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寒い時期、顔がほてるのはなぜ?

今回は、寒い時期に顔がほてって頬が赤くなる原因と対策について、東京大学皮膚科学教室助教の江畑慧(えばた・さとし)さんに、SBSアナウンサー原口大輝がお話をうかがいました。

※2月3日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。

顔の赤みは血液の色

原口:冬に限らず、顔がほてっている時には何が起こってるんですか。

江畑:一般の方がイメージしやすいのは、運動した後に顔が赤くなっているケースだと思います。運動すると血管が開いて、顔を流れる血液の量が多くなるんです。肌が白い方の場合、血管が透けて赤く見えます。

原口:顔の赤みは血液で、顔だとわかりやすいということなんですね。

江畑:はい、その通りです。頬は身体の中でもかなり血管の数が多い特殊な場所で、しかも顔の皮膚は動かしやすいように薄いので、血管が透けて見えやすいです。他の場所よりも血管の変化がすぐわかるので、頬の赤みを周りから気付かれるということですね。

原口:運動の後のほかには、どんなシチュエーションで顔が赤くなりやすいんですか?

江畑:怒って興奮している方、酔っ払ってる方は顔真っ赤だったりするじゃないですか。

原口:わかります。私もお酒を飲むとすぐ顔が赤くなってしまうタイプなので。

江畑:お酒を飲むと身体がポカポカして気持ちいいですよね。血行が良くなって、頬にある血管が開いて赤ら顔に見えるってわけです。

寒い→血管縮こまる→顔の特殊な血管が開く→皮膚を温める→ほてる

原口:お酒で顔が赤くなる仕組みはわかりました。冬に顔がほてるのはなぜですか?

江畑:寒いと一度は血管が閉じて、青白い顔になります。この後に反動がきまして、そのタイミングで血管が一気に開くんです。そうすると顔がほてるってわけなんですね。

原口:いったん血管が縮まって、反動で広がるから赤くなっていくんですね。

江畑:これは人体の賢いメカニズムで、まだ研究中ではあるんですけど、しもやけを予防するためだろうって考えられています。顔は服などで覆いにくい場所じゃないですか。外出すると冷たい空気に直でさらされるので、顔や頬の皮膚はとっても冷えますよね。この冷たい皮膚を放置すると、肌が壊れてしもやけになります。そこで、顔の中には皮膚の温度を調整するための特殊な血管があるんです。

原口:顔の特殊な血管とはどんなものですか。

江畑:顔は皮膚の下に筋肉があるわけですけど、芯の芯まで冷え込んだ時に温度調整用の血管が活躍します。一般的な血管は寒さで縮こまっているんですけど、寒くなりすぎるとこの温度調整用の血管が一気に開きます。これで頬の血液の量が回復し、皮膚の温度も回復していきます。このメカニズムを通じて、顔の皮膚がしもやけにならないように防いでいます。

原口:顔特有のメカニズムってことですか?

江畑:手足の指先にも似たものがあると言われています。

原口:この血管が開くと、顔がほてって赤く見えるということなんですね。

江畑:一気に頬の血管が開くので、周りから見ると「ほてってるね」ってなるわけです。顔のほてりはもちろん病気ではないのですが、赤く見えて恥ずかしい方もいらっしゃるかもしれませんね。実はこれもまだ研究途中で、血管が開いたり閉じたりする厳密なメカニズムはまだわかっていないことも多いんですよ。メカニズムがわかれば、冷え症治療など簡単になってありがたいです。

顔のほてり対策、ポイントは「全身を冷やさない」「頬を寒さから直接守る」

原口:冬に顔がほてるのを防ぐ方法は、どんなものがありますか。

江畑:これもまだわかっていないことも多いので、シンプルな対策で恐縮なんですけど、一番大事なのは「頬の温度を下げすぎない」、これに尽きるわけです。具体的には、全身を冷やさないということと、頬を寒さから直接守るということ、この両方を意識すると良いかなと思っています。

まず全身を冷やさないためには、重ね着をしたり、手袋や帽子を着用したり、温かい飲み物を飲んだりして、寒さ対策を万全にしていただきたいです。家の中で油断する方も多いんですけど、廊下って意外と冷えますから、なるべく家全体を暖かく保つことも大事です。あとは、頬の保護効果があるものとしてはマスクが挙げられます。

原口:普段使っている一般的なマスクでいいんですか?

江畑:はい、その通りですね。新型コロナウイルス感染症対策や花粉症対策でマスクをつけていると思います。マスクの下では皮膚の温度が上がるんですね。夏だとむしろ肌が蒸れて、ニキビが悪化するリスクもあるんですけど、真冬の寒さ対策ならマスクは有効です。それから、防寒専用のフェイスマスクもあります。通勤・通学でバイクや自転車に乗る方にはおすすめかなと思います。

皮膚の温度は、単に寒い時よりも、肌が冷たい風に当たる時に最も下がります。バイクや自転車は冷たい向かい風に当たり続けるので、正直最悪に近いです。顔をなるべく覆ってほしいですね。マフラーやストールで頬を覆ってもいいです。あとは、洗顔時にも注意が必要です。冷たい水で顔を洗うと頬の温度が下がっちゃいますから、ぬるま湯を使ってほしいなって思います。

冬の肌トラブル

原口:寒さ対策以外でのほてり対策はあるんでしょうか。肌トラブルの場合は塗り薬やスキンケアのイメージがあります。

江畑:残念なんですけど、塗り薬やスキンケアでの対処はちょっと難しいですね。冬に頬が赤くなる理由は、皮膚そのものというより血管のトラブルじゃないですか。肌を保護するだけでは、顔のほてり自体の予防は難しいです。血管を傷めない生活習慣がより重要ですね。頬の血管が一度閉じて、反動で顔が赤くなるわけですから、血管を閉じる原因になるたばこやストレスはあまり良くないです。なるべく禁煙するとか、可能な範囲でストレスを減らせればと思います。

冬の肌トラブルは、顔のほてり以外にもいろいろあります。例えば今の時期、肌が乾燥しやすいですから、皮膚科医としてはぜひ保湿剤などを使って、むき出しになってつらい環境を過ごしている肌をいたわってあげるとうれしいかなと思います。

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免責事項
今回お話をうかがったのは……江畑慧先生
東大医学部卒。東大病院皮膚科助教。皮膚科専門医/医学博士。東大病院病院長賞、JSID臨床研究論文賞、The Most Cited Paper Award of the Journal of Dermatology等を受賞。難病『全身性強皮症』の医師主導治験を成功させ、世界初の業績としてリツキシマブの保険承認を取得。治験結果は世界的医学雑誌のLancet Rheumatology誌に掲載され、メディアを通じて国内外で画期的成果として大きく報道された。

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