進化する定番から時代を反映するものまで!おもちゃの最新トレンドについて
昔からある定番のおもちゃが進化している!
6月14日に「日本おもちゃ大賞2022」が発表されたり、国内最大規模の玩具見本市「東京おもちゃショー」が3年ぶりに東京ビッグサイトで開催されたりと、おもちゃのビッグニュースが続きました。そこで今回は、おもちゃの最新トレンドについて、100年以上にわたっておもちゃ業界を見つめてきた業界誌『月刊トイジャーナル』編集局の藤井大祐さんに、SBSアナウンサー牧野克彦がお話をうかがいました。牧野:近年のおもちゃ業界の売れ行きはどうですか?
藤井:非常に好調です。先日、おもちゃ業界の団体である日本玩具協会が、おもちゃショーの開催に合わせておもちゃの市場規模を発表したのですが、2021年度の市場規模が、調査を開始した2001年度以来最高となる8,946億円となりました。
牧野:そこまで好調なんですね!
藤井:特に大きかったのが「ポケモンカードゲーム」や「遊戯王」「デュエル・マスターズ」といったカードゲームがよく売れたことです。その他、昨年新しい商品が出た「たまごっち」のような電子おもちゃやミニカーの「トミカ」、電車のおもちゃの「プラレール」なども好調でした。
おもちゃの売れ行きが好調な理由
牧野:好調の理由は何かあるのでしょうか?藤井:ここ数年はコロナ禍ということもあって、子どもたちも家の中で遊ぶことが多くなっていたと思うんです。そうした中で、おもちゃが非常に注目され売れたという形です。
牧野:売れているおもちゃの傾向としては、カードゲームが好調ということですか?
藤井:そうですね。その他では、ガンプラをはじめとしたプラモデルなど、手で作ったりするおもちゃも非常に売れています。また、「リカちゃん」や「シルバニアファミリー」といったような、いわゆる昔からある定番のおもちゃの新製品もよく売れました。
牧野:割と昔からのものが売れているんですね。最近だとAI搭載のおもちゃが売れているのかなと思っていました。
藤井:もちろんそういった商品、例えばパソコンやタブレット型のおもちゃも、コロナ禍で親がリモートワークをするようになり、子どもたちに身近になったことで売れています。
牧野:今、売れているのは、子ども向けのおもちゃが主流ですか? 大人向けのおもちゃはどうでしょうか?
藤井:プラモデルのような大人向けのおもちゃもたくさん出ています。あとは、仮面ライダーの変身ベルトなど、子ども向けの商品であっても大人のファンが購入して、自分でベルト部分を伸ばしてつけて楽しむといった流れも出てきています。
日本おもちゃ大賞2022
牧野:そのような中、6月14日に「日本おもちゃ大賞2022」が発表されましたが、どういう賞なんですか?。藤井:この賞は、毎年おもちゃショーにあわせて発表されています。おもちゃを開発する方々が目標にするような賞です。最新のおもちゃがたくさん受賞しています。
牧野:どのようなものが受賞しているのか、最新のおもちゃを教えてください!
「coemo(コエモ)」株式会社タカラトミー
藤井:すべて注目したいところですが、例えば、エデュケーショナル・トイ部門で大賞の「coemo(コエモ)」という商品があります。専用アプリを使ってお父さんやお母さんの声を登録すると、「AIによる音声合成技術」で登録されたお父さんやお母さんの声で様々なお話を聞かせてくれるものです。牧野:すごいですね!声を登録すると、話に合わせて登録した声で再現してくれるのですか?
藤井:そうなんです。その革新的な機能が今回の大賞につながりました。
牧野:今、大ヒット中の映画『トップガン マーヴェリック』でも、声を失った俳優の声をAIで再現することがあったようですが、映画の世界でやっていることを家庭の中で、しかもおもちゃで出来るのですね!ちなみに、価格はいくらするのでしょうか?
藤井:9月に小売価格12980円(税込)で発売予定です。
牧野:なんとか手が届きそうな価格ですね。その他はどうでしょうか?
