がどのような将来像を考えているのかということを知っていただければと思います。

(山田)初めて見ました。結構細かく書いてあるんですね。

(高松)県はこういったものに沿って補助金を交付したりしています。

(山田)スタートアップ企業をいつまでにどのくらい増やすかという目標値などもありますね。

(高松)こういう配分なども、当然県知事が新しくなれば変わってくると思います。知事が何を志向しているのかということがすごく大事になります。それぐらい県知事はいろいろなことを判断して決める権限を持っているので、投票の際にはそこをしっかりと見てほしいなと思います。

(山田)今日もいろいろと勉強になりました。というわけで今日の勉強はこれでおしまい!

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