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デジタルネイティブな「Z世代」より若い「α世代」の特徴は?

バンクーバー冬季五輪が開かれた2010年以降生まれ

「Z世代」という言葉は、ここ数年で定着してきました。最近は、Z世代より若い「α世代」にも注目が集まっています。今回はα世代について、日経クロストレンドの寺村貴彰さんに、SBSアナウンサー原口大輝がお話をうかがいました。
※1月26日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。
原口:Z世代は「1990年代半ばから2010年代生まれの世代」のことを指しますが、その次の世代であるα世代について教えていただけますか。

寺村:α世代は「2022年に12歳以下」を指すのが一般的です。今の小学生以下の世代となります。Z世代の「Z」はアルファベット最後の文字なので、その次ということで、ギリシャ文字の最初の「α」を使うようになったそうです。

原口:だからα世代なんですね。α世代の特徴はありますか。

寺村:識者の話をまとめると、「モチベーションの足が早い」という特徴が見られます。興味が長続きしないということです。生まれた時からスマホが当たり前にあって、いつでも大量の情報に触れられるため、選択肢の多すぎることが影響していると考えられています。

ほかには「楽しいだけではすぐ飽きてしまう」という特徴もあります。これも、情報やコンテンツが山ほどありすぎるためです。さらに、情報が多すぎると、効率的に時間を使おうということで「タイムパフォーマンス(タイパ)を重視する」とか、「価値観が多様化していく」といった特徴も出てきています。

α世代を開拓したい!でも調査が難しい

原口:α世代(現在小学生以下)と Z世代(おおむね10代〜20代)の違いはありますか。

寺村:タイパ(タイムパフォーマンス)重視という特徴は、どちらの世代にも見られます。そのような特徴をさらに尖らせたのがα世代になると考えています。

Z世代とα世代の消費行動には、大きな違いがあります。Z世代は商品を買う人と使う人が同じ場合が多いです。一方、α世代はまだ子どもですので、商品は親が買ってくれるという状況です。α世代は買う人と使う人が違っていて、購買データを収集しにくいので、企業は苦労されてるんじゃないかなと思います。

原口:α世代に関心を寄せる企業が出始めているんですね。

寺村:各社がZ世代向けの商品やサービスを提供している一方で、早い企業ではα世代を開拓しておこうという動きが見られます。その中でも先行しているのが、文房具やおもちゃ業界など、もともと小学生向けの商品を出している企業です。

原口:まだ子どものα世代ですが、どんな方法で特性を調査しているんですか。

寺村:α世代に直接聞くということが難しいので、保護者と一緒にアンケートをとる方式が一般的なようです。昨年、博報堂が発表したα世代に関する調査でも、この方法を取っていました。

α世代向けコンテンツ「桃鉄教育版」「ぷにるんず」「キッザニア」

原口:α世代にヒットしそうなコンテンツはありますか?

寺村:ゲームの「桃太郎電鉄 教育版」が今年から一部の学校で本格的に導入される予定です。

原口:桃太郎電鉄(桃鉄)はずっとやっていました。最新版のゲームも持っています。

寺村:桃鉄は、すごろくの要領で日本全国を旅するゲームです。これが地理の勉強と相性がよいのではないかと言われています。私も桃鉄の教育版で勉強したかったなと思います。

原口:あの駅・あの地域の特産品とか、ご当地のキャラクターとか、ゲームを通して覚えますよね。授業で桃鉄ができると言われたらテンション上がりますね。

寺村:まさにこれが、先ほど説明した「楽しいだけではすぐ飽きてしまう」というα世代の特徴につながっています。楽しみながら勉強できるのはすごく重要なことで、ヒットする要因になるんじゃないかなと考えています。

原口:そのほかにヒットしそうな商品はありますか?

寺村:「ぷにるんず」という、「たまごっち」のようなデジタルの携帯型ゲームがあります。デジタルゲームにアナログの要素を追加したのが、おもしろいところです。

本体に穴が空いていまして、その穴に指を入れると、ぷにぷにとした触感のボタンがついています。このボタンをさわると、キャラクターとコミュニケーションが取れるという仕掛けです。デジタルとアナログを融合して、タブレット端末ではできない価値を生み出しています。これも「楽しいだけではすぐ飽きてしまう」というα世代の特徴にかかっています。

原口:アナログならではの価値ですね。

寺村:もうひとつ、職業体験施設の「キッザニア東京」に、化粧品メーカーのコーセーがブースを出しています。子どもの価値観の多様化にあわせて、ヘア&メイクアップアーティストと、フレグランスを調香するパフューマーという、一昔前にはなかったような職業体験ができます。きっと、今後もいろんな職業体験が出てくるんじゃないかなという気がしています。

原口:寺村さんが今後α世代に期待する点や、注目ポイントなど教えてください。

寺村:α世代のことはまだよくわかっていないので、今の段階ではα世代向けの新商品やサービスから読み解くしかない状況です。例えば、企業が「タイパが重要だ」と考えれば、徹底的に無駄を削ぎ落とした商品が出てくるはずです。α世代向けの商品やサービスから逆算して、解像度を高めていくことが重要なのかなと思っています。企業もいろいろと苦労されている時だろうと思います。

原口:今後もα世代に注視していきたいと思います。寺村さんありがとうございました。
今回お話をうかがったのは……寺村貴彰さん
東京都出身、2009年慶応義塾大学理工学部数理科学科卒業。研究の世界が向いていないことを悟り、教科書会社の編集者、子ども向け新聞の記者を経て、20年6月に「日経トレンディ」編集部に加入。22年4月から日経クロストレンドへ。担当は、α世代やゲームなど。気持ちは“永遠の小学生”。

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