
(市川)4月の統一地方選を終え、静岡県内の自民党関係者の間では、空席となっている衆院静岡5区支部長ポストを巡る動きが活発化しそうとの声が上がっています。
細野豪志さんの支部長就任を推す声がある一方、長年対立関係にあった細野さんへの反発も根強く、5区支部長問題は支部分裂や党員の離党を招く恐れもあるとされています。
(山田)私、細野さん本人を見たことがあって、好き嫌いは別として、めちゃくちゃかっこよかったです。
(市川)テレビで見るより実物を見た方がかっこいいですよね。体が大きくて、スラッとしていて。
ちょっとわかりにくい話なので、「支部長ポストってそもそも何?」というところから始めます。支部長というのは、自民党という組織の中のポストの名称です。衆議院の選挙区は県内に8つあります。5区は三島市や富士市、御殿場市、裾野市などが区域となります。それぞれに1区支部長や2区支部長のポストがあります。
その支部長が自動的に、衆議院議員選挙では自民党の公認候補となります。もちろん国会議員になれるかどうかは選挙の結果次第なのですが。
県内では、今は自民党が選挙に強く、空席となっている5区以外の支部長は全員衆院議員です。
(山田)5区は何が問題になっているんですか。
(市川)昨年6月、吉川赳衆院議員と18歳女性との飲酒問題が週刊誌に報じられました。本人は「未成年とは知らなかった」と否定していますが、自民党内からも批判の声が出て自民党を離党しました。この瞬間に、5区の支部長が空席になりました。
(山田)今もそのままということですね。
(市川)5区は元々、細野さんと吉川さんが長年選挙で戦ってきました。民主党だった細野さんは選挙にものすごく強く、勝ち続けてきた。吉川さんは選挙区では細野さんに負けましたが比例復活を果たし、5区支部長に就任していました。お互い、国会議員として共存する関係になっていたのです。
細野さんは2017年に当時の民進党を離党し、「希望の党」を経て無所属となりましたが、2021年の衆院選でも無所属のまま吉川さんに再び勝ったわけです。その後、自民党に入党しました。
(山田)細野さんレベルの方が野党から与党になるのは珍しいですよね。
(市川)細野さんは元々民主党時代に環境大臣や、原子力の特命大臣、党幹事長などを歴任していて、幹部中の幹部でした。なので、民主党幹部として自民党を猛批判していた細野さんが自民党に入るとなれば、やっぱり反発する人が出てきます。なかなか「はい、そうですか」とはいかない。吉川さんが自民党を離党した後も、細野さんが5区の支部長についていない状況が続いているんです。
5月下旬の自民党県連大会に注目を

(山田)今後はどうなるのでしょう。
(市川)細野さんは全国的に知名度もあり、選挙に強く、人気もすごくあるんです。先日の県議選でも、自民党の候補者の応援にくまなく回っていました。県議の方も細野さんの知名度に頼っている部分があったんですね。
京都出身の細野さんは28歳の若さで落下傘候補として三島市に来て、人脈を一から築き、選挙に勝ち続けています。三島の方々に細野さんの評判を聞くと、良い意味での「人たらし」らしいです。会うと、みんな好きになっちゃう。「地元のために仕事をしてくれる人だ」という評価がすごく多い。
なので、細野さんに反発する声はあっても、自民党の5区支部長として迎え入れようじゃないかという声も強くなっているというのが今の状況ですね。
(山田)一方、吉川さんは自民党を離党して以降も国会議員をされてるんですよね。
(市川)はい。4月30日の静岡新聞に「職責果たさぬ吉川議員」という記事が出ました。
吉川さんは今年の3月以降に行われた本会議16回のうち半数の8回は姿を見せなかったそうです。出席した8回はすべて途中退席していた。吉川さんは事務所を通じて病気が理由と言っていますが、歳費として月129万、ボーナス310万円が払われている国会議員ですから、きちんと国民に説明してもらいたいですよね。
(山田)細野さんが人たらし、ということはわかりました。カリスマ政治家になるには必要な部分なのかもしれませんね。
(市川)5月末に自民党の県連大会が予定されていて、細野さんが出席するという記事も出ました。ここで細野さんの支部長問題がどうなるか、注目です。
(山田)これから、静岡5区支部長ポスト問題が活発化してくる可能性があるんですね。今日の勉強はこれでおしまい!