【長浦京さんの小説「リボルバー・リリー」】見てから読むか、読んでから見るか

静岡新聞教育文化部が200字でお届けする「県内アートさんぽ」。今回は、8月10日付静岡新聞シネマ面にインタビューを掲載した行定勲監督の映画「リボルバー・リリー」の原作。長浦京さんが2016年に発表した第19回大藪春彦賞受賞作「リボルバー・リリー」(講談社文庫)。

8月11日公開の映画以上に「痛み」が伝わる作品。銃創の痛み、関節が外れる痛み、両手で喉を抑えられる痛み―。主人公のスナイパー小曾根百合、家族を惨殺された細見慎太の心の痛みも押し寄せる。大量の血が流れ、悲しみの連鎖が続くが、なぜかページを繰る手が止まらない。先の見えない逃避行、死と背中合わせの疾走に不思議なカタルシスがある。大正期のタバコの銘柄、喫煙の描写がたまらなくいとおしい。強烈に「句読点」を感じる。

静岡県内の音楽、美術、文学、演劇、パフォーミングアーツなど、さまざまな表現活動を追いかけます。教育分野の動きもフォロー。最新情報は公式X(旧Twitter)で。

あなたにおすすめの記事

人気記事ランキング

ライターから記事を探す

エリアの記事を探す

stat_1