LIFEライフ

SBSラジオ IPPO

就活解禁!今年の就職戦線の特徴は?

2024年に卒業する大学生や大学院生が対象の就職活動が、3月1日に解禁されました。今回は、「売り手市場の就職活動」について大学ジャーナリストで『ゼロから始める 就活まるごとガイド2025年版』の著者である石渡嶺司さんにSBSアナウンサー原口大輝がお話を伺いました。
※2023年3月16日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。

今年も”売り手市場”が続く?!

原口:まず”売り手市場”とは、どのような状態のことなのか教えてください。

石渡:統計上、就活生側が有利となる状態のことをいい、その逆の状態が”就職氷河期”です。文部科学省の学校基本調査によると、昨年2022年の大卒就職率は74.5%で、これは”就職氷河期”より20ポイント近く高い数値です。この売り手市場は、今後も続くものとみられています。静岡県だけでみると77.5%と、他の県より3ポイント高い結果が出ており、かなりの売り手市場の状態です。

原口:売り手市場や就職氷河期という表現は、就職率で判定するのですか。

石渡:就職率だけでなく、求人件数などからも判定されます。

原口:求人情報が増えた業界はどんなところですか。

石渡:IT関係です。またコロナ禍が収まってきたので、観光やホテル、飲食関連も人手不足で求人が増えています。

コロナ禍によって制限された学生生活

原口:今年の就活生の特徴を教えてください。

石渡:コロナ禍で、入学したときから学生生活に大きな制限を受けて就職活動に臨むはじめての世代ということもあり、エントリーシートなどで「学生時代についてうまく書けない、書くべきことがない」と悩む就活生が多いというのが大きな特徴です。こうした事情を受け、日立製作所は面接で学生時代のことを聞かず、その代わりにプレゼンテーション選考を導入していました。ただこれは大企業だからできることであり、中小企業はそこまで選考に手間をかけられません。

コロナ禍の前でも「学生時代をうまく表現できない」と嘆く学生は一定数存在しました。実績ではなく、経過を説明していけば、あとは企業側の判断になるので、「学生時代に何もやらなかった」とあまり悩む必要はありません。

原口:「うまく答えられるかな」という不安はみなさん一律ですよね。今年はどんな企業が学生に人気ですか。

石渡:文系だと金融業界や食品業界が安定した人気があります。理系だとソニー、富士通、NTTデータなどIT関連の企業に人気が集まっています。そして、コロナ禍が収まってきたことで、これまで採用を縮小していた観光やホテル、ウエディング業界にも人気が復活しています。また、カーボンニュートラルなど新しい技術を持つ企業も注目されています。

静岡県は製造業が盛んな県ですので、スズキやヤマハ発動機など知名度の高い企業もあります。それ以外の企業も、国内ないし世界シェアの高い企業、技術力の高い企業が多いので、広く見ていってほしいです。

今年の就職活動の形は?

原口:今年の就職活動の合同説明会や面接は、どのような形で行われていますか。

石渡:コロナ禍で中止となった2020年以降、3年ぶりの対面開催となりました。ただ合同説明会でもオンライン開催のもののほうが今のところ人気があります。今年も面接を含む選考や会社説明会は、オンラインで実施するところが今のところは多いです。そして選考の中盤ないし終盤以降の面接については対面で行うなど、使い分ける企業が静岡県内でもかなり増えています。

原口:新卒の就職活動といえば学生が企業を選ぶイメージが強いですが、今年は”スカウト型”が増えているとニュースで見て驚きました。これについても教えてください。

石渡:”スカウト型”は”逆求人型”ともいい、従来の就職情報サイトとは流れが逆になります。就活生は基本情報を入力するだけでなく、すこし長めの自己PRも入力します。それを読んだ企業側が、気になった学生にスカウトを出します。そして会社説明会に参加してもらい選考に進むので”スカウト型”、流れが逆なので”逆求人型”といわれています。マッチングしやすいとのことで、逆求人型サイトの利用企業や学生が年々拡大しています。

原口:自分に合った会社を見つけるコツがあれば教えてください。

石渡:最初から志望業界を決める方法もありますが、あまり力まず広い視野で見てください。説明会などに参加することでイメージと違う部分が見えてきて気づきが生まれます。総合職採用では、2010年代以降複数の業界から内定を得る学生が増えてきました。こういった状況から無理に業界を絞らず広く見ていったほうが、良い結果につながると思います。

例えば新聞社でも、イベントを主催・運営する部門や社内インフラ構築のためのIT部門がありますので、その業界を目指している学生なら、間違いなく受けることをおすすめします。こんな感じで企業名やイメージで勝手に判断するのは、就活のうえでは良くないのではないかと思います。

原口:最後にラジオをお聴きの就活生やご家族の方にメッセージをお願いします。

石渡:まずは周囲の動きに焦らないでほしいです。2010年代以降は売り手市場が続いたこともあり、時期が細分化されています。早い学生だと昨年の夏から秋にかけて内定が出ています。遅い学生が今から動いてノーチャンスかというと、そういうわけではありません。大学のキャリアセンターや公的な新卒応援ハローワークをぜひ利用してみてください。併せて、私の新刊も読んでいただけると嬉しいです。

原口:就活生のみなさん、焦らずに自分のペースで進めていってください。石渡さん今日はありがとうございました。
今回お話をうかがったのは……石渡嶺司さん
 1975年札幌生まれ。東洋大学社会学部卒業後、2003年から大学ジャーナリストとして活動開始。以降、大学、就活関連を中心とした著作32冊を出す。主な著作に『ゼロから始める就活まるごとガイド2025年度版』(講談社)、『改訂版 大学の学科図鑑』(ソフトバンククリエイティブ)など。

SBSラジオIPPO(月~金曜:朝7:00~9:00)忙しい朝を迎えているアナタに最新ニュースはもちろん、今さら人には聞けない情報をコンパクトに紹介!今日の自分をちょっとだけアップデート!番組公式サイトX(旧Twitter)もぜひチェックを!
radikoでSBSラジオを聴く>

関連タグ

あなたにおすすめの記事

RANKING