「チョロQ」株式会社タカラトミー
藤井:昔からあるゼンマイミニカーの「チョロQ」が進化して、電動モーターを搭載しプログラミング走行が楽しめるような商品も出ています。牧野:プログラミング走行になると何が変わるんですか?
藤井:通常はプルバックで、少し後ろに引いてから手を離して走らせると思うのですが、引く回数によって、直進して曲がったり回転したりと通常の走行とは違って遊べます。
牧野:面白いですねえ。他にはいかがですか?
「3D立体オセロ」株式会社メガハウス
藤井:定番ゲーム「オセロ」の盤面の一部を立体にすることで、ゲーム性が増した「3D立体オセロ」も大賞を受賞しました。こちらも昔からある商品が、最新の技術やアイデアで進化した商品になります。東京おもちゃショーで注目のおもちゃは?
牧野:まだオセロにも進化の余地があったんですね!もうひとつおもちゃ界にビックなニュースがありました。「東京おもちゃショー」が3年ぶりに開催されましたね。藤井:私も取材したのですが、今回、一般公開はなく、おもちゃ屋さんなどの業者だけが招待された商談見本市でした。子どもたちがおもちゃで遊ぶ姿などは見られなかったのですが、おもちゃ屋さんにとっても3年ぶりのおもちゃショーということもあり、多くの業者が来場して夏休みやクリスマスに向けた商談も活発に行われていました。
牧野:このショーも最新のおもちゃが並んでいるのですよね? 注目のおもちゃを教えてください!
時代を反映したおもちゃ
藤井:ひとつには、大人の世界での話題や人気になっていることを取り入れたおもちゃがたくさん登場していました。例えば、コロナ禍で身近になったフードデリバリーの“ごっこ遊び”を楽しめる「ピッ!と注文 料理をお届け!アンパンマンのフードデリバリー」や、スーパーなどでおなじみとなったキャッシュレス決済の遊びが楽しめる「すみっコぐらし ピピッとスキャンでおかいもの!すみっコセルフレジスター」などが話題になりました。また、大人の世界でトレンドのキャンプやアウトドアを、“ごっこ遊び”で体験できる商品も人気です。牧野:まさに今の時代を反映したおもちゃなのですね! 他にはどうですか?
恐竜モチーフのおもちゃ
藤井:今回、特に目立ったのが、恐竜をモチーフにしたおもちゃです。もともと恐竜は子どもの大好きなモチーフですが、今年は映画『ジュラシック・ワールド』の新作公開が夏休みに控えていたり、全国で恐竜展が開催されるといった追い風もあり、恐竜をモチーフにしたゲームやぬいぐるみなど、非常に多彩な商品が出品されていました。牧野:昔から軸は変わっていないが、細かい部分ではチョロQも進化していたり。子どもたちの好きなものの軸は同じですが、さらに進化している部分がどこかに入っているんですね。近年のおもちゃの傾向は、他にどういうところがありますか?
最近のおもちゃの傾向と今後
藤井:最近のおもちゃはいろいろな意味で、ボーダーレス化が進んでいます。先ほども少しお話したように、大人も子どもも楽しめるような、年齢の壁を感じさせないような商品が数多く発売され人気となってます。一方で、これまでのような男の子向け、女の子向けといった区分けもなくなりつつあり、誰もが一緒になって楽しめる商品が増えています。
牧野:色の使い方も変わってきていますよね。あと、素材にも気を遣っている会社が多くないですか?
藤井:そうですね。おもちゃの本体やパッケージなどに植物由来の素材やリサイクル素材を使うことによって、環境に配慮したおもちゃが増えてきています。
牧野:藤井さんから見て、おもちゃ市場の今後の見通しはいかがでしょうか?
藤井:これまで以上に年齢や性別といった、これまで当たり前にあった境界や壁を乗り越えるような多彩な商品がでてきて、それに合わせて市場も伸びていくのではないかとみています。
牧野:おもちゃも時代を表すのですね。
藤井:大人の世界や社会の動きや流れなどを子どもたちに伝える役割も、おもちゃは持っているのだと思います。
牧野:非常によくわかりました。ありがとうございました!
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