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静岡新聞教育文化部

【静岡書店大賞受賞者ミニインタビュー】宮島未奈さん(小説部門)と榛名丼さん(映像化したい文庫部門)。地元での栄冠に喜びもひとしお

静岡新聞教育文化部がお届けする「県内アートさんぽ」の番外編。12月5日に発表された「第11回静岡書店大賞」(実行委主催)の受賞者から、本県ゆかりの二人へのインタビューをお届けする。(は)


「小説部門」は富士市出身の宮島未奈さん(写真右)の「成瀬は天下を取りにいく」(新潮社)。宮島さんはデビュー作での受賞となった。

 ―挨拶で「故郷に錦を飾る」とおっしゃっていましたね。やはり特別な受賞でしょうか。
 「縁もゆかりもない地だったら、ここまで自分の気持ちが盛り上がらなかったことでしょう。やっぱり故郷だからこそ、よりうれしい気持ちがありますね」

 ―受賞作は主人公の成瀬あかりさんのキャラクターが素晴らしいですね。この人物をどうやって生み出したのでしょうか。
 「とにかく変わった人物を書きたくて。(作品を)書きながら調整を加えていきました。特にモデルがいるわけではなく、こんな子がいたら面白いかな、という理想の姿を作り上げました。私とも、ほかの誰とも違う存在ですね」
 
―今春の「成瀬―」発刊以後、今回の受賞もそうですが、周囲の状況が大きく変化したと思います。どう受け止めているでしょうか。
 「近所の人が『読んだよ』と言ってくれることはうれしいし、いい感想をいただくことが多いけれど、一喜一憂すると精神的に良くないので、あまり気にしないようにしています。平常心を保つ、(作品と)距離を置く。それを意識してやっています」

 ―続編が1月に発刊されますね。どんな内容でしょうか。
 「(主人公の)成瀬あかりが今度も出てきます。『天下を取りにいく』の後の話なので、大学生になっています。成瀬の『その後』を知りたい人はぜひ読んでほしいです」

続いて「映像化したい文庫部門」。静岡市駿河区在住の榛名丼(はるな・どん)さん(写真右)の「レプリカだって、恋をする。」(KADOKAWA)が選ばれた。

 ―受賞作は「電撃小説大賞」にも選ばれていますが、今回はご自身の出身地に縁のある賞です。どんなお気持ちでしょうか。
 「作品を読んだ書店員さんや図書館員さんが投票してくださっていますよね。(自分が)面白いと思って書いたものが、地元の方々にちゃんと伝わって、評価していただいたことがとてもうれしいです」
 
―作品の舞台は静岡です。どういう経緯でそうされたのですか。
 「作家デビュー3年目ですが、これまでは架空の世界を舞台にしていたんです。現実を舞台にしたお話を書いてみたくなって、住んでいる場所(静岡市の用宗)を舞台にすればリアルさが出せると思い至りました」
 
―12月8日に3巻が出ます。
 「1巻を書き終えた後、担当編集さんから『2巻を出しましょう』と言っていただき、改めて作品に向き合ったという経緯があるんです。1巻で終わりにしたつもりだったけれど、続きを書いて良かった。今回は『映像化』と名前がつく部門で選ばれたので、実写映画化、アニメ映画化してもらえたらうれしいですね。そこから世界が広がる、そういう作品だと思っています」

静岡県内の音楽、美術、文学、演劇、パフォーミングアーツなど、さまざまな表現活動を追いかけます。教育分野の動きもフォロー。最新情報は公式X(旧Twitter)で。

